ブレーメンのおんがくたい

絵本 ブレーメンのおんがくたい

絵本 ブレーメンのおんがくたいの表紙です

絵本 ブレーメンのおんがくたい
◆年齢◆
読んであげるなら4〜5才から。
自分で読むなら小学校低学年から

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本
◆ともだちでとあそぼ!絵本


ハンス・フィッシャー絵 /瀬田貞二訳

初版年月日:2000月 福音館書店

ISBN:4834000311  ISBN13:9784834000313

ページ 30x21cm 定価1365円(税込)

通常版はこちら!  定価1365円(税込)
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「あの家には、恐ろしい悪魔ばあさんがいて、そいつがオレに息を吹きかけ長い指で顔をかきむしった、戸口にはナイフをもった男がいて、オレの足を刺した、それに庭には真っ黒けのお化けが寝ていて、こん棒でなぐった、おまけに屋根の上には裁判官がいて、泥棒をつれてこいとどなるんだ(原文と一部異なります)」

《想像》
上記の「せりふ」は、泥棒の手下が乗っ取られた家に偵察にいき、真っ暗な中で起こった出来事を、親分に報告したことばです。恐怖感は想像をよりたくましくすることがよく分かります。(ということは、ある程度怖い体験はしたほうがいいのかもしれませんね)
読者である子どもたちは、この場面で何が起きたのか本当のことを知っています。この本当の出来事と想像の違いがどれほどの差を生むかが、この昔話のひとつの面白さです。

《性格あるいは能力》
昔話(口承文芸)の言葉は語られたそのすぐ後から消えていきますから、登場人物の性格ないし能力をくっきりと描き出すのを法則としています。しかもそれは具体的でなくては鮮明になりません。
たとえば、ロバは「長年、麦の袋を水車小屋へ」運んでいました。この表現によって、ロバのねばり強さが伝わります。ネコの場合は、「…ストーブのうしろにすわって、のどをごろごろならしているほうがよくなったんだよ」となっています。これで年寄りネコの姿がくっきりしますね。
こうした性格ないし能力は、年を取ってかなり減退し、飼い主には見捨てられたとはいっても、まだまだそんなものではないし、多面的なんだぞというのがこの昔話の趣旨です。それだからこそかえって味がでるというものです。それを生かす道が音楽隊への加入というわけです。絵本の表紙をご覧下さい。それぞれ楽器を持っています。その楽器は、それぞれの性格ないし能力をじつによく示しています。ところが、ネコの背負っているのは絵本表紙ではよく分かりませんよね。これも絵本内容の興味づけとなります。ネコがこのグループに加わる際に、ロバが言ったせりふはこうです。
「…あんたの夜の歌は素敵だから、きっと町の音楽隊に入れるよ」
つまり、ネコの持つものは素敵な(?)歌声なんですね。これを絵画的に示すとすれば何でしょうか。この絵本では、先のせりふのすぐ横に楽譜が描かれています。そして、二場面後(下の画像参照下さい)では、四ひきが連れだってブレーメンの町めざしていく場面があります。その見開き真ん中のネコの背に、楽譜が結ばれた絵が描かれています。この例のように、この絵本は、楽器を背負って旅だっていく絵が、昔話の語られるとすぐ消える言葉のイメージを読者に長引かせることになります。

《知恵と協力》
昔話はものごとをくっきり描くことのひとつに、「孤立性」という法則があります。旅や山へ行ったとき、途中で日が暮れてしまい宿を探していると、遠くにぽつんと灯りが見えます。旅人はけっして集落にたどりつくことはありません。孤立した一軒の家につくのです。この四ひきにも同じことがおきます。この孤立した家の中でおきる出来事、この家がどんな家か、何者が住んでいるか(日本昔話では、その多くがやまんばです)が、お話の興味の中心です。
ですから、この絵本では、満天の星空のもと、真っ暗な森の中(絵は深いブルー)、赤々と灯る家の灯り窓に、背の高いロバが手をかけ、中をのぞく場面が見開きいっぱいに描かれています。この場面に文章はありません。四ひきと読者はいっしょにどきどきする場面です。すると、その家は泥棒の家でした。
そこで、四ひきは相談して、「とうとう」いいことを思いつきます。四ひきは、ロバの上に犬が乗って、その上にネコが乗って、そのまた上にオンドリが乗って、という形になりました。そして、この四ひきが、ブレーメンの音楽隊に入ろうとしていたことを思い出します。この知恵と協力について、子どもたちに何ら説明はいらないですね。物語が自ずから語っていますから。

