いやいやえん

絵本 いやいやえん

絵本 いやいやえんの表紙です

絵本 いやいやえん
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆ほいくえん、ようちえん絵本
◆ともだちとあそぼ!絵本


中川李枝子 作:大村百合子 絵 福音館書店

初版年月日:1962年12月25日 ISBNコード:4-8340-0010-9

180ページ 22X16cm 定価1260円(本体1200円 + 税60円)

通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円 + 税60円)
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1962年、今から40年ほど前に出版され、日本の児童文学を180度転換させた童話です。

以降、日本の児童文学は「いやいやえん」が基準となったといっていいでしょう。

そして、絵本の「ぐりとぐら」、童話「エルマーのぼうけん」とならんで、今でも変わらない子どもたちの愛読書となっています。
では、「180度転換」とは、いったい何がどのように変わったのでしょうか。

ありのままの子どもの姿
外国では、たとえば「ピーターラビットのおはなし」のように100年以上まえから、ありのままの子どもの姿を描いた絵本や童話がありました。

日本では元来、子どもは「神の子」とされ、子どもの世界は大人が関わらない自由な世界でした。
たとえば、平安末期、『梁塵秘抄(後白河法皇〈1127-1192〉が編んだ歌謡集。〈今様〉平安末期に流行した声楽の歌詞の集大成)には次のような歌が載せられています。
『遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん
 遊ぶ子どもの声きけば 我が身さえこそ動がるれ』
あるいは、戦国時代にやってきた宣教師も、幕末にきた西欧人も、日本は子どもの王国だと記しています。
しかし、明治以降の学校制度とともに、子どもは訓練するべき存在(鉄は熱いうちに打て)になったようです。児童文学はその学校制度と伴走していたため、子どもの真の姿を見ることはできなかったものと思われます。それでも、学校制度や児童文学の子どもの見方はあくまで理念であって、現実の子どもは平安期とほとんど変わることはありませんでした。詩人(童謡創作活動)や民俗学は、大正期にはすでに、子どもの姿をかなり正確に捉えていました。民俗学者柳田国男は「子どもはアルカイックな心性を保持する」と言っていますし、北原白秋は、幼児の独特な表現方法を、「子どもは本来詩人である」と言っています。実際、白秋の『あめふり(中山晋平作曲/大正14年)』にはその一端を感じることができます。

児童文学は、戦後も昭和30年代以降、やっと子どもの姿をとらえ始めました。それは主に外国児童文学(ピーターラビットのおはなしや岩波子どもの本)の翻訳出版を通じてでした。
そして、それらを学んだ日本の作家によって、「いやいやえん」が生まれた訳です。
「いやいやえんの世界」にあるのは、子どもの生き生きとした姿であり、「遊びーごっこと、そこから得られるもの」の重要性であり、子どもにはみずから成長していく力があるということです。
つまり、ここにいたって始めて、児童文学はようやっと「しつけ・教訓」「教育の為の道具」や「大人のノスタルジー」からの決別を宣言したのです。

4、50年を経た現在はどうでしょうか。
確かに「いやいやえん」は今でも子どもたちに守られ続け、117刷(2005年9月現在)というロングセラーになっています。
ところが、『遊ぶ子どもの声』はどこへいったのでしょうか?
これこそ、「いやいやえん」がとらえた世界でした。明治以降どんなに、教育場面で訓練されたところで、子どもたちは大いに遊び、さまざまな声を発していました。それは1000年、いえそれ以上変わらない子どもの姿でした。『遊ぶ子供の声』が聞こえなくなったのは、歴史上現在をおいて他にありません。
この意味で「いやいやえん」は、現代では違った重要性=本を読んだ子の想像力が現実を変える=を持ち始めています。それは唯一の救いとはいえ、やはりどこかおかしい世の中ではないでしょうか。
『遊ぶ子どもの声きけば
 我が身さえこそ動がるれ』
これこそ変わらぬ文化なのですから。





内容紹介です

ちゅーりっぷほいくえん
チューリップ保育園には子どもが30人います。星組18人、バラ組12人。星組は来年学校へいく組、毎日「じのほん」を読んでもらっています。だからいばっています。バラ組のしげるくんは、「ぼくもほしぐみになりたいなあ」といつも思っています。
先生は2人。背の低い「はるのはるこ」先生はバラ組。大きい「なつのなつこ」先生は星組。いつまでたってもそれは変わりません。チューリップ保育園には約束が70くらいあります。
いちばん大切なのは、「なげないこと」「ぶたないこと」「ひっかかないこと」の3つ。あとは「ひとりで洋服を着ること」「洋服やクレヨンを食べないこと」など。
「なあんだ、簡単なことばっかり!」です。
しげるくんは今日一日で17回約束を忘れました。

