したきりすずめ

絵本 したきりすずめ

絵本 したきりすずめの表紙です

絵本 したきりすずめ
◆年齢◆
読んであげるなら4〜5才から。
自分で読むなら小学校低学年から

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


石井桃子再話 /赤羽末吉絵

初版年月日:1982年06月 福音館書店

ISBN:4834008886  ISBN13:9784834008883

40ページ 22X31cm 定価1575円(税込)

通常版はこちら!  定価1575円(税込)
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小学校に入って、昔話集を愉しめるようになるには、その前に優れた昔話絵本を読んであげて、その楽しさをやイメージをつくるクセを身につけておくことです。

 昔話は、口承(口伝え)によって伝えられてきましたから、その伝承者(再話者)は、本来、そのお話を自由に変更することは可能です。それゆえでしょうか、世界じゅうには多種多様な昔話があります。日本昔話だけで10万話を数えるといわれています。ところが「話型」(天人女房型・隣の爺型など)になると、日本昔話では1200ほどとなります。そしてそれらを突き詰めていくと、その物語は、〈欠落から始まる「行きて帰りし物語」〉の一種類しかないのです。しかも、残ってきた昔話には共通する「語法・法則性」があります。つまり、ある時改作されても、いつのまにか法則に則した型に戻るという性格があります。それらの型は神話や伝説に共通しますから、口承(口伝え)にその原因があります。
ところが、それが文字化されると、そうはいきません。文字というのは固まってしまうのを本質としますし、目で読むという行為と耳で聞くというのは全く違った享受となります。耳で聞く、口承というのは流動的(音は常に流れて消えていきます)ですので、どうしても「型」が必要となりますし、表現も極端になります。
昔話は以前から「文学」の源泉となってきました。それは昔話が人間のもつ奥深い知恵を表現しており、したがって永遠性を持っているからですが、「文学」が一般化(誰でも文字を読めるようになったのは印刷技術の発達以降のことのなります)するのは近代以降のことです。昔話を「文学」にしたのは、アンデルセンが最初だとみていいでしょうが、おそらくアンデルセンは「文字」がどういう働きをするか最もよく知っていたのではないかと思われます。グリムがしたのはあくまでも「再話」であって、「保存」がその目的だったと考えられます。それでも、グリム昔話集も版を重ねるごと(第7版まで)に、その文体は「文学」に近づいていきます。
昔話は、その語り手(伝承者)がどんどん減っていくに従って、それがもつ自然な回復機能が失われました。それに代わって、文字化され保存される際と、文学の材料になる際に、記録・再話者・作家の個人的観念が固定化される傾向が助長されました。しかし、マックス・リューティの昔話研究によって、「語法・法則」が発見されると、この研究によって、文字化されるにあたっても、本来の型に回復されるようになりました。

〈昔話絵本と昔話集〉
 絵本は近代が生んだ子どものための芸術です。それは昔話とも、文学とも単独の絵画とも、その性格は異なっています。それは「文」と「絵」が調和した複合芸術といえましょう。「文」は本来読んであげるもの(耳から聞く)ですから、昔話(口承文芸)の系統を、絵のほうは絵巻物(連続絵)の系統をひいた複合芸術です。(マンガや映画やアニメも連続絵の系統をひいています。ただし絵本は、連続といってもコマ数が随分すくないので、タブロー絵に近いといえます)
ですから、絵本の文体は昔話の語法に近くなります。ところが、絵本には絵がありますから、「絵が語り」「文が語り」ます。その際、同じことを語ってもしかたがないので、お互いの表現はより作品を豊かにする方へ向かいます。絵と文の関係は切磋琢磨しながら調和することになります。
現代の昔話集は、伝承者から直接聞き取りしたもの(原話といいます)を法則に則って、口語における余分なものや地域語を再整理したものです。あるいは共通語に整理したものです。

