絵本 ももたろう

絵本 ももたろう

絵本 ももたろうの表紙です

絵本 ももたろう
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本



松居直 再話:赤羽末吉 画 福音館書店

初版年月日:1965年02月20日 ISBNコード:4-8340-0039-7

40ページ 21X22cm 定価1050円(本体1000円+税50円)


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この絵本はもっとも優れた絵本の一冊といえます。

絵本をみる眼(絵本の選び方の眼)をやしなう教科書のような絵本です。
その理由を二場面にしぼって解説します。
もちろんこの絵本は他の場面でも、日本美術が誇る「絵巻物」の伝統や日本画の伝統をふまえて描かれており、それらを場面ごとみていくのも楽しみですが、ここではすべて省略します。
さて、優れた絵本を見分けるには比較するのが一番簡単な方法ですね。「ももたろう」絵本は、十種類以上出版されていますので、比べてみるとよくわかってきます。
もしお手元に、この「ももたろう」と違う絵本をお持ちの方は、それをご用意ください。
「ももたろうとそのなかま」は鬼ヶ島の目前までやってきました。その場面(画像1)をご覧下さい。お手元の絵本でも、「さあ、鬼ヶ島につくぞ。いよいよ鬼退治がはじまるのだ」という場面はあるはずです。遠くからやってきて、鬼ヶ島につくと、いきなり鬼退治は始まりませんからね。心構えが必要です。この場面があることは重要です。
まず、

海は荒れ模様

の海の表情をご覧下さい。海は荒れ模様ですね。
それから空の表情もご覧下さい。
空を黒雲が覆い始めました。風が鬼ヶ島へ船を猛スピードで運んでいきます。海や帆をみればかなりの風が吹いているのが見て取れますね。まさに「風雲急をつげ」ています。
しかし、これらのことは、ももたろうたちの心の中を表していると思いませんか。今から闘いに行く、事態が大きく動く予感のなかにいるわけですから、緊張感でいっぱいになるはずです。そのことは「ももたろうの眼」を見ればわかります。ページ右はしに見えているのが鬼ヶ島でしょう。ももたろうはそこをまっすぐ見据えています。勇気を振り絞っているのではないでしょうか。
ところが、文章では、「ゆくがゆくがいくとー」としか書かれていません。昔話では、その主人公や登場人物の心理を語ることはしません。出来事だけを語るのが昔話の決まりです。
昔話絵本は昔話(文)が語らないところを、「絵」で語ることができます。ここはまさに、「ももたろうとそのなかま」の心を絵が語っている場面といえるでしょう。
そのことの確実な根拠が、この絵本には「鬼退治」を終えてかえる場面が描かれていることによって、さらにはっきりします。
これをご覧下さい。

鬼をやっつけて帰る場面

おひめさまを助け、鬼をやっつけて帰る場面です。
海はおだやかになりました。そして船の帆まで色がつきました。鬼が船を操っていますね。鬼が送っていっているのでしょう。ももたろうの眼はおだやかになり、おひめさまは微笑んでいるようにさえ見えます。
空をご覧下さい。夕焼けでしょうか、雲があかみを帯びていますね。
こうして先の海の表情とこの海を比較すると、海や空や雲や風の「絵」は「ももたろうとそのなかま」の心の有り様の多くを語っていることは間違いないようです。
みなさんのお手元の絵本はどうでしょうか。文にはないことの多くを語っていますでしょうか。
ところで、このももたろう絵本の画家「赤羽末吉」の名前をご記憶ください。赤羽さんは日本の絵本画家として、絵本のノーベル賞と呼ばれる「国際アンデルセン賞画家賞」を獲得したたった二人(もう一方は安野光雅さん)のうちのお一人です。すでにご紹介した「かさじぞう」はか、たくさんの作品もありますから、これから追々それらの作品もご紹介することになるでしょう。
赤羽さんのような超一流作家は一流以下の作品は描きません。その意味で、優れた絵本を選ぶさいのコツとして、「作家で選ぶ」という方法もあるのです。



