花になった子どもたち

絵本 花になった子どもたち

絵本 花になった子どもたちの表紙です

絵本 花になった子どもたち
◆年齢◆
読んであげるなら6才以上から。
自分で読むなら小学校中学年以上

◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆ともだちとあそぼ!絵本


ジャネット・テーラー・ライル作 /市川里美画 /多賀京子訳

初版年月日:2007年11月 福音館書店

ISBN:4834021777  ISBN13:9784834021776

157ページ 20x1cm 定価1470円(税込)

通常版はこちら!  定価1470円(税込)
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母親をなくした、オリヴィア(9才)とネリー(5才)姉妹は、夏の間預けられたミンティーおばさんの庭で見つけた青いティーカップが、本棚から見つけた妖精物語に描かれた〈姿変えのまじない〉によって「花になった子どもたち」を救う〈とりけしの魔法〉のカップではないかと思い始めます。。

《オリヴィア(9才)とネリー(5才)はどんな子》
ネリーは図式的に描かれていますから、分かり易いです。
ネリーの頭の中には金文字の大切な決まりが星の数ほどありました。たとえば、着替えはまず靴下と靴をはき、下から順に着ること、階段は後ろ向きでのぼったりおりたりする、イスからおりる時は必ず自分でおりる、ぬいぐるみを自分の子どものように扱っている、お姉ちゃんにはまるで小さな女王のように振る舞うなどです。
もし、決まりを違えたり、待ってやれないと、すさまじく泣き叫びます。
自分の中に決まりをつくりその通りにいかないと腹をたてる、こうした気質は、だいたい3才児くらいの特徴ですね。一般的には、自立のはじまりで、物事を順番通り規則どおりにすることが、安心を生むのでしょうね。ところが、ネリーは5才にもかかわらず、このようなのは、母親に死なれたことによって、自分を「型」の中に入れないと、いつでも母体(自然)回帰してしまう恐怖、いいかえれば、もう帰れない現実と闘っているものと考えられます。
一方、オリヴィアはとても複雑です。9才、10才という年齢は、「意識」が芽ばえてくるころですね、物事を極めてリアルに捉え始めます。ですから、ミンティーおばさんのことをリアルな眼で見つめます。むぎわら帽子の穴のこと、それを被ったときのおばさんの髪の毛のこと、そして、周囲に対してとても敏感になります。
こんなこともありました。おばさんが歯医者さんにいって、そのままイスにすわろうとしてお医者さんに注意されたのを見て、オリヴィアはきまりがわるくなって連れだと分からないように離れた席に移ります。
このような年齢的なものに加え、オリヴィアは「母親役」を務めなければなりません。ネリーがパニックにならないように、いつも注意深く見守らなくてならないと思っています。また、寝ているときでも、ネリーがおしっこにいくときは起きてついていってやらなければなりません。とにかく、盗み聞きまでして、事態の進行を把握し、それらを常に意識していなくてはならないのです。
とはいえ、オリヴィアもまだ子どもです。寝室の天井に母親にいるところを想像し慰められています。思わず忍び泣きをすることもあります。9才・10才は子どもと大人の両面性をもつ、そのはじまりの時期でもあるのですね。

さて、このような姉妹が、ミンティーおばさんとその庭での生活で、どうのように変わっていくでしょうか。

《庭について》
庭という場は、むこう側(自然)とこちら側(文明・人間社会)をつなぐ中間領域、通路です。庭では自然の法則にしたがう植物生活が繰り広げられています。そういう「場」に人間は手を加えます。そして、それがうまくいったとき、美しい庭をつくりだすことができます。(参考 ミクロコスモス・ 中沢新一著 四季社)

庭は人間生活と自然界との接点であり、そこは人間化された自然ということになります。ですから、庭には元々、人間の側からは手のつけられない自然の勝手な生活もあります。

 この作品は「年取ったおばさんの古い大きな庭」で起こる出来事を描いています。ミンティーおばさんは、園芸家であったことを忘れないでおきましょう。

さて、先のミクロコスモス・は、こういっています。
「…庭園は詩によくにている。詩は、…自分が現実のなかに出てくる直前の、宇宙の全体性とつながりをもっていたときの、言語の状態というものを、つくりだそうとしているからだ」
子どもは天性の詩人だといわれますね。では、こうもいえるのではないでしょうか。子どもと庭はとてもよく似ていると。子どもというのは、むこう側からこちら側にやってきます。そして子ども時代はちょうど中間領域に位置しています。