昔話絵本の絵
昔話が極端でくっきり鮮明に語るのは、すぐ消えてしまう言葉(時間芸術といわれます)から、話をそらさないで、何が語られているかをはっきりさせる習性から来ています。ですから、同じことが、まずは昔話絵本の絵にもそれが問われます。フィッシャーさんの絵は、余白が大胆に使われ、出来事だけがシンプルに線だけで描かれています。色は控えめにものごとの特徴だけを表しています。
けれども、「絵」というのは本来、目を釘付けにする性質があります。つまり昔話絵本というのは、次ぎに何がおきるかという興味と細部への興味という矛盾のなかに成立することになります。これをいかに表現するかが昔話絵本の質をきめることになるます。
語りだけの場合においても「間」が必要ですね。たとえば、先ほどの「孤立した家に誰が住んでいるのだろうとのぞく」場面のあとは、一呼吸置くことが望ましいですね。なぜならここはドキドキして次を想像し待つ場面ですから。絵本の場合だと、ここに「めくる」という行為があって、めくると、想像したできごとがおきるか想像した以上のできごと(意外性)がおきるかということになります。ここのところをフィッシャーさんは、さきほどのように文章なしに見開きいっぱいに描きました。読者は意表をつかれるはずです。語りの「間」と絵本の「めくり」の機能をきわめて有効に絵本にしています。ここに立ち止まること(イメージを反すうすること)と次への展開(次のイメージをつくること)のメリハリが生まれることになります。





内容紹介です

『むかし、あるひとが、ろばを一ぴき かっていました』
このロバは、長年、麦の袋を水車小屋へ運んでいました。でも、今では、仕事ができなくなっていましたので、飼い主はロバにえさをやらなくなりました。
そこでロバは、ブレーメンの音楽隊に雇ってもらおうと家を飛び出しました。

しばらくいくと、一ぴきの猟犬にあいました。
犬は、「はあはあ」息をしていました。
「飼い主が、走れなくなった猟犬のぼくを殺そうとしている。だから逃げ出したんだ」
「ぼくはブレーメンの音楽隊に入るつもりだ。ぼくはたいこをたたく、きみはラッパをふきたまえ」と、ロバはいいました。
ふたりはいっしょに出かけました。

しばらくいくと、一ぴきのネコにあいました。
おかみさんが、ネズミをとらなくなったネコを川へぶち込むというので逃げてきたのです。
それでネコもいっしょにいくことになりました。

やがて、三ぴきがお屋敷のそばを通りかかると、一わのオンドリが声をかぎりにないていました。オンドリは、明日スープにされるというので泣いていたのです。それでオンドリもいっしょに音楽をやることにしました。

おんどりにも、〜

けれども、ブレーメンの町は遠く、森にさしかかるころ、日が暮れてきました。みんなはこの森で一晩泊まることにしました。すると、ぽつんとひとつ灯りが見えました。

四ひきが近づいてなかをのぞいてみると、それは泥棒の家でした。
『すてきな たべのもや のみものが ならんんでいる てーぶるに、どろぼうたちが ずらりすわって、ごきげんで たべているんだ』

四ひきは、どうにかして泥棒たちを追っ払おうと相談しました。
そしてとうとう、いいことを思いつきました。

「ロバがまず、窓に前足をかける。犬が、……」
(以下略)





読み聞かせのポイント

最大のポイントは解説の「昔話絵本の絵」の通りです。
もうひとつのポイントは、乗っ取った家に泥棒の手下が偵察にくる直前に、四ひきがどのような場所で寝ているか、その絵をじっくり見せてあげることですね。
さらに、もうひとつ、絵本ならではの楽しみは「四人の音楽家たちは、二度とこの家を離れようとしませんでした」と語るその中身です。
そんなになかよく暮らせる家ってどんなのでしょうか、その家の内部をよく見せてあげることです。
絵本は手元で繰り返し読むことができる表現形式なのですから。

絵本 ブレーメンのおんがくたい
◆年齢◆
読んであげるなら4〜5才から。
自分で読むなら小学校低学年から

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本
◆ともだちでとあそぼ!絵本


ハンス・フィッシャー絵 /瀬田貞二訳

初版年月日:2000月 福音館書店

ISBN:4834000311  ISBN13:9784834000313

ページ 30x21cm 定価1365円(税込)

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