絵本 おおかみと七ひきのこやぎ

絵本 おおかみと七ひきのこやぎ

絵本 おおかみと七ひきのこやぎの表紙です

絵本 おおかみと七ひきのこやぎ
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本



フェリクス・ホフマン絵:瀬田貞二訳 福音館書店

初版年月日:1967年04月01日 ISBNコード:4-8340-0094-X

32ページ 22X31cm 定価1365円(本体1300円+税65円)


通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円+税65円)

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グリムの昔話集のなかで、もっとも知られているお話です。年長になると、ぜひ出会って欲しい絵本です。

この絵本をさっとみて気になるのは、色がおとなしいし(暗め?)、ちょっとリアルな絵(怖そう?)という印象ではないでしょうか。
でも、たくさんある「おおかみと七ひきのこやぎ」絵本のなかで、もっとも優れているのはこの絵本です。
このHP上の「ももたろう」で見たように、同じ場面を比較してみるのがわかりやすいです。
でも、ここでは違った角度からその理由を考えてみます。
(1)きちんとした再話です。
グリム兄弟が、昔話を採集し、文字に残したほとんど最初の人です。これを再話と言います。
語られたものを文字にするに当たって、現在では昔話はおおいに研究され、何が大事かわかっています。
(昔話にはきまりがあります。それを発見したのはリューティという学者です。このHPでは、すべてリューティ&小澤口承文芸理論を基に書いています。昔話解説のそれぞれをお読み下さい。)
当時まだこのような研究はありませんでした。にもかかわらずグリム兄弟は、現代の学問研究に匹敵する再話をおこなっています。というよりグリム兄弟の方法が、その後の世界の昔話集の標準となったのです。グリム(兄)は事実上ドイツ語を創った人ですから最初からわかっていたのでしょうね。
この絵本は、そのようなグリム兄弟の方法を、絵本にする際にも、ホフマンさんはその姿勢を変えてはいません。日本語に翻訳した瀬田貞二さんの姿勢も同じです。
それにしても、グリムの昔話は日本へ来て無茶苦茶にされています。とくに絵本はとんでもないことになっています。
(2)昔話を絵本にするのは大変難しい。
にもかかわらず絵本化に成功しています。本来昔話は語りの文芸です。語りの文芸の場合、イメージは聞き手が自由に描くことができます。
ところが絵本では、語り手と画家がイメージを絵によって、ある程度聞き手に、提供することになります。
これはまだ実際経験の少ない幼児にとって、イメージ形成を助けることになります。しかし与えられたこのイメージは、逆に聞き手のイメージをしばってしまいがちとなります。
どのような昔話絵本がよいのかはこれでわかってきます。つまり、優れた昔話絵本とは、絵はイメージを支えるけれど、想像することをじゃましない、より広く、深いところへ案内してくれる絵本のことですね。
この絵本の特徴
・けばけばしくない、きわめて控えめな絵柄です。
・余白の多さとの出来事の必要最小限なのもだけをきちんと描いています。
まず、「むかし、あるところ」がどんなところだったかが描かれます。
左手奥に森があって、こちら側は野原です。その真ん中に簡素な家があります。森と家の間に井戸があります。
ここは少し小高い丘のようなところですね。おおかみは街へ行きますが、たぶん画面手前か右側のはずです。
昔話では場所を特定しないきまりですから、そんなところがどこかあるのでしょうね。
・擬人化の仕方が、本当のやぎの性格を失なわないぎりぎりのところで、イメージ化されています。
このお話のキーワードは「入り口の戸」です。戸を隔てた向こうとこちらの息詰まる攻防といってもいいかもしれません。戸の位置や描き方が実に巧妙です。そしてついに戸を開けてしまい、食べられてしまいます。
それはきわめてリアルですが、しかし荒らされた家のどこにも、血の一滴でさえ流れていません。キレイに跡かたなく食べられています。その時間はたったの30分間(柱時計のすすみ具合からわかります)です。
同じことが、おおかみのお腹をはさみできり、その中に石をつめるところでも言えますね。
絵をみると、おおかみはいびきをかいているとしか思えない表情で、ぐっすり眠ったままです。あるいは、2枚目の画像のお母さんやぎの縫い物のうまさをごらんください。人間のお母さんが縫い物をしている姿そのものなのに、それはやはりやぎなのです。
このように本当らしさ(リアリティ)と嘘の絶妙なバランスでこの絵本は成り立っています。
(3)悪者は完全にやっつけられるこの怖そうな絵本が、すっきりして、「ああよかった」と終わることができるのは、「おおかみしんだ!」と踊る場面があるからです。
この場面はだからはずせないところです。
幼児向きの絵本は、必ず主人公側からみてハッピーエンドでなければならないのです。



内容紹介です

『むかし あるところに、こやぎを 七ひき そだてている おかあさんやぎが いました』
ある日 おかあさんやぎは言いました。
「いいかい、これから もりへ たべものを さがしに でかけるよ」
『おおかみに くれぐれも きをつけておくれ。うちへはいりこんだがさいご、お前たちは まるごと 食べられちまうからね』
「あいつは ちょいちょい 様子を変えて やってくる。 でも しわがれごえと 足の黒いのに 気をつければ、すぐ わかるだろうよ」
こやぎたちは「よく 気をつけるとも」と言ったので、おかあさんは安心して出かけました。
すると、まもなく
「あけておくれ こどもたち。 おかあさんだよ」
けれども、それはしわがれ声だったので、すぐおおかみとわかりました。
そこで、おおかみは村の雑貨屋で買ったはくぼくで、声をきれいにすると、
「あけてくれ、こどもたち」
こやぎたちは言いました。
「それじゃ、のぞきまどから 足をみせとくれ!」
「あけるもんか。 おかあさんなら まっくろなあしじゃないぞ、 おまえはおおかみだろ!」
そこで、おおかみはパン屋にかけつけて、ねりこを前足に塗ってもらうと、粉屋を脅して、前足を白くしてもらいました。
「あけておくれ こどもたち」
こやぎたちは、叫びました。
「それじゃ、足を見せてくれ。 そうすりゃ おかあさんかどうかわかるから」

