絵本 もりのなか

絵本 もりのなか

絵本 もりのなかの表紙です

絵本 もりのなか
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本



マリー・ホール・エッツ 文・絵 まさきるりこ 訳 福音館書店

初版年月日:1963年12月20日 ISBNコード:4-8340-0016-8

40ページ 19X27cm 定価945円(本体900円+税45円)


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メルマガ読者の方よりこんなメールをいただきました。 

いつもはご質問の方に直接お答えするのですが、いつ「もりのなか」を取りあげようかと思いながらきっかけがありませんでしたので、ちょうど良かったです。
『今日のリクエストなのですが、マリー・ホール・エッツの「もりのなか」の解説をお願いしたいのです。買ったときはいまいちの反応で、じーっと見ている・・くらいでした。実は親も・・・?でした。
それがこの頃頻繁にリクエストされるようになり、娘(2才半)はかなり細かい部分を見ています。象や動物が「あんよで歩いている」事、(写真などで見るよつんばいとは違うと言いたいみたいです)、カンガルーのポケットは1匹にしかついていないこと、ライオンは何で冠をかぶるのか、全員揃うまでなぜ熊はうならないのか、ピクニックテーブルではどうやって座るのか?などなどです。 名作と言われているこの絵本、私も何か今ひとつすっきりせず……』
(1)動物が「あんよで歩いている」というお子さんの発見は鋭いですね。お子さんのこの言葉は、たぶん質問ではないでしょうから、この絵本はファンタジーなので云々と、答えても無駄ですね。「そんなときもあるよ、見たことはない?」などと気楽に楽しめばいいと思います。熊はたまにこんな歩き方をすることがありませんでしたっけ?うさぎやライオンや象は、そういうことはないかもしれませんが。
他にも、カンガルーのポケットは、なぜお母さんにしかないように進化したのか、そもそも有袋類という存在自体が不思議です。ここが気になって気になって大きくなれば、動物学者になるかもしれないですね。
こういったことを子どもは、めざとくみつけます。このような絵本の見方を私も子どもたちから教えられました。未だに、絵本の持つ奥の深さに行き着いていないことを日々感じているところです。
(2)男の子の紙の帽子
この絵本は男の子が紙の帽子とラッパをもって、森へ散歩にいくところがキーワードですね。
ここですでに、男の子の「変身」が始まっています。子どもの頃、私も良くやりましたが、新聞紙のカブトをかぶり、新聞紙を丸めた剣を持てば、いっぱしの剣士になります。(今でも幼稚園や保育園ではすたれていないので安心です)
この男の子は、もう何者かになっています。ここからはファンタジー(ひとり遊び)の世界です。かくれんぼをして、動物が消えてしまうまで、すべての出来事は、男の子の想像の出来事ですね。
ライオンはたてがみが長いです。お母さんはこの絵本に登場しませんが、髪がながいのかもしれませんよ。こうやっていつも髪をとかしているのでしょうか。それとも、出かけるとき、髪をとかしたら、ついっていっていいという日常会話がされているのでしょうか。ライオンはどの場面でも櫛を大事そうに持っています。もともとおしゃれなのでしょうね。
ライオンは百獣の王ですから、もちろん王冠が必要です。
子どもの象が耳を拭くのも、ひとりはセーターを、もうひとりはくつだけをはくのも面白いです。想像とはいてどこか現実と繋がっています。
熊とジャム・ピーナッツ、カンガルーと太鼓(そんなオモチャがありました、たしか)、猿はお調子者。こうしたイメージが先に、この男の子にあるのでしょうね。
コウノトリは赤ちゃんを運んできますから、何か神秘性を感じさせるものがあるのでしょう、だから男の子も「妙な鳥」と言ってますね。
面白い存在が「うさぎ」です。
『こわがらなくって いいんだよ』『きたけりゃ、ぼくと ならんで くれば いいよ』
うさぎだけは何にも言わないし、音をだすこともしません。
男の子はうさぎには優しいですね。実際、うさぎはずっと男の子にくっついています。そのうさぎに対する猿の視線が気になります。ひょっとして嫉妬?考えすぎですかね。少なくとも男の子は、うさぎには保護者の立場にいることは間違いないですね。
(3)「ぎょうれつ」と「大きな音」
ぎょうれつ=パレードといえば、カーニバルを連想します。1枚目の画像をごらんください。うさぎを除くみんなが大きな音をたてて、行進して行きます。つまりこの男の子は「ひとりカーニバル」をやってるのです。日常生活から遠く離れ、森の中で、男の子はこころを全部解放しています。ぎょうれつ自体に、日常性から離れる機能(お祭りの行列加わってみればわかりますが、行列側からみる日常世界はいつもとは違った世界に見えます)がありますが、音楽や音があるとそれは、参加者をもっと遠くへ、別の空間へ連れて行ってくれますね。もともと大きな音をわざとだすことには、邪気を払ったり、悪霊を寄せ付けない力がありました。男の子がラッパを持って散歩に行くのは実は意味があったのです。森の中の悪霊(たぶんここでは男の子の恐怖心)を寄せ付けない音をだすものが、ラッパだったわけですね。ここではラッパは剣と同じ力を持っています。全員が大きな音をたてながら行進することに大きな意味があるのです。
(4)お父さん
「もいいかい!」目をあけると、動物たちは一ぴきもいなくて、そのかわりお父さんがいました。この瞬間が現実へ戻ったときですね。
「一体だれと話していたんだい?」
「動物たちはみんな、かくれているの」
「だけど、もう遅いよ。家へかえらなくっちゃ」とお父さんがいいました。
「きっと、またこんどまで、待っていてくれるよ」
お父さんがすばらしいですね。
昔の私だったら、「くだらない遊びをしてないで帰ろう」と何気なくいうでしょうね。でもこのお父さんは、違います。
「…まっててくれるよ」といいます。このお父さんは男の子が、どんなに楽しく想像あそびをしていたかちゃんと知っているのですね。
男の子はお父さんの肩車にのって、「こんど探すからね」といって帰りました。
(5)物語(ストーリー)の線
次々に男の子の散歩に、動物たちが加わってきます。その意味で、「てぶくろ」と同じ形のお話ですね。「てぶくろ」の場合は、てぶくろは移動しないで、どんどん大きくなります。この「もりのなか」は散歩ですので、ぎょうれつ、つまりそれは線を描くことになりますね。
一目瞭然、物語が線をもっていることがよくわかります。この絵本がたとえば、「がたんごとん がたんごとん」のような赤ちゃん向けー物語の入り口絵本の次ぎに控えていることもよく分かりますね。違うのはひとり遊びの行動半径がずっと広がっていて、想像上に登場する動物もぬいぐるみを抜け出しています。そして「アンガスとあひる」と同じように、行きて帰りし物語になっています。ただ帰りはお父さんの肩車ですが。
男の子は自分でも言っていたように、またもりのなかへ、冒険にやってくるでしょうね。
ところで、メルマガ読者のお子さんの質問、
「熊はピクニックテーブルのどこにどうやって座るのか」については、私にもわかりません。
たしかに熊のすわるイスはないですね。右側のイスにつめて座るのでしょうか。
文章には全く触れられていませんが、絵をみると、熊が接待役をひきうけていますから、座るつもりはないのかもしれません。



