きつねにょうぼう

絵本 きつねにょうぼう

絵本 きつねにょうぼうの表紙です

絵本 きつねにょうぼう
◆年齢◆
読んであげるなら5〜6才から。
自分で読むなら小学校低学年から

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆ほいくえん、ようちえん絵本


長谷川 摂子 片山 健 

初版年月日:1997年12月 福音館書店

ISBN:483401293X  ISBN13:9784834012934

44ページ 31X21cm 定価1365円(税込)

通常版はこちら!  定価1365円(税込)
「えほんおじさんセット」はこちら!  セット価格1565円(税込)

「えほんおじさんセット」って?
季節の日記、えほんおじさんのノートなどがついてくるセットです。
くわしくはこちら!





『ててっこうじの てての田は 
 一ぽん うえれば 千ぼん
 ……
 ずっぱらめ ずっぱらめ』

こう歌いながら、「かか」は、ひとりで田植えをしました。

人間以外のものとの結婚をするお話を異類婚姻譚(いるいこんいんたん)といいます。人間以外のもの、異類とは、天女・精霊・妖怪など観念的なものから動植物まで、それこそ人間以外のすべてといってもいいくらいです。最も多いのは、動物。象・熊・虎・狐・犬・猿から、鳥類の鷲・鶏、は虫類のワニ・ヘビ、そして魚類の鮭などです。植物ではヤナギ、月見草や木の精などです。
こうした異類婚のお話は、世界じゅうの神話・伝説・昔話に伝えられています。
この異類婚は大きく二つのタイプに分けられるように思われます。
ひとつは異類との自由な移動(結婚)を語るタイプ《1》と、もう一つは結婚自体は破局を迎えたり(つるにょうぼう)、結婚の結果富を得たり、生まれた子がやがて国を建て王となったりするタイプ《2》です。これらはいずれも人間と大自然の関係を語っており、昔話においては区別できないほど複雑化している場合もあります。
《1》のタイプでは、異類は人間の姿になるさい、異類の毛皮をまるで衣服を着たり脱いだりするようにまとっています。また、人間社会に異類のままやってきているのに、だれもその奇妙さにふれることなく、ひとりの人格として語られたりします。
《2》のタイプでは、人間社会との間にははっきりとした境が見えます。その多くは、人間に本当の姿を見られたときに破局がきます。そうした異類は、自然の力を背景とした隠れた「異能」をもっており、物質的な繁栄をもたらします。異類と結婚する男女にもなにかしら「異能性」が感じられます。つまり選ばれたもののところにやってくるのです。
異類のもつ異能性は、大自然のもつ二面性(凶暴性や聖性と富をもたらしてくれるもの)を語っているものと思われます。

さて、
この絵本「きつねにょうぼう」は《2》のタイプですね。
選ばれたもののところにやってくる点が少し見えにくいです。でも男は貧乏ですが、山の田んぼで懸命に働いていますし、女を快く泊めてやりますから、選ばれても不思議はないですね。

女が富や経済的繁栄をもたらすという点は、以下のように結末部分に明瞭です。

山に帰ったのち、その年の田植えのとき、早朝「かか」は、ひとりで歌いながら田植えをします。
『ててっこうじの てての田は
 一ぽん うえれば 千ぼん
 ふかずとも こめと なるように
 つかずとも
 しろい こめと なるように
 ほは いずとも
 ずっぱらめ ずっぱらめ』
こう歌いながら植えた稲は、「ばかげによきでき」で、穂はでないのに、穂のあたりが大きくふくれていました。そして、刈り取ってふくれた穂のところから、「まっしろい こめが ざらんざらん」なんぼでも出てきます。

夫婦の破綻
「かか」がもうここにいられないと山へ帰る決心をしたのは、3つにる「ててっこうじ」にしっぽを見られたからです。口承文芸(昔話・神話・伝説)は厳格なんですね。
夫や子どもにさえ気を許さなかった「かか」が、「しっぽをだす」きっかけは、あまりに見事に咲いたつばきの花盛りに、機織りの合間ふと「うちながめ」てしまったからでした。(「見るな」といっていたのに、見られたからというのが一般的ですね)
ここらあたりは、いかようにも想像力を働かせることができる場面ではないでしょうか。


こうして、男と「ててっこうじ」は、楽に暮らせるようになり、「いつもぴんしゃんとげんきであったそうな」「いちご さけた どっぺん」。昔話は、ここまででお終いですが、世界の神話ですと、むしろこのお話は前段で、「ててっこうじ」は長じて王の始祖となる場合が多いのです。こういう生まれだからこそ、王となる資格がある訳です。
こうして考えてみますと、この昔話は、タイプ《1》の異類(自然)との自由な移動(結婚)の観念を引きずっており、その考え方を背景としているように思えます。