くじらとり
星組の男の子たちは、積み木で立派な船をつくりました。しげるくんは三角の先にさわってみました。
すると、船員がとんできて、
「さわっちゃだめ! 船に穴があいたら沈んじゃうんだぞ」
船の名前は「ぞうとらいおん丸」にきまりました。
船には、つりざお、望遠鏡、柱時計、おべんとう、お箸、毛布、かるたが乗せられました。
「くじらとりに、しゅっぱぁつ!」
他のみんなは見送りです。
「ぼくもつれていってよう!」としげるくん。
「だめだよう! きみはすぐ、あ・ば・れ・る・か・ら・ねー」
ぞうとらいおん丸の船員は歌いながら、航海をつづけます。
そしてついに、海の真ん中へ。
鉄のつりざおにみみずを20匹つけました。
すると、突然、白い波の上に山のような黒い背中が浮かび上がりました。
くじらが、はじめてみるみみずに食いついたのです。
そして、鉄の棒にも食いつきました。
船員との綱引きです。
「ぼくたちは強いんだ!」
船員たちは力一杯棒を引っ張りました。
くじらは少しずつ引っ張り寄せられ、船のお腹によこづけになりました。
それは、とても大きくて船には乗せられません。引っ張っていくことにしました。
くじらはまだ鉄棒をくわえています。
「それは食べられませんよ」
「ちぇっ! つまらない」
くじらは、怒って背中から塩水を吹き上げました。
「しょっぱいよう。びしょぬれだぁ」
くじらは大笑い。

くじらは、まだ〜

「もう、くじらを捕まえたから、帰るとしよう」キャップテンがいいました。
そのときです。
黒雲が空にひとつ現れたかとおもうと、空じゅうに広がりました。
「あらしだ!」
大粒の雨・風が「ぞうとらいおん丸」襲い、大波は船をひっくりかえしてやれとばかり暴れます。

さて、「ぞうとらいおん丸」はいったいどうなるのでしょう。
嵐の中でも平気なものがいました。
……

ちこちゃん(略)
やまのこぐちゃん(略)
おおかみ(略)
やまのぼり(略)

いやいやえん
しげるくんは、朝から、顔も洗わず、洋服も着ず、ごはんも食べないで、昨日お父さんが買ってきてくれた「赤い自動車」が気に入らずぐずっていました。
「黒いのと取り替えてきてよう」
その間にお姉さんもお父さんも出かけてしまいました。
「保育園にいくじかんですよ」
お母さんは、しげるくんを引っ張って保育園にいきました。
「いやだい!」
しげるくんは、入ろうとしません。
はるの先生は、お母さんにいいことを教えてくれました。
「いやいやえんにいらっしゃい」
こうして今日は「いやいやえん」に。
そこには、おばあさん先生がいました。
「1時にお迎えにきてください」
「ここのドアは1時にならないとあかないのだよ。それまで、好きなことしておいで」
「泣きたけりゃ、お泣き、けんかしたけりゃ、けんかするもよし…」
部屋の中をみると、積み木やお人形、ボールなどが散らばっています。そして、エプロンかじっている子、指をしゃぶっている子、何にもしないでしゃがんだままの子がいます。
しげるくんは、足もとの積み木で汽車をつくりました。

「一じにならなきゃ〜

すると、胸にMの字をつけた子が、
「おい、どけろ、ぼくのだぞ」といいました。
「ぼくがつくったんだぞ」
その子は乱暴にしげるくんをつきのけると、汽車で遊びはじめました。
しげるくんは、おばあさん先生にいいました。
「ぼくの積み木をとっちゃったよ」
「あの子、欲張りだからね。いやいやえんじゃ、かえすのいやな子は、返さなくていいんだよ」
しげるくんは、Mちゃんのところへいくと、汽車をけっとばしました。
ふたりは大げんか。

「痛むかね?」おばあさん先生が聞きます。
「うん」
「じゃあ、注射でなおそうかね?」
「注射なんていやだあ。いたくないよ」
しげるくんはあわてて逃げました。

次は。おかたづけです。でも、おにごっこが始まりました。
「いやいやえん」は大騒ぎ。
……
やっと1時になって、お母さんが迎えに来ました。
「また、あしたもおいで」とおばあさん先生。
「いや、もう、こない」
「そうかい、残念だこと」
「ちゅーりっぷ保育園のほうがずっと面白いよ」





読み聞かせのポイント

この本にも書いてあるように、幼児にとって「字ばかり」の本を読んでもらうことは、自分たちの成長の証しです。
だから少々威張ってもいいのです。
それは少し小さい子にとっては憧れでもあります。
絵本をたっぷり読んでもらった子はスムーズに移行することができます。
ただし無理は禁物。
絵本との間で行きつ戻りつがいいでしょう。
全7編ありますが、最初の「ちゅーりっぷほいくえん」さえ先に読んであげれば、後はどこからでも読めます。
長さに応じてわけて読んであげればいいですね。

絵本 いやいやえん
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆ほいくえん、ようちえん絵本
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中川李枝子 作:大村百合子 絵 福音館書店

初版年月日:1962年12月25日 ISBNコード:4-8340-0010-9

180ページ 22X16cm 定価1260円(本体1200円 + 税60円)

通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円 + 税60円)
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