内容紹介です

『むかし あるところに、おじいさんとおばあさんが すんでいました。おじいさんは やまへ しばかりに、おばあさんは かわへ せんたくにゆきました』
おばあさんが川で洗濯をしていると川上から、『ももが つんぶく かんぶく つんぶく かんぶくと』流れてきました。
おばあさんが食べてみると『なんともかんとも』おいしい。
おじいさんにも、もってってあげたいと思い、
『うーまい ももっこ、こっちゃこい。にーがいももっこ、あっちゃゆけ』
というと、うまそうなももがおばあさんのほうへ流れて来ました。
おばあさんはももをひろって家へもって帰りました。
ばん方になって、おじいさんが戻ってきました。
おじいさんが『…のどがかわいてかなわん。みずを 一ぱい もらえんかなあ」というので、おばあさんは拾ってきたももを出してきました。
ふたりがももを割ろうとすると、なかから男の子が『ほおげあ ほおげあっ』といって生まれました。
おじいさんとおばあさんは、『このこは、ももから うまれたのだから』、ももたろうと名付けました。
ふたりは、おかゆを食べさしたり、さかなを食べさしたりして、ももたろうを育てました。
ももたろうは、
『一ぱいたべると 一ぱいだけ、
 二はいたべると 二はいだけ
 三ばいたべると 三ばいだけ
大きくなる。
一をおしえれば 十までわかる』
だんだん大きくなって、それはそれは力持ちになりました。
あるひのこと、一わの からすがやってきて、
『おにがしまの おにがきて、
 あっちゃむらで こめとった。があーがあー
 こっちゃむらで しおとった。があーがあー
 ひめを さろうて おにがしま。があーがあーがあー』
となきました。
それを聞くと、ももたろうは「おじいさん、おばあさん、わたしも大きくなったので、おにをたいじしにゆきたいとおもいます。日本一のきびだんごをこしらえて下さい」と頼みました。
おじいさんとおばあさんは止めたけれど、ももたろうは聞きません。
ふたりはしかたなく、『「それほど いうなら、いってこい」といって、にっぽんいちのきばだんごを どっさり いっぱい こしらえて、こしに さげさせ、あたらしい はちまき もたせ、あたらしい はかま はかせ、かたな ささせて、「にっぽんいちの ももたろう」と かいたはた もたせ、「きをつけて いってこい。おにを たいじしてくるのを まっているでなあ」と、送り出しました。
ももたろうが村はずれまでくると、いぬに出会いました。
『「ももたろうさん、ももたろうさん、いさんで どこへ おでかけです」
 「おにがしまへ おにたいじ」
 「こしにつけたのは なんですか」
 「にっぽんいちのきびだんご」
 「一つ ください、おともします」
 「それでは おまえに わけてやろう。これさえ たべれば 十にんりき」
ももたろうは こしの ふくろから きびだんご 一つ だして、いぬに やりました』
こうして、さるときじにもきびだんごをやり、なかまになりました。
(※注 ここでは省きますが、犬、猿、キジとの掛け合いは、同じ言葉で三回とも繰り返すのが、昔話の決まりです)
『ももたろうと いぬと さると きじは、きびだんご たべたべ、おにがしま めざして、やまこえ、たにこえ、うみをこえ、ゆくがゆくが ゆくとー』

海は荒れ模様

おにがしま につきました。
そして、おにどもをかたっぱしから、やっつけてしまいました。
ももたろうは、おひめさまをたすけると、また、うみこえたにこえ、やまをこえてうちへ帰ってゆきました。

鬼をやっつけて帰る場面

おじいさんとおばあさんは大喜び。それからはおにどももこなくなり、ももたろうはおひめさまをおよめにもらって、いつまでもしあわせにくらしました。
めでたし めでたし。







読み聞かせのポイント
だれもが知っている昔話「ももたろう」の絵本版です。
この絵本も何の工夫しなくていいですから、ひたすら読んであげてください。ただしゆっくりと。
というのは、「絵」がいろんなことをかたっていますから、絵をじっくり見せてあげてくださいね。

絵本 ももたろう
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
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◆シチュエーション◆
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初版年月日:1965年02月20日 ISBNコード:4-8340-0039-7

40ページ 21X22cm 定価1050円(本体1000円+税50円)


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