くつなおしの店

絵本 くつなおしの店

絵本 くつなおしの店の表紙です

絵本 くつなおしの店
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


アリスン・アトリー 作:こみねゆら 絵:松野正子 訳 福音館書店

初版年月日:2000年06月20日 ISBNコード:4-8340-1680-3

56ページ 22X20cm 定価1260円(本体1200円 + 税60円)

通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円 + 税60円)
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お話紹介ではあらすじしか書いていませんが、この童話は細かいところがとても鮮明ないいお話です。

こんな素敵なお話を聞くと、毎日が楽しくなりますよね。

(1)妖精に出会うということ
昔の人には、「妖精」はいたるところにいました。小さい子には今でもそこら中にいますね。作家佐藤さとるさんは、日本にはいないかと探して「コロボックル」を見つけました。日本最古の書物、古事記にも「スクナヒコナ」という小人がオオクニヌシの国作りを手伝います。
「妖精」は幸運をもたらすだけではありません。いたずらものだったり、災難さえもたらししてきました。北欧の「トムテ」もそうでした。だから、決められた日に、決められた場所に、「妖精」の好きなものを置いておくと、幸運はもたらされ、それをおろそかにすると、人はいたずらされることもありました。このお話でもちょっとそんな雰囲気があります。『…部屋全体が驚きと、喜びと、おそれとで、息をのみました』

(2)「もの」には力があり、「もの」はみずからを主張する
このお話は「赤いモロッコ革」が隠れた主人公ですね。ニコラスじいさんが、市で見つけたとき、おそらくその革に吸い寄せられたのではないでしょうか。
それにしても、なぜアンは、足が治り、どんどん健康になっていったのでしょう。
それは「もの」には、それ自体ある種の力があるからですね。その力を引き出す願い(ジャックのアンへの思い)と、秀でた腕に出会ったとき、本来の力を発揮したのだと考えられます。それが反対に働いたときには「ものの怪」となります。そして「もの」は利用しつくされなければ、みずからの主張をやめません。アンに靴をつくったあとの、小さなきれはしは、「小さな炎のようでしたし、暗いところでは真珠貝のよう」でした。そのことを感じたじいさんは気を変え最後まで腕を尽くします。だから、その小さな赤い靴は明るく輝いて、それにもっともふさわしいものを呼び寄せるのです。アンを健康にし、役割を終えた赤い革は、さらに多くの妖精を呼び寄せました。

こうした(1)や(2)のものごとに対する構えは、とりたてて珍しいものではありません。現代でも子どもは持っているし、ずっと昔の人びとには普通の生活倫理でした。





内容紹介です

『…この小さな家や店は、三百年間、こうして、このバッキンガムシャーの通りにたっていて、今もそっくりそのままです。これは、その中の一つ、くつなおしの店のお話です』

となりのパン屋のとなりの、ブリキ屋に、ポリー・アン・スノウとお母さんが住んでいます。アンは、足の具合が悪くて、ときどき何週間もベッドで寝ていました。

くつなおしの店はとても小さくて、一階には部屋が二つ、仕事部屋と台所、二階には屋根裏部屋が一つありました。そこにニコラス・トビーと孫のジャックが寝ます。
じいさんは、一日中仕事部屋に座って、ブーツやくつを直しました。くつなおしにたくさんお金を払う人はいません。じいさんは名人でしたが、ずいぶん貧乏でした。

そんなある日、
「来週、アンの誕生日なんだよ。あの子に軽い靴を作ってあげてくれない?」
「やわらかい靴がいるんだよ。ぼく、1シリングあるんだ。ね、ね、おじいちゃん」
通りの向こうを小さなアンがぴょこんぴょこんはねていくのが見えました。
「考えてみよう」

市の立つ日、じいさんは町に出かけ、バラのように赤い革を見つけました。それは、ビロードのようにやわらかくて、ダマスク・ローズのようにいいにおいがしました。素敵なモロッコ革でした。
「ジャック、どうじゃ、これは?」
「うわあ、あの子、うんと喜ぶよ。だけどおじいちゃん、小さすぎない?」
「だいじょうぶ、なんとかうまくつなぎ合わせてみよう」

ジャックが赤い革を〜

新しい靴をつくることはほんとうにすばらしい。
その晩、じいさんは見事な腕で赤い部屋履きを一足作りました。
「ちょびっと残ったね、これどうするの?」

ジャックが赤い靴を持って行くと、アンは泣き出しそうなほど喜びました。アンの足にぴったりだったし、具合の悪い足がとても楽になりました。
ある日、アンが赤い靴をはいて店にやってきました。
「こんなちっちゃい革が残ったんだ。もう何も作れないだって」
「お人形の靴になるわ」アンが言いました。
「ほんとだ、人形の靴だ。おじいちゃん作ってよ。ねえお願い」
「人形のくつをつくるほどわしゃおちぶれとらん」
でも、店を閉めるとじいさんは気が変わりました。
満月の光が窓から差し込んで、仕事台のうえの革は小さな炎のようでした。革を手にすると、暗いところでは真珠貝のようでした。
じいさんは真夜中すぎまでおきて靴を縫いました。仕事部屋はいつもより明るくて手元がよく見えました。仕事をするじいさんの頭の中では、美しい音楽がなっていました。