このような意味から、昔話絵本の文の文体と昔話集の文体は、近いとはいえ、昔話集の文章をそのまま使って絵本の文章にするわけにはいきません。

〈昔話絵本「したきりすずめ」と
昔話集「したきりすずめ」の比較〉
幸い、とても優れた絵本(この絵本)と昔話集(日本の昔話2)がありますので、それを比較してみましょう。
 まず、双方のお話に、構成上(どちらも隣の爺型の構成)ほとんど違いのないことに気が付きます。また、語法・法則性からみても、繰り返し部分のうまあらいどんやうしあらいどんとの問答(じいさ・ばあさともに)、したきりすずめとの問答などにおいても違いありません。
違いがあるのは、
(1)すずめがのりを食べて舌を切られることは同じですが、この絵本の場合には、木の上で遊んでいたすずめがのりを見つけていきなり食べるのに対して、「日本の昔話2」では、のりの番を頼まれたのに、自分が食べてしまい、それを猫のせいにしてしまう点です。この点は昔話にとっては大きな問題ではありません。こうした違いは、原話の選び方(幾種類もある原話からどれを採用するか)に違いがあるか、再話者の舌を切られる原因に対する価値判断が働くかに起因します。絵本としてみるなら、ここは導入部なので、読者がこの世界(昔話はファンタジーでもあります)に引き込まれるという点では、絵本のほうが入りやすいといえます。
(2)うまあらいどんとうしあらいどんの順番が逆になっていること
この点も昔話からみて、大きな問題ではありません。牛が先か馬が先かは、人間との距離感を表していると思われますので、関西では牛が、関東では馬が先にくるかもしれません。
(3)牛馬のおしっこを三回飲むのと、洗うのを手伝うこと
この点は実は大きな問題で、「日本の昔話2」の解説に書いているように、これは自然へ近づくための試練・テストの意味があると考えられます。それゆえ、すずめの世界(向こうの世界)へいくためには超えなければならない条件です。ところが、この絵本にはその試練がありません。洗いを手伝って輝くように洗ったから、そのお礼として道を教えてもらっています。どうしてじいさはすずめの世界いくことができたのでしょうか。絵本のじいさは、そもそも境界(自然界と人間界の)上に住むひと(絵本の最初の場面にどんなところに住んでいるか描かれています)です。当初からのすずめとの関係をみると、その自然性を尊重した上で付き合っています。可愛がってはいますが、それはあくまでも対等の関係です。だからこそすずめはいきなり野性を発揮してにのりを食べてしまうのです。ですから、ばあさのしたことを「むごい」というのであって、「かわいそう」とはいいません。一方、「日本の昔話2」の方では、すずめはすずめの姿をとってはいますが、人間としての扱いです。人間世界のじいさまには自然界にいくには試練が必要です。

このように比較してみますと、(3)のような大きな違いがあるにしても、昔話としてみれば、優劣の差はないに等しいですね。ところが、作品としてみると、やはり絵本の方が面白いと感じるのではないかと思われます。「日本の昔話2」は、特に目だけで読むと、表現が定型ですから、「なんだ、これだけのお話なのか」とイメージを膨らませる前にストーリーだけを読むことになりかねません。昔話はお話をまるごと受け止め、細部を繰り返し自分でイメージしないとそういうことになりかねないのです。昔話を愉しむには、愉しむクセや慣れが必要となります。イメージを作る、そのの巾や深さを自分で身につけていないと面白くないのです。





内容紹介です

『むかし あるところに じいさと ばあさが すんでいました。ふたりには 子どもが ありませんでしたので、じいさは 1わの すずめをかって、とてもとても だいじに そだてていました。
ある日のこと、じいさは 山へ しばかりにいき、ばあさは にわでせんたくを していました。
すると、木のうえで あそんでいたすずめが おりてきて、ばあさの にておいた のりをみつけて、みんな なめてしまいました』
これに きがついた ばあさは かんかんに はらをたてました。そして、「この とくでなしすずめ! こうしてくれるわ! 」というと、はさみをとってきて、すずめのしたを ちょきんと ちょんぎってしまいました。すずめはちゅんちゅん なきながら、山のほうへとんでいきました』

やがて、
じいさが帰ってきて、すずめが迎えに出てこないので、ばあさに聞くと、「せんたくのりを食ってしもうたから、舌をちょん切ったやった。そしたらちゅんちゅん泣きながら飛んでいってしもうた」といいました。

そこでじいさは、
「すずめや すずめ 
   すずめのおやどは どこじゃいな ちゅんちゅん」
と呼びながら山へ探しにいきました。

やがて、じいさが、〜

しばらくいくと、うしあらいどんが牛を洗っているのに出会いました。
「うしあらいどん うしあらいどん、したきりすずめのおやどはしらんかいの?」
知りたければ手伝えというので、じいさは牛をぴかぴかにしました。
それでうまあらいどんに聞くといいというので、じいさは山の奥へ入っていきました。
うまあらいどんも馬洗いを手伝えというので、手伝うとすずめのおやどは竹藪だと教えてくれました。

