みるなのくら

絵本 みるなのくら

絵本 みるなのくらの表紙です

絵本 みるなのくら
◆年齢◆
読んであげるなら4,5才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


小澤俊夫再話 /赤羽末吉絵 福音館書店

初版年月日:1989年03月25日 ISBNコード:978-4-8340-0831-9

36ページ 22X25cm 定価1365円(本体1300円 + 税65円)

通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円 + 税65円)
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昔ばなしは「耳」で聞くもの

  今ようやく、昔ばなしは「耳」で聞くものだということが再認識されてきました。でも、こんな当たり前のことに気づいたのは、たかだかここ二十年くらいの間にすぎません。そして悲劇的なことに、気づいてみると、日本においては、本来の「昔ばなし」は、20世紀中に絶滅していたのです。日本という国ができてから千五百年を越えることはありませんが、それよりずっと以前から、人類誕生とともに、行くところどこにでも、人びとは昔ばなしや神話(物語)を持ち運んで来ました。(世界同時発生説もありますが)もちろんその頃は、文字を持たないわけですから、口伝え(口承)で、ずっと守り続けてきました。日本においては10万話ほどあったと言われています。昭和30年代以前には、一人で200話以上語れる人はまだあちこちにいたそうです。幸いにして、昔ばなしの「語り手」が消えつつあることに気づいて、残そうとした方々が全国にいました。今ある昔ばなしは、そのような採集努力によって「文字記録」として保存されたものです。これはとんでもなくすごい財産です。人類、2万年以上の知恵が守られたわけですから。
「文字記録」の保存努力と同時に、昔ばなしをもう一度、人びとの間に復活させようという努力も始まりました。その努力には、(1)文学として書き改める(2)テレビやラジオで復活させたり、有名声優の声でレコード(今でいうCDですね)聞けるようにする(3)昔ばなし集として再話し、ストーリーテリングのテキストとする、あるいはそのまま読んでやるテキストにする(この成果がいわゆる日本の昔話5巻本 http://WWW.kibiehon.net/ehon/BC45/Hanasaka/ehon.php#moreです)(4)昔ばなし絵本に再生する、など方法がとられました。
  このうち(1)(2)が初期におこなわれました。これが大間違いだったことが、ここ20年間に分かったことです。特に、テレビ放映され、一時日本中に蔓延した「まんが日本昔ばなし」アニメがあります。おそらく制作意図に深い考えはなかったのでしょうが、今から考えると、まさに犯罪的行為でした。「口承文化」を破壊する上で、これ以上のものはなかったからです。それは口承文化のもっとも対極にあるものでした。最近になって注目されるに至ったのは、(3)です。昔ばなしは語りの文化ですから、この方法が、もっとも正当な継承者ですね。
(4)の絵本化は、ずいぶん古くから行われてきましたが、やはり当初は「文学化」に近いやり方でした。絵本は「口承文化」の継承者であること(絵本は読んでやるもの、文は耳から聞こえてくるもの)が、なかなか理解されませんでした。

昔ばなし絵本の役割
  口承文化にとって最も危険なものは、映像です。テレビなど映像メディアは、既成あるいは限定されたイメージを押しつける傾向がきわめて大きいからです。その意味では絵本も例外ではありません。
そもそも、口承文化の文化としての最大の力は、音声によるイメージ喚起にありますが、この場合、聞き手がつくるイメージは十人十色です。この自由こそもっとも大事なところです。
このことを考えると、映像化・絵本化にあたっては、いかに聞き手や読者の想像力をじゃませず、どうすれば想像力喚起に寄与できるかという点に細心の注意を払わねばなりません。
その点、直接的なイメージが飛び込んでくる映像メディアと違って、絵本の絵は静止しており、何枚かの絵で表現されていますので、つまり「隙間」が多い分だけ、読者の想像力を高く保つことができます。もちろん絵本表現は、そのまま口承文化ではなく、それ自体独自の文化ですが、それでも口承文化の継承者としての側面を担うことが可能です。

