絵本 やまなしもぎ

絵本 やまなしもぎ

絵本 やまなしもぎの表紙です

絵本 やまなしもぎ
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本



平野直 再話 太田大八 絵 福音館書店

初版年月日:1977年11月10日 ISBNコード:4-8340-0707-3

40ページ 21X23cm 定価1260円(本体1200円+税60円)


通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円+税60円)

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表紙をご覧下さい。 

腰に刀を差し、腰ひもの先に赤い欠け椀をぶら下げた男の子が、木の実をもぎ取ろうとしています。木は男の子の重みで揺れています。タイトルが「やまなしもぎ」ですから、この実は山梨なのでしょうね。水面が日に映えています。山梨の木は川か湖のそばにあるのでしょうね。ちょっとあぶないです。男の子はどうして危険を冒してまで、山梨をもいでいるのでしょう。
めくると、見返しは夜明けでしょうか。蔦が道のようです、私たちをどこかに連れて行ってくれる感じがします。その蔦がところどころ紅葉しています。扉を開けると、真ん中に湖か沼があります。さっきの山梨の木のそばにあった、湖なのでしょうか。
さあ、はじまりです。
1枚目の画像のところ。

母親と三人の兄弟が家の中にいます

母親と三人の兄弟はこういう草深い山あいに住んでいました。
部屋では母親が「やまなし」が食べたいと言っている場面ですね。手前の木は柿の木でしょう。柿はまだ色づいていません。秋の入り口でしょうか。ニワトリがいて、蓑があって、割木をつくる、懐かしい風景です。
さて、三兄弟は「やまなし」をもぎに行くわけですが、たろうとじろは失敗し、さぶろうが山梨をうまく手に入れました。
一番下の小さいものが成功するタイプの典型的なお話です。さぶろうがうまくいったのは、「ばあさま」の頼みを聞き、ばあさまの言うことを忠実に守ったからですね。
でも、ここから、「だから人には親切に、忠告は素直に」という教訓を引き出すだけに終わらしてはなりません。聞き手の子どもにそんな感想を押しつける必要はありません。そんなことは聞き手である子どもたちにはみんな分かっています。実際そのとおりの事が起こっているわけですからね。
重要なのはこの「ばあさま」に対して、その人とはどんな人なのだろう、表紙を見て、最初に気になる「欠け椀」とは何なのだろうと想像を働かせることですね。たぶん小さい子どもには分からないはずです。私たち大人だってよく分からないのですから。ここのところに引っかかったまま、頭の隅に置いておいたままにしておくことが大事なのです。
とはいえ、少しそれらについて、考えてみなければなりませんね。
このお話で重要な働きをしているのは「ばあさまの言葉」「欠け椀」「刀」ですね。それから、「笹」「鳥」「ふくべ=ひょうたん」「やま梨の木」そのものです。
これらはすべて「山」にあるものです。いわば「沼の主」をのぞく「山のものたち」すべてが、さぶろうを応援していることになります。
「ゆけっちゃ がさがさ」(笹)
「ゆけっちゃ とんとん」(鳥)
「ゆけっちゃ からから」(ふくべ)
山梨の枝は「東の 枝は おっかないせ…」と。
「欠け椀」は不思議な力を持っていますね。これで水を飲むと兄さん二人は元気になります。「欠け椀」については、このやまなしの話以外にも、その不思議な力にまつわる昔話がたくさんあります。「欠け椀」がなぜそんな力を持っているのでしょうか。
(1)山の木から作られている。木霊(こだま)と関係があって、それを取り出し加工しても、その力は失われない。
(2)「もの」は使い古されると、さらに神秘的な力を増加させる。欠け椀とは、欠けるほど使い込まれた椀のことです。
「欠け椀」にまつわる昔話は、すべてこのような性格を持っています。
刀もすごい力を持っていますね。沼の主をひと太刀、ふた太刀斬りつけると、そこから沼の主は「くさって、ぐにゃぐにゃ」になります。
この「刀」は、古事記の素戔嗚尊(すさのおのみこと)がヤマタノオロチからとりだした刀と同種のものです。山にある砂鉄から刀は作られました。たぶん、この列島に住む人びとにとって、刀は移入された始めから魔力を持ったものだったはずです。
「ばあさま」は欠け椀や刀を所持し、山の笹や鳥やふくべなどとも一体の関係にあります。ばあさまの言葉は、語ったとおりの出来事を、引き起こす力をもっています。
そうすると、
「ばあさま」とは、山の神もしくは山全体の自然そのものを代表する存在のようですね。
だとすると、このお話は、先の教訓よりも、もっと深いらしいことが分かってきます。最初の画像にあるような、山と里のちょうど境に住むこの家族は、「ばあさま」が山の代表だとすると、「里」の代表ですね。このお話は、里の人間たちに、さぶろうのように、自然に聞き耳をたてることこそ自然の恩恵を受けることができるのだ、と語っているのですね。
ところで、
子どもは、体全体、五感のすべてを使って、お話を体験します。
そのことがよくわかるのは、三本のまっか道を選択する場面です。
特に、じろう・さぶろうが、どの道をえらぶか、選択するときの緊張感は並大抵ではありません。じろうが右の道を選んだときには、悲鳴さえあげる子がいます。
私たち大人が選んだこの道は、よく耳をすましてみると、実は「いくなっちゃ、がさがさ」と聞こえているのではないだろうか。そして、大人には、子どもたちが「悲鳴」をあげているのが聞こえていないのかもしれません。



