さんまいのおふだ

絵本 さんまいのおふだ

絵本 さんまいのおふだの表紙です

絵本 さんまいのおふだ
◆年齢◆
読んであげるなら4、5才から
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆特になし


水沢謙一 再話:梶山俊夫 画 福音館書店

初版年月日:1985年02月15日 ISBNコード:4-8340-0121-0

32ページ 27X20cm 定価840円(本体800円 + 税40円)

通常版はこちら!  定価840円(本体800円 + 税40円)
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とてもスリリング、でもユーモアたっぷりの昔ばなしですので、絵はやわらかな線のまぬけた感じがぴったりあっています。

梶山さんの絵
山奥で道に迷って、泊めてもらった家のおばばが鬼ばさでした。その鬼ばさが、「うまそうだな」といって、頭を「ぺらん ぺらん」舐めたり、おしりを「ざらん ざらん」なでたりします。そして、ずっと追いかけてくるのです。これはもうとてもスリリングですよね。そんな怖いお話がリアルな絵だったらどうでしょうか。
でも、最後まで聞くと、このお話自体もとてもユーモアあふれているのです。
たとえば、小僧が便所に行く場面。

「こぞう こぞう いいか」
「まだ まあだ、ピーピーのさかり」

あるいは、小僧が逃げ帰って、寺の戸をたたく場面。

「おしょうさま はや とを あけてくんなせ」
ほうしるども おしょうさまは ゆっくりしていて、
「おうい いま おきて」
「はや はや」
「おうい いま ふんどし しめて」
「はや はや」…

このような間の抜けた場面に、なんともぴったりあった絵ではないでしょうか。

昔ばなしに特有なキーワードがたくさん
(和尚と小僧)
「ずいとんさん」もそうですが、小僧が一人になると何かが起こります。この小僧は機転がききますね。
和尚の知恵
和尚はのんびり屋ですが、知恵も備えた聡明な人ですね。
このお話は、ひょっとして仏教の優位を語っているかもしれませんが、でも神さまもちゃんと小僧を助けています。神仏混淆した日本的お話のようです。

(さんまいのおふだ)
おふだには神さまのまじないが込められていますね。「もの」にはもともと力があるものがあったり、神さまが授けてくれた「もの」には人を助ける力があります。他の話では「みっつの色の玉」の場合があって、同じ働きをします。おそらく「玉」の方が古く「たま=魂」だったと考えられます。魂はもちろん神さまの魂(たましい)ですね。
このお話の背景には、ギリシャ神話など世界的に分布しているいわゆる呪的逃走物語が下敷きになっています。古事記にある、イザナギが黄泉の国から帰ってくる際に、追いつかれそうになり桃やぶどうなどを投げる話とそっくりです。

(鬼ばさ)
この鬼ばさは「やまんば」ですね。やまんばの出てくるお話には、「くわずにょうぼう」「うまかたとやまんば」「ことろのばんば」など昔ばなしにはたくさん登場します。
やまんばはもともと「山の神」だろうと思われます。
やまんばはたくさんの子どもを産んだり、その死からは金や銀などの宝物をもたらしたりします。一方このお話のように「怖い」ものでもあります。つまり、やまんばは「やま=自然」そのものを象徴していて、それは人間に災難と富(賜物)をもたらします。富をもたらす意味で、やまんば(女の人)と子ども(富)は関係が深いのでしょうね。

(山へいく)
小僧は山へ花切りにいくのですが、山へ行くということは「異界」へいくことと同じことです。山は山の神の支配する異界です。このお話は物語の基本構造である「行きて帰りし物語」になっていることにお気づきでしょう。「ももたろう」と同じですね。物語は異界でいろんな苦難(小僧はやまんばに食べられそうになる)に出会い帰ってくるのでしたね。

