8月号

 えほんおじさんです。


 今回は対照的な絵本体験をさせてくれる絵本が並びました。

 まず
●ちいさなかがくのとも8月号(わたしも かぜに なれるのよ)

は「風そのものを絵にした」そんな絵本ですから、
この絵は五感に伝わってきます。
他方
●こどものとも8月号(おばけえんはすぐそこです)

は、伝統的な妖怪図に現代の感覚を加えた絵本。
そしてこういった絵は年長さんともなれば、どこかでその伝統に
ほんのすこしは触れているはずです。そうしたほんの少しの経験が、
この絵本体験を通して「伝統性」を持つ共同観念に確固とした
位置を与えられ、イメージにおいてその背景を与えてくれるでしょう。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆ちいさなかがくのとも 2017年8月号
「わたしも かぜに なれるのよ」 木坂 涼/文 三溝 美知子/絵

◎ストーリー紹介
「かぜさん かぜさん きいて きいて
 わたしもかぜをもってるの いきをふーっ
 ほらね わたしも かぜに なれるのよ」

 いろんなものに私の息を、ふーっ!
 葉っぱ、ちょうちょう、クモの巣……私の小さな風は、
吹く場所も、強弱も、自由に変えられます。

◎絵本の特徴
 からだのなかからでてくる息は、風になります。
びゅうびゅう吹く風とはちがうけれど、これも風。
みんな風をもっている。
 当たり前のことだけど、あらためて意識すると面白い。
ちいさなかがくのともは、そんな身近な発見を描いたものが
多いですね。特に今回の絵本は素敵な発見!わたしたちは
なんと風を持っているんだ。言葉は、私たちの日常を豊かに
彩ります。たくさんの発見を言葉に変換していくと、
世界の素晴らしさに気が付きます。目にするものや感じること
すべてに驚きや感動が潜んでいます。文章を書かれた木坂さんの
目の付け所はいつもながらさすがです。木坂さんは月刊絵本でも
おなじみの作家さんですね。静かに語り掛けるような文章が、
風のようにからだの中の未知の間を吹き抜けて、新しい知覚を
発見するのです。それはだれにとっても喜びであるに違いありません。
 明るい光が跳ね返るような絵を描かれたのは、三溝美和子さん。
風そのものを絵にしたような、軽やかで優しいタッチが印象的です。
リアルから一歩離れた、心の中の風景でしょうか。
輝きに満ちた世界を見事に描いています。

◎子どもの反応
 私とは違う読み手に読んでもらっているのを見ていました。
その新鮮さもあるのか、笑ったり声をあげたり楽しそうでした。

◎読み手の感想
 さわやかな絵本ですね。高原を吹き抜ける風のような清涼感が
あります。
最近は本当に暑くて、一歩外に出ると日差しがぎらぎらと照り、
一瞬で干からびてしまいそうです。
でももしかするとクーラーの風に慣れすぎているのと、猛暑日の
ニュースに気持ちが煽られているせいかもしれないです。
もしかすると気のもちようで、このうんざりした気分は変わるん
じゃないだろうか? とこの絵本を読んで反省しました。
暑い暑いとこどもたちにしつこく言っていると、こどもたちにも
その気分は移ってしまいますもんね…。気を付けよう。
この絵本のように、自分の中に吹く風を感じられたら、
この夏も涼しい気分で過ごせるんじゃなかろうか。


◆こどものとも 2017年8月号
「おばけえんは すぐそこです」山崎 るり子/詩 石黒 亜矢子/絵

◎ストーリー紹介
 おばけたちが通うのは「おばけえん」。
「いりぐちはどこ? いりぐちはそこよ ろうかのくらがり
 トイレのすみっこ ほらきみたちのすぐうしろ さあいってみようか」

 とびらをあけると、おばけたちのすむせかい。
ふるぎつねの先生に、やまんば、ろくろっくびにかっぱ…。
おなじみのおばけたちがそろって、おばけえんはきょうも
にぎやかにいろんなことが起こります。

◎絵本の特徴
 詩情豊かに綴られる、おばけえんの子どもたち(?)の生活。
私たちのすぐそばにある、もうひとつの世界です。
さて、夏ですね。暑さでもわっとした重たい空気が身体を包んで、
知覚できる空間が狭くなっているように感じます。おばけが夏に
出てくるのは、怖い話でも聞いてひやっとしたいというのも
ありますが、ひとの知覚空間が狭くなった分、無意識の領域が
せり出してきて、そこに生息するおばけの領域が広がっているから
かもしれません。
 この絵本に出てくるおばけは、古くから語り継がれてきた
伝統的なおばけたちで、その姿はなかなかにおどろおどろしい。
でも、彼らだって彼らなりの日常生活があるんです。それぞれの
身体的特徴や食料によっていろいろな苦労もあるようです。
おばけも楽な稼業ではないんですね。子どもたちもそんな
おばけたちとの共通項や違うところを発見して、親近感が
どんどんわいてくることでしょう。

 文章を書かれたのは詩人の山崎るり子さん。
山崎さんは、おそらくおばけの気配とともに暮らして
いらっしゃる方なのでしょう。友達のような、家族のような
近しさで親しみを込めて書かれた詩には、陰影とふくらみが
あり、おばけたちの姿をリアルに浮かび上がらせます。
 絵を描かれたのは、石黒亜矢子さん。伝統的な妖怪図に
現代の感覚をプラスして、なかなかパワフルなおばけたちが
画面いっぱいに元気に動き回っています。「怖いんだけど好き、
好きだけどちょっと怖い」の間で揺れ動く、子どもたちの
おばけへのなみなみならぬ愛着がそのまま絵になったかの
ようです。この絵本を読んだ子どもたちは、廊下の隅でおばけに
遭遇したらすぐに友達になってしまうかもしれませんね。

◎子どもの反応
 おばけの好きな子どもたちは絵本にくぎづけです。
最後のページのクイズも楽しんでいました。

◎読み手の感想
 現代の家には、あまり陰影がありません。
どこもかしこも明るくて、清潔。スキマもほとんどない。
そんな「暮らしやすさ」は、おばけたちの住処を奪って
きました。床にできた黒い染み、壁の隙間、障子の向こうを
揺らぐ陰…そんなところがおばけのたまり場です。子どもたちは、
よくそんな場所を凝視していたりします。ちょっと前まで
異界への扉はそこかしこにありました。今は少なくなりましたね…。
かくいう私も子どものころは、薄暗い家の中でおばけたちと
遊んでいたように思います。
 でも嘆いてばかりもいられない。おばけたちのほうでも
忘れられては大変、と思っているに違いありません。だから、
こんなパワフルなおばけたちが、詩人や画家の力を借りて、
向こうから語り掛けてくるんですね。おばけだって自己主張が
必要な時代になったようです。しかし、こどもたちのこころを
育てるのは、そういう異界の者たちの力が大きいのです。
彼らの協力なしでは、絶対に育たない領域すらあると
私は思います。親としても、おばけたちの主張に耳を傾け、
今後も協力し合いながら仲良くやっていきたいものです。




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