ロシアの昔話

絵本 ロシアの昔話

絵本 ロシアの昔話の表紙です

絵本 ロシアの昔話
◆年齢◆
読んであげるなら5・6才から。
自分で読むなら小学校低学年から。

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆特になし


内田莉莎子編・訳 /タチヤーナ・A・マブリナ絵  福音館書店

初版年月日:2002年06月20日 ISBNコード:4-8340-1807-5

416ページ 13X17cm 定価998円(本体950円 + 税48円)

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ロシアの昔話は、お話がどれも壮大で、力強く、思いもよらないことが次々おこります。

物語の面白さはロシア昔話が一番かもしれません。

昔話について(1)
昔話にはそっくりのお話が世界中に広がっています。あるお話を世界地図の上におくと、そのお話の分布図をえがくことができます。
たとえば日本昔話で有名な「かにむかし」は、フィリピンにいくと、「柿」の替わりに「バナナ」を取るお話になりますし、他にも「つるにょうぼう」「三枚のおふだ」などは、このロシアの昔話にもそっくりなところが出てきます。また、たとえばこの本の最初のお話「魔法の馬」は見方によっては、男性版「灰かぶり=シンデレラ」といってもいいかもしれませんし、そもそも、灰かぶりのお話は、中国が起源だという説もあります。「おおかみと7ひきのこやぎ(グリム)」のロシアバージョンもあります。
どうしてこんなに似ているかということについては、二つの説があります。ひとつは同時発生説ともうひとつは伝播説です。
同時発生説というのは、人間は同じような心性をもっているので、お話が同時にあちこちで生まれたというもの。伝播説は人の移動にともなって、お話を運んだというものです。
私は、そのどちらもとも考えないで、むしろ昔話の基礎には「神話」があり、その神話が「文芸」となったものと考えています。それはおそらく人類の発生と同時で、最初は、歌も言語も区別できないものだったと考えています。それは現生人類が世界中に広がるとともに分布したものだろうと思います。人間は「神話」という「物語」でものを考えていたのでしょう、子どもが物語でものを考えるように。
そうして、「神話」が、その骨格(文法ーこれについては他の昔話絵本の解説参照ください)やモチーフを残したまま、人間の楽しみの為に語られはじめて、「昔話」に転化したと考えられます。このころには現生人類はあちこちに土着しますから、その土地土地の自然環境を織り込んで(ここで多様な昔話がうまれる)いったのではないかと思っています。

昔話について(2)
神話と昔話がその根本において共通していることは、人間と自然の関係の了解(自然の力に対する畏怖の念が残っている)の仕方です。熊や狼、狐、鳥などの主人公が活躍し、人間との関係では同等の扱いがされ、自然の力に耳をすます主人公が、幸せになります。
昔話は大きく分けると、魔法(本格)昔話と動物昔話にわけられます。(笑い話などは、さらに文芸化したものと考えますので省きます)
魔法昔話の「魔法」は、いわば自然力を極端に、抽象的に物語形式として表現したものであって、その心性の背後には自然力への畏怖の念が存在しています。
動物昔話は、この本では、「つるとあおさぎ、まぬけなおおかみ、ねこときつねなど」のことで、それらが、ことばをしゃべり、思考し、行動する昔話のことです。この昔話でも、動物は人間と同列に扱われています。

ロシアの昔話の特徴
動物昔話が多く、どれも動物たちがいきいきしています。その特徴がよく捉えられているところをみると、人間といっしょに生きてきたことがよくわかります。特に16の「ねこときつね」、22の「はいいろおでことやぎとひつじ」は、ねこが、その知恵でオオカミをやっつける話。猫はロシアでは賢い動物の典型だったのでしょうかね。
魔法昔話は、どれも本格的で、長いお話が多いようです。構成は複雑だが、骨格はどれもきちんとしてしています。(再話がいいのかもしれない)

