ハナさんのおきゃくさま

絵本 ハナさんのおきゃくさま

絵本 ハナさんのおきゃくさまの表紙です

絵本 ハナさんのおきゃくさま
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才向き
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


角野栄子 作:西川おさむ 絵 福音館書店ハナさんのおきゃくさま

初版年月日:1987年04月30日 ISBNコード:4-8340-0167-9

152ページ 22X16cm 定価1470円(本体1400円 + 税70円)

通常版はこちら!  定価1470円(本体1400円 + 税70円)
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童話や昔話の主人公に、おばあさんやおじいさんがとても多いのは何故でしょう。

物語の主人公は、読者の仲間であり、いっしょに歩く存在ですから、読者と同じ心性を持っている必要がありますね。
人生をストーリーに見立てるなら、人は自然から生まれ、自然に帰るごとく「らせん」を描き、それは円環になっています。それだから老人の心性は、最後にもう一度、子どもにかぎりなく近くなってきます。
しかし、老人は子どもの心性を持つだけではありません。
伝統的社会では、柳田国男(民俗学者)の「妹の力」でも明らかにされているように、老人が孫に語る物語が、その人の人生の見えない力となってきましたし、老人は多くの経験を経てきた存在ですから、知恵と真理の象徴として尊敬されていました。
物語の主人公はいわば経験と知恵と真理の象徴なんですね。そして語り手は老人ですから、いきおいその主人公がおじいさんやおばあさんになるのはうなずけます。

森の入口の家と二つの玄関
さて、この童話の舞台は、老人の存在を象徴する位置にあります。ハナさんの住む家は森の入口です。ハナさんが人生の最後にどんな役割をしようとしているか、その意図は明白ですね。
ハナさんの人生はぐるっと回って、自然のところ(森の入口)へ帰ってきたのです。ハナさんは自然に対する心性(つまり子どもの心性)と、経験と知恵と真理を併せ持つ、本人もいっているように「さかい目ばあさん」を目指しているのです。だから小さな赤い家には、森側と町側に開くドアの二つがあります。

おもてなしは文化
いきなり大きな問題に触れますが、文明と文化は区別して使いたいと思います。文明は自然に対立、あるいは自然に対して人間が優位にあるとするもの。それに較べて文化は、自然に適合しようとする人間の知恵とみなします。その意味では文化は、そもそも人間の始まりからあって、その歴史はきわめて古いものです。
「おもてなし」の始まりは、「外からやってくる」おきゃくさまを、下に置かず、ごちそうなどで手厚く応対することでした。外からくるものは、その存在自体が尊敬されました。(日本の場合、多くは神さまと見なされた)
そしてそのごちそうは、自然の恵みを人間の知恵で加工したものですから、そこには「おかげでこんないいものに恵まれました」という報告もかねています。これこそ文化ですね。
ハナさんはおもてなし上手です。おもてなしにはもう一つ「おしゃべり」の時間が不可欠ですね。おしゃべりは「おかげでこんなふうに生きていられる」ことを言外に語っていることになります。

町側の玄関は読者に開かれています
ハナさんのところには、8人のおきゃくさまがやってきます。
4人(アフリカやさん、ねずみ、ゆきだるま、オーバーさん)が町側、のこり4人が森側の玄関からやってきます。
森側からやってくる人たちは、文字通り自然のものたちです。他方町側からやってくる人たちは、いずれも小さきものか、すぐに消えてしまうものたちです。
ハナさんは「さかい目ばあさん」でした。その役割は二種類あるようです。ひとつは自然と人間の結び役ですから、森側からくる人たちには、おもてなしをして十分その役目を果たしています。
他方、町側からくる人たちには、ハナさんはもう一つの役目である「か弱きものたち」を勇気づける働きをしているようです。
私たち読者の多くは町側の人ですから、町側の玄関からハナさんを訪れることになります。私たちは、ハナさんのおもてなしを受けて、その場(森の入口・境目)がもつ自然の息吹を感じ、そしてちょっとした知恵をいただくことになりそうです。





内容紹介です

ハナさんのひっこし

『ながいあいだ、町にすんでいたハナさんが、ひっこすことになりました』

つれあいのハナミさんをなくし、息子のハナトさんが結婚して外国にいくことになり、大きな家がいらなくなったからでした。
こうしてハナさんは森の入口の、赤い屋根の小さな家にやってきました。

