物語の語り口


 えほんおじさんです。


 このメルマガでは、「物語る絵本」こそ良い絵本だと強調しています。
 ではどのような絵本が「物語る絵本」なのでしょう。
絵が物語る、場面が物語る、絵本全体が物語るわけですが、
しかも一冊の絵本の「物語」は決して一種類ではありません。
 そして、「ものがたり方」もひと色ではありません。
したがって受け取り側の読者の、年齢や性格によっても様々に受け取られます。

 今回紹介の、二冊は対象年齢も大きく違っています。
絵本分野(科学と0・1・2絵本)もまるで違います。
そして「物語の語り口」も様々ですが、
この二冊はある典型的な語り方がされています。

 「カーテンふわり」 は、カーテンを揺らす「風」が、
「部屋の中の温度や湿度、静かなざわめきや光の揺らぎを感じ」させます。
部屋にいるのは「赤ちゃん」ですが、一体この部屋に出入りするものは、
どのような家庭を物語っているのでしょう。

 そして、「れっしゃが とおります」は、俯瞰で眺める列車の旅。
列車がそれぞれに暮らす人々の物語を浮かび上がらせて行きます。
もちろんその「物語」はひと色ではありません。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも0.1.2.  2017年8月号
「カーテンふわり」 澤口 たまみ/文 どい かや/絵


◎ストーリー紹介
「カーテンのむこうにだれかいるよ。
 にゃおみゃおにゃおみゃおにゃおん」
「カーテンふわり。あっ、ねこさん」
「ちゅん ちゅん ちょこ ちょこ ちゅちゅん。
 また、だれか きたよ」
「…まただれかきたよ。こんどはだれかな?」

レースのカーテンが風でふわりと舞い上がると、
窓から生きものたちが姿をあらわします。

◎絵本の特徴
 開け放した窓から風が吹いてきます。
人工的な風とは違って、やわらかいふくらみをもった
自然の風です。窓の外は、明るい光がふりそそいでいます。
そしてそれらを受け止めるのは、薄い青色のカーテンです。
おや、カーテンの向こうに影が見えます。動物や虫たちが
カーテンの間から顔をのぞかせて、窓を豊かに色どります。

 部屋の中の温度や湿度、静かなざわめきや
光の揺らぎを感じる、臨場感のある絵本です。

 文章を書かれたのは、澤口たまみさん。
言葉の中に吹き込まれた息吹きに包み込まれるような
心持ちのする文章は、穏やかな夏の午後、昼寝の前後の
まどろみのなかにいるようです。その感覚を絵に描かれたのは
どいかやさん。文章と絵が絶妙にマッチしています。
生きものたちのいたずらっぽい楽し気な表情が印象的です。
 赤ちゃんが喜ぶ、いないいないばあの絵本のようですが、
単純ではありません。カーテンの閉じられた部屋の内部は、
胎内を思わせます。そして、窓。窓は、外の世界と、中の世界を
つなぎます。そこにカーテンが挟まれることで、外の世界と
内部のつながりはより緩やかなものになります。幼い子を
驚かすことなく、穏やかに確かな歓迎をもってこの世界に
迎える、という思慮深い姿勢を感じる絵本。
読み手である大人の心にも静かに響きます。

◎子どもの反応
 カーテンの向こうにいる動物を当てるのを楽しんでいました。
いないいないばあ型絵本は一回すれば答えはわかったしまうのに、
その答えが分かっても何度も読んでとせがまれました。

◎読み手の感想
 言葉を持たない幼いころの記憶。
心の奥底に眠っている感覚の記憶を呼び覚まされるような
絵本ですね。幼いころ、カーテンが好きで、カーテンの
向こうに隠れたり、手を透かしてみたりして遊びました。
風に揺れるカーテンの向こうには何か生き物がいる気がして、
怖いような楽しいような、複雑な気持ちで眺めていたことも
あります。この絵本のように、動物や虫たちがその向こうから
ふっと現れて、言葉ではない会話を繰り広げたことも、
もしかしたらあるのかもしれません。生まれてくることを
大げさなほど喜ぶのも良いと思います。でも、この絵本の
ように静かな歓迎も良いなあと思いました。

◆かがくのとも 2017年8月号
「れっしゃが とおります」岡本雄司/作


◎ストーリー紹介
 「ガッタン ゴットン」 れっしゃがしゅっぱつしました。
まわりでくらすさまざまなひとのあいだをれっしゃはとおり
すぎていきます。

◎絵本の特徴
 列車や車の絵本でおなじみの岡本雄司さんの最新作。
明確でありながら少し丸みのある線が特徴的な岡本さんの
絵の安定感。安心して、その世界の中に飛び込むことができます。
車窓から眺める景色とは一味違う、俯瞰で眺める列車の旅です。
列車は人の暮らす風景の中を通り過ぎていきます。
 言葉の少ない絵本ですが、その分絵は饒舌に状況を描き出して
います。線路は、ページからページへ、きちんと一本の線で
つながれていて、長い一枚の絵巻物のような作りになっています。
 画面をよく見ると、列車と一緒に動いていく車や人もいます。
最初のページで出てきた人が、最後まで出てきたり、途中で
別の場所へ行ったり。細かく描かれているので、その人たちの
物語を想像するのも楽しいですね。

◎子どもの反応
 ちょっと落ち着きがないときに読んだので、
あまり入り込めてないようでした。でも、色々と発見することを
ちょっと促せば、絶対にハマる絵本だとと確信しています。
読み手には子どもの状況と選書は大事ですね。

◎読み手の感想
 別紙の「かがくのとものとも」に作者の岡本さんの鉄道の
ひとり旅の話が書いてありました。私も旅が好きだったので
(今でも好きですが、こどもがいるのでなかなか一人旅は
できません)嬉しく思いました。鉄道の旅は、ひとりに限る、
と私も思っています。友達とワイワイするのもいいんですが、
思う存分ひとりの気分を楽しめるし、同じ空間にほかの
お客さんもいるのでさみしくもない。風景をぼんやり眺めるのも、
物思いにふけるのもいいですね。
そうこうしていたら眠たくなって、延々眠ってしまい、
気づいたら終点だったりもたまにありました。旅のお供は、
内田百閧フ「阿呆列車」だったなあ、とかいろいろと思い出す
ことがあります。岡本さんの絵はそういう読み手の感情移入を
どこまでも懐深く受け止めてくれるようで、ほっとします。
岡本さんが世界の枠組みを作ってくれて、私たちはその中で
自由に動き回ることができる感じです。今度は子どもたちと
一緒に、絵本の中を旅したいと思います。




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