ババヤガーとはなにものか
なんといってもロシア昔話で目立つのは、ババヤガーです。魔法昔話にはほとんど登場します。
住んでいるところは、ロシアの辺境の地で森の入口、小屋。小屋はおんどりの足の上に建って、くるくる回っている。姿は骨の一本足、突き出た歯、鼻は天井につかえるほど。おばあさん。鳥と関係がある。(ババヤガーの白い鳥)風を集める。魔物・怪物の正体、魔法の力をよく知っている。一人ではなく、姉が二人いたりするから何人もいるのかもしれない。人を食べる。子どもをさらう。主人公を助ける。示唆を与える。マリア姫の母親だから、マリア姫もババヤガーということになる。(33、どこかしらんが、そこへ行け、
なにかしらんが、それをもってこい)
ババヤガーは人間世界のはじっこ、境にいて、その向こうは大自然、むこうの国です。そして人間と魔物の中間的存在で、魔法の力をもち、他の魔物のことをよく知っているので、魔物とたたかう人間の手助けができるが逆に、子どもをさらったり、人を食べたりもします。
ロシア昔話の魔法はババヤガーに代表されているようです。そうすると、ババヤガーの性格から、魔法の力の源泉は自然力にあることがよくわかります。自然は人間にとって、あるときは災害をもたすこともありますから。

他のキーワード
「イワン」「朝は夜よりいい知恵がでる」「死の水といのちの水」「変身ー鳥は地面にぶつかって、若者、姫に変身する」「風も人格をもつ」





内容紹介です

1、魔法の馬
むかし、ある年寄りに三人の息子がいました。
上の二人はおしゃれでしたが、下のイワンは何の取柄もなくて、好きなことといえば、森にきのこを採りにいくくらいでした。
やがて年寄りは、「わしが死んだら、三日のあいだ、一人ずつ夜中にパンを、墓にもってきておくれ」といって亡くなりました。
ところが、上の二人はイワンにばかりいかせました。
三日目、きっかり夜中12時、お父さんがおきあがり、言いました。
「わしのいいつけを守ったのはお前だけだ。いいかね、ひろい野にでて大声で叫ぶのだ。『魔法の馬、ふしぎの馬、わたしの前に立て! 』とな。すると一頭の馬が駆けてくる。そうしたら、馬の耳の中にもぐりこんで左の耳から這い出して来い。立派な若者になれるだろう」
イワンはくつわを受け取ると、家に帰りました。
さて、ちょうどそのころ、王さまが、「若者はみな宮殿前にあつまれ」とおふれをだしました。一人娘うるわし美し姫が、12本の柱に12段の丸太をくんだ塔をつくらせ、自分は塔のてっぺんにすわり、馬にのったまま、いっきにとび上がり、唇にキスする若者を待つというのでした。もしそれをやりとげたら、姫の夫にむかえ、国の半分をやるという。
それを聞いた兄弟は運だめしにいくことにしました。
……

2、うさぎのなみだ(略)

3、まぬけなおおかみ
お百姓は、犬を飼っていましたが、老いぼれになったので、森の木につないだままかえってしまいました。そこへおおかみがあらわれました。「お前の家にはよく行ったが、そのたんびにおれさまを追っ払った。いままでのお返しだ。まるごといただくぞ」
「やれやれ、なんとばかなおおかみなんだ! いまのおれの肉ときたら、くさった丸太みたいなものさ。いいことを教えてやるよ。上等な馬の肉をもっといで。わしを太らせるんだ。それからってことにすりゃいいってことさ」
……