そして、とうとう〜

この家には玄関が二つありました。ひとつは町に向いていて、もうひとつは森に向いたトンネル型ドア。
両方のドアに表札を出しました。
「ハナノ ハナ」(花のハナではなく、ハナノ ハナです。おまちがいなく)
ハナさんは、こんな小さな家ですから、ただの通り道になったらどうしようと心配でした。
「でも、そんなことはさせないわ。あたしはとってももてなし上手なんですから。ゆっくりあそんでいってもらいますとも」

山ばあさんがきた話
『どどどん どん
 とつぜん、森のドアで、大きな音がしました』
ドアを開けると、がらがら声が、顔にぶつかるように飛んできました。

山ばあさんがきた話

『五十年ぶりにでてきてみりゃ、こんな家。迷惑だよ』

そこには、かみの毛をぼーぼーとさかだて、ぐりぐりの目をした大きな口の大きなおばあさんが立っていました。

「むこうのむこうの、七つの向こうがつくほど遠い山に住んでいる、山ばあさんよいやあ、あたしのことさ」

「あんただれなのさ」山ばあさん聞きました。

「あたしは境目に住んでいるから、さかい目ばあさんというところかしらね」

山ばあさんは、山に入った迷子をだしにして、楽しんでいたのに、それはもう昔話になってしまった、それで町で子どもを買ってこようと通りすがりだというのです。

「ははあん、あんたが入口を二つにわけた訳がわかったよ。あんたがおきゃくさんを取っていたんだね。ケーキだと?」

「こんなおいしいもんがあるんじゃ、おきゃくがこないわけだ」

「こうしちゃいられない。いそがなくっちゃ」

山ばあさんは、あわてて町のほうのドアから飛び出していきました。
夕焼けが終わって、1番星が光り始めたころ、山ばあさんは大きな荷物を抱えて帰ってきました。
さて、何を買って来たと思いますか?

おばけの子がきた話
ある夜のこと、ハナさんはこんな本を読んでいました。

「むかし、むかし、ある森の入口に、六つ目こぞうというおばけが住んでいました…」

ハナさんはぶるんとふるえて、本を閉じ、後ろをそっと見ました。なんだか誰かさんがいるみたいな気がしたからです。

「シュー、シュー」

「どうしよう」ハナさんはいいました。

「そうだわ、おばけがいやだったら、私がおばけになってしまえばいいのよ」

ハナさんはおばけ化粧をすることにしました。
「おばけだぞ〜〜こわいぞ〜〜」ひとりで部屋中大騒ぎしました。
すっかり怖くなくなりました。
もう大丈夫、いえ…やはり何か聞こえます。

「くしゅん」
「どなた?」

ハナさんがドアを開けてみると、そこには小さな一つ目こぞうがふんわり浮いて立っていました。
ハナさんはふるえながらも、けんめいに笑っていいました。

「さあ、どうぞ」

すると、おばけは小さな声で、「あくしゅしてー」と言いました。

「まあまあ冷えたのね」

「ぼくずーっと鍵穴からのぞいていたんです。だけど、きみって素敵なおばけだねえ。くしゅん」

「いますぐ、あついお茶を入れますからね」

「わー、おいしい。いいなあ二つ目おばけってさ」

「あっ、そうだ。ぼく町へ行く途中だったんだ。たまには脅かさないとね。おばけのことすぐ忘れられちゃうからね。そうだ二つ目さんも町にいっしょにいかない?」

「今夜はやめとくわ」

「それじゃ、この赤いセーター貸してくれる?今日は赤いおばけになってみよっと」…

以下七つの話が載っています。
アフリカやさんがやってきた話
ねずみくんがきた話
オーバーくんがきた話
ゆきだるまさんがきた話
あらいぐまさんがきた話
まっくろくろがきた話
山ばあさんからのてがみ





読み聞かせのポイント

この童話は絵本を卒業して、その後の自分で読む読書への入口にああります。年長さんの後半くらいからは、このような幼年童話を読んであげましょう。10篇のお話でなりたっていますから、いちどきには2、3篇、続きは次の日にという具合です。
小学生1、2年では、最初の「ハナさんのひっこし」を読んであげると、その後は自分で読むかも知れませんね。もちろん「読んで」と言われたら読んであげましょう。けっして自分で読みなさいは言わないで下さいね。

絵本 ハナさんのおきゃくさま
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才向き
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


角野栄子 作:西川おさむ 絵 福音館書店ハナさんのおきゃくさま

初版年月日:1987年04月30日 ISBNコード:4-8340-0167-9

152ページ 22X16cm 定価1470円(本体1400円 + 税70円)

通常版はこちら!  定価1470円(本体1400円 + 税70円)
「えほんおじさんセット」はこちら!  セット価格1670円(税込)

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