《絵本の愉しみ》
この絵本の大きな魅力はなんといっても「つばきの花盛り」の見事さです。「うちながめ」てしまったその場面の絵は、まるで額に入った(窓枠を額のように描いています)一枚絵のように描かれています。画集を見ているようです。
また、この絵本には、四季がとても美しく描かれています。シッポシッポと降る雨の夜の暗さと、その真っ暗ななかに、一点だけともる灯りののようにいとしげな若い女が男の後をつけてきます。この場面は後の「かか」が暗いうちに田植えをする場面とも重なっています。「ててっこうじ」が生まれたその夏の庭。その庭や周りはには、オニユリが咲き、トンボやセミが飛んでます。稲わらの黄金色とその脇にそっと咲く彼岸花、稲わらとまっしろな米、そして雪に覆われる「ててっこうじの家など。
そしてもうひとつ圧巻なのは、いとしげな若い女の立ち姿や田んぼの畔でおっぱいをやる姿と対比して、沈む夕陽を背に「グェーン」とひとなき、きつねに変身する場面のその落差の美しさです。

この絵本は「つるにょうぼう」と双璧をなす、美しくも野性味あふれる傑作絵本ではないかと思います。





内容紹介です

『むかし あるところに、びんぼうな ひとりもんの男が あった』
『シッポ シッポと あめのふる ばんがた やまの田んぼから かえってくると、うしろから ついてくるものが ある』

『ふりかえってみると、』

いとしげな若い女でした。旅姿の若い女は暗くなったから、男の家に泊めてもらおうとついてきたという。
「…ごっつぉも ないが、それで いいけや とまるがええ」
「なじょうも とめてくだされや」

それは いとしげな〜

ところが、ひと晩ふた晩泊まってもいっこうに出ていく様子がなく、くるくるとよく働きます。
「おまえは よう はたらいてくれるが、いったい どういうつもりだ」
そう男がききますと、女は、
「おらを おまえの かかにしてくれや」といいました。
「おらどこは みてのとおり、なんにもない びんぼうもんだ」と断りましたが、女が「なじょうも かかにしてくれ」というので、ふたりは夫婦になりました。

ふたりのあいだに男の子が生まれて「ててっこうじ」と名付けました。

ててっこうじが三つになったある春の日のこと。
朝早くからとっつぁは山の田んぼに出かけました。
「お前は後から、昼めしをもってきてくれや。ててっこうじもつれてな」
かかは昼までひとしごとと、
「ピッチャン ハッチャン」と機織りに精を出していましたが、ふと目をあげて、外をみると、つばきのはなざかりでした。それがあまりに見事だったので、ついうっとりしていました。

それが あんまり〜

そこへ、ててっこうじがとっとこかけてきて、
「かかのしっぺたから、でっこい しっぽがぶらさがっとる」
と声をあげました。
「もう この家にはおられん」
かかはててっこうじを抱き上げこんな歌をうたいました。

『ほんに かわいや ててっこうじ
 かかは お山に かえるぞな
 ……
 きょうから かかは おらねども
 とと と おまえが まめなよに
 かかが まもってやるすけに 
 いっぺ まんまくって おおきくなれや
 いっぺ あそんで おおきくなれや
 ほんに かわいや ててっこうじ』

そうして、かかはくるっとしっぽをひとまわしすると、
きつねの姿になり山へ帰っていきました。

かかがいなくなった後、とっつぁはひとりで田をうち代かきをしました。いよいよ田植えとなった日の朝のこと。
まだ暗いうち、山の田んぼの方から歌が聞こえてきました。

『ててっこうじの てての田は
 一ぽん うえれば 千ぼん
 ふかずとも こめと なるように
 つかずとも
 しろい こめと なるように
 ほは いずとも
 ずっぱらめ ずっぱらめ』

とっつぁと、ててっこうじは山の田へ飛んでいきました。
すると。かかが、かかの姿で田植えをし、もう終える頃でした。
それから、かかはててっこうじにお乳をのませると、
「グェーン」とひとなき、山にとんでいってしまいました。

秋になりました。
ててっこうじの山の稲は……





読み聞かせのポイント

この絵本は、少し遠くから見て美しく、野性味あふれていますので、集団読み聞かせにもってこいだと思います。
内容も人間の根源について想像力をいかようにも働かせることができますから、対象は幼児から大人まで幅広く読むことができます。
読み方にも工夫はいらないでしょう。
歌の部分は詩のように読むか、歌うかは自由です。

絵本 きつねにょうぼう
◆年齢◆
読んであげるなら5〜6才から。
自分で読むなら小学校低学年から

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆ほいくえん、ようちえん絵本


長谷川 摂子 片山 健 

初版年月日:1997年12月 福音館書店

ISBN:483401293X  ISBN13:9784834012934

44ページ 31X21cm 定価1365円(税込)

通常版はこちら!  定価1365円(税込)
「えほんおじさんセット」はこちら!  セット価格1565円(税込)

「えほんおじさんセット」って?
季節の日記、えほんおじさんのノートなどがついてくるセットです。
くわしくはこちら!