4、ババヤガーの白い鳥
むかし、お百姓とおかみさんがいました。ふたりには、マーシャという娘とワーニャという息子がいました。
ある日、両親は用事で町にでかけました。
「マーシャ、ワーニャのお守りを頼んだよ」
ところが、マーシャは遊びにいって、帰ってみると弟がいません。
白い鳥が何羽もやってきて、ワーニャを連れ去ったのです。
あちこち探しましたが、どこにもいません。マーシャは泣き出しましたが、自分が悪かったのですから、自分で見つけなくてはなりません。マーシャは鳥の飛んでいった方へ、どんどん走っていくと、野はらの真ん中にペチカがたっていました。
「ペチカ、ペチカ、教えてよ。白い鳥はどっちへ飛んでいったかしら?」
「薪をくべて、あったたかくしておくれ、そしたら教えてあげよう」
次には、リンゴの木に聞き、ミルクに聞き、またいくと、ハリネズミに会いました。ハリネズミは転がり、ついていくと一軒の小屋まできました。
それは、にわとりの足の上に立った、ババヤガーの家でした。
ババヤガーは糸を紡いでいました。弟は小屋の前で、金のリンゴで遊んでいます。
それでマーシャは弟を引っ張って逃げ出しました。
しばらくしてババヤガーは、ワーニヤがいないのに気づき、
「急げ、白い鳥ども、おいかけろ」
……

6、かえるの王女
むかし、たとえようのない立派な三人の王子をもった王さまとお妃がいました。一番下の王子はイワン王子といいました。
あるとき、王さまは、三人の王子にいいました。
「思い思いに矢を放ち、落ちたところの娘と結婚するのじゃ」
一番上の王子は公爵の娘、二番目は商人の娘。ところがイワンの矢は泥沼に落ちて、一匹のかえるがくわえました。
イワンはいやがったけれど、王さまは、それがお前の運命だと結婚させました。
さて、王さまは三人の王子をよんでいいました。
「柔らかい白パンをお前たちの妻に焼いてもらいたい」
イワン王子は、しょんぼり自分の御殿に帰りました。
かえるの妻はいいました。
「どうぞ、お休みください。ひと晩ねればいい知恵も浮かぶっていいますもの」
イワン王子を寝かしつけると、かえるは皮を脱ぎ捨て、美しい王女、かしこいワシリーサ姫に変わりました。
……

7、マーシャとくま(略)

8、空をとぶ船
むかし、三人の息子があって、末っ子はばかでした。
あるとき、王さまからおふれがまわりました。
《空をとぶ船をつくったものには、王女をよめにつかわす》
上の二人は、運試しにいくことになり、たくさん食べものをもって出かけました。末っ子には黒パンだけでした。
ばかはどんどん歩いていくうち、ひとりのおじいさんに出会いました。
「どこへおいでかな」
「空を飛ぶ船をつくったものにはお姫さまをくれるっていうからね」
「そんな船作れるのかね」
「いいや、神さまがどうにかしてくれるよ」

9、小鳥のことば
小鳥のことば(予言)の分かるワシーリーが、王子となるお話。

10、かますのいいつけ
おじいさんの三人息子がいました。末っ子はエメーリャはばかで、まるで働かず一日中ペチカの上に寝そべっていました。
ある日、兄さん達のみやげが欲しくて、水くみにいきました 水くみに行ったエメーリャは、カマスを一匹つかまえました。
「わたしを放して下さい。きっと役にたちますから」
「うそじゃないところを見せたら放してやろう」
《かますのいいつけ おらの望み》っていえばいいことを教わりました。…

11、白いかも
美しいお妃と結婚したばかりの、殿様は、遠くへ旅にいかねばならなくなりました。その留守中、ひとりの女がやってきて、お妃をだまし、お妃を白いかもに変えてしまいました。
その女は魔女だったのです。魔女はお妃の着物を着、身繕いをして王さまをまちました。王さまは魔女と気づきませんでした。

