ロボ カランポーのオオカミ王 − シートン動物記3

絵本 ロボ カランポーのオオカミ王 − シートン動物記3

絵本 ロボの表紙です

絵本 ロボ
◆年齢◆
読んであげるなら小学校低学年向き。
自分で読むなら小学校中学年向き。

◆ジャンル◆
◆科学(動物)絵本

◆シチュエーション◆
◆特になし、いつでもどうぞ


アーネスト・T・シートン作・絵 /今泉吉晴訳  福音館書店

初版年月日:2003年06月20日 ISBNコード:978-4-8340-0628-5

96ページ 20X15cm 定価945円(本体900円 + 税45円)

通常版はこちら!  定価945円(本体900円 + 税45円)
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『…訳者によって、ロボが違ってみえます。この本によって、今まで味わったことがない凛とした美しいロボに遭うことができました(福音館書店HP、nikorikoさんレビューより)

また、こうも書かれています。
『…ロボの群れが活躍するカランポーの半砂漠の景観描写が具体的です。これは、他の翻訳では省かれていました。土地の条件とそこに棲むオオカミの知恵が密接に結びついた「シートン動物記」に、はじめてに出会えました…』
福音館書店HP、nikorikoさんのくわしいレビューはここをご覧下さい
また、著者・訳者紹介はここをご覧下さい。

ところで、この作品は、シートンにとっても大きな転機になりました。動物画家から動物文学作家として大きな一歩を踏み出すことになったからです。この物語はシートンの本当の体験と事実を描いたものです。以降シートンは、全く新しい「動物物語」の形を生み出すことになりました。

ロボの存在
ロボというワナや毒餌に絶対にかからないオオカミの存在こそ、シートンという作家と全く新しい動物文学を生み出したといってもほぼ間違いないと思います。
当時のアメリカでは、東部に近代工業が発展し、そして西部には大牧場が経営されていました。大牧場では、多量のヒツジやウシが生産されていました。このウシを狙っていたのがオオカミでした。オオカミは自然の状態では主にバファローを食料としましたが、この大陸にやってきた人びとがバファローを絶滅させると、かわってウシを襲うようになりました。この時代、州政府がお金を出してオオカミを駆除していました。オオカミ猟師という職業が成立していたのです。大牧場では私的にもオオカミ猟師を雇ったりしていました。この物語のタナリー、キャローン、ラローシュらがそうです。シートンは専門の猟師ではありませんが、カナダの牧場育ちであったこともあり、また、すでに動物画家(フランス・パリのサロンに出品したのは「眠れるオオカミ」でした)としてオオカミに非常な興味を持っていたようです。また、オオカミ狩りはスポーツとしても成立していたようです。こうして、シートンは友人の牧場主から依頼されると、カランポーへやってっきて、ロボとその群れに挑戦することになりました。この物語は偉大なロボへの挑戦の日々を描いたノンフィクション作品です。

人間の矛盾
この物語には、人間の持つ大きな矛盾が描かれています。
そのひとつの表れは、オオカミも、人間との関係において、学習しそれを伝える能力を持っているいう点です。そもそもオオカミがウシを襲うのは人間がそのような条件を作った結果です。また、オオカミ猟師が従来の方法では、オオカミを捕まえることがだんだん難しくなってきたのも、人間との関係の問題です。そのような関係のなかで、最もすぐれた能力を発揮したのが、「ロボ」なのです。

もうひとつの大きな矛盾は、人間が「猟師」としての「血」を持ちながら、他方、他者に対する理性を越えた「愛」を持っていることです。それはしかも人間にだけ備わっているのではなく、動物も同じだという点です。
猟師としてのシートンはあらゆる工夫をして、ロボを捕まえようとします。それらは、ことごとくロボの技と知恵によって退けられるのですが、ロボもたったひとつだけ弱点をもっていました。シートンもロボに挑戦を続けながら、次第にある感情を持ち始めます。
そのことを、100年以上前の10歳の女の子が実に鮮明にとらえています。
「私があなたのことをどう思っているか、いいたいと思います。あなたは、最低のひきょう者で、ざんこくな人です。ほんとうにひどい人で、あんなオオカミを殺すなんて、心もない人です。私があなたについて思っていることは、それだけです。〈10歳の少女A・Sさん「子どもたちの手紙(1899年)ー私の知っている野生動物を読んだ子どもたちからの手紙をまとめた小冊子」より〉」〉
おそらく、現代の子どもも全く同じように感じるに違いありません。そして、同時に、「シートンがいなければ、このように野生動物にやさしくなれる自分に気づくことはなかった…(当時の感想・訳者あとがきより)」とも感じるはずです。

なお、シートンはオオカミ語が話せました(!?)。その一端は、福音館書店HP、「子どもに愛されたナチュラリストーシートン」の解説欄で、シートンさんの地声できくことができます。





内容紹介です

(一) ウシの国を支配するロボ
カランポーの攻防
カランポーはニューメキシコの北部、雨がほとんど降らない、砂漠のような高原。カランポー河に沿った低地とその支流の谷間に緑豊かな大牧場が広がっています。
「あらゆる人間の挑戦を打ち破り、まるで絶対君主のようにカランポーを支配する一頭の老練な捕食者が、灰色オオカミのロボでした」地元の人びとは誰もが知っており、おそれと敬意を払って「オールド・ロボ」「キング・ウルフ」と呼んでいました。
「ロボの野太い遠吠えがカランポーの谷に響き渡ると、熟練のカウボーイでさえ身震いし、夜が明けた朝には新しい被害を覚悟するのでした」

