もりのへなそうる

絵本 もりのへなそうる

絵本 もりのへなそうるの表紙です

絵本 もりのへなそうる
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本


渡辺茂男 作:山脇百合子 絵 福音館書店

初版年月日:1971年12月01日 ISBNコード:4-8340-0298-5

160ページ 22X16cm 定価1365円(本体1300円 + 税65円)

通常版はこちら!  22X16cm 定価1365円(本体1300円 + 税65円)
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てつたくんの想像をみつやくんも共有し、森という自由空間のなかで、ふたりの共通化されたイメージをさらに自在に変容させていく、
そんな想像(ごっこ)遊びの世界に、読者の子どもも一枚加わることができます。

子どもの世界
「へんなどうつぶ・へなそうる」はどこから生まれてきたのでしょうか?
お兄ちゃんのてつたくんは、5才、幼稚園に行っています。すでにいろんなものは、「たまご」から生まれることを知っていますし、絵地図さえ書くことができます。恐竜も知っていますし、森にはあらゆる生きものがいることも知っています。
そもそもは画用紙に丸を描いたものを「たまご」だといったことにはじまります。そのたまごを、弟のみつやくんが「た、が、も」といったことから、「たまご」が強くこころに刻まれました。
ふたりは森へ探検にでかけました。探検ですから、いつもよりたくさんものごとを見ようとします。しかも森には日常では発見できないものまでたくさん存在しています。
そうした条件下ですから、「ふたりが手をつないでもひとまわりできない」ほどの、大きくて太い木の、反対側には、きっと何かがいます。だから、ふたりは、そろそろ、どきどきしながら(みつやくんはお兄ちゃんのズボンにつかまって)、反対側にまわってみます。
期待のとおり、ふたりは、そこに「でっかい、しましまのたまご」を発見します。(おそらくこうでないと「発見」はないでしょうね)
そこで、てつたくんは、「でっかい」ので、恐竜のたまごかもしれないと思い、「なわ」で捕まえようと考えました。
どころが「なわ」を取りに帰ると、お母さんに、
「きょうりゅうの子ども二ひき」は捕まえられてしまいした。

遊びの続き
その日は、たまごを隠して(秘密ですという立て札をたてて)、「なわ」を取りに帰ったために、お母さんに捕まって、森にはいけませんでした。
次の日、てつたくんは幼稚園にいるあいだに、あれは「恐竜の卵」であると確信し、どんな恐竜か、一生懸命想像を巡らせていたのでしょうね。
ふたりが森にいくと、思ったとおり、それは「顔はかばのよう、首はきりんそっくり、背中からしっぽにかけてとげとげ、太いしっぽは地面にまで伸びて」いる恐竜のようなどうぶつでした。
でも、それはどこか「へんなどうぶつ」でした。

共同なる想像遊び
みつやくんは、「恐竜」を知りません。
でも、でっかい怪獣「ゴジラ」はしっていました。
お兄ちゃんから恐竜は大昔のどうぶつで、「顔はかばで、首はきりん…」と教えられたのでしょうね。
だから、ふたりは「へなそうる」という共通なイメージをともにすることができました。そしてみつやくんは、そんな姿形ならきっと「ぎっこん ばったん」もできると、さらに遊びを膨らませることもできました。
もちろん、兄弟のイメージはどこかずれているはずですよね。
「かにとり」の章では、「へなそうる」と兄弟との、イメージのズレの面白さが描かれます。
「へなそうる」は見たこともない「かに」というものに恐怖感やとんでもないイメージを描きます。
このように、イメージはずれていても、子どもは、瞬時にイメージを修正したり、膨らませたり、変容したりして、共通なる想像遊びを繰り広げていきます。
これこそ、教えようにも教えられない、「想像力」を身につける方法なのではないでしょうか。想像力とは、イメージを浮かべる能力ではなく、イメージを変容する能力のことなのですから。

ことば・幼児語(音)の面白さ
この本が、年長から小学生低学年の子を引きつける、もうひとつの理由は、「みつやくん」と「へなそうる」の話し言葉の音ですね。
てつたくんは、いちいちその幼児語を修正してあげます。
たとえば、みつやくんが、「ひっぽあぱま!」といえば、すぐに「しっぽにあたま」と直していきます。
幼児期を抜けようとする子どもにとって、これは成長の自覚ですね。それは、小さい子(みつやくんやへなそうる〈体はでかいですが〉)へのやさしさになって現れます。
しかし、その幼児語は、その音の面白さや奇妙さによって、既成イメージまでも変容させる力を持っています。
こうした幼児語がなければ、はたして、てつたくんがここまでイメージを大きくできたかどうか疑問ですね。
しょっぴる」をもっていく森と、ピストルをもっていくその森とは、違うのではないでしょうか。「たがも」だったから、「へんなどつぶ」だったからこそ、「へなそうる」は出現したのではないでしょうか。





