絵本 てんのくぎをうちにいったはりっこ

絵本 てんのくぎをうちにいったはりっこ

絵本 てんのくぎをうちにいったはりっこの表紙です

絵本 てんのくぎをうちにいったはりっこ
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本



かんざわとしこ 作:ほりうちせいいち 絵 福音館書店

初版年月日:2003年03月20日 ISBNコード:4-8340-1936-5

32ページ 26X19cm 定価840円(本体800円+税40円)


通常版はこちら!  定価840円(本体800円+税40円)

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こういった物語は事実かどうかは(?)ですが、真実です。

作者神沢利子さんには、この絵本や「ちびっこカムのぼうけん」に代表される北の国を舞台にした雄大な冒険物語群があります。樺太育ちが大きく作用しているようです。小さな体でこんな大きな物語を次々生み出すなど、ちょっと信じられない感じです。
絵は堀内誠一さんです。堀内さんは若くして亡くなられましたが、この方が日本の絵本を生み出した中心的存在であったことをご存じでしたか。とんでもなくすごい人です。

中心で はりっこがハンマーをにぎって 正面を見ています

表紙をご覧ください。
はりねずみの「はりっこ」です。ハンマーをしっかりにぎり、きりりと正面を見つめています。
「くぎをうちにいった」ですからハンマーを持つのは納得がいきます。でも「てんのくぎ」とはどういうことでしょうか。
表紙のはりっこの姿からは、なにかしら緊張感が伝わりますね。
扉では、真ん中に、オオカミに乗ったはりっこが右方向に疾走しています。どこへ向かってひた走っているのでしょう。このお話への期待感を表しています。
扉の絵は、タイトルと作者・画家名、そして真ん中にはりっこの乗ったオオカミが疾走する絵があって、それら全体が四隅にあるピンで留められています。なにか記念の絵に見えます。
「むかし、こういうことがありましたという、壁にはられた絵をながめている間に、いつのまにやらその世界へ行ってしまう」といった感じがします。
さて、この絵本のみどころは、この物語のスケールの大きさもそうですが、「物語」そのものの「力」についてです。
この物語のころ、大空はくぎで留められていました。昼間は明るいので見えないですが、夜になると七つの天の釘はあかるく輝いています。ある日その釘が、ゆるんでゆれました。釘が抜け落ちたら天は砕けてしまいます。その釘を小さなはりっこが、小さなハンマーをもって打ちにいくのです。
こうした物語では、必ず偉業をなしとげる主人公は、その家庭なり、地域に伝わる過去の偉業の物語・叙事詩を聞いて育ちます。
『』内の物語・叙事詩をもう一度お読みください。
こういった物語は事実かどうかは(?)ですが、真実ですね。
人は、周りの人(多くの場合、おじいさんやおばあさん)が、その人につながる何代か前の人の、「ものごと」や「あること」を行ったことを折に触れて、聞かされるともなく物語されます。
その物語・叙事詩は語る人自身にとっても誇りとなっているもので、生きてきた支えのようなものです。そうして、そのように聞いて育った人は、物語が知らずとその人の血肉となり、あるとき、決断を迫られるような事態や、危機に直面したとき、その人の意志に関わりなく、その人を行動にかりたてます。
このお話では、はりっこが「しらなうちに、ぼくだ、ぼくがいく」と叫びますね。
それは勇気ある行動の意志というより、内にひそむ、その人を駆り立てていくエネルギーのようなものです。
それは口から火をふく赤目へびの恐怖も、天にのぼるはしごの怖さも乗り越えてしまします。そして「もうだめだ」と思う場面でも、力を与えてくれるのは、「くまじいさん」の物語・叙事詩です。そしてたぶん、「はりっこ」の物語は、代々伝えられていくことになるはずです。
もうひとつ、文章にご注目ください。
常套句(どこかで聞いたことば使い)と耳慣れないことばの組み合わせが、絶妙ですね。
たとえば
『やがて もりの あちこちから、 となかい おおかみ きつねに うさぎたち、 なかまたちが、いろを かえて かけてきた』
『ななつの たにと やまを こえ、 はしりに はしり、かけに かけて、 めざす きたやまに のぼりついた。 はしごは くもまに そびえたち、…』
といった具合です。



