カブトムシ
えほんおじさんです。
私のこどものころですから、半世紀近く昔の話です。
夏休みの楽しみはなんといってもカブトムシ採りでした。
とにかく朝早く起きて、秘密の場所「ねばの木」に行くと
採れました。一回行けば10匹以上。
一番大きくて、姿形のいいものを残して、群れ遊び仲間の
小さい子に分配します。
「ねばの木」と呼んでいた木が、正式に何という種類の木かは
今でも知りません。樹液がたくさん出ていました。クヌギで
なかったことだけは確かです。
その木のありかは、群れ遊び仲間の2、3人だけが知っていました。
その秘密は、仲間の上の年齢から代々受け継がれていきました。
そして最近のことです。
実に半世紀ぶりに「ねばの木」に行ってみました。
しかし、記憶の場所に「ねばの木」はありませんでした。
もう枯れてしまったのでしょうね。ついでに周りの木も見て
みたのですが、カブトムシはいません。
昔はあれだけいたカブトムシは、どこにいってしまったの
でしょう。
なぜカブトムシはいなくなったのでしょう。
私たちの時代の子どもが採りすぎたのでしょうか?
そんなことはありませんね。
カブトムシ一族は、人間と共存共栄を図ってきた昆虫だそうです。
人間が作る雑木林(里山)・畠を利用して一族を増やそうとして
きたといいます。
とすれば、いくらかは子どもに採られることくらいはカブトムシ
一族には折り込み済み(想定内)のはずです。
それだけではありませんね。
ちゃんと自らの防衛策を持っています。
今回紹介する絵本「かぶとむしはどこ?」で明らかなように、
一族の生き方は最後の夏の夜を除けば、実に慎重なもの。
ほとんど人間の目には触れない(夜行性だし)で生きて
きたのです。
では、ほかに原因があるはずですね。
ここからはえほんおじさん説です。素人説ですので
半信半疑で聞いてくださいね。
この半世紀に日本列島の風景は一変しました。
列島改造よりもっと風景を変えたもの、それは山畠の激減です。
小山の山頂に至るまで作られていた山畠はすべて雑木林や竹藪に
なりました。
カブトムシ一族のもっとも快適な住まいは、山畠とそれに続く
雑木林ではなかったのでしょうか。(子どものころ、山の畠に
肥料としてつくった腐葉土に、びっくりするくらい沢山の
カブトムシの幼虫がいたのを思い出します)
山畠が消えた今、カブトムシ一族は雑木林で(他方では生産
されて)細々と生きることになったのでしょう。
カブトムシ一族と子どもの共存共栄の夢は、もう終わって
しまったのでしょう。さびしいことですね。
えほんおじさんとしては、ひとりで早起きし、カブトムシを
採りにいく。それを仲間と分けて遊ぶという子どもの生活の
あり方の方が、子どもの育ちとして健全な気がしています。
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