絵本 三びきのやぎのがらがらどん

絵本 三びきのやぎのがらがらどん

絵本 三びきのやぎのがらがらどんの表紙です

絵本 三びきのやぎのがらがらどん
◆年齢◆
読み聞かせは2〜3才から。
自分で読む場合は4才以上です

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本



 マーシャ・ブラウン 絵:瀬田貞二 訳 福音館書店

初版年月日:1965年07月01日 ISBNコード:4-8340-0043-5

32ページ 26X21cm 定価1050円(本体1000円+税50円)


通常版はこちら!  定価1050円(本体1000円+税50円)

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この絵本がすごいのは、ここに秘密が……

さて、この絵本は昔話絵本です。
昔話には文法があります。たとえば、三・五という奇数の繰り返しとか、同じ場面は同じような表現をするなどです。
「三びきのやぎ」と三回の繰り返し。
「かた こと」「がた ごと」「がたん、ごとん」。
この絵本は文法どおりで、それを一切(多少瀬田節が入ってますが)外してはいません。
これら昔話の文法については他のところで解説するとして、この絵本がすごいのは、昔話の残酷性について問題にされる点の、その絵画化の妙にあります。
文章はこうなっています。
『…つので、めだまを くしざしに、
ひづめで にくも ほねも こっぱみじんにして、
トロルをたのがわへ つきおとしました』
昔話の文法では、ものごとを極端に表現するというのがあります。
この文章はその極端性の表現そのままですね。確かに残酷そのもののように見えます。
しかし、ここには二つの特徴があることを考えなければなりません。
一つは、血の一滴も流れていないし、トロルは悲鳴ひとつ発しません。
たとえば、
「串刺しにされたトロルの目からは血がどくどくと流れ、断末魔の悲鳴を…」
と表現されたらどうでしょう。
残酷ですね。
ところが、昔話の表現では、まるで粘土細工のようなものが、簡単に壊れるようにバラバラになってしまいます。
もう一つは、昔話は耳から聞こえてきますから、語られた次の瞬間には、次の場面に移っているということです。
聞き手が「どのように」と考えていたのでは、次を聞き逃してしまうことになるのです。
しかも、昔々と語られはじめるとき、それは「あるところ」であって、特定の時間と場所をもちません。
つまり、「これはファンタジーですよ」という前提がはじめにありますから、リアリズム小説のようには、始めから受けとらないルールが出来ているのです。
むしろ、口承文芸であるからこそ、極端化され、上のような表現にります。
このように昔話では、残酷性の中味を、一切抜いて語るのが文法なのです。
ところが、昔話絵本になると、困難がそこに存在することになります。
文章は耳から聞こえてきますので、昔話と同じことが言えます。
絵はどうでしょう。
絵には「どのように」がどうしても描かれなければなりません。
そこで、表面上、残酷なものですから、そこの文章を変えたり、かわいいだけの子どもだましの絵で、ごまかすというやり方が広く行われています。
この絵本では、問題の場面を遠景に描き、そこに昔話の手法を使って、トロルを粘土細工のようにバラバラにしています。
そして、「がらがらどん」はまるで踊りか、舞をまっているかのようです。
この場面だけとりだすと、ここだけ全くリアリティを失っているように見えます。
しかし、それより前の三場面を大きくクローズアップすること(画像2もその一つ)とによって、三ばんめのやぎの力強さをリアルに強調します。 そうすると遠景なら「さもありなん」とぎりぎりのリアリティを保持するというやり方をとっています。
この絵本がすごいのは、ここに秘密があります。



内容紹介です

表紙をめくると、その裏で、やぎたちが飛んだり、跳ねたり、角を突き合ったりしています。遊んでいるのでしょうか。楽しそうですね。
めくりますと、山には花が咲き、川(?)のうえには「鼻」のような磐が突き出ています。お日さまがまぶしいです。
つづいてめくると、左から大きなやぎ、中くらい、そして小さなやぎが、草を食んでいます。美味しそうです。
右ページ上に、「三びきのやぎのがらがらどん」の文字があります。「がらがらどん」とは何のことでしょう。
さらに、めくると小さなやぎが草を食みながら、うっとりとして、踊っています(?)。さあどんなお話が始まるのでしょうか。
『むかし、三びきの やぎが いました。
なまえは、どれも がらがらどん と いいました。
あるとき やまの くさばで ふとろうと、やまへ のぼっていきました』
のぼる道の途中に、橋があって、その下にはトロルが住んでいました。
『ぐりぐりめだまは さらのよう、つきでた はなは ひかきぼうのようでした』
はじめに、ちいさいやぎが『かた こと かた こと』と橋をわたります。
ちいさいやぎが 橋をわたっています

