絵本 そらいろのたね

絵本 そらいろのたね

絵本 そらいろのたねの表紙です

絵本 そらいろのたね
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆ともだちとあそぼ!絵本



中川李枝子 文:大村百合子 絵 福音館書店

初版年月日:1967年01月20日 ISBNコード:4-8340-0084-2

28ページ 20X27cm 定価840円(本体800円+税40円)


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こんな不思議な絵本はないかもしれません。

30年ちかく前に出会って以来、ずっと頭の隅に引っ掛かっているのです。
この絵本はもう40年の歴史をもち、今でも確実な人気があります。
じっさい、今でも年に何回か子どもたちに読んでいます。そのたびに、子どもたちの反応は何年たっても同じだし、何回やっても同じです。
とにかくじっと聞いてくれ、子どもたちを静かにしてしまいます。
2003年の春のことですが、ある園の年長さんにこの「そらいろのたね」と「みどりいろのたね」を続けて読んだあと討論会を試みました。
「みどりいろのたね」は種といっしょに埋められたメロン飴が、土の中で種とけんかして、豆のように成長してメロン飴をならすというお話)
もちろん、どう思ったか、なぜそう思ったかという感想を聞くことはしません。これは厳禁ですね。
質問内容は、「どちらの絵本が好きですか、好きな場面を教えて」だけです。
好きな場面の理由は聞かなくても、話し合いを聞いているだけで、理由がかなり判ってきます。
子どもたちの人気は「みどりいろのたね」が圧倒的多数でした。
「そらいろのたね」は少数ですが、その少数の子たちの好きさ加減がどうもゆるぎない感じなのです。こっちが好きと堂々としていて、しかもにこにこしているのです。
「みどりいろのたね」が読んであげると大騒ぎのなるのに対して、「そらいろのたね」は静かになるのです。
子どもたちが好きな場面は、二場面あります。
一つは「いえがさいた」ところです。
もうひとつは町中のこども、森じゅうの動物が「そらいろのいえ」に入るところです。
ぐりとぐら」までやってくるし、「ぐるんぱ」関係者らしきぞうもきます。それはそれはすごく大きな家になったものですね。
先の「みどりいろのたね」が好きといった子たちも大好きな場面です。こんなだれかがくるたびに大きくなる家があればほんとに面白いですね。「いいな」と思う人をすべて受け入れるのですから、まるで大きな心のようです。
ところで、ずっと頭の隅に引っ掛かっているのは、「きつね」が「ぼくのたからもの」として持っていた「そらいろのたね」とは何なのだろうということです。
実は「そらいろのたね」はたぶん空色なのでしょうが、どこにも描かれていません。
表紙はひこうきと取り替える場面ですが、きつねは右手にそれを持っていて、後手に隠しているのです。
きつねは「そらいろのたね」のすごさに気づかず、たまたまもっていたのでしょうか。でも、持っていたということは、きれいだからか、気になるから持っていたのでしょう。
ゆうじはひこうきとのとりかえっこに、迷うことなく応じています。ゆうじはその瞬間、「そらいろのたね」に何かを感じたのでしょうね。
日本の昔ばなしに「夢見小僧」という話があります。
このお話は庄屋が正月に村人を集め、初夢を買ってやるから、初夢を云えといいます。
小僧は自分の見た夢は売り買いできるものではないといったので、箱のなかにいれられ流されてしまうという始まりで、命拾いをした小僧は途中、かっぱの川流れをたすけ、妙薬をもらいます。
この薬を使って、他の村の庄屋の娘さんの病気を治し、めでたく結婚します。夢を売らなかったために苦難にあい、そのことで娘さんに出会うという話です。
つまり私の独断と偏見によれば、「そらいろのたね」をゆうじの「夢」だとすれば、はぐくむむゆうじがいて始めて「家」になったのですね。
「夢」というものは、それをはぐくむ者のものであって、それは「物」のように売買やとりかえることはできないということなのでしょう。
こういうと、この絵本はなにか教訓ばなしのように聞こえますか、でも決してそんなことはありません。
「きつね」はいつもこうではないと思います。「そらいろのたね」を最初に持っていたのはきつねですから、彼の存在は大きいのです。今回は気絶しましたが、次からは夢をはぐくむに違いないと思えるのです。
もう一つの疑問はこのお話は誰が、想像しているのかということです。
「そらいろのたね」の世界全体を想像しているのは「ゆうじ」ではありません。作者ですね。
「ゆうじ」の想像した、「そらいろのいえ」があります。その想像はどんどん大きくなっていきます。町中の子どもや森じゅうの動物はこの創造物が気に入って、「私も入れて」と参加します。
「ゆうじ」の個人空想が、その前提をうけいれるものの共同空想へ発展していきます。集団想像あそびですね。共通の前提を認めたものだけがいっしょに遊ぶことができます。
きつねは子どもたちが共同して想像したものが、すばらしかったので、その最初のきっかけ(種)はじぶんのだから返せといいます。
そうするとここにいたって、共通した前提がなくなるわけですから、「そらいろのいえ」は消え去っていきます。
子どもの遊びのなかにはこうしたことはいくらでもあります。(大型積み木を使って、部屋中が巨大な家になっていくなど)前提あるいは取り決めをお互いに認めなければその遊びはなりたちません。
つまり作者は想像あそびとそれがくずれることもあるのが子どもの世界だといっているように思えます。
この作品全体は、空想物語ではなく、現実の子どもの世界(集団での想像あそび)を描いているのではないでしょうか。
だから今度は(この絵本を読んだ後では)、「きつね」を含めた共通な取り決めを、子どもたちはきっとするでしょうね。絵本には自分たちが日頃やっていることを再現してくれる役割があるのです。



