おばけリンゴ

絵本 おばけリンゴ

絵本 おばけリンゴの表紙です

絵本 おばけリンゴ
◆年齢◆
読んであげるなら5、6才向き。
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆ファンタジー絵本
◆くしんぼう絵本

◆シチュエーション◆
◆特になし


ヤーノシュ 文・絵:矢川澄子 訳 福音館書店

初版年月日:1969年03月31日 ISBNコード:4-8340-0185-7

32ページ 29X21cm 定価1260円(本体1200円 + 税60円)

通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円 + 税60円)
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「こころを込めて祈ると、ものごとは実現する」というのは真実ですが、
しかし、その実現したものに、私たちは拘束されるというのも真実ですね。

さて、この絵本は、考えれば考えるほど、複雑で奥深いお話のようなのですが、正直、私にはよくわからないのです。

(1)おばけリンゴはいったい何を象徴しているのだろう
願いは実現して小さなリンゴの実がなりますが、ワルターは、大事に大事に世話をやきます。そしてあと一日あと一日、取らないでいますと、リンゴは巨大な「おばけリンゴ」になります。これは、願いの実現(この願いは元々大きなものではありませんでした)と欲望の肥大化?(見張りをずっと続けなくてはならなくなります)を言っているのでしょうか。

(2)ばけものリュウ
いきなり国じゅうを荒らす悪者リュウが登場します。ところがリュウは、秘密警察が取りあげて運ばれたおばけリンゴをのどに引っかけて死んでしまいます。リュウとは何者なのでしょうか?

(3)王さまと秘密警察
始まりは「むかし、あるところに…」となっていますが、このお話は昔話ではありませんね。リュウは国じゅうを荒らすので、人びとは夜も寝られません。昔話なら、王さまは家来、あるいは自分の軍隊を呼びます。ところが、ここで呼ばれるのは、秘密警察です!!
王さまは、手段を選ばずやっつけろと命令します。この命令場面の絵は少し怖いです。まるで巨大な真っ赤なリンゴの上に乗っかっているかのような背景に、王さまは右手を挙げ、指さしします。指には金の指輪、その顔は憎しみに満ちています。昔話の王さまはこんなに怖くありません。(文章の方は昔話のせりふそっくりですが)
秘密警察は紳士然としていますが、縦縞の黒のスーツが不気味です。王さまも秘密警察もとてもこの国の人びとを心配しているとは思えません。その証拠に、「つべこべいうと許さぬぞ、王さまの命令だ」とワルターから、リンゴを強制的に取りあげます。ここのところのお話の運びだけが妙にシリアスですね。
(ワルターはつべこべいうつもりはありませんでした。こちらはユーモラスだし、おばけリンゴを運ぶ秘密警察は急にユーモラスになってきます)
この絵本の複雑さ奥深さは、作者ヤーノシュさんが、1931年、ポーランド生まれ、7年間鍛冶屋の工場で働き、ドイツ・ミュンヘンで絵を学んだとありますから、当時のドイツ・ポーランドの政治情勢から来ているのではないでしょうか。

しかし、子どもにはそんなことは関係ありません。問題はこの作品が、子どものこころを捉える(普遍性を獲得している)かどうかにあります。

たった一本しかもっていないリンゴの木に一度も花も咲かないとすれば、ワルターのように誰でも願うでしょうね。
(だからスムーズにお話のなかへ入ることができます)
その願いは、ほんの小さなものですし、心を込めていますから、かなえられるのが当たりまえです。花が咲いたときには、ワルターはぴょんぴょん飛び跳ね、子どもたちもいっしょにうれしくなります。だからいそいそと木の世話をします。リンゴは日に日におおきくなります。ワルターがなかなか取ろうとしないのも納得できます。
もっとリンゴを大きくしたいと、やはりだれしも思うのではないでしょうか。巨大化は、ワルターの世話の結果ですから何の不思議もありません。ただそれにしてはリンゴは大きくなりすぎました。リンゴを持てあますワルターの気持ちも、子どもたちにも理解できるでしょう。
こんな「おばけリンゴ」は巨大リュウしか食べられません。そのリンゴは役にたちました。めでたしめでたしです。
ちょっと苦い経験をしてしまいましたが。
だからこんどは、「籠にはいるくらい、ふたつでいい」と祈ります。
このように、このお話は、子どもにとっては、リンゴは出来るか、どこまで大きくなる?、そんな「おばけリンゴ」は、はたしてどうなるか?とドキドキするお話ですね。





内容紹介です

『むかし あるところに、ワルターという びんぼうな おとこのひとがいました。ワルターは、リンゴのきを いっぽん もっていました』

木の葉も幹も丈夫なのに、この木にはまだリンゴがなったことがありません。春になるたびに、悲しくなります。よそのリンゴの木はみごとはなざかり。ワルターの木には花ひとつありませんでした。

秋になると、よそのリンゴの木をうらやましくながめました。
それで、ある日、こう祈りました。
「ひとつでいいからリンゴがなりますように」

うんと心を込めましたので、この願いは叶えられました。
春の夜、リンゴの木に白い花がひとつ咲きました。
ワルターは大喜び。昼も夜もいそいそと世話をしました。

あくるあさ、ワルターは〜

夏になると、花は小さな実になりました。ワルターはうれしくてうれしくて。
「ほんとに、すばらしい まいにちでした」

やがて秋が来て、リンゴは日増しに大きくなりました。
でももぎませんでした。あと一日あと一日。
みんなは言いました。
「や、や、や!なんて大きなリンゴ。でもいつかはたべなきゃね。リンゴは体にいいんだからな!」

ワルターは、あるひ〜

とうとうワルターはリンゴを取って市場へ運ぶことにしました。リンゴはあまりに大きくて、汽車に乗せられません。ワルターはリンゴをおぶって歩いていきました。その重かったこと!
でも、どんなに高く売れるか楽しみでしたので、がんばりました。

ところが、いっこうに売れません。あまりに大きいのでリンゴだと信じてもらえなかったのです。しかたなくおばけリンゴをおぶって帰りました。
ワルターは毎日リンゴのばんをしました。
でも、「ほんとに、なさけない 毎日でした」

もう、死んでしまいたいほどでしたが、おかしなことになったのです…。

このころ、一匹のリュウがこの国を脅かしていました。リュウはいやらしい緑色をした八本足のばけもの。とんでもない大食らいで、国じゅうの作物を荒らし回っていました。

王さまはとても心配して、秘密警察を呼び命令しました。
「リュウをやっつけるんだ。上手くだまして追っ払え!」
……





読み聞かせのポイント

ユーモラスでちょっと怖い昔話風物語絵本です。
リンゴはなるのだろうか、「おばけリンゴ」はどうなるのだろうかという興味が物語をどんどん引っ張っていきますので、ほとんど工夫はいらないでしょう。控えめに読んであげるだけでいいと思います。

絵本 おばけリンゴ

絵本 おばけリンゴの表紙です

絵本 おばけリンゴ
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◆ファンタジー絵本
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ヤーノシュ 文・絵:矢川澄子 訳 福音館書店

初版年月日:1969年03月31日 ISBNコード:4-8340-0185-7

32ページ 29X21cm 定価1260円(本体1200円 + 税60円)

通常版はこちら!  定価1260円(本体1200円 + 税60円)
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「つるにょうぼう」 赤羽末吉 絵
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