さて、ここで、三びきのやぎと、トロルと、山の草場の位置関係について、考えてみます。
山にのぼる途中にトロルがいます。
画像で見ると、左側に「やぎ」がいて、右側にトロルがいます。
トロルは橋の下に住んでいることは最初の文章にでてきます。では、どうして、文章では何も語っていないのに、左にやぎ、右にトロルが描かれるのでしょう。やぎは山側(右)をむいています。
答えは簡単です。
この絵本が横書きだからです。英語や西欧語はすべてヨコ書きで、左から右へ書きますから次のページに移るとき、左開きになります。そうすると、これから行く方向(山の草場)は右側にあることにになります。
この絵本は、橋の上でドラマや闘いが起こります。
やぎたちは、右にある山の草場へ向かって行くのですから、そちらへ向き、左から登場し、右に動いていきます。トロルはやぎに対立するもの(お前をひとのみにしてやる)ですね。だからトロルは、やぎとは反対に向いていなければなりません。
絵本は一場面ごとの絵も大事ですが、構図も大事です。
一枚絵(タブロー)はそれ自体で完結しますが、絵本は何場面かの絵で構成されています。もちろん絵は静止してますが、絵本の絵には方向や動きがあるということです。(日本語絵本は縦書き・横書き両用あります。 縦書きについては別の絵本で解説します)
『だれだ、おれの はしを かたことさせるのは』
『…きさまを ひとのみにしてやろう』
ちいさいやぎがちいさな声で答えます。
「たべないで、ぼくは小さい。少しまてば、ぼくより大きいやぎがきます」
「なら、いっていまえ」とトロルはいいました。
しばらくして、二ばんめのやぎのがらがらどんが、「がた ごと がた ごと」とやってきました。
「だれだ…、きさまを ひとのみにしてやるぞ」とトロル。
「おっと、たべないでおくれよ。 すこしまてば、ぼくよりずっと大きいやぎがやってくる」
『そんなら とっとと きえうせろ』とトロルがいいました。
先の解説からすると、このページだけ、トロルが左ページに、二ばんめやぎが右に描かれています。ここは、二ばんめやぎが、なんとか言い逃れて、トロルをやりすごした場面が絵になっているのです。だから、二ばんめやぎの身体は山に向き、顔はトロルに振り向いています。その顔はしてやったりといった表情をしていますし、橋をもう渡りきっています。
ところが、もうやってきたのが、大きいやぎのがらがらどんです。
『がたん、ごとん、がたん、ごとん、がたん、…』
『いったいぜんたい なにものだ、おれのはしを がたびしさせる やつは』
とトロルがどなりました。

おおきいやぎの がらがらどんが どなっています
『おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!『それは ひどく しゃがれた がらがらごえでした』「ひとのみにしてくれる!」とトロルがどなりました。
『さあこい!こっちにゃ 二ほんの やりがある。
これで めだまは でんがくざし。
おまけに、おおきな いしも 二つ ある。
にくも ほねも こなごなに ふみくだくぞ!』
こうして、すさまじいたたかいがはじまりました……。
そして
チョキン、パチン、ストン。おしまい。







読み聞かせのポイント
「がたん、ごとん…」とやってくるとき、この音だけに、強調の「読点」が付いています。
自然に、小さいやぎはちいさく、大きいやぎは大きい声になりますね。聞き手をびっくりさせない程度に。
この場面は大胆なクローズアップですね。
ちいさいやぎが 橋をわたっています

でも、トロルが右側にいますから、そちらの方を向いています。
このクローズアップを正面からは描いてないのは、敵はトロルで、読者である子どもではないからです。
これなら、さらのような目玉とひかきぼうのような鼻をもったトロルに、対抗できそうですね。自信に満ちています。
声からして大きいことが、そのせりふの字の大きさでわかります。しかもしゃがれ声ですよ。トロルは怖い存在ですから、読み手も少しその配慮が必要でしょう。
この絵本はすぐに、劇になりますね。
親子で「がらがらどんごっこ」をしてみてはどうでしょう。意外ですが、子どもがトロルをやりたがりますよ。
ところで、トロルとは何なのでしょうか。やぎを人間に、トロルを自然の驚異と見る見方もあります。しかし私は、どちらも自然、自然の循環と捉えたいと思います。そうした、大きな自然の循環のなかで、人間も存在します。

絵本 三びきのやぎのがらがらどん
◆年齢◆
読み聞かせは2〜3才から。
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◆むかしばなし絵本

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初版年月日:1965年07月01日 ISBNコード:4-8340-0043-5

32ページ 26X21cm 定価1050円(本体1000円+税50円)


通常版はこちら!  定価1050円(本体1000円+税50円)

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