次の朝。
「どうじゃ?」

「どうじゃ?」と〜

「おじいちゃん! こ、これ妖精のくつだ!」
こうして赤い小さな靴は窓際につるされました。

《人形のくつ。手作り。2シリング6ペンス。妖精にぴったり》

店の前を通り過ぎる人はみんな、じいさんの腕をほめましたが、靴を買う人はいません。
夜が来て、小さな靴は窓際で明るく輝きました。
二人が眠ったあとも、この小さな家は一晩中はっきり目をさましていました。この小さな靴をめぐってざわめいていたのです。
クモたち、ネズミたちは親戚や友だちを呼び集めました。
「クモの女王さまのくつだわ」「ネズミの女王さまのくつだ」
「ガの女王さまのくつよ」
ガも靴のまわりを飛びながらしずかな声でつぶやきました。

そのとき、ドアの下から小さい男がもぐりこんできました。
部屋全体が驚きと、喜びと、おそれとで、息をのみました。
窓の外には、大勢の小さい人たち。なかの小さい男は、
「…赤いくつは魔法のくつだ。…野バラの実の色、ふんわり軽いぞ…くつ、くつ、くつ、妖精のくつ」
と、歌いながら部屋中をおどりました
(ここらあたりが表紙絵になっています)
次の日、
「だれも店に入ったものはいない。けど、あのくつはなくなった」
おじいさんはもう50回も近所の人たちに言っていました。

さて、小さいアンは、新しい靴を履いていました。あのくつをはいた日から足は良くなり始めたのです。ほっぺたはバラ色になり、青い目はいきいきとかがやいていました。
「あのね、ジャック。あたし、どんどん大きくなっているの。赤いくつ、あたしにはもう小さくなってしまったの。で、あの小さなくつのこと何かわかった?」
「ぼくとおじいちゃんは知ってるんだ。これは怖い話なんだよ。ぼくは見たんだ。牧場で羊の毛をさがしていて…」
「それは妖精だわ」
「ジャック、私の赤いくつで、小さいくつをもっとつくってって、たのみなさいよ」
……
これが、くつなおしの店にやってきた幸運でした。
それから、おじいさんは、妖精たちが小さな赤い靴の替わりに棄てていった、コウモリの羽とネズミの皮を使って、小さな財布ひとつ作りました。その財布はけっしてからっぽにはなりませんでした。

アンとジャックはすっかり大きくなりました。
じいさんは、あのちいちゃな「妖精の財布」を、二人の結婚祝いのプレゼントにすると言っています。





読み聞かせのポイント

このお話の背後にある感性は、子どもたちには非常に近しいものです。
子どもたちはこういったいいお話が大好きなことは間違いありません。
でも、自分では手に取らないのは「文字」というハードルがそこにあるからです。
ですから、そっと差し出してあげるか、それでも自分で読もうとしないなら、読んであげればいいのです。
「小さなはぎれの赤い革はどうなるの」といったあたりからは、読んでもらうのも待ちきれなくて、自分で読むことになるでしょう。

絵本 くつなおしの店
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おやすみの前に絵本


アリスン・アトリー 作:こみねゆら 絵:松野正子 訳 福音館書店

初版年月日:2000年06月20日 ISBNコード:4-8340-1680-3

56ページ 22X20cm 定価1260円(本体1200円 + 税60円)

通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円 + 税60円)
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関連絵本はこちら!

●作者アリスン・アトリー関連図書
「ラベンダーのくつ」 大島英太郎 絵  松野正子 訳 「むぎばたけ」 矢川澄子 訳:片山健 絵 
「時の旅人」 松野 正子 訳 小学生高学年向き 岩波少年文庫
「妖精のおよめさん」 三保みずえ/訳 ユノセイイチ/絵 評論社
●画家こみねゆらさん関連図書
「トトコのおるすばん」 こみねゆら/〔作)ハッピーオウル社
「さくら子のたんじょう日」  宮川ひろ/作 童心社
「妖精のくる午後」 コーザ・ベレリ/文 こみねゆら/訳・絵 偕成社
●訳者松野正子さん関連図書
「もう おきるかな?」 薮内正幸 絵 福音館書店 
「ふしぎなたけのこ」 瀬川康男/え 福音館書店
「かさ」 原田治/え 福音館書店
「こぎつねキッコ」 梶山俊夫/絵 童心社
「こぎつねコンとこだぬきポン」 二俣英五郎/画 童心社
「こうさぎけんたのたからさがし」 かまたのぶこ/絵 童心社
「かくれんぼうさぎ」 古川 暢子 絵 文研出版
「ギルガメシュ王の物語 全3冊」 ルドミラ・ゼーマン 岩波書店
「思い出のマーニー上 ・下」 ジョーン・ロビンソン/作岩波少年文庫
「ラベンダーのくつ」 大島英太郎 絵  松野正子 訳
「時の旅人」 アリソン・アトリー/作 岩波少年文庫

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