内容紹介です

むかし むかし。
大空がまだ、おなべをふせたように、わたしたちの頭の上高くかかっていたころのことー
森の丸太小屋では、きのいいくまばあちゃんが、親をなくしたはりねずみの子を育てていました。赤ちゃんのはりっこは、こんなこもりうたを歌うと不思議に泣きやみました。
『くぅらい そらの まるてんじょうに
 ぴっかり ひかるは なんじゃいな
 ごらんよ あれは てんのくぎ 
 てんをささえて ひかります
 ぴっかり ぴっかり ぴっかりこ
 てんのはしごを よじのぼり 
 くぎを うったは だれじゃいな
 ななたび うったは だれじゃいな
 くまの かじやの おおおとこ 
 わがやの ひいひいじいさまよ
 とんてん かんてん とんてんかん 
 とんてん かんてん とんてんかん』
そうして大きくなったはりっこは、いつも木に登り、空を見ていました。
『ぼくも、てんへ のぼってみたいなあ』
ある晩のこと

てんのくぎが ゆれている…

とつぜん何かのきしむ音がしたかと思うと、
『ぐゎら ぐゎら』
『ああ、てんのくぎが ゆれている。あのくぎが ぬけおちたら、このよはおわりだ。…』
森のなかまたちも集まってきました。おおかみ、きつね、となかい、うさぎ…
『みてのとおり、てんのくぎがゆるんだからには、だれかが いって、うたねばならぬ。さて、だれが いくかな?』
『ぼくだ。ぼくがいく』
はりっこは思わず叫んでいた。
「よくいったはりっこ。
 これがかたみのハンマー。
 七つ伝わるそのなかで、
 一番小さなこのハンマーこそ、
 お前のためにあったのだ」
『きたやまに そびえたつ はしごを のぼるものは、
 ひを ふく へびと たたかわねばならぬ。
 …てんのくぎをうつときは、ふるい うたにもあるように、
 かならず ななつ かぞえて うつのだよ』
とおばあちゃんは言いました。
はりっこは狼に飛び乗り、出発しました。七つの谷と山を越え、はしりにはしり、かけにかけて、北山にのぼりつくと、はしごは雲間にそびえ、赤目のへびが口から火をふきにらんでいます。

火を吐く 赤目のへび

「てんの くぎを うちに いくのだ。おれさまを おとおししろ」
『こしゃくな ちびめ!』
炎が背中のはりをじりじりこがします。はりっこが、ハンマー振り上げ、いっしんこめてうちかかると、へびは脳天くだかれ、息たえました。
勇気は体に、こころに満ちて、はりっこははしごを登りました。
はりっこは
「ひとうち ふたうち みうち ようち」、
「くまじいさま、どうか力を」
こころを込めて打ちに打ちました。
くぎはどんどん打ち込まれましたが、もうはりっこには手を伸ばしても届きません。
『ああ、どうしょう。もう だめだ…』







読み聞かせのポイント
この物語は昔話のようですが創作物語絵本です。
内容が「はりっこ」の骨太な冒険物語・成長物語ですので、幼児から少年期へこころが大きく拡がる時期に、このような雄大な物語がぴったりです。
こうした物語性の強い絵本は、ゆったり、ゆっくり読んであげたいですね。読み方の工夫はほとんどないと思います。
ただ、くまばあちゃんの歌う「伝承歌」が物語の全体を暗示していますから、この歌の歌い方を工夫してみてください。

絵本 てんのくぎをうちにいったはりっこ
◆年齢◆
読み聞かせは4〜5才から。
自分で読む場合は小学校低学年向きです

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
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かんざわとしこ 作:ほりうちせいいち 絵 福音館書店

初版年月日:2003年03月20日 ISBNコード:4-8340-1936-5

32ページ 26X19cm 定価840円(本体800円+税40円)


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