昔ばなし絵本の独自性
  さて、この絵本「みるなのくら」は、口承文化としての昔ばなしに、絵本のもつ力を加えることによって、新たな口承文化の継承・展開を示した例として大きな成果をあげています。
まず、下記コンテンツのあらすじをお読み下さい。
起承転結の、「転」の部分は、若者が12の蔵を順々にあけて行く場面となっています。
この場面は、「昔ばなし」では、以下のように語られます。
『ひとり残された若者は、蔵の戸を開けてみたくなりました。
そこで、
一の蔵をあけると、
そこはお正月。
二の蔵をあけると、
節分の豆まき。
三の蔵をあけると、
桃の節句。
四の蔵をあけると、
……
こうして、若者は順々にあけてみました』
  蔵をあけると、そこは「お正月」、そのイメージが若者の眼前に広がるわけですが、昔ばなしの語りですと、場面のイメージはすべて聞き手にゆだねられます。ですが、このとき、私たちはどんな像を結ぶでしょうか。そのイメージは、自由であるとはいえ、私たちの人生において得られたものをヒントに描くことになります。つまり、自分の経験という限定されたものしか描けないのです。まして、子どもですと、お正月経験は10年に満たないわけですから、現代の平板なお正月しか描きようがないのです。
  それでは、テレビや映画の映像に頼ったほうがいいのでしょうか。もう20年近く前でしたが、黒澤明監督の「夢」という映画で、この「みるなのくら」の戸を開けたような映像を見たことがあります。その映画の、日本風景の美しさは今でも脳裏に眠っています。けれど、その像はあくまでも題名「夢」のように、どこか遠くてとりとめがありません。
  この絵本も同じく、ウグイスの声に誘われて、「夢の世界」、想像の世界に入り込んで、美しい風景をみるわけですが、映画との違いは、絵本の場合、その中に入り込み、内部において、自由に心を通わすことができることです。これはほとんど体験と同じで、遠い出来事ではありません。まして子どもの場合は、まるごとその体験が可能となります。もちろんこの絵本の絵が誘ってくれるからそうできるのであって、すべて絵本ならそうなるのではありません。
  こうした、語りだけの昔ばなしに加えて、そこではできない新たな体験が可能となるからこそ、昔ばなし絵本は、新たな「口承文化の継承者」の一翼を担いうるのです。





内容紹介です

『むかし あるところに、まずしい わかものがいました』
若者は、山で、たきぎをとっては里で売って、暮らしを立てていました。
ある日のこと、山へいくと、林のなかから、
「ほー ほけきょ」と、うぐいす鳴き声。
「ああ、なんと いい声だ」
若者は、うぐいすの声に誘われ、山の奥へ迷い込んでしまいました。
そのうち暗くなって、途方にくれていると、遠くに明かりがひとつ。
いってみると、大きな屋敷でした。
「ひとばん、とめてください」と声をかけました。
すると、美しいあねさまが出てきて、立派な座敷に通され、ごちそうでもてなしてくれました。
次の日、あねさまは、
「この家には、蔵が十二あります。十一の蔵はのぞいてもかまいませんが、十二の蔵だけは見ないでください」といって、
若者に留守を頼んで出かけていきました。
ひとり残された若者は、蔵の戸を開けてみたくなりました。

つぎのひになると、あねさまは、〜

そこで、
一の蔵をあけると、
そこはお正月。

一のくらを あけると、〜

二の蔵をあけると、
節分の豆まき。
三の蔵をあけると、
桃の節句。
こうして、若者は順々にあけてみました。
そして、
「けっして見ないでください」といわれた十二番目の蔵。
見たくて見たくて、どうにもかまんができません。
とうとう、若者は、戸を開けてしまいました。
すると、…





読み聞かせのポイント

この絵本の醍醐味は、12の蔵の中を体験できることです。それができるよう、ゆっくりと楽しみましょう。

絵本 みるなのくら
◆年齢◆
読んであげるなら4,5才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
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◆シチュエーション◆
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小澤俊夫再話 /赤羽末吉絵 福音館書店

初版年月日:1989年03月25日 ISBNコード:978-4-8340-0831-9

36ページ 22X25cm 定価1365円(本体1300円 + 税65円)

通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円 + 税65円)
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