この作品には、「妖精物語・花になった子どもたち」という話中話があります。その主人公はひねくれ妖精たちです。ひねくれ妖精たちは、庭が明るく美しくなっていることを忌み嫌います。こにように忌み嫌うのは、ひねくれ妖精が、人間化する自然を嫌っていて、そこを自然状態にもどしたいと思っているのではないでしょうか。庭で楽しくパーティ(文化や文明、成長や社会化を象徴する)をする子どもたちをみて、妖精のかしらは〈姿変えのまじない〉を使い、子どもたちを花に変えます。かしらは自然回帰のまじないをつかったものと考えられます。ちょうどその場に居合わせなかった一番下の小さい女の子がいました。この子は、かしらによって口をきけなくされ、さらに、かしらはこの子に〈とりけしの魔法〉を託します。そのとりけしとは、かしらが庭のあちこちに埋めたティーカップやポットを掘り出し、パーティを再現することでした。

このような妖精物語に、まだ自然からさして遠くないネリーが敏感に反応しないわけはありません。ネリーは花にされた子どもたちを救おうと熱心にカップ探しを始めます。ネリーにとって、それはいわば通過しなければならない、庭(通路)、すなわち「…スイセンは土の中で冬を越さなきゃ、春に花を咲かすことができないの」だからですね。ネリーにたいして、オリヴィアはどうでしょうか。オリヴィアはカップ探しに距離を取り始めます。ネリーのこと、事態の進行をじっと見ています。庭の自然法則をじっと見つめ自分を手入れする、つまり大人への入り口にさしかかった自分を静かに内省しているのではないでしょうか。

ところで、ミンティーおばさんとは、いかなる人なのでしょうね。あの小さな女の子? すべての仕掛け人? そうだとすると、子どもを持ったことがないのに、子どもは庭と同じだということを知っていたのかもしれません。





内容紹介です

『「どうしてもミンティーおばさんの家にいかなくちゃ、だめ? おばさんといっしょに住むなんて、無理よ。おばさんのところにはいきたくない」』
オリヴィアは9歳、妹のネリーは5歳。母親を亡くした姉妹は、夏の間、年取ったミンティーおばさんのもとにあずけられることになりました。お父さんは地方まわりのセールスマン、ほとんど家を空けていて、ふたりの面倒をみることができなかったのです。そこで二人を待っていたのは、『みすぼらしい麦わら帽子をかぶった』姿で、小柄な『まるで小鳥のように手足がほっそり』し、ささやくように小さな声で話すミンティーおばさんと、ほったらかしにされ草の生い繁った庭でした。
『ミンティーおばさんがネリーとうまくやっていけそうにないことは、すぐにわかりました』
ネリーの頭の中には金文字の大切な決まりが星の数ほどありました。ネリーの着替えはまず靴下と靴をはき、下から順に着ること、階段は後ろ向きでのぼったりおりたりすること、などです。もし、決まりを違えたり、待ってやれないと、すさまじく泣き叫ぶのです。
オリヴィアは、何も知らないおばさんが危険な穴に落ちる前に、すぐに飛び出していかなくっちゃ、といつも思っていなければなりません。
『台所の背の高いスツールからおりようとするネリーに』、おばさんは手を貸してしましました。『ネリーはたちまち耳をつんざく悲鳴をあげ、おばさんを強くおしのけました』
この日、おばさんはありあらゆる決まりを破って、ネリーの機嫌をそこない続けました。ふたりが寝る頃には、おばさんの顔色はすっかりなっていました、でも、おばさんはこちらのやり方に口をはさむつもりはなさそうでした。
こうしてこの家での生活に馴れていきました。おばさんにはひとつだけ諦めないことがありました。それは、いやがるふたりに友だちを紹介しようとすることでした。

本当にその花は、〜

ある日、おばさんはいいました。
『「ねえ、…ちょっとさがしものをしたいんだけど、てつだってもらえないかしら。貴婦人の上靴がどこかにいってしまったのよ」』
庭に出て、「貴婦人の上靴(レディ・スリッパ)」を探しているうち、オリヴィアはみごとに咲いているアヤメに感激していました。
『「不思議でしょう。きのう、そばを通りかかったら、花の子どもたちがね。ひそひそ話をしていたんですよ。〈時がきた〉といっていましたよ」』
『「花の子どもたちって、だれのこと」ネリーは大声でいいました』
『「だれって、妖精のことですよ」…』
『気にしないで、ネリー。うそっこなんだから」オリヴィアは妹が急に顔をこわばらせたのを見ていいました。

