こどものとも


 えほんおじさんです。


 「月刊こどものとも」のシリーズは、幼・保園で採用されたり、
希望購入したりすると、自動的に毎月配本されてきます。
このシステムには選べないという批判が昔(創刊当初)から
あります。
 しかし、この「こどものとも」5月号で通巻734号となっており、
もう60年を軽く超えて出版され続けている点をよく考えてみる必要
があります。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

 この「こどものとも」仲間シリーズが、子どもにとって
いかなる絵本が良いのかという標準を示し続け、それゆえ
日本の絵本界を作ってきたことを考えると、このシステムの
ユニークさがあります。
 絵本評価の難しさは、もちろん「芸術」とは何かということも
さる事ながら、それを享受する「子ども」というのはいかなる
存在なのかという点が、さらに問題を難しくしています。
それゆえ、
絵本をどのように評価すればいいかという「論」がほとんど皆無でした。

 こうした理由から、ほとんどの大人は絵本を評価できないので、
「選ぶ」こともできないのが実情でした。

 こうした事態に、唯一「こどものとも」仲間シリーズが
絵本界をリードしえたのは、「子ども」が選んだものの中から
「子ども」を発見することができたからです。そしてその蓄積は、
「こどものとも」仲間シリーズの中に存在します。
 大人の芸術のように、純粋な芸術性そのものだけでは
不十分だったのです。子どもには「子どもの宇宙」が
存在したのでした。

 大人や親に「絵本の評価」能力がないとすれば、その蓄積の
ある「こどものとも」仲間シリーズに頼り、自動配本システムに
頼らざる得ません。

 以上のことがとてもよくわかるのが、
例えば「こどものとも」5月号【ゴビのうた】だと思います。

子どもの心にまっすぐ伝わるこの絵本を、世の大人の評論家が、
子どもに与える前に評価できる人がどれだけいるでしょうか。
世の教育者などはきっと幼児には難しいなどと言うことでしょう。
読んであげるなら、幼児はきっと「黙って」しまうことで、
この絵本を正当に評価することでしょう。


◆こどものとも 2017年5月号
「ゴビのうた」
イチンノロブ・ガンバートル/文 津田紀子/訳
 バーサンスレン・ボロルマー/絵

◎ストーリー紹介
 ここはモンゴルのゴビさばく。
ボヤンの家族はここでたくさんのらくだをかってくらしています。
あるひ、ボヤンはおとうさんと、らくだの放牧にいきました。
太陽が西の空にかたむき、そろそろかえりじたくをはじめたとき、
ボヤンはくさかげにちいさなしろい子らくだをみつけました。
むれからはなれてしまったこらくだをかわいそうにおもい、
ボヤンたちはこらくだをつれてかえりました。
 でも、子らくだはまだちいさすぎて、ほにゅうびんからミルクを
のむこともできません。おとうさんとおかあさんは、
こどもをうんだばかりのメスらくだのお乳をのませようとするのですが、
らくだはいやがり、なかなかうまくいきません。
 するとおかあさんがメスらくだをなでながら
やさしいこえでうたをうたいはじめました。

◎絵本の特徴
 静かに心に染み入ってくる、やさしいお話です。
モンゴルのゴビ砂漠。
どこまでもどこまでも続く砂の大地に生きる人と家畜の生活。
おかあさんが歌う歌は、
長い間そこに生きる人たちが受け継いできた智恵でもあります。
過酷な状況を生き抜くとき、
何よりも大切なのは共同体の信頼関係ではないでしょうか?
 家族とのつながり、家畜との絆、そんなものを大切に大切に
日々を生きている。おそらく、そういうものがひとつでも崩れると、
命にかかわるのでしょう。
この絵本に充満している“やさしさ”は表面的なものではなく、
ひとが古来から生きるためにみにつけてきた智恵としての
やさしさなのだと思います。
遠い国の、全く違う文化を持つ人々の暮らしになつかしさの
ようなものを感じてしまうのはそのせいもあるかもしれません。
 文章を書かれたガンバートルさん、絵を描かれたボロルマーさん
は、ご夫妻で絵本をかかれています。お二人の描かれる絵本には
いつもモンゴルへの深い愛情を感じます。淡々と語られる物語の
中に揺るぎのない安心感が漂い、砂ばかりの大地に豊かな表情を\
見出す美しい絵にはっとします。
 派手さや可愛さはありませんが、いずれも名作ぞろい。
必ず、子供たちの心を育てる栄養になることでしょう。