(便所の神さまー厠神)
便所の神さまがいるなんてちょっとなじめない感じが現代人にはあります。昔の家の便所は、家の端っこか別棟で外にたっていました。それが汚物だから端っこにおくと考えるのはどうも間違いのようです。昔の人は、自分からでたものが水に流れたり、土に消えていく、つまり、この世から異界へいくこと、ここに異界との繋がりを見たのではないでしょうか。この繋がりに神さまを見ていたのでしょう。家と外の境界は、雨だれの落ちるところでした。だから便所は異界との境界につくられていたのです。また便所は、家の周りの川のそばに建てられていたから「かわや」という説もあります。また、汚物に関する感じ方も大いに違っていて、排泄物をきたないものとの感覚はなかったのではないでしょうか。たとえば、小さい子はうんちやおしっこに愛着を持っていますね。この感覚と似ていると思われます。自分から出て行ったものは、あくまで自己の一部です。それは外(異界)との繋がりをつけてくれるものなのです。便所の神(厠神)はこのように水の神との繋がりが深く、それはもっと深い生命の源にも繋がっていますから、「お産」の神との繋がっています。
なお、異界との通路、繋がりがある場所は、他にも「かまど」「橋ーはしは端のこと」「井戸」「辻」「坂」などもあって、そこにはそれぞれ神さまがいます。
こうした神は、日頃の行いが大事ですが、私たちを助けてくれるのですね。





内容紹介です

『むかし、やまの てらに、おしょうさんと こぞうが すんでいたって』

ある天気のいい日、小僧は山へ花切りに出かけました。
小僧はどんどん山奥へ行き、

『ひとえだ きっちゃ ぶっかつね、
 ふたえだ きっちゃ ぶっかつね』

三枝めには日が暮れ、道に迷ってしまいました。
困ったと思っていたら、山の向こうに明かりが見えました。
行ってみると、おばばが一人いろりに火をたいています。

「こんや ひとばん とめてもらえるかの」
おばばはジロリ見て、
「おう とまれ とまれ」。

小僧はおばばのそばで寝ることになりました。

よなか目が覚めると、
「こぞうは うまそうだな」
おばばが小僧の頭を「ぺらん ぺらん」なめたり、
おしりを「ざらん ざらん」なでたりしています。

おばばを見ると、口は耳まで裂けたおっかなげな鬼ばさでした。

「おばば、おれ べんじょへ いきたい
 もう たれそうだ」

おばばは小僧の腰に縄をつけて便所へいかせました。
逃げようとすると、おばばが腰の縄を「キツン」と引っ張ります。

「こぞう こぞう いいか」
「まだ まあだ、ピーピーのさかり」

小僧はとても逃げられません。

すると、便所の神さまが現れて、白と青と赤い札を三枚くれました。小僧は腰の縄を柱にしばって逃げていきました。

すると、べんじょのかみさまが〜

おばばは、
「こぞう こぞう いいか」と縄をひっぱります。
「まだ まあだ、ピーピーのさかり」
と、今度は便所の神さまが返事をします。
おばばは怒って、ギッツン、縄を引っ張りました。
「ガラヒチ ガラヒチ」柱が飛んできて、ガッツン。
おばばの額にぶつかりました。
「こぞうめ にげたか」

おばばの足は速くて、つづかれそうです。
小僧は白い札をぐーんと後ろに投げて、
「おおやまに なあれ」といいました。
そうすると、おばばの前は大山に。
おばばは、「こんな やま、なんだ」と山を越します。

小僧はゴンゴン逃げましたが、つづかれそうです。
それで青い札を投げて、
「おおかわに なあれ」。
でも、おばばは、川をざぶざぶこいできて、つづかれそうになりました。

今度は赤い札を投げて、
「おおかじに なあれ」といいました。
すると、おばばの前は火がボンボンボン。

そうしたら  おばばのまえが ボンボンボン〜

おばばが、火のなかであっちこっちしているうちに、小僧はやっと寺へ逃げ帰り、
「おしょうさま はや とを あけてくんなせ」といいました。
『ほうしるども おしょうさまは ゆっくりしていて、
「おうい いま おきて」
「はや はや」
「おうい いま ふんどし しめて」
「はや はや」
…』
やっと和尚さまは戸を開けて、小僧を隠しました。

そこへ、ハアハアいいながら、おばばがとんできました。
さて、和尚さまと小僧はどうなるのでしょう?





読み聞かせのポイント

新潟地方のことばですので読みにくいかもしれません。少々の違いは気にせず読んであげましょう。
スリリングな逃走には少しスピード感のある読み方が必要かも知れません。また寺の戸をたたき開けてくれるのを待っている場面での、気がせく小僧の気持ちと和尚さんののんびりした答えが、対照的でユーモラスですね。ここの和尚さんの答えを特にゆっくり読むといいですね。

絵本 さんまいのおふだ
◆年齢◆
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◆ジャンル◆
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◆特になし


水沢謙一 再話:梶山俊夫 画 福音館書店

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32ページ 27X20cm 定価840円(本体800円 + 税40円)

通常版はこちら!  定価840円(本体800円 + 税40円)
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