『「あら、ちょっとこれをごらんなさいな」』
『おばさんは、これを見て、というように小さなティーカップをかかげています。それは土にまみれていましたが、よごれをぬぐうと陶器のとても美しい青色がのぞきました…』
『古い庭では、ときどきこういうことがおきるんですよ。だれから落としてなくしたものが、何年もたってからとつぜん姿をあらわす、どこからともなく、昼の光の中へね』
この日三人は昼時までレディ・スリッパを探して庭を這い回りました。おばさんは、カタツムリやナメクジを見つけると、「立ち入り禁止」とさけんで、生け垣の向こうへ放り投げました。

ほどなくして、オリヴィアは、この家の無尽蔵に有る本の中からある一冊の本を見つけました。オリヴィアは本が大好きで、手当たりしだい読んでいたのです。それは、この家に昔住んでいた作家が書いた「妖精物語・花になった子どもたち」でした。

《花になった子どもたち》
『 むかしむかし、あるところに馬のかなぐつの形をした、美しい庭がありました』花壇には色鮮やかな花が咲き乱れ、鳥や小さな生きものがたえず遊びにやってきました。人びとは親しい友人同士でやってきて、誕生パーティを開いたりしました。ある夜、全身緑色したひねくれ妖精たちが庭に迷い込みました。あくる朝、緑の妖精たちはまわりを見てぞっとしました。この庭が明るくて美しくいかにも満ち足りた様子をしていたからです。それでひねくれ妖精たちはこの庭を台無しにしようとたくらみましたが、花たちは負けませんでした。
 7月のおわりのこと、子どもたちが大勢やってきてパーティをはじめました。これを見た、ひねくれ妖精のかしらは、恨みをはらそうと〈姿変えのまじない〉をかけ、子どもたちを花に変えてしまいます。ちょうどそのとき、台所に行っていた一番下の女の子をのぞいて。でも、女の子はかしらにみつかり別の呪いをかけられました。目にしたことをだれにも話さないよう口をきけなくさせられたのです。子どもたちは今や、バラ、アヤメ、レディー・スリッパ、ルピナス。デルフィニウム、キスゲ、マツヨイグサ、フランスギク、チューリップとなって庭の花壇に根を生やしました。
 ところで、精霊界にはおそろしいまじないをかけたら、いつの日か解けるよう〈とりけしの魔法〉を用意し、だれかひとりに教えなくてはなりません。それでかしらは、あのものいわぬ女の子に教えることにしました。それは「青い陶器のティーカップとポットをこの庭に埋める。それらを探し出して全部テーブルにならべることができたら、そのとき〈とりけしの魔法〉がはたらく」というものでした。
 そうして、ひねくれ妖精たちはどこかへ姿を消し、小さな女の子はずっと庭を掘りかえしました。女の子は長じて有名な園芸家になりましたが、ティーカップを見つけることはできませんでした。

『「青いティーカップ、お庭からでてきたよね」ネリーはいいました』
妖精物語との符合に気づいたふたりは熱心にティーカップを探し始めます。とくにネリーは〈まじない〉を真にうけ、花になった子どもたちを救うのだと張り切ります。
(以下略)





読み聞かせのポイント

ぜひ、小学校3・4年生のお子さんに読んであげてください。
オリヴィアの繊細なこころの動きに共感するはずです。
そうすると、きっともう一度自分でも読みたくなると思います。

絵本 花になった子どもたち
◆年齢◆
読んであげるなら6才以上から。
自分で読むなら小学校中学年以上

◆ジャンル◆
◆まいにち絵本

◆シチュエーション◆
◆ともだちとあそぼ!絵本


ジャネット・テーラー・ライル作 /市川里美画 /多賀京子訳

初版年月日:2007年11月 福音館書店

ISBN:4834021777  ISBN13:9784834021776

157ページ 20x1cm 定価1470円(税込)

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4歳の娘は高額で購入したディズニーの英語システムに興味をしめしません。英語の興味を引く良い絵本はありますか。よろしくお願いします。

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