12、イワン王子とはいいろおおかみ
むかし、おこりっぽいワシーリー王がいました。三人の息子があって、上の二人は気位がたかく、うぬぼれや、末っ子のイワンは優しく陽気で正直ものでした。
王は庭に金のリンゴがなる木を持っていました。
ある朝、調べると金のリンゴが3つたりません。そこで三人の息子を順番に見張りさせることにしました。最初と次の夜は、ヒョードル王子と、ピョートル王子でしたが二人ともぐっすり寝込んでしまい金のリンゴは盗まれました。
三日目の夜はイワン王子。何時間もまっていると、あたりいちめん赤くなりました。火の鳥が飛んできたのです。
王子は飛びつきましたが、火のくちばしでつつかれ、ひるんだその隙に、さっと逃げてしまいました。
王は怒ってどなりました。
「いますぐ世界中を巡って火の鳥を見つけてこい」
イワン王子は泣きましたが、火の鳥を探すたびにでました。

13、おおきなかぶ(略)

14、雪むすめ(略)

15、動物たちの冬ごもり
牛が森を歩いていると、羊にであいました。
「やあ、羊くん、どこへ行くんだい」
「寒い冬はいやだから、夏を探しにいくところさ」
二人が連れだって行くと、ブタ、ガチョウ、おんどりに出会いました。みんな夏を探しにいくというので、みんなで行くことになりました。「どうだい、みんなで小屋をたてようや」と牛はいいました。
ところが、羊は、「毛皮があるから、冬をこせるさ」、ブタは地面に埋まっていればいい、ガチョウもおんどりも羽があるから冬はこせるといって、小屋作りを手伝おうとはしません。
牛は小屋を建て暮らし始め、やがて冬がきました。
すると、羊がやってきて、中に入れてくれといいます。

16 ねこときつね
あるところにお百姓がいて、猫を飼っていました。ところがこの猫手の付けられないいたずらもの。お百姓はある日、森へ猫を追い出しました。猫は森をうろついて、森番の小屋の屋根裏に住み着きました。そして小鳥やねずみを掴まえて、暮らし始めました。
さて、ある日、猫が散歩していると、きつねに会いました。
きつねは猫を見たことがありませんでした。
「あなたはどなたです? お名前は? 」
「わしは、シベリヤの森から派遣されてきた、この森の管理人。名はねこ山山太郎だ」それを聞いた、きつねは、猫に結婚を申し入れました。

17 魔法の指輪(略)

18 おんどりとまめ(略) 

積み重ね話

19 金のとさかのおんどりと魔法のひきうす
あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいて、ある日エンドウ豆を食べていると、そのひとつを落としてしまいました。そのエンドウ豆はどんどん伸びて天まで届きました。おじいさんが登ってみると雲の上に、金のとさかのおんどりと金の挽き臼がありました。もらってきて金の挽き臼を回すといくらでもパンケーキが出てきました。ところがある日、殿様がやってきて、挽き臼を盗んでいってしまいます。そこで、金のとさかのおんどりは、挽き臼を取り戻しに出かけました。

20 金の魚
貧乏な漁師のおじいさんは、ある日金の魚を網にかけました。金の魚は海に帰してくれるなら、何でも望みをかなえてあげるといいました。おじいさんは望みは思いつけませんでしたが、おばあさんの望みは次々大きくなっていきます。

21 魔女と太陽の妹
とおいとおいある国の王さまとお妃には、口のきけないイワン王子がいました。ある日王子は、馬丁から「もうじき妹が生まれるが、その妹は魔女になって、みんな食い殺します。今すぐ一番いい馬をもらって逃げなさい」と聞かされます。それで、王子はあてのない旅に出ました。途中王子は、みんな命少ない「針子」「かしの木ぬき」「山ころがし」に出会います。王子は悲しみながらも旅を続け、やっと太陽の妹の御殿に着きました。太陽の妹は王子を息子のように世話してくれました。でも、ふるさとの様子が知りたくてたまりません。
ある日、太陽の妹に打ち明けると、「ブラシ」「くし」「若返りのリンゴふたつ」を持たせ、旅に出してくれました。


