絵本 チムとゆうかんなせんちょうさん

絵本 チムとゆうかんなせんちょうさん

絵本 チムとゆうかんなせんちょうさんの表紙です

絵本 チムとゆうかんなせんちょうさん
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本



エドワード・アーディゾーニ 作・絵 せたていじ 訳 福音館書店

初版年月日:2001年06月20日 ISBNコード:4-8340-1711-7

48ページ 27X20cm 定価1365円(本体1300円+税65円)


通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円+税65円)

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「…なくんじゃない。いさましくしろよ。わしたちは うみの もくずと きえるんじゃ。なみだなんかは やくにたたんぞ」

やはり迫力があるのは、難破してチムが取り残されるところでしょうね。
「…なくんじゃない。いさましくしろよ。わしたちは うみの もくずと きえるんじゃ。なみだなんかは やくにたたんぞ」
チムは涙を拭いて、『もうびくびくするものか」と思いました。
『この せんちょうといっしょなら、うみのもくずと なろうとも、かまわない』
ふたりは、しっかり手を握って(ここの絵も見逃さないでください。どのように手を握っているか)、最後を待ちました。
覚悟を決めてしまうと、大人も子どもも、こういう崇高な気持ちになれるのでしょうかね。「かっこいい!!」もう手の打ちようのなくなった局面では、こんなことばも言えるかなというリアリティがあります。
《繰り返しやつながりをみつけよう》
子どもたちがなぜこんなに長い物語を聞くことができるのでしょうか。
それは次々と起こる出来事に自ら参加しているからですね。そしてチムに対する共感がはじめにあるからでしょう。
でもそれだけでは、出来事があまりに実際体験とかけ離れている場合、絵本の世界から離れて行きがちになります。読み聞かせの場合いちど気持ちが離れると、もう聞けなくなります。この絵本の場合はそうですね、長いですから。
このような日常経験とはほど遠い冒険物語を聞くことができるには、《聞きぐせ》《慣れ》がなければなりません。それは赤ちゃん絵本からずっと読んでもらってきた《聞きぐせ》《慣れ》です。
ではその《慣れ》によって、何が育って来ているのでしょうか。もちろんそれは想像力ですね。想像力とはイメージを、自分で変容する力のことです。幼児の場合その前提となるイメージやきっかけが、挿絵や文章で支えられている必要があります。
それが《繰り返しやつながり》です。そのことによって、イメージは強調され、想像力は活発化します。
このHP上では、絵本を見る目としてそのことに何回も触れています。たとえば「たまごのあかちゃん」の解説など。
この「チムとゆうかんなせんちょうさん」でも同じです。
たとえばチムの行為や思いに即してそれを見ていくと、
(1)チムは2回忘れられてしまいます。(ボートのおじさんと難破した汽船から脱出するところです。このことを考えるだけでも、この作品の深さを感じることができますね。はたして本当にボートのおじさんはチムを忘れたのでしょうか)
(2)チムの思いがはっきり書かれているところが4カ所あります。
・「…かなしくて かなしくて、こんどこそは ふねに のって、うちを にげだしてしまおう」(p8、挿絵の空と海は暗く描かれています)
・甲板掃除のつらさに「もう うちを にげだしたりするもんじゃないと おもいました」p20
・チムは船酔いにかかって、「うみになんかこなければよかったなあ」と思う。p29
・船長「…なみだなんかは やくにたたんぞ」ということばに、チムは涙を拭いて「もう びくびくするものか」「うみの もくずと なろうとも、かまわない」と思う。P33
このようにチムの思いのつながりを、取り出して想像すれば、チムがどんな人物かわかってきます。
あるいは、気になることばを取り出して並べてもおもしろですよ。
そして、もちろんストーリー自体のつながりもありますから、ここに網の目のようなつながりを見つけることができます。
結局、赤ちゃん絵本で1、2種類のつながりだったものが、幼児年長用になると、複雑・重層化するわけです。でもつながりを見つけることに慣れた子は、こんなに長い物語でも苦もなく楽しむことができるのです。
もうひとつ、《絵》のつながりについても見落としにはできません。
たとえば汽船の船室の丸窓だけをページごとに見ていくと、まるでこの船の船室にいるような気分になってきます。船室の丸窓の外は大海原ですから、丸窓から見えるのは波と夜なら闇だけです。
そこから見えるものが闇なら、船室は電灯がつけられていますし、波ならそれは常に水平ですね。そうすると船内の傾きが判断でき、船の揺れの程度が感じられ、船室いる気分になってくるのです。
この本は、文章だけでも成り立っていますが、確かに絵本でもあります。絵本ですから、その細部に描かれているものにはすべて意味があります。
長い解説になってしまったので、ここではその一部だけ、それもヒントだけ書いておきます。