「すずめや すずめ 
   すずめのおやどは どこじゃいな ちゅんちゅん」
じいさが呼びながらいっそう山奥へ入っていくと、大きな竹藪があって、たくさんのすずめが飛び回っていました。その中に立派な家があり、したきりすずめは「ちんからりん」と機を織っていました。
そして、じいさの声を聞くと、飛び出してきました。
じいさが「あやまりにきたわいな」というと、
したきりすずめは、「おじいさんにあえてうれしい」といいました。
こうして、じいさは大いにすずめにもてなされ、帰り際に、つづらを持ってきて、こういわれました。

そこへ ほかのすずめたちも〜

「どうぞ、大きいのでも、小さいのでもおすきなほうをお持ち下さい。でもね、おうちにつくまでけっしてふたをあけてはいけませんよ」
じいさは、
「おら、としとってるから、ちいさいほう もらっていくわ」
といって、小さいつづらをしょい、すずめたちにわかれをつげました。

さて、…
(以下略)





読み聞かせのポイント

経験が少ない幼児の時期には、昔話絵本をしっかり読んであげましょう。
昔話絵本で、昔話の面白さや愉しみを身につけると、文だけの昔話集もたのしめるようになります。
そして、このような絵本経験の質と量が、将来の読書の質をも決定するのです。

絵本 したきりすずめ
◆年齢◆
読んであげるなら4〜5才から。
自分で読むなら小学校低学年から

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


石井桃子再話 /赤羽末吉絵

初版年月日:1982年06月 福音館書店

ISBN:4834008886  ISBN13:9784834008883

40ページ 22X31cm 定価1575円(税込)

通常版はこちら!  定価1575円(税込)
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関連絵本はこちら!

●再話者 石井桃子さん関連図書
著書
「幼ものがたり」 吉井爽子画
「ノンちゃん雲にのる」 中川宗弥絵
「ちいさなねこ」 横内襄絵
「ありこのおつかい」 中川宗弥絵
翻訳
「ちいさなうさこちゃん」 ディック・ブルーナ 文・絵
「ゆきのひのうさこちゃん」 ディック・ブルーナ 文・絵
「ティッチ」 パット・ハッチンス 文・絵
「こすずめのぼうけん」 ルース・エインズワース/作 堀内誠一/画
「ちいさなろば」 ルース・エインズワース/作 酒井信義/画
「イギリスとアイルランドの昔話」 石井桃子 編・訳  ジョン・D・バトン 絵
「ピーターラビットの絵本」 ビアトリクス・ポター 作・絵
「ちいさいおうち」 バージニア・リー・バートン 文・絵 岩波書店
「グレイ・ラビットのおはなし」  アリソン・アトリー作 中川李枝子共訳 岩波書店
「せいめいのれきし」 バージニア・リー・バートン作 岩波書店 
「魔法使いのチョコレート・ケーキ」 マーガレット・マーヒー/著 シャーリー・ヒューズ/画
「リンゴ畑のマーティン・ピピン上・下」  ファージョン作 岩波書店
「ムギと王さま」 ファージョン作 岩波書店
「西風のくれた鍵」 アリソン・アトリー作中川李枝子共訳 岩波書店
「ギリシア神話」 富山妙子/画 のら書店
「とぶ船 上 下」 ヒルダ・ルイス/作 岩波書店
「小さい牛追い」 マリー・ハムズン/作 岩波書店
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「木馬のぼうけん旅行」 アーシュラ・ウィリアムズ/作 ペギー・フォートナム/画
「たのしい川べ」 ケネス・グレーアム/作 岩波書店
「砂の妖精」 E.ネズビット/作 H.R.ミラー/画

●画家 赤羽末吉さん関連図書
「ももたろう」 松居直 文
「かさじぞう」 瀬田貞二 再話 
「だいくとおにろく」 松居直 再話 
「スーホの白い馬」 モンゴル民話 大塚勇三 再話
「おおきなおおきなおいも」 市村久子 原案
「ほしになったりゅうのきば」 中国民話  君島久子 再話
「つるにょうぼう」 矢川澄子 再話
「こぶじいさま」 松居直 再話
「くわずにょうぼう」 稲田和子 再話
「にぎりめし ごろごろ」 小林輝子 再話
「おじいさんが かぶを うえました 月刊絵本「こどものとも」50年の歩み」 福音館書店編集部 編
日本の昔話かるた
「」 日野十成 文
「日本の昔話全5巻」
  1「はなさかじい」 小澤俊夫再話 
  2「したきりすずめ」 小澤俊夫再話 
  3「ももたろう」 小澤俊夫再話
  4「さるかにがっせん」 小澤俊夫再話
  5「ねずみのもちつき」 小澤俊夫再話
「みるなのくら」 小澤俊夫再話 
「うまかたやまんば」 小澤俊夫再話 
「かちかちやま」 小澤俊夫再話

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