内容紹介です

てつたくんは5才、みつやくんは3才、みつやくんはまだ幼稚園に行ってません。
でっかい たがも
ある日、兄弟は、絵を描いて遊んでいました。
「これは たまご です」とてつたくん。
みつやくんも、丸い輪を描いて、
「これは たがも です」といいました。
「た、ま、ご」
「あっ、た、が、も か」とみつやくんはいいました。

てつたくんは地図を描きました。
「そうだ!このちずもって、たんけんにいこう」
ふたりは、お母さんに作ってもらった、サンドイッチをリュックに入れ、森へ探検にでかけました。
ぬきあし さしあし行くと、象やライオンが出てきました。でもふたりは追っ払ってしまいました。

「さあ、こんどは、たからものを さがそうぜ」とてつたくん。
「うん、こんどは、たらかものを さがそうぜ」とみつやくん。

ふたりが、太い木の周りをまわると、

「でっかい たまごだ!」
「うわあっ、きれいな たがもだ!」

てつたくんの背の高さほどある、赤と黄色のしま模様のたまごでした。

「でっかい たまごだ!」

「しまうまのたまご?」
しましまのたがもだね」
「もしかしたら、とらのたまご?」
「うん、もしかしたらのたがもだね」

てつたくんは、地図の裏に字を書いて看板をつくりました。

『ここに だいじなものが かくしてあるから、だあれも みちゃいけません。ひみつです。 てつた・みつや』

こうしてふたりは、たまごを草や葉っぱで隠し、サンドイッチを食べながら、何のたまごか考えました。

「もしも、恐竜のたまごだったら、捕まえるのに縄がいる」

いそいでふたりは取りに帰りました。

「恐竜たいじ!」「恐竜たいじ!」
ところが、
「恐竜の子ども二ひき捕まえた! この恐竜たちは、床屋さんにいけなければなりません!」
ふたりは、お母さんに、捕まってしまいました。

へなそうる
次の日。てつたは幼稚園から帰ると、
兄弟は、
「恐竜たいじ!」「恐竜たいじ!」と、
お母さんに頼んで、おにぎり三つずつ作ってもらい、森にでかけました。
昨日の大きな木を、そろそろまわりました。
すると、たまごのあったところに変なものがいます。

顔はかばのよう、首はきりんそっくり、背中からしっぽにかけてとげとげ、太いしっぽは地面にまで伸びています。
おまけに、体は赤と黄色のしま模様。

「へんな どうぶつだ!」
「へんな どうつぶだ!」

「へんな どうつぶだ!」

すると、変なものは、
「ぼか、へんなどうつぶだ じゃない。
 ぼか、へなそうるの こどもだい!」といいました。
こうして仲良くなった三人は、おにぎりを二つずつ食べました。
「ああ、ぼか、ほんとうにおいしかった。でも、おにぎりなんて、二つしか食べたことないな」と、
まだ欲しがるへなそううるは、リュックに首を突っ込みました。
ところが、頭にリュックがはまりこんで取れなくなってしまったのです。

「ぼか、どうひたも? ぼか、どうひたも?」
「たふけて!たふけて!」

へなそうるは、あちらへよろよろ、こちらへごろり!
ふたりは、声をあわせて、

「へなそうる こちら、てのなるほうへ!」

へなそうるは、へたへたと座り込んでしまいました。
てつたくんが、リュックを取ってやると、
「ああ、ぼか こわかった!」とへなそうる。
みつやくんは、
「こんどは、きったんばっこんしょう! ぼくがさ、ひっぽに のるでしょ。おにいちゃんが あぱまに のるでしょ」
へなそうるも、
「ぎっこんばったん ひっぽあぱま!」といいました。
それから、メリーゴーランド、すべりだい。そしてとうとう夕方になってしまいました。

かくれんぼ
(略)

かにとり
(略)

こうして、てつたくんとみつやくんとへなそうるは、思う存分遊んで、体じゅうどろんこになりました。





読み聞かせのポイント

絵本から童話へ橋渡しの本。5才児に読んであげると、共感を呼び、登場人物たちに一枚加わることになるでしょう。
幼児期を抜けようとする子には、ここにある想像(ごっこ)遊びに加わりつつも、かつての自分をそこにみることでしょう。
幼児後半の子には、章ごとわけて読んでやったらいいですね。
小学生には、目につくところにこの本を置いておくと、読んでもらった心地よさを思い出しながら、自分で読むかもしれませんね。

絵本 もりのへなそうる
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き。

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本


渡辺茂男 作:山脇百合子 絵 福音館書店

初版年月日:1971年12月01日 ISBNコード:4-8340-0298-5

160ページ 22X16cm 定価1365円(本体1300円 + 税65円)

通常版はこちら!  22X16cm 定価1365円(本体1300円 + 税65円)
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