22 はいいろおでことやぎとひつじ
あるお百姓の家に飼われていた、はいいろおでこの猫は、クリームを失敬したため、おかみさんに、こっぴどく叩かれ、足が一本使えなくなりました。同じ家に飼われていたヤギとヒツジに泣きながらいいました。
「ごちそうを失敬された、替わりにヤギとヒツジを殺さにゃなるまいとおかみさんは言っている」
ヤギとヒツジは大いに怒りましたが、猫を許してやり、三義兄弟は、逃げ出すことにしました。


23、魔法のシャツ(略)

24、銅の国、銀の国、金の国
王さまは、お妃の金髪のナスターシャとピョートル、ワシーリー、イワンの王子とくらしていました。
ある日、すごいつむじ風が妃をさらってしまいます。
それで、三人の王子がお母さんを捜しにきます。

25、おおかみと子やぎたち
ロシア昔話バージョン

26、海のマリア姫
フョードル・ツガーリンには、三人の美しい妹がいました。両親の「最初に申し込んできたものと結婚させなさい」といいつけいうどおりに、三人の妹を「たか、わし、からす」と結婚させました。
一人になったフョードルは、自分の幸せを探しにでかけます。そして海のマリア姫と結婚しました。
ある日、マリア姫は留守のあいだけっして黒い物置だけは見ないようにといって、戦争にでかけました。
ところが、どうしても見たくなって、のぞいたところ、不死身のコシチェイを生き返らせてしまいます。そして海のマリア姫も奪われます。フョードルは、妹の夫の助けを借りて、再びマリア姫を取り戻そうとします。

27、ねことおんどり
あるところにおばあさんがいて、めうしとねことおんどりと暮らしていました。ねこもおんどりも楽しく暮らしていたのに、悪いいたずらをしてしまいます。
おばあさんはお仕置きをしました。
そこで、ねことおんどりは、腹をたて森に出て行くことにしました。
森に小屋をたて暮らし始めました。
ところが、ねこがでかけるたびに、小屋のおんどりをねらってキツネがやってきて、おんどりをさらっていきます。
そのたびに、ねこは取り戻すのですが。
おんどりときつねの歌い交わす歌が楽しい昔話。

28、海の王とかしこいワシリーサ
ある国に王さまとお妃が暮らしていました。二人にはまだ子どもがいませんでした。あるとき、王は旅にでました。留守中、妃はイワン王子を生みましたが、王さまは知りませんでした。
さて、王さまは帰りを急いでいました。厚い暑い日、王さまは喉がかわき、水が飲みたい、水のためならどんなものの惜しくはないと思いました。ちょうど大きな湖があったので、王さまは腹這いになって、水を飲みました。すると、いきなり、海の王が王さまのひげを掴み放しませんでした。
「何でも差し上げよう放してくれ」王さまはいいました。
「では、貴公の家にある、貴公のしらぬものをもらおう」
王さまは申し出を受けました。
家に帰り着き、かわいらしい赤ちゃんを見たとたん、王さまはかなしみにくれました。

29、牛の子イワン
子どものいない王さまと妃が、金色のひれを持つスズキをたべれば子どもが授かるという、同じ夢をみました。

30、うそつきやぎ
おじいさんが歌いかけると一頭のヤギはウソ歌で答える、歌で語る物語。

31、魔法をかけられた王女
ある兵士が長い間務めた王さまに、閑をもらって、故郷に帰っていました。ところが、途中、手持ちのお金もなくなりました。みまわすと、ちょうどそこに大きなお城があったので、働かせてもらおうと思って城を訪ねました。御殿にはいると、ご馳走があるのに誰もしません。兵士はお腹いっぱい食べました。
と、とつぜん一頭の熊は入ってきていいました。
「怖がらないで。私は魔法にかけられた王女なのです。もし三日三晩泊まってくださったら、魔法が消えます。そしたらあなたの妻になりましょう」

