心の遊び空間

 えほんおじさんです。


なぜ読み聞かせが必要なのかー読み聞かせの意味(7)
読み聞かせは「心の遊び空間」である

読み聞かせ(読書)と遊びについて

 子どもの「遊び」の危機と、それによって子どもの「文化」、
ひいては文化そのものに何かが起きているのではないか。
それは何だろう。

 このことについては数年前だったか、メルマガ257号
「あそび」などに取り上げて来ました。とりわけその号で
取り上げたのは、子どもの遊びの質的変化が一次、二次に
渡って起きているということでした。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◎遊びの第一次質的変化
 1960年代以降の「遊び集団の異年齢集団解体から同学年同年齢集団へ」
ということ。「異年齢集団」の遊びとは、住んでいる地域での
異年齢子ども集団による遊び(ガキ大将が中心)のこと。

◎遊びの第二次質的変化
(岩波新書「子どもとあそびー環境建築家の眼ー 仙田満著」)
 1980年以降「外遊び時間」が、「内遊び(家の中での遊び)」に
取って代わられたこと。それによって、同学年同年齢集団による
遊びさえ解体が進んだということ。

 このような質的変化を通じて、子どもの「遊び」の何が変わった
のか、「文化」や「人間の精神性」において、どのような変化が
起きたのか、起きているのかということを考えようとしました。
特に、子どもの本離れや活字離れという事態とどんな関係がある
のだろうかを考えようとしました。
 すでに日本社会では質的変化(一次・二次)を遂げ、それを
経験した人たちが、人口の主流となっていますから、本離れや活字離れは、
それらが要因ではないのか。
 また、第二次変化の「外遊び時間」が「内遊び(家の中での遊び)」
に取って代わられたことについて、これを一見すると、読み聞かせ
や読書も、「内遊び」を増やしたのではないかと思えます。
でも、そうなのでしょうか。

 ではまず、ここで問わなければならないことは「遊び」とは、
子ども(人間)にとっていかなる身体的・精神的行為なのか
ということでしょう。

 かつて、オランダの歴史学者・ホイジンガと彼を引き継いだ
カイヨワはこう言いました。

「人間はホモ・サピエンス(理性的思考をする、知恵・知識の
 ある人々)であるが、しかしその本質はホモ・ルーデンス、
 すなわち「遊びをする」のが人間活動の本質であり、遊びが
 文化を生み出す根源。遊びは生物的活動を超え、生活に意味を
 与えるものだ」と。

『遊びとは、あるはっきり定められた時間、空間の範囲内で
 行われる自発的な行為もしくは活動である。それは自発的に
 受け入れた規則に従っている。その規則はいったん受け入れ
 られた以上は、絶対的拘束力をもっている。遊びの目的は
 行為そのもののなかにある。それは、緊張と歓びの感情を伴い、
 またこれは「日常生活」とは「別のもの」という意識に裏づけ
 られ、未確定の活動であり、物まねと演技の領域をもつ』

 そして、
「遊びの本質は〈面白さ〉にある。
 まさに、「面白さ」があるからこそ、人は遊ぶのである」

 おそらく以上のような考えが、もっともよく
「子ども(人間)の遊び」の身体的・精神的行為を的確に
捉えていると思われます。


 そしてメルマガ257号では以下のように述べました。

【昔から、子どもは、「内遊び」「軒遊び」「外遊び」の
 順に成長してきました。「外遊び」は主に、異年齢集団遊びです。
 この順が狂ったことは、日本史上いまだかつてなかったことです。
 集団遊びのもっとも中心的な遊びは、「ごっこ遊び」でした。
 「ごっこ遊び」の重要性は、その遊びの内容をみれば分かります。
 「この指とまれ」で集まった子どもたち(異年齢もある)が、
 まず、共通の想像空間(もちろん少しずつずれてはいますが)
 を持ちます。
 ここでは、共通の取り決め(=規則は絶対的拘束力を持つ。
 役割とか、ルールとか、遊具や自然のものを何かに見立てるとか)
 をして遊びが進行します】

 こうしてできた想像の自由な「時間と空間」であるからこそ、
参加者ひとり一人は自己を存分に対象化することができます。
だから、そこに個人的であり、かつ共同なる世界を生み出すことが
可能となります。それゆえそれらに何らかの機会が得られると、
その世界は「労働」と同じく文化を生み出すことができます。

 ではなぜ、子ども(人間)は遊ぶのでしょう。
それは面白いから遊ぶのですね。
では、遊ぶと何故面白いのでしょうか。

 平安時代の流行り歌にこんなのがあります。

『遊びをせんとや 生まれけむ
 戯れせんとや 生まれけむ 
 遊ぶ子どもの声聞けば 
 我が身さへこそ ゆるがるれ(梁塵秘抄)』

 これを読むと、子ども(人間)は生まれながらにして「遊ぶ」
ようにできているみたいです。おそらく生まれながらしにして
「物語」を求めるのと同じ(切り離された母体への回復願望)で、
遊ぶことには面白さ=(回帰による)快適・安心が背景にあって、
回帰への緊張感が同時に存在するからではないでしょうか。
その世界はここではない向こうでの出来事なのでしょう。