興味深いことに、オールド・ロボが率いる群れの数は多くはなく〜

ロボは、特別大きく頭がよくて抜け目なく頑強。大きなオオカミぞろいの群れをひきいるリーダーだが、その群れは大きくなく後半期には5頭きり。なかの1頭が美しい白いオオカミ、「ブランカ」でした。ブランカはメスで、ロボのつれあいだろうと人びとは考えていました。そしてプロングホーンを追って捉えるほど俊足の、黄色いオオカミもいました。
牧場主たちは、多額の懸賞金を約束していました。ところが、ロボの群れは人間のあらゆる攻撃を寄せ付けず、全ての牧場主から生きたウシという高価な年貢をきちんと取り立て、平穏に暮らしていました。
ロボの群れは、最高の美食家でした。何でも食べる他のオオカミとは違って、ウシの群れから最高のウシ、自分たちで殺した1歳の雌ウシの柔らかい部分だけ食べるのでした。

ウシをおそうロボの群れ
(略)
“賞金稼ぎ” タナリーの挑戦
(略)
科学も魔力も歯が立たない
有名な賞金稼ぎ、タナリーもすごすご引き上げた後、オオカミ猟師ジョー・キャローンがやってきました。キャローンは新しい科学的な毒薬を持っていました。次にラローシュ。彼は、ロボはオオカミ人間だから、科学の力は役立たず、魔法をかけた毒薬だけがロボを倒すことができると信じていました。でも、ふたりの毒薬は何の効力も発揮できませんでした。
キャローンは1893年再び不名誉な目に会いました。キャローンの牧場の家から、たった900メートルと離れていない崖に、ロボと連れ合いは、巣穴をかまえ、その年の子どもを生み育てたのです。キャローンは荒っぽくダイナマイトで洞穴を爆破したりしましたが、歯が立たなかったのです。

(二) ロボに挑むシートン
カランポーへ
こんなとき、私(シートン)は、牧場主の友人からロボの群れを退治する仕事を頼まれ、カランポーへやってきました。ここの地形から、猟犬をつれ馬で追って捕らえる方法は役に立たないのは明かでした。

ロボに挑むシートン

あらゆる毒餌を見やぶるロボ
毒餌の方法から取りかかりました。新鮮な若い雌ウシの脂身をチーズといっしょに煮込んだ特製。脂身を切り出すには、骨でつくったナイフを使い、煮るときには陶器を使いました。それを冷やして固まらせ、適当な大きさに切り分けました。その固まりに穴をあけ、化学毒薬を匂いを通さないカプセルに入れて仕込み、チーズで穴をふさぎました。作業の間は雌ウシの血に浸した手袋をし、息がかからないよう注意しました。
そしてその毒餌を400メートルごとに16キロをぐるり輪を描いておいたのです。
その結果はどうだったでしょう。
…次の日の朝、ロボは第四の餌の上に、三つの餌を重ねて置いていました。しかもロボは、そこに、私が工夫した殺しのしくみにはげしい軽蔑を表していたのです。
これは、私が繰り返した体験の一例にすぎません。

なんのためにヒツジをおそうのか?
(略)
ロボの技と知恵に負ける
そのうちに、待ちに待ったオオカミ用ワナが届きました。一週間かけて慎重にしかけました。
ロボは私が丁寧にかけたワナをとまどいもせずに見つけていました。ロボはまずはじめに、群れの仲間が前に進みでようとするのを押しとどめました。ついで、…

以下略
(三)仲間への思いやりのために破滅したロボ
かすかな群れのみだれ
ブランカの死
ロボの嘆き
ウシが大さわぎしたわけ
遠くを見る澄んだ目
愛する者といたかった





読み聞かせのポイント

他にも、この本を読んだ子どものからの手紙が訳者あとがきに記されています。
「…この物語を読み終わったあと、多くの読者は、たんに悲しい気持ちになっただけではなく、自分が〈やさしく、人間らしくなった〉と気持ちが高ぶるのを感じる」と書いています。
解説に引用した10歳の女の子のことばも含め、おそらくこうした人間の本質的なことは、年齢を超えているのだと思います。
読み手は、できるかぎり感情を抑え、淡々と読んであげましょう。それがシートンの新しい文学の方法でもあると思いますから。

絵本 ロボ
◆年齢◆
読んであげるなら小学校低学年向き。
自分で読むなら小学校中学年向き。

◆ジャンル◆
◆科学(動物)絵本

◆シチュエーション◆
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アーネスト・T・シートン作・絵 /今泉吉晴訳  福音館書店

初版年月日:2003年06月20日 ISBNコード:978-4-8340-0628-5

96ページ 20X15cm 定価945円(本体900円 + 税45円)

通常版はこちら!  定価945円(本体900円 + 税45円)
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「ヘンリーフィッチバーグへいく」 D.B.ジョンソン/文・絵
「ヘンリーやまにのぼる」 D.B.ジョンソン/文・絵
「ヘンリーいえをたてる」 D.B.ジョンソン/文・絵  
「がんばれ ひめねずみ」 田中豊美/え 新日本出版社
「空中モグラあらわる」 岩波書店
「ウォールデン森の生活」 ヘンリー・D.ソロー著 小学館
「シートン動物誌・全12巻」 シートン/著 紀伊国屋書店

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待っていました! 絵本じゃないのですっかり油断していました。 子供のころ何度も何度も読んでは心がざわついていたのを思い出して、早速また手にしてみようと思いました。

  •   rei
  • 2007年06月06日 22:14

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