絵本 むぎばたけ

絵本 むぎばたけ

絵本 むぎばたけの表紙です

絵本 むぎばたけ
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才向き
自分で読むなら小学校低学年向き


◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本



アリスン・アトリー 文:矢川澄子 訳:片山健 絵

編集・発行 福音館書店
発売 福音館書店

初版年月日:1989年07月10日 ISBNコード:4-8340-0325-6

40ページ 22X25cm 1470円(本体1400円+税70円)


通常版はこちら!  定価1470円(本体1400円+税70円)

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小さいけものってたいていそうらしいですが、ハリネズミは夜になると月夜の冒険にくりだします。

ひそやかに繰りひろげられる小さいけものたちの世界を楽しみましょう。
(1)この絵本の見どころは、月夜の美しさと、月夜が誘ううきうきした散歩気分ですね。1枚目の画像をご覧下さい。
こんな美しい月夜には、ハリネズミは「旅人の歌」を鼻歌まじりに、散歩に出かけます。「月夜のたびに、少しずつ延びるムギをみたくなる」からでした。
「今夜は、空のランプが明るいねえ」
月夜の明かりは、チカチカしていないし、ぎらぎらしたおっかない明かりでもなく、目にこたえることもありません。
「あんなにすばらしいランプが空にあって、ただで世界じゅうてらしてくれているのに、明かりをつけっぱなしだなんて、まったく気が知れないよ。人間のすることって…」
「月は、そのまも、くまなく銀色にてりわたり、三びきのすすむかたわらには、くろぐろとした三つのかげがならんでいくのでした」
ノウサギの若者が一匹、月明かりのなかを駆け足でいったりきたりしていました。
「やあ、お若いの。なんでそんなにせかせかしてる?」
「月夜のせいだよ。こう明るいと飛び跳ねたくなってね。とまれないんだ、ごめんよ!」
そして、三人は「むぎばたけ」に到着します。
(2)もうひとつの見どころは、お月さまが空から見守る広い「むぎばたけ」です。(2枚目の画像参照)
「すらりと延びたコムギがいちめんに、見渡す限りはたけをうめつくしています。それがまるでささやいているようなのです」
「だけど、何いってんだか、わしにゃわからん。ハリ公なにいってるんだ」
「なんだかぼくには、歌みたいに聞こえるんだ。ほら、そう思って聞いてごらん」
三人は、それぞれの耳に手をかざし、幾千幾万の声がさやさや歌う、ムギ穂の合唱に聞き入りました。
お気づきでしょうが、この絵本の文章は、情景や心情を細かく表現しています。月夜の散歩をしたことがあったり、広大なむぎばたけを見たことのある人には、絵がなくとも、文章だけでイメージを創ることができそうです。その場合、へたをすると絵本の絵と、読者のイメージとのズレが起こりやすくなります。だからこそ絵本の絵は、この世界を、説明ではない、文章では表現できにくいもので読者を支えなければなりません。

片山健さんの絵は、月の明かりの感じや周りの風景や空気感、そして三人の性格、しぐさなど、私たちがイメージしにくいところまで絵にしてくださっており、大いに助けられます。
特に、全くこのような体験ができなくなった現在では、まるで本当に体験したみたいに感じさせてくれます。暖かい月夜の草原や牧場のようすなど、はじめてこの絵本で体験できることも多いはずです。



