8月号の紹介


 えほんおじさんです。


 幼児期の絵本(赤ちゃん絵本を除く)は全て、
「物語絵本(それ以外の絵本は成り立ちません。科学・知識、昔話も)」
ですから、多くの場合主人公を中心にしてお話が展開します。
とりわけ一歳半くらいからは、子どもたちはその物語の主人公に、
自己を同一化し始めます。というより主人公に自己を同一化する
ことなしに物語世界を体験することはできません。

 さて、今月の絵本
●「すすめ ろめんでんしゃ(年少版)」
●「いいおてんき(年中版)」
 の主人公は対照的です。

 「すすめ ろめんでんしゃ(年少版)」は、路面電車が主人公で
いわば「もの」、「いいおてんき(年中版)」の方は、
いわゆる「生活絵本・ノンフィクション)で、現実の四、五歳の
女の子が主人公です。

 つまり幼児期には、それが「もの」であれ「人」であれ
主人公になりうるし、そんな主人公に入り込むことができます。
このことは、アイヌ神謡集に明らかなように、それは年齢ではなく
口承文化(耳の文化=文字を持たない人々)の特徴です。
それゆえ、主人公の造形は大事な要素なので、
この造形がその物語を面白さを決定するものと思われます。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。


◆年少版こどものとも 2017年8月号
「すすめ ろめんでんしゃ」 のさか ゆうさく/作

◎ストーリー紹介
 赤い路面電車が町なかにやってきました。
路面電車は道路のまんなかにある線路のうえをすすみます。
「ガタターン ゴトトーン」 路面電車はひとやくるまの
いきかうなかをしゃりんのおとをひびかせながらはしります。

◎絵本の特徴
 みなさんの街には路面電車が走っていますか?
 路面電車が走っているのは全国で19か所。
日々の生活に欠かせない乗り物だという方も
たくさんいらっしゃるでしょうね。

 この絵本を描かれた野坂さんは路面電車が大好きだそうで、
その絵や言葉から路面電車愛があふれています。実際の路面電車の
形を的確にとらえつつもデフォルメされた丸いフォルムに、
路面電車への親近感がうかがえます。
 子どもたちは、早くてかっこいい新幹線への憧れも強いですが、
路面電車やバスのような乗り物も好きですね。見るよりも乗る
のなら、路面電車のほうが満足度は高いかもしれません。
 この絵本の主人公である路面電車は真っ赤なボディに、
ぴかっと光る大きなライトが印象的で、子どもたちの目を引き、
すぐにとりこにすること間違いなしです。その姿はいかにも
堂々としていて誇り高く、街の中を走り抜けていく姿は
唯一無二のヒーローのようでもあります。その姿に自分自身の
姿を重ねて、思いを馳せる子どもたちがまざまざと思い浮かびます。

◎子どもの反応
 例にもれず、乗り物が大好きなわが子二人。乗り物の絵本
となると、ぴかっと顔が輝きます。赤い色はヒーローの色という
刷り込み(?)もあり、ことさらこの路面電車には親近感を
覚えたようです。

◎読み手の感想
 わが街岡山には路面電車が走っています。
今はいろいろな種類があって、現代的なデザインのものが増えました。
でも、昔ながらのデザインのものもまだ残っていて、その姿を
見るとこころがほころびます。高校のころは毎日路面電車で通学
していたので、いまだに路面電車には少なからず思い入れが
あります。長く暮らした鹿児島にも路面電車が走っていました。
鹿児島の路面電車は岡山よりもはるかに距離が長く、市民の生活に
なくてはならない乗り物でした。この絵本の路面電車は広島を
走っているそうです。広島の路面電車の距離も長いですね。
ドライブで広島まで行くとき、ずっと並走していたのを
思い出します。車や人が行きかい、路面電車がその真ん中を
走っていく風景。これから先もずっと残っていってほしい
風景のひとつです。

◆こどものとも年中版 2017年8月号
「いいおてんき」なかの ゆ/文・井上 文香/絵


◎ストーリー紹介
 夏休み、ともちゃんはおじいちゃんとおばあちゃんの
ところに泊まりにきました。つぎのひのあさ、
「きょうはあさからいいおてんきだ。これからはたけにいくよ。」
というおじいちゃんといっしょに、トラックにのってはたけに
いくことにしました。はたけについたともちゃんはトマトを
たべたり、きゅうりをとったりしました。
 かぼちゃをとろうとしたとき、そらがくらくなりました。
あめです。ともちゃんとおじいちゃんはトラックであまやどり。

◎絵本の特徴
 夏、植物たちが隆盛を誇る季節です。
道のわきから雑草たちが噴きだしています。
畑もこんもりと緑色で小さな森のよう。
おじいちゃんとおばあちゃんの家に遊びに来たともちゃんの
夏の一日を、誠実な言葉と、質量のある絵が縁取ります。
 おじいちゃんの畑は、おじいちゃんの人柄そのもの。
おじいちゃんの言葉の端々からも、土とともに生きる人の
実感がにじんでいます。
「にんげんはおひさまがあかるくはれているのをいいおてんき、
 っていうけれど、はたけにとったらどっちもだ。
 はれているのもいいおてんき。あめのふるのもいいおてんき」
この言葉に集約された、日々を積み重ねるひとの営みの確かな質量。
言葉に呼応するように絵は輪郭よりも光と影が作り出す面に
重点が置かれているように思います。面に重点を置くことで、
物体の持つ量の感じが際立ちますね。絵と文章のバランスが
見事な作品。ぱっと目を引く派手さはありませんが、
読後には確かな手ごたえがあります。

◎子どもの反応
 引き込まれて聞いていました。
畑がないのでこんな体験はないけれど、
リアルに伝わっているんじゃないのかな、と勝手に想像しました。
画面の中の虫を見つけて喜んでいました。

◎読み手の感想
 友人の中に何人か、農業(というより土とともに生きる暮らし)
を選んだ人たちがいます。何年も会っていないけれど、
SNSなどではつながっていて、時々アップされる畑の写真や、
そこに添えられる短い言葉の鋭さや重みにはっとします。
一日一日を丁寧に積み重ねているんだろうなあ。彼や彼女らは
最近(にはじまったことではないけれど)種の危機についてよく
話題にしています。品種改良された一代限りの種を販売する
某企業の話は、それが現実とは思えないほど壮大な規模で、
人が生きていくその根本にある「食べる」ということの根幹を
揺るがそうとしています。(あんまり書くと陰謀論みたいに
聞こえるかもしれないのですが)
 わたしたちは、いちど立ち止まる必要があるのだろうと思います。
大人になると、立ち止まるということは本当に難しいことだと
実感しています。まだ私たちの記憶の中にこの絵本のような風景
や体験がリアリティをもって根付いているうちに立ち止まる
ことができたら、子どもたちに渡せる世界はもっと豊かになる
のではないでしょうか。




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