内容紹介です



ゆうじが、のはらで模型ひこうきを飛ばしていると、森のきつねが、かけてきました。
「ゆうじくん、そのひこうきを、ぼくの宝物ととりかえて」
きつねはポケットからそらいろのたねを出しました。ゆうじは、ひこうきとたねをとりかえました。
ゆうじは家に帰って、庭のまんなかにたねを埋めました。そして、水をたくさんかけてから、画用紙に『そらいろのたね』と書いて、立てました。
つぎのあさ はやく、
「もう めは でたかな?」
「おやまあ」
つちのなかから、まめぐらいのそらいろの家がでてきました。
「うちが さいた!うちが さいた!」
ゆうじは、いそいでじょうろをもってきて、このちいさい家に、水をかけました。
「おおきくなあれ、おおきくなあれ」
すると、そらいろのいえは、すこしずつおおきくなっていきました。
「おや、すてき!ぼくの うちだ!」と、ひよこがやってきて、家に入りました。
その間も、そらいろのいえは、休まず、少しずつ大きくなっていきます。「おや、すてき!」ねこが入りました。
「おや、すてき!ぼくの うちがあるぞ!」と、ぶたもきました。
「ゆうじくん、ほんとうに いい うちだね!」
まどに、ひよことねことぶたの、うれしそうな かおがならびました。
おひさまのひかりをあびて、みずをかけてもらって、そらいろのいえは、またまた、おおきくなりました。
「すてき! ぼくの うちだ!」と、ゆうじも入りました。そこへ、たろうとはなこ、しげるとひろしとくみこもきました。
そらいろのいえは、すこしもや休まないで、おおきくなっていきます。

ひよこからぞうまで そらいろのいえに 入っています

うさぎとりすとはと、いのししとたぬきもきました。おとうさん、おかあさんぞうと、子どものぞうもきました。
そらいろのいえは、それでも、おおきくおおきくなっていき、

おしろのような そらいろのいえに みんながどんどん やってきています

とうとう、おしろのようにりっぱな家になりました。
「わたしも いれて!」
まちじゅうの子どもが、家のなかに入りました。もりじゅうのどうぶつも、どんどんやってきます。
きつねもやってきて、
「うわぁ すごい!なんて おおきいうちだろう!」
「おーい、きつねくん。そらいろのたねから、うちが はえてきたんだよー」
「うへー おどろいた!」と、きつねはとびあがり、
「ゆうじくん、ひこうきは かえすよ。だから このうちも かえして」と、いいました。
そして、大声で、どなりだしました。
「おーい、このうちは ぼくのうちだからね。だまって はいらないでよー。みんな でていっておくれー」
「…でていっておくれー」
ドアがあいて、子どもが100人、どうぶつが100ぴきと、とりが100ぱでてきました。
きつねは、おおいばりで家に入ると、ドアのかぎをかけ、窓をのこらずしめました。
すると、そらいろのいえは、急にどんどんおおきくなりだし、
「あ、たいへん!おひさまに ぶつかる!」
ゆうじが さけんだときです。
家は、そらいろのはなびらがちるように、くずれはじめました。
「あっ!」
みんなは あたまを かかえて、じめんに うつぶしました。
そして…







読み聞かせのポイント
この絵本はただ、たんたんと読んであげればいいと思います。
もちろん会話やきつねの大声は、それらしく少し声は大きくなります。
それ以外は何の工夫もいらないと思います。

絵本 そらいろのたね
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆ともだちとあそぼ!絵本


中川李枝子 文:大村百合子 絵 福音館書店

初版年月日:1967年01月20日 ISBNコード:4-8340-0084-2

28ページ 20X27cm 定価840円(本体800円+税40円)


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