いちごばたけのちいさなおばあさん

絵本 いちごばたけのちいさなおばあさん

絵本 いちごばたけのちいさなおばあさんの表紙です

絵本 いちごばたけのちいさなおばあさん
◆年齢◆
読んであげるなら4、5才から。
自分で読むなら小学校低学年から。

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


わたりむつこ 作:中谷千代子 絵 福音館書店

初版年月日:1983年11月01日 ISBNコード:4-8340-0963-7

32ページ 27X20cm 定価840円(本体800円 + 税40円)

通常版はこちら!  定価840円(本体800円 + 税40円)
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4、5才児の子どもたちが、ふっと我に返り、「そうだったのか」と目を輝かせました。

いちごを食べるたびに、いちごはなぜ赤くて瑞々しく甘いのだろうと思っていた疑問が、一気に氷解する瞬間を見たような気がしました。
そうなんですね。
いちごばたけの土の下には、

『あたしゃ いちごばたけの ばんにんさ
 あかい いちごは あたしが つくる
 あたしが はけもちゃ たちどころ
 はたけの いちごは あまくなる
 とろろっとん とろろっとん』
と歌う、ちいさなおばあさんがいるのです。

子どもたちは世界観を持つ
4、5才ともなると、子どもは、存在するもの全てとの、つながりがどうなっているのか知りたい、と思うようになります。それは母子一体化からの分離と裏腹の関係にあると思われます。子どもにとっては、「見えるもの、見えないが感じるもの、自分が思うもの」全てが、「物語」として完結されなければ安心できなくなくなります。それら「物語」は、互いに関連して、常に大きな物語ー世界観を形成しようとします。子どもたちがあらゆることに「なぜ。ねえ、どうして」を連発することにその現れをみることができます。
だからこそ、この時期、できるかぎりたくさんの「物語」を必要としています。
「世界はどのように始まったのか」「おさるのおしりはなぜ赤いのか」「なぜ私はここにいるのか」
そういった物語ははもちろん「いちご」にも向かいます。

こじつけではなく論理のしっかりした物語が必要
子どもたちは、いちご畠に小さなおばあさんがいて、そのおばあさんが刷毛をもって赤い色を塗っているというだけでは満足しません。このおばあさんが「本当に生きて」そこにいなければなりません。おばあさんはどんなところに住んでいて、毎日なにをしていて、どんな人なのかが描かれていなければ、どうしていちごが赤くて美味しいかということに納得はしないのです。

この絵本では、一番気がかりな赤い色の秘密はどのように物語られるでしょうか。
1、お日さまのひかりをたっぷりと吸い込んだ水
お日さまのひかりは魔法ですね。
子どもたちは、モノがお日さまの光を浴びて、魔法のような大きな変化を引き起こすことを、色水あそびや、自然観察によって、体験的に知っています。だから、ひかりをたっぷり吸い込んだ水は、緑の粉を赤く変化させることには、不思議なことですが納得します。
2、緑色の粉を手に入れるのは大変
「かつ、かつ、かつ、かつ、かつ。おばあさんの手はまめだらけ」
このような大変な労働によって、緑の粉はやっとつくることができます。このような貴重なものが、お日さまの光を吸い込んだ水に出会うのですから、真っ赤な色ができるのです。

ちいさなおばあさんはどんな人で、どんな生活をしているのでしょうか。そういったことが、幼児期の子どもにも納得できるのが、絵本ならではですね。文にはありませんが、5・6ページ、6・7ページ、8・9ページ(1枚目の画像をご覧下さい)に、おばあさんの地面の下の生活が描かれています。察するところ、いかにも赤い水がうまく作れるような工夫をし、用意周到な生活ぶりがうかがえます。またその生活をおばあさん自身楽しんでいるようでもあります。
おばあさんがどんな人かは、おばあさんが踊りながら歌う歌が物語っています。それは自分の役割に対する誇りと自信にあふれ、それはいかにも楽しい歌です。しかもおばあさんは心豊かな人のようです。そのことは、せっかく熟れさせたいちごを雪に埋もれさせてしまい泣くおばあさんの姿や、でもそのちごを喜ぶ動物たちを見守るおばあさんに、読み取ることができます。





内容紹介です

『いちごばたけの つちのなかに、ちいさなおばあさんが すんでいました』
おばあさんの仕事は、いちごに赤い色をつけることでした。

ある年のこと、春はまだ遠いのに、ぽかぽか暖かい日が続いたことがありました。
「へんだねえ」
おばあさんが、汗をふきふき階段を百段登って地面に出て見ると……
いちご畠は見渡すかぎり青々とした葉を広げていました。
「まあ、たいへん。これでは花が咲くのも間近だわ!赤い色がたっぷりいるわ」

おばあさんは仕事場の水瓶をのぞき込みました。
「おや、水は、これぽっち!」

おばあさんは水桶を天秤棒に担ぐと、トンネルの奥深いところから湧く水を汲み、階段を登って土の上に出ました。その水にお日さまの光をたっぷり混ぜ入れると、水瓶にざあっとあけました。
水を汲んでは、登って降りて、「ざあ」。
登って降りて「ざあ」。

おばあさんは、トンネルの〜

土の上では、もう星のようないちごの花が咲き始めています。
「いそがなけりゃ!」

おばあさんには、まだ大事な仕事が残っています。
地面奥深くの緑の石を掘って、細かく砕くのです。
夜も昼も「かつ かつ かつ かつ」。
その間にも、土の上では、花が散り、青いいちごの実がなりました。
おばあさんは、緑の石の粉を、水瓶にそそぎ込みました。
すると、「できた!」
ぱっと赤い色が出来るのでした。

おばあさんは、バケツに赤い水をいれると、階段を駆け上がり、刷毛を握って、つぎつぎいちごを赤く染めていきました。

おばあさんは はけを〜

おばあさんは千回も登ったり降りたり。

でも、
「おや、なんだかおかしな天気?」
夕方になると、冷たい風が「びゅうっ」と、通り過ぎました。
いよいよ早く刷毛を動かして、
「ああ、おわった!」
おばあさんは歌い出しました。
『あたしゃ いちごばたけの ばんにんさ……』
季節はずれの、忙しい仕事が終わると、
おばあさんは、ひと眠り。

次の朝。
おばあさんは、土の上に出て、「びっくり」
あたりいちめん、真っ白な雪のはらになっていたのです。
「なくなっちまった。なくなっちまった」
おばあさんは泣き出しました。

そのとき、うさぎが通りかかりました…





読み聞かせのポイント

この絵本は、物語性が強いうえに、子どもたちのほうもイチゴが大好きで赤い「いちご」の美味しさになぜだろうと思っていますから我が意を得たりと思う子が多いので、控えめにゆっくり読むだけで、何の工夫もいりませんね。

絵本 いちごばたけのちいさなおばあさん
◆年齢◆
読んであげるなら4、5才から。
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◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
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