内容紹介です

『ぼくは、かみの ぼうしを かぶり、あたらしい らっぱをもって、もりへ、さんぽに でかけました』
『すると、おおきな らいおんが、ひるねを していました。らいおんは、ぼくの らっぱを きいて、めを さましました』
『「どこへ いくんだい?」とらいおんが ききました。
「ちゃんと かみを とかしたら、ぼくも ついていって いいかい?」
そして らいおんは かみを とかすと、ぼくの さんぽについてきました』
すこし行くと、二ひきの象の子どもが、水浴びをしていました。
『「まっててください」、象の子は耳を拭き、一ぴきはセーターをきて、もう一ぴきは、くつをはいて、散歩についてきました。
ならんでいくと、
大きな茶色熊。熊たちはピーナッツとおさじをもって、ぼくの散歩についてきました。
こんどは、カンガルーの両親。お母さんカンガルーは、「私たちは、たいこをもっていきますわ、それに赤ん坊も、ちっともじゃまにはなりませんよ」といいました。あかちゃんは、お母さんのおなかの袋に飛び込んで、散歩についてきました。
続いて、妙な鳥、こうのとりもついてきました。
それから二ひきの猿。
「ぎょうれつだ!ぎょうれつだ!ぼくらは、ぎょうれつだいすきだ!」と、よそ行きの洋服をだして、みんなといっしょにぼくの散歩についてきました。
また少し行くと、うさぎがいました。
『こわがらなくって いいんだよ』『きたけりゃ、ぼくと ならんで くれば いいよ』

ぼくはラッパを〜

ぼくはラッパを吹き、ライオンは吠え、象は鼻をならし、大きな熊はうなりました。カンガルーはたいこをたたき、こうのとりはくちばしをならし、猿は大声で叫びながら、手をたたきました。けれどもうさぎは何にも言わない散歩についてきます。
それから、みんなで、おやつを食べ、ハンカチ落としや「ロンドン橋おちた」をやりました。
それから、かくれんぼうをしました。ぼくが鬼になりました。みんなは隠れましたが、うさぎはじっと座っていました。
「もういいかい!」目をあけると、お父さんがそこにいました。

「もういいかい!」〜

……。







読み聞かせのポイント
この絵本は、お父さんが重要な役を果たします。ですからぜひお父さんも読んであげてください。読み方に工夫は一切いりません。少し思いを込めて読んであげるだけでいのです。ただ、「もういいかい」と目を開ける場面のめくりにだけ注意すればいいですね。
絵本の裏表紙には、読んであげるなら、2才からとなっています。もちろんその時期から読んであげてもなんらさしつかえはありません。でも私は4・5才向きのところに掲げています。その理由は、絵本の主人公がひとりで、もりのなかへ散歩にいく年齢のことを考慮しました。実際体験と絵本をいきつもどりつしたら、より想像の世界が大きくなると考えたからです。

絵本 もりのなか
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本


マリー・ホール・エッツ 文・絵 まさきるりこ 訳 福音館書店

初版年月日:1963年12月20日 ISBNコード:4-8340-0016-8

40ページ 19X27cm 定価945円(本体900円+税45円)


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