しばてん

絵本 しばてん

絵本 しばてんの表紙です

絵本 しばてん
◆年齢◆
読んであげるなら5〜6才から。
自分で読むなら小学校低学年向き

◆ジャンル◆
◆むかしばなし絵本
◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
◆みんなでわいわいな絵本

田島 征三

初版年月日:1971年 04月 偕成社

ISBN:4032040508  ISBN13:9784032040500

32ページ 26x21cm 定価1050円(税込)

通常版はこちら!  定価1050円(税込)
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「しばてん伝説」を背景にした、今よりちょっと昔を舞台にした民話風創作話です。

ある村では、いたずら者「しばてん」に困って、暴れ馬の留吉を使って、彼方へ蹴飛ばしてしまいました。その直後その場に捨てられた「あかんぼう」を見つけました。村人たちは、そのあかんぼうを育てますが、大きくなるにつれて、相撲ばかり強い子に育ちました。太郎に投げられた者はしばらく足腰が立たなくなります。それは、「しばてん」と同じなので、村人たちは、太郎を追い出してしまします。

ある年のこと、村を飢饉が襲いました。太郎は、怪力によって、食べものをため込んでいる長者をこらしめ、それをみんなに分配するのを助けます。こんな活躍をしたにも関わらず、太郎は長者の倉を襲った犯人として、村人からひとり罪を着せられ、役人に連れて行かれます。太郎は二度と帰ってはきませんでした。

『人生をあゆみはじめて間もない人たちが、鑑賞者であり読者である絵本。深く考えれば考えるほど、絵本をつくる仕事に、重い重い責任を感じないわけにはいきません。絵本《しばてん》の中で、その責任を全身に感じながら、なおも、ぼくは、勇気をふるって、子どもたちにいろいろなことを語りかけようとしました。……絵本《しばてん》が、かれらの心の中で発酵して…』
と、作者は「あとがき」で語っています。

そんな作者の思いは、子どもたちに伝わるでしょうか?

「正義を成したものが、裏切られてしまう、それはとても悲しい」
絵本の文章だけを読むかぎりでは、このようなメッセージが直接訴えられます。いかにも、まっとうな正義感ですから、意味として意識領域に伝わることでしょう。でも、それだけでは、子どもの心の中で発酵するとは思われません。絵本は、文章と絵で構成されています。この作品が、子どものこころの中で発酵するためには、「絵」が心の奥(無意識、潜在意識)におりていっているかどうかが鍵を握ります。とりわけ、この作品では、「しばてん」や「たろう」の形象化やその物語に、いかに想像力を引き入れるかにかかっているように思います。
しばてんとは以下のような「もの」です。

《しばてん》
表紙絵をごらんください。顔から直に極太の手足がでています。これが作者のイメージ「しばてん」です。

『シバテンまたは芝天狗(しばてんぐ)は、高知県や徳島県に伝わる河童に近い妖怪、もしくは河童の一種(ウィキメディアよりhttp://ja.wikipedia.org/wiki/シバテン)』とのこと。ただ、河童と違って、頭のお皿と、手足の水かき、背中の甲羅がないとのこと。相撲が大好きなところは河童に同じようです。表紙の「しばてん」のイメージは、おそらく作者独特のもの(子どもが描く絵が参考になっている)でしょうが、高知県出身の作者が共同なる想像物として受け継いだ風土としてのイメージも同時に形象化されているのを感じます。なお、「しばてん」は、やはり芝天狗(小さな天狗)と河童が合体したイメージではないかと思われます。

「しばてん」は、一方で、力学的エネルギーをもっているが、それは、暴れ馬留吉の力学的エネルギーによって吹き飛ばされます。他方「しばてん」は、太郎という不思議な生命力をもつ子どもを村人に残します。この不思議な生命力をどのように使ったかが、この物語ですが、形象化された「太郎」もまた、様々に(場面によって太郎の姿はさまざま)描かれていますから想像力が誘発されざるをえません。

「しばてん」や「たろう」の本当の姿は、どのような「もの」で、どこへいったのでしょう。

文章の単純なメッセージにたいして、「絵」のほうは、力強い生命力をもつ、実にさまざまなイメージとして提供されます。そして、結句は、『秋祭りがくるたびに、村人たちは、「たろう」のことを思い出す。自分たちの心にいつからかすんでいる「しばてん」のことを思いながら』となっています。

たしかに、「しばてん」と「たろう」は、こんなふうにも子どもの心に住みつくことができます。だとしたら、ときを経て、その「不思議なもののけ」は、きっと、こころの中で発酵してくるはずです。





内容紹介です

むかし、ある村の村外れの道に現れては、
「おんちゃん、すも とろ」
と言って百姓を投げ飛ばす、相撲好きの「しばてん」がいた。
投げられた者は、足腰が立たなくなって、ひと月ものらに出られない。村中は困って、しばてんに、暴れ馬の留吉を見合わせることにした。ある晩、馬と気づかないしばてんは、「パカーン」闇の彼方へ飛ばされてしまった。それから夜道でしばてんに会った者はいない。

ところが、そのあとのこと、その村外れの道に、あかんぼうの太郎が捨てられていた。

『たろうは、なかない あかんぼうだった。ふんづけても、たにそこへ けおとおしても、けろりとしている』
けれども、その太郎が、馬の留吉を見たとたん、泣いた。
太郎の尻には、蹄の形の疵があったので、
「こいつは、しばてんの うまれかわりや」うわさされた。
太郎は村人たちに育てられ、相撲ばかり強いガキ大将になった。

時がたって、大きくなった太郎に投げられたら、しばてんと同じように、足腰が立たなくなった。村人たちは気味悪がって、太郎をえぼし山へ追い出した。それでも太郎は木の実や草の根を食べて生きていた。

ある年のこと、太郎は山をおりて、村へ行ってみた。
その年は日照り続きで、村人も食べ物がなくなり、少しの食べ物を奪いあっていたが、
「長者さまの倉には、米も野菜もありあまっとる」
ことを知ると、みんなで倉を襲うことにした。

けれども、村人たちは何も食べていないので、力がない。長者の番人が逆に襲いかかってきた。
そのとき、太郎が飛び出し、番人や長者を投げ飛ばした。
それで、村人たちはみんな腹いっぱい、楽しい日々が帰ってきた。そして、太郎もまた村に住むことになった。

そんな暮らしからしばらくたって、役人が村へやってきた。
「長者の倉の米俵を盗んだやつはだれだ」
村人たちはみんなふるえながら、考えていた。
「あいつは化け物だから……」

秋祭りがくるたびに、村人たちは、「太郎」のことを思い出す。自分たちの心にいつからかすんでいる「しばてん」のことを思いながら。





読み聞かせのポイント

「しばてん」や「たろう」がはっきりと目に見えたかたちで、帰ってこないので、非常に悲しい思いをするかもしれません。
最後の結句の部分と裏表紙で、示唆されていますので、あとは想像力で補う必要があります。
ただし、読み聞かせは、読み手のぬくぬくとした中にいて根っこのところで安心していますので、少々怖かったり、悲しかったりする作品でも聞くことは可能です。
それにしても聞き手の子どもの性格と年齢には、注意が必要でしょう。

絵本 しばてん
◆年齢◆
読んであげるなら5〜6才から。
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◆ジャンル◆
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◆ファンタジー絵本

◆シチュエーション◆
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田島 征三

初版年月日:1971年 04月 偕成社

ISBN:4032040508  ISBN13:9784032040500

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