関連絵本はこちら!

●再話者 長谷川摂子さん関連図書
「めっきらもっきら どおんどん」 降矢なな 画
「きょだいな きょだいな」 降矢なな 絵
「おっきょちゃんとかっぱ」 降矢なな 絵
「かさ さしてあげるね」 西巻茅子 絵
「うーら うらら はるまつり」 くさばなおみせやさんごっこ 沼野正子 絵
エッセイ
「子どもたちと絵本」

●画家 片山健さん関連図書
作・絵
「タンゲくん」
「おなかのすくさんぽ」
・コッコさんシリーズ
 「おやすみなさいコッコさん」
 「コッコさんのともだち」
 「コッコさんのおみせ」
 「コッコさんとあめふり」
 「コッコさんのかかし」

「むぎばたけ」 アリスン・アトリー 文  矢川澄子 訳
「もりのてがみ」 片山令子 文
「いいことってどんなこと」 神沢利子 作
「たのしいふゆごもり」 片山令子 文
「ぼくからみると」 高木仁三郎 文
「どんぐりかいぎ」 こうやすすむ 文
「ゆうちゃんのみきさーしゃ」 村上祐子 作
「ながれぼしをひろいに」 筒井頼子 作
「アマガエルとくらす」 山内祥子  文
童話・さし絵
「森に学校ができた」 きたむらえり 作
「森の学校のなかまたち」 きたむらえり 作

◇同じジャンルの絵本はこちら!

絵本 よみたいききたいむかしばなし 1のまき ねこのおんがえし のページへ

よみたいききたいむかしばなし 1のまき ねこのおんがえし

絵本 絵本 つるにょうぼう のページへ

絵本 つるにょうぼう

絵本 むかしむかしとらとねこは…中国のむかし話より のページへ

むかしむかしとらとねこは…中国のむかし話より

絵本 絵本 ももたろう のページへ

絵本 ももたろう



◇同じシチュエーションの絵本はこちら!

絵本 ようい どん のページへ

ようい どん

絵本 ロボット・カミイ のページへ

ロボット・カミイ

絵本 絵本 はははのはなし のページへ

絵本 はははのはなし

絵本 あしたてんきになあれ のページへ

あしたてんきになあれ




知っていましたか?日本の絵本の90%はホンモノではないんです。
えほんおじさん アメリカのNASAが教育に取り入れた絵本を知っていますか?
絵本1冊を描くのにかかる年数は?

絵本の読み聞かせ暦30年。
絵本の知識は日本屈指のえほんおじさんだからこそ選べる1冊を あなたにお届けします。
何か質問がありましたら、ご遠慮なくどうぞ!

質問!
FAXでのご注文お支払い方法

◆FAX:086-281-6857
FAXは、これをプリントアウトしてくださいね。


郵便代引、金融機関へ振り込み、クレジットカードの3種類からお選びいただけます。

    メリットデメリット
郵便代引・到着が早い
・銀行に行くなどの手間がかからない
・手数料が250円かかる
・1冊だと、時間指定ができない
金融機関へ入金・手数料が安い・振り込み確認後の発送なので、多少遅くなる(※1)
・金融機関へ行く必要がある(※1)
クレジットカード・手間がかからない・カード会社様に確認後の発送なので、多少遅くなる
※1 ネットで決済の場合、これらのデメリットはなくなる上、手数料も安い場合が多いので、特にお勧め!です。

お客様がEバンク銀行の口座を持っていらっしゃる場合、手数料は無料ですよ!

返品交換配送について
全国一律250円(税込)
配送先一ヶ所につき2,500円以上ご注文いただいた場合、
送料は無料です!
◆万一商品が破損・汚損していた場合商品の配達後10日以内にメール、もしくはFAXにてご連絡ください。この場合の送料は当社で負担いたします。
質問プライバシーの保護
質問! ◆「えほんのくに きび」では、お客様の個人情報であるお名前、ご住所、お電話番号等をいっさい外部にもらすことはございません。プレゼント等に関しても同様ですので、安心して応募してくださいね。

Trackback on "きつねにょうぼう"

このエントリーのトラックバックURL: 

"きつねにょうぼう"へのトラックバックはまだありません。

Comment on "きつねにょうぼう"

"きつねにょうぼう"へのコメントはまだありません。

コメントする

コメントする
(HTMLタグは使用できません)
ブラウザに投稿者情報を登録しますか?(Cookieを使用します。次回書き込み時に便利です。)
  •  
  •  

Copyright 2004-2007 えほんのくに きび 「えほんおじさんのぶろぐ:きつねにょうぼう」ページトップへ。