内容紹介です

『あたたかい、かぐわしい夏のゆうべ。空にはお月さま。星が二つ三つ。そのひかりに、丘のはらっぱは、いちめん青じろい銀のシーツをひろげたみたいでした』
「お月さんのランプに
 お星さんのロウソク
 夜ごとはるばる
 さまよう おいら」
「コケのじゅうたんに
 お日さんのだんろ 
 やねは生け垣だよ
 そこが おいらのねぐら」
ハリネズミが一匹、ぶらぶら、かすかな声で鼻歌をうたいながらやってきました。旅人の歌です。背中の針に夜風がさわやか。
このハリネズミは、夜ともなれば目をさまし、月夜の冒険にくりだすのです。草むらの小道を、あらゆるものの気配をかぎ分けながら、うきうきと進んでいきました。
木戸のあるところにさしかかると、低い桟(さん)にもたれているノウサギのジャックじいさんに出会いました。
「やあ、じいさん、けいきはどう?」
「ハリ公、あんた、どこへいく?」
「ちょっと、あっちの畠まで。ムギの延びるところを見たいんでね。ムギって、お月夜のたびに、少しずつ延びるんだぜ」
「わしも付き合うよ。なんか変わったことでもないかと思っていたんだ」

お月さんのランプに お星さんのロウソク〜

「今夜は、空のランプがあかるいねえ」ハリネズミがいいました。
ながすねのジャックは、こまたのハリネズミに、ゆっくり歩調を合わせます。
「あのランプはほっとする光だもの。農場のチカチカする懐中電灯や、自動車のぎらぎらしたおっかない明かりみたいに目にこたえることもないし」
「まったくだ」
二人は小川をわたりました。
水ぎわに、カワネズミが一匹、暗い流れに足を浸しています。
三びきはつれだっていくことになりました。
しっとりとつゆのおりた草地を抜け、真珠のようなしずくでのどを潤しました。スイカズラとノイバラのあまいかおりがします。ハリネズミは例の歌を小声で口ずさみました。
小高い丘にゆきついて、みんなは足を止めました。

かがやくコムギ畠が広がっています。

目の前にかがやくコムギ畠がひろがっています。なにかこう、見えない手でなでられてでもいるように、それはかすかにそよいでいました。おびただしいムギの穂のさやさやという美しい音楽が、伝わってきました。
さながら海の響きでした。幾千幾万の声の、ひそひそとささやきかわすおしゃべりでした。
「これが好きでねえ。毎晩のように、ここまでくるんだ」
ハリネズミがいいました。
「だけど、何いってんだか、わしにゃわからん。ハリ公なにいってるんだ」
「なんだかぼくには、歌みたいに聞こえるんだ。ほら、そう思って聞いてごらん」
「ぼくらは グングングン
 おいしいパンに なるために
 そだつよ グングングン
 だいちのめぐみを すって
 ぼくらはコムギだ
 ……」
三人は息をのんでムギ穂の合唱に聴き入りました。
「ムギって生きてるんだね。ぼくたちみたいに」とハリネズミ。
こうして三人はまわれ右して帰り道につきました。
「取り入れ月までに、また三人していってみよう。じゃおやすみよ」
ちっちゃなカワネズミは、まだながいこと小川に腰掛け、水の音に耳かたむけ、ムギのささやきを思い出していました。







読み聞かせのポイント
おそらく、読者である子どもたちは、この絵本で、多くの新しい言葉やその使用法に始めて接することになると思います。言葉の美しさを堪能させてあげることも読み聞かせのポイントです。ですから、その言葉をかみしめるようにゆっくり読んであげるといいですね。

絵本 むぎばたけ
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才向き
自分で読むなら小学校低学年向き


◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆おでかけしよう!絵本


アリスン・アトリー 文:矢川澄子 訳:片山健 絵

編集・発行 福音館書店
発売 福音館書店

初版年月日:1989年07月10日 ISBNコード:4-8340-0325-6

40ページ 22X25cm 1470円(本体1400円+税70円)


通常版はこちら!  定価1470円(本体1400円+税70円)

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「長ぐつをはいたねこ」 ハンス・フィッシャー 文・絵
「おばけリンゴ」 ヤーノシュ 文・絵
「ハイジ」 ヨハンナ・シュピーリ 作  パウル・ハイ 画
「若草物語」 ルイザ・メイ・オールコット 作  ターシャ・チューダー 画
●画家片山健さん関連図書
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 「コッコさんのおみせ」
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「ながれぼしをひろいに」 筒井頼子 作
「アマガエルとくらす」 山内祥子  文

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