 日本語の「遊ぶ」の意味は、もともと

「日常的な生活から心身を解放し、別天地に身をゆだねるという意。
 神事に端を発し、それに伴う音楽・舞踊や遊楽などを含む(広辞苑)」

 すなわち、日常生活や意味世界の規範を停止し、一時的に
別次元の世界で、一定の時間をすごすのが「遊び」でした。
この意味はホイジンガやカイヨワの遊びの考え方と一致しています。
要するに「神の境地」に至るような、夢中になっている状態、
絵本や童話のファンタジーと同質だと思われます。

 ここでもうひとつ考えなければならないことは、
「内遊び」と「外遊び」の違いについてです。内から外へという
遊びの流れ(それが成長でした)の逆転についてです。

 結局この問題は、体を使う「集団ごっこ遊び」が消えたという
ことでしょう。これはスポーツクラブ(水泳、サッカーなど)と
比べると何が失われたかがはっきりします。

カイヨワの遊びの概念

1)自由な活動。すなわち、遊技者が強制されないこと。
 もし強制されれば、遊びはたちまち魅力的な愉快な楽しみ
 という性質を失ってしまう。

2)隔離された活動。すなわち、あらかじめ決められた明確な
 空間と時間の範囲内に制限されていること。

3)未確定の活動。すなわち、ゲーム展開が決定されていたり、
 先に結果が分かっていたりしてはならない。創意の必要が
 あるのだから、ある種の自由が必ず、遊技 者の側に残されて
 いなければならない。

4)非生産的活動。すなわち、財産も富も、いかなる種類の
 新要素も作り出さないこと。遊戯者間での所有権の移動を
 のぞいて、勝負開始時と同じ状態に帰着する。

5)規則のある活動。すなわち、約束ごとに従う活動。
 この約束ごとは通常法規を停止し、一時的に新しい法を
 確立する。そしてこの法だけが通用する。

6)虚構の活動。すなわち、日常生活と対比した場合、
 二次的な現実、または明白に非現実であるという特殊な
 意識を伴っていること。


 カイヨワの遊びの概念の中から、同じように得られる
ものもありますが、スポーツクラブ(水泳、サッカーなど)で
失われたものは
「自主性、自由、虚構性、非日常性、非目的性、共同性」です。
 これらは「集団ごっこ遊び」だけにあるものではなく、
内遊びで得られるものもあります。「集団ごっこ遊び」に
しかないものは、共通観念・共通の想像空間の自主形成の意思と
それに伴う役割(異年齢による役割)を担う選択の自主性です
(内遊びでもままごとは例外)。

 失われたら、どこでそれを獲得・回復するのでしょうか、
そんなものはあるのでしょうか。(Aの問題)。
 そしてもしそれが失われるとすれば、
「文化」にとってはどんな影響があるのでしょう。
このことは現在進行形で、それは深く進行しているために、
正直よくわかりません。
 しかし一つだけ言えることは、地域社会において、「結い」の組織と
その流れをくむ、「地域の環境を考える会」だとか、寺・社を
支えてきた「祭り集団」などという紐帯は間違いなく「遊び集団」
を基礎にしていましたが、それが高年齢化によって崩壊しつつあります。


●遊びと読み聞かせ(読書)

 遊びを少し深く見てきましたがいかがでしょうか。
遊びと読み聞かせ(読書)は、そっくりであることに
気がつきませんか。

 遊びに「身体が伴うこと」は条件ではありません。
とりわけ内遊びではそうです。実は、Aの問題が解決できる
内遊びがあります。それが、読み聞かせであり、読書です。
そして読み聞かせ(読書)は、何回も読まれることが普通です。
その場合、カイヨワの(3)未確定の活動もクリアします。
なぜなら読み聞かせ(読書)は子どもにとっては、その都度
新しい経験・行為ですから、これも当てはまるのです。
そして読み聞かせ(読書)には、内遊びには希薄で、
「集団ごっこ遊び」にしかないものがあります。すなわち
共通観念・共通の想像空間、共同虚構の世界も存在するのです。

 「集団ごっこ遊び」の世界と本の世界は、
その心の構造において、同じです。
ただ、読み聞かせ(読書)身体を伴わないだけです。

 【「外遊び時間」が、「内遊び」に取って代わられたこと】は、
確かに文化にとって、大きな危機には違いありません。そのことを
子ども文化を守るための手立てを何とかして考えなくてはなりません。
しかしその心の構造は本の世界に存在しています。
ますます「読み聞かせ(読書)」が必須のことになってきました。
食べ物以上に必要になってきているのです。




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