チムとゆうかんなせんちょうさん 漂流物が見えます

ボートの名前(SAUCY SUE WALER)、この画像に見える漂流物(そこの文字、日本語では投げ荷ー遭難時船体を軽くするため、これは明らかに暗示ですね)、マクフィー船長の家の名前、部屋(暗示と予兆に満ちています)、本を読むおばさんと帰ってきたときの浜から上がってくるおばさんなど。
そして今後、全11巻あるチムシリーズのそれぞれの物語に登場する人たちのほとんどがこの物語の中にいます。
各場面のなにげなく描かれているようなものが、じつは謎として仕掛けられていて、その謎をひとつひとつ解いていけば、そこには別の物語があるのです。たとえば最初の場面のチムと遊ぶ女の子はルーシーでしょうか、シャーロットでしょうか。それは「チムとシャーロット」を読めばいいのです。
この絵本は、実は、チムが大人になり本当に船長になるまでの、壮大な物語のほんの始まりにすぎないのです。



内容紹介です

チムは海岸の家に住んでいました。チムは船乗りになりたくてたまりませんでした。浜辺でボートに乗って遊んだり、昔船乗りだったボートのおじさんに話を聞いたり、帆綱の結び方を教えてもらたりしました。
浜辺で遊べないときは、マクフィー船長の所へ出かけました。航海の思い出話やときにはラム酒をちょっぴり飲ませてくれたりしました。
チムはますます船乗りになりたくなって来ましたが、「まだ ちいさすぎるよ」と両親はいいました。
『かなしくて かなしくて、こんどこそは ふねに のって、うちを にげだしてしまおうと おもいました』
ある日、ボートのおじさんが沖の汽船まで、ボートに乗せてやろうといいました。

チムとゆうかんなせんちょうさん 漂流物が見えます

チムはもうわくわくです、こんな大きな船に乗ったことはありませんでしたから。
汽船に乗りこんだチムは考えました。
『…かくれていれば、ボートのおじさんは ぼくのことを わすれて かえってしまうぞ』
思った通りになりました。
汽船がだいぶはしったころ、チムは出てきました。
『せんちょうは、チムをみて、とても おこりました。おまえは、ただのりだから、そのぶんだけ はたらかなければ いかん…』
甲板掃除をさせられることになり、『…もう うちを にげだしたりするもんじゃないと おもいました」が、コックさんはほめてくれ、ココアを一杯くれました。チムはくたびれはてぐっすり眠り込んでしまいました。
でも、すぐに船の暮らしになれました。
いつも喜んで仕事を手伝いましたから、みんなに気に入られました。コックの手伝いや、みんなの走り使いや、舵手のかわりや、ズボンのボタン付けをしたりしました。船長でさえ、「この ただのりは わるくないわい」といいました。
あるあさ、風がひどくなって海が荒れました。はじめのうちチムはおもしろがっていました。でもその日のうちに、風は強くなり、夜になるとすごい嵐になりました。チムは船酔いにかかり、寝床によじ登るのがやっと。
『うみに こなければ よかったなあ』と思いました。
そして、

チムとゆうかんなせんちょうさん ずしん!

真夜中に、「ずしん」恐ろしい響きがしました。
『ふねが しずむぞ。ボートへ うつれ、ボートへ』
みんなはあれくるう海にこぎ出しました。
ーところがー
チムは忘れられてしまったのです。チムは小さい上に、縮こまっていましたから誰も気づかなかったのです。
チムはブリッジに上がって、船を見捨てないでがんばっている船長を見つけました。
『やあ、ぼうず、こっちへ こい。なくんじゃない。いさましくしろよ。わしたちは、うみのもくずと きえるんじゃ。なみだなんかは やくにたたんぞ』
チムは涙を拭いて、『もうびくびくするものか」と思いました。
『この せんちょうといっしょなら、うみのもくずと なろうとも、かまわない』
ふたりは、しっかり手を握って、最後を待ちました。
いよいよ波にのまれようとした、そのとき救命ボートがやってきました。こうしてふたりは助けられ、波止場では喜びの声があがりました。
ふたりは何時間も何時間も、眠りました。そして目を覚ましたとき、助かったことを喜びました。
それからふたりは汽車にのって家へ帰りました。マクフィー船長もボートのおじさんも来ていました。船長はお父さんお母さんに冒険の話をすっかり聞かせました。そして、今度航海にでるときは、チムを連れていきたいといいました。







読み聞かせのポイント
本格的海洋冒険物語です。
この絵本は50ページ近くもあるので、こんな長い物語が幼児・年長の子に聞いてもらえるのだろうかと皆さん疑問に思われるのでしょうか、特に集団読み聞かせではいつも避けられやすい絵本です。
しかしこの絵本は、絵本の持つひとつの力=「絵」の情報量を、最大限に生かしていて、さらに文章の方もたんたんとしているけれど、迫力に満ちています。
ですから、なんの工夫も必要ありません、ただひたすら読んであげて下さい。
これくらいの絵本が聞けるようになったら、そろそろ童話を読んであげることを考えてもいいですね。

絵本 チムとゆうかんなせんちょうさん
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本


エドワード・アーディゾーニ 作・絵 せたていじ 訳 福音館書店

初版年月日:2001年06月20日 ISBNコード:4-8340-1711-7

48ページ 27X20cm 定価1365円(本体1300円+税65円)


通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円+税65円)

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「チムのいぬタウザー」
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「チムさいごのこうかい」
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「時計つくりのジョニー」アーディゾーニ・作  こぐま社

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