まえ足だけが白い おおかみでした

そこで、おおかみがまえ足をまどにかけますと、足の白いのを見て、おかあさんだと思いこみさっと戸を開けました。
「おおかみだ!!」
こやぎたちは隠れようとしました。
一ぴきは、テーブルの下、二ひきめはとだな、そしてだんろの上と下、こしかけの下、すみっこ、七ひきめは柱時計の箱のなかへ。
でも、おおかみはすぐに見つけ、次々飲み込みました。ただ、末っ子こやぎだけは見つかりませんでした。(どこにかくれたのでしょう)それから、おおかみは野原にでて、木の下で眠ってしまいました。
まもなく、おかあさんやぎは森から帰って来ました。
ああなんというありさま。やっと末のこやぎだけがかすかな返事をしました。
おかあさんやぎは泣く泣く外へ出て、野原にさしかかると、いびきをたてておおかみが寝ていました。
見るとふくれたお腹の中に、もくもくうごくものがあります。そこで、末のこやぎにはさみと糸をとりにやりました。
それからおかあさんやぎが、じょっきと一はさみ入れるやいなや、ぴょこんとこやぎの頭がつきだしました。
そしてじょきじょき切り開くにつれて、次々にこやぎたちが飛び出しました。こやぎたちはおかあさんにだきつき、ぴょんぴょんはねまわりました。

助け出されたこやぎたちが 石を運んでいます

「さあ、小川へいって、石をもっといで」
そこで、七ひきのこやぎたちは、石をおおかみのお腹に、つめられるだけつめました。
それからおかあさんやぎはさっとお腹を縫い合わせました。おおかみはなんにも気づかず身動きひとつしませんでした。
さて、おおかみはやっと目をさましましたが、ひどくのどが乾きました。それで水を飲みに、井戸へいきました。
「おなかのなかで ごろごろ がらがら ころがるやつは なんだろう」
「こやぎ六ひきと思っていたが、 うるさいいしころみたいだ」
そして、おおかみは水の上にかがんだとたん、
「どぶん!」
おおかみは、石の重みで、おぼれて死んでしまいました。
みんなはよろこびのあまり井戸のまわりで、おどりをおどりました。







読み聞かせのポイント
この絵本は年長以上に向いています。2、3歳児に与えると怖がりすぎるかもしれません。
2、3歳児までは部分に反応しがちです。だからといって、2、3歳児に、簡略化したものやかわいらしいだけの「おおかみと七ひきのこやぎ」を与えないで下さい。読書したことにはなりませんからね。年長になるまでまってあげて下さい。
私は年長さんに読む場合でも最初に「きょうのお話は怖いです。 だいじょうぶかな。 みんな手を繋いで聞いてね」と冗談半分にいいます。
年長さんになるとほとんど怖がる子はいませんが、集団読み聞かせのよい点は、共通体験ですから、みんなといっしょにいるんだ、いっしょにいると怖い体験も乗り切ることができるんだと、思うことが大切です。
家庭では一人の体験ですが、同じです。
このような怖い話の場合、いつもよりもっとくっついてと言ってから読んであげて下さい。お母さん(読み手)という安心の上に、体験があるのです。
子どもたちは怖い話が大好きです。

絵本 おおかみと七ひきのこやぎ
◆年齢◆
読み聞かせは5〜6才から。
自分で読む場合は小学生低学年以上です

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本


フェリクス・ホフマン絵:瀬田貞二訳 福音館書店

初版年月日:1967年04月01日 ISBNコード:4-8340-0094-X

32ページ 22X31cm 定価1365円(本体1300円+税65円)


通常版はこちら!  定価1365円(本体1300円+税65円)

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グリムの昔話関連図書には、こんなものがあります。
「ねむりひめ」 グリム童話
フェリクス・ホフマン 絵  瀬田貞二 訳
 いばらの生い茂る城の塔に眠り続ける美しい王女。スイスの画家ホフマンが、考え抜いた構図と繊細なタッチですばらしい絵本に仕上げました。

「ブレーメンのおんがくたい」 グリム童話
ハンス・フィッシャー 絵  瀬田貞二 訳
 ロバとイヌとネコとオンドリが町の楽隊にはいろうとそろって出かけますが、途中で日が暮れて、やっとたどりついたのはどろぼうの家でした……。
グリム昔話集には以下の3冊があります。
「グリムの昔話1」フェリクス・ホフマン 編・絵 大塚勇三 訳
◆カエルの王さま◆オオカミと七ひきの子ヤギ◆ヘンゼルとグレーテル◆灰かぶり◆ブレーメンの音楽隊◆漁師とおかみさんの話◆ネズの木の話他全35話収録
「グリムの昔話2」フェリクス・ホフマン 編・絵 大塚勇三 訳
◆赤ずきん◆白雪姫◆金のガチョウ◆千色皮◆ヨリンデとヨリンゲル◆のんき男◆ガチョウ番の娘◆三羽の小鳥◆熊かぶり◆ハリネズミぼうやのハンス他全34話収録
「グリムの昔話3」フェリクス・ホフマン 編・絵大塚勇三 訳
◆いばら姫◆幸運なハンス◆青いランプ◆キャベツ・ロバ◆腕きき四人兄弟◆鉄のハンス◆ロバくん◆白雪と紅バラ◆金の鳥◆マレーン姫他全32話収録

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