◎こどもの反応
 熱心にききいっていました。最後のシーンになると、
緊張した面持ちがふっと緩んで笑顔になりました。

◎読み手の感想
 ガンバートルさんボロルマーさん。
「いしのおもちゃ」以来のファンです。日本人が描けなく
なってしまった世界を目の当たりにして、うらやましくなる
こともあります。私たちは何かを捨ててしまったのでしょう。
引き換えに手に入れたものは、本当に必要なものだったの
でしょうか。
 でも、もうここまで進んできてしまった。それはもう仕方の
ないことです。ですが、今この状況の中に見出さなければならない
美しさややさしさがあると思います。お二人の絵本を読むと、
その手掛かりがあるような気がします。
 私たちの世代には見いだせなかったとしても、子どもたちの
世代には見いだせるかもしれない。あきらめずに、伝え続け
なければいけませんね。

◆かがくのとも 2017年5月号
「じゃがいも」 荒井真紀/作

◎ストーリー紹介
 ほったじゃがいもをなんにちもおいておくと、芽をだします。
じゃがいもをそだててみましょう。芽がでたたねいもを土に
うめると、土のなかで芽がうえにのびはじめ、根もしたに
むかってのびはじめます。のびた芽はさらにのびて茎になり、
どんどん葉を茎からはねとはちがうしろいえだのようなものが
のびていきます。そのしろいえだのさきがふくらんできました。
これがじゃがいものあかちゃんです。
 たねいもをうえてから三ヶ月。
葉っぱがかれてきたらいよいよ収穫です。

◎絵本の特徴
 じゃがいも、玉ねぎ、にんじん。
どこの家庭にも必ずと言っていいほどストックされている
野菜ではないでしょうか?
 5月のかがくのともはそんなじゃがいもが主人公です。
じゃがいもを数日おいておくと芽がでます。芽には毒があるので、
調理の時には注意深くとらなければなりません。
でも、そのまま植えてみると、じゃがいもはどんどん育っていく。
そんなことは知ってる、つもりですが、実際芽がでたじゃがいもを
育てたことがあるという方は少ないのではないでしょうか?
 晩御飯のおかずにしようと思っていたじゃがいもから芽が
でていたら、ちょっとみけんにしわがよります。
 あたたかくなってくると、勢いよくめがのびて、
ちょっとびっくりすることすらあります。たいした生命力です。
 別紙の「作者のことば」に、じゃがいもは根ではなく茎に
養分がたまったものだと書いてありました。日々目にしている
ものが、どういう成り立ちなのか、ということを知ると
深い感慨があります。
 この絵本の絵は、細密な描写で描かれていて、柔らかい色使い
ですが、つきささるものがあります。とくにじゃがいもの芽。
ちょっとグロテスクであんまり正視することもない(しかも
毒があるし)芽をここまで描ききった作者の荒井さんの観察眼。
冷静な視線ですが、そこに美しさを見出していて感心します。

◎こどもの反応
 じゃがいもを植えたことがあるわが子たちは、
嬉しそうに絵を見ていました。今年も植えたいねえ、
というと「植える!」と叫んでいました。

◎読み手の感想
 繊細で美しい絵が素敵な絵本でした。
私はわりとじゃがいもを放置してしまうので、しょっちゅう芽が
でてきます。じゃがいもの芽ってちょっと気持ち悪い。
どちらかというとじゃがいもに巣くうエイリアンのような
イメージでした。
 でも、この絵本に描かれているじゃがいもの芽はほんとうに
美しい。不思議なカタチと色合いにどきっとしてしまいますね。
 いつかテレビのドキュメンタリー番組で見たんですが、
じゃやがいもの原種には猛毒があって、収穫してから数日土の中に
埋めておいたり、数日野ざらしにしたりしてから食べる…みたいな
(何年も前なのでうろ覚えですが)ことを言っていました。
 おそらく最初にじゃがいもを食べた人は死んでしまったん
でしょうね…。それでもどうにかして食べようとするところに、
(どうやって埋めるという方法にたどりついたのか謎ですが)
人間の逞しさを感じました。以来、じゃがいもを見る目は変わり、
いろんな紆余曲折を経て、掘りたてを食べられるくらいの改良が
されて今に至るんだなあとか、芽にある毒はその名残なんだろうか
とか、いろんなことを思います。スーパーで売っているじゃがいも
の中には、めがでないような処理がされているものもあるみたい
ですね。芽はちょっとおそろしい感じがしますが、
それをでなくする、という考えのほうがもっとおそろしいな、
と思います。
 いつも食べている野菜の背景をこどもたちに伝えることで、
邪魔だから排除するという考えに至らないひとが増えることを
期待します。




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