32、ふたりのイワン
お金持ちでけちの兄イワンと文無しの弟イワンがいました。
ある日、文無しイワンは、小鉢一杯の粉を北風に吹き飛ばされてしまします。怒ったイワンは北風を追いかけました。それで北風から魔法のテーブルかけをもらいます。
ところが兄にうまいこと取られてしまいます。
次にはお日さまから金貨を出すヤギももらいますが、これも兄さんに取られます。
最後に冬じいさんから袋を貰います。「二本、でろ」というとこん棒が出てきてぴしぴし殴ってくれるのでした……

33、どこかしらんが、そこへ行け、なにかしらんが、それをもってこい!
ある国に王さまがいました。その王さまにアンドレイという狩人が仕えていました。
あるとき、アンドレイは一日中森を歩いたのに、鳥一羽見つけられませんでした。アンドレは帰りかけましたが、ふとみると、一羽のキジバトがとまっています。アンドレイは鉄砲をうち、キジバトを落としました。
アンドレイが首をひねって袋にいれようとすると、
「わたしを殺さないで、連れて帰って窓辺においてくださいな。わたしが眠りそうになったら、たたいてごらんなさい。あなたはとても幸せになるでしょう」

アンドレイは言われたとおり、窓辺に置き見張りました。やがて、キジバトは眠りはじめましたので、ハトをたたきました。キジバトは転げ落ち、マリア姫に姿を変えました。 そうしてふたりは結婚しました。
ある日、マリア姫はいいました。
「あなたはずいぶん貧しいのね。なんとかいろんな色の糸を買ってきてくださらない? あとはわたしにまかせて」
アンドレは友達を渡り歩いてお金を作り、色とりどりの絹糸を買ってきて、妻に渡しました。
マリア姫は、
「さあ、もうおやすみなさい。朝は夕方よりかしこくなるっていいますもの」と言いました。
マリア姫は一晩中かかってじゅうたんをおりあげました。
翌朝、マリア姫はいいました。
「市場にこれをもっていってお売りなさい。でも、自分で値段をつけてはだめよ」
アンドレイが、市場にもっていくと、商人たちが寄ってきましたが、誰も値段をつけられません。そうして騒いでいると、大臣がやってきました。大臣はじゅうたんをみて驚き、一万でかってくれました。
大臣は御殿ににいき、王さまにじゅうたんをみせました。
「わしがもらう」
大臣はまた作らせばいいと思い、アンドレの家をさがしました。
マリア姫が戸をあけました。大臣の片足は敷居をまたぎましたが、もう一方の足が続きませんでした。だまりこんで何のためにきたか忘れてしまいました。
大臣は寝てもさめても狩人の妻のことが忘れられません。
それで王さまも狩人の妻がみたくなり、姿を変えてアンドレの家にいきました。ひと目で王さまも恋の虜になりました。
「お妃にこそふさわしい女だ」
こうして王さまと大臣はアンドレイを始末しようと、酒場のぼろをまとった酔っぱらいに教えてもらった難題をふっかけます。
「王さまの父王があの世でどうしているか、見てこい」
「地の果てのくにへやって、子守り猫をとってこい」
「どこかしらんが、そこへ行け、なにかしらんが、それをもってこい!」





読み聞かせのポイント

短い話や動物昔話もたくさん入っています。
これらはイメージもくっきり描けますので、5才前後でも読んであげられます。
魔法昔話はかなり長く複雑です。でも、構成がきちんとしており、こちらもイメージしやすいですね。
小学校低学年向きでしょうか。
お話がどれも壮大で、力強く、思いもよらないことが次々おこります。
馴れると物語の面白さはロシア昔話が一番かもしれません。

絵本 ロシアの昔話
◆年齢◆
読んであげるなら5・6才から。
自分で読むなら小学校低学年から。

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本

◆シチュエーション◆
◆特になし


内田莉莎子編・訳 /タチヤーナ・A・マブリナ絵  福音館書店

初版年月日:2002年06月20日 ISBNコード:4-8340-1807-5

416ページ 13X17cm 定価998円(本体950円 + 税48円)

通常版はこちら!  定価998円(本体950円 + 税48円)
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