内容紹介です

『むかし、あるところに、おかあさんと 三人の きょうだいが すんでいました。
 おかあさんは、からだのぐあいが わるくて ねていましたが、あるひ きょうだいを よんで、
 「おくやまの やまなしが たべたいな」といいました』

母親と三人の兄弟が家の中にいます

そこで、一番目のたろうが、やまなしもぎに出かけていきました。
『いくがいくが いくと、やまのふもとの ふるい おおきなきりかぶの うえに、ひとりのばあさまが すわっていました』
ばあさまは、赤い「欠け椀」を差し出し、のどが渇いたので水を汲んできてくれんかという。たろうがいそがしいと断ると、
「そんなにいそいで、どこさ いく」
「やまなしもぎに」とたろうは答えました。
『それなら、このさきの 三ぼんのまっかみちに、三ぼんのささが たっていて、かぜに なっているけに、「ゆけっちゃ かさかさ」というほうに ゆきもさい』
たろうは、三ぼんのまっかみちにくると、ばあさまにいわれたことも忘れて、「ゆくなちゃ がさがさ」となっている右の道へ行きました。すると、鳥が「ゆくなっちゃ とんとん」と鳴いていました。
それでもなんでも行くと、大きな木の枝にふくべがぶら下がって、
「ゆくなっちゃ がらがら」となっていました。
それでもなんでも行くと、大きな沼のそばに、やまなしがざらんざらんとなっていました。たろうが木に登ると、影が水に映って、沼の主に見つかってげろりと飲み込まれてしまいました。
たろうが帰ってこないので、二番目のじろうが出かけました。じろうも、ばあさま、鳥、ふくべがいう「ゆくなっちゃ」という方へ行って、沼の主に飲み込まれました。
今度は三番目のさぶろうがでかけけました。
いくがいくがいくと、ばあさまに出会いました。水が欲しいというので、水をくんできてやりました。

さぶろうは ばあさまに水をくんできてやりました

ばあさまは喜んで、笹が「ゆけっちゃ かさかさ」というほうへゆきもさいと教えてくれ、よく切れる刀と、赤い欠け椀をくれました。
さぶろうは、三本のまっかみちで、笹がいう真ん中を行きました。すると鳥が「ゆけっちゃ とんとん」と鳴いていました。少し行くと、こんどはふくべが「ゆけっちゃ からから」となっていました。なお、どんどん行くと、大きな沼のそばに、やまなしがざらんざらんとなっていました。
やまなしは風がふくたびに、
『ひがしの えだは おっかないせ、
 にしの えだは あぶないせ、
 きたの えだは かげうつる、
 みなみの えだは のぼりんさい、
 ざらん ざらん』と歌っていました。
さぶろうは枝にのぼると、南の枝はおいしそうな実ばかり、ずっぱりもぎ取りました。
ところが、……
さぶろうは果たして、やまなしを持ってかえることが出来るでしょうか。たろう、じろうはどうなったのでしょうか。おかあさんの病気は?
どんとはらい。







読み聞かせのポイント
皆さんは昔話の本物の「語り」を聞いたことがあるでしょうか。
たぶん全くいないでしょうね。私の子どもの頃には、岡山南部地方には、語り手はもう誰一人いなかった(今から50年ほど前)ことになっています。実は本物の昔話はあったのです。それがどこであれあったはずなのですね。何故消えてしまったのでしょうか。最大の理由は《聞き手》がいなかったからです。昔話は、おばあちゃんやおじいちゃんのこころ深くに、そっとしまわれていましたが、聞き手が引っ張り出してあげなかったので、残念ながら祖父母といっしょに、なくなってしまいました。でも幸い、ごく一部の人が語り継ぎ、それを文字にする人がいて何千という昔話が現代に残されました。(昔話がどのように語り継がれていくか、については「雪の夜に語り継ぐ・福音館文庫」をお読み下さい)
私は、大人になってから、数少ない本物の語り(それはストーリテリングとは少し違います。)を聞くことができました。残念ながら、子ども時代に聞いて育たなかったので、私のこころのなかに蓄積させることはできませんでした。
それらの昔話、とりわけ本格昔話の「語り」は、淡々と、しっとりとしたものです。
昔話絵本もこのような「原話」を再構成したものですから、その読み聞かせ方法は「語り」と同じなのが望ましいですね。

絵本 やまなしもぎ
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
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平野直 再話 太田大八 絵 福音館書店

初版年月日:1977年11月10日 ISBNコード:4-8340-0707-3

40ページ 21X23cm 定価1260円(本体1200円+税60円)


通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円+税60円)

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Comment on "絵本 やまなしもぎ"

絵本おじさん、こんばんは☆
「やまなしもぎ」の絵本が実家にありました。
私も子供の頃、読んだことはあるのだろうけど、
覚えてませんでした。
それで、今は息子が「読んで」というので読んであげることが多くなってきました。
この絵本は私は大好きで読んでいると、語り風?なのがいいのかどうかはわからないけれど落ち着くんです。
言葉使いがやわらかくて、自分でも聞いていて
気持ちがいいと感じるとても不思議な絵本です。

解説を読んで
「自然に聞き耳をたてることこそ自然の恩恵を受けることができるのだ、と語っているのですね」
・・というところでハッ!・・とさせられました。

「なるほど〜〜!!」・・・と感動してしまいました。
あのおばあさんは仙人・・と私は考えていました。

「欠椀」の話もとてもおもしろかったです。
自然のものって本当にすごいパワーが宿っているんですね。
妙に納得してしまい、感動したのでついついコメント
書いています。

これからも
絵本の楽しさを教えてくださいね。
ためになるお話をありがとうございました^^

  •   にや☆
  • 2006年12月08日 00:41

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