経験

 えほんおじさんです。


 優れた絵本は、日常の経験を超えたいろんな「経験」を
させてくれます。

「こどものとも2月号 こやぎのチキと じいさんやぎのひみつ」
 では、魔術的リアリズムという手法によって私たち自身の心の
深層を垣間見せてくれるし、魔法的空間(この絵本では日常と
その空間が曖昧)を体験させてくれます。

「ちいさなかがくのとも 2018年2月号 ふぶきが やんだら」
では、ちょっとやそっとでは経験できない北海道・知床の冬の森の
吹雪がリアルに体験できます。さらにそこに生きる動物たちの
「吹雪をやりすごす、一匹の生き物」「吹雪が去った後の喜び」を
一緒に経験できるのです。

 もちろんその体験は、私たちの持つ「想像力」を通してです。
だからこそ私たちは、日頃から「想像力」を磨いていなければ
なりませんね。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも 2018年2月号
「こやぎのチキと じいさんやぎのひみつ」
清水たま子/文・竹田鎭三郎/絵


◎著者紹介
作者 清水たま子
1949年埼玉県生まれ。跡見学園短期大学卒業。
久保貞二郎氏に師事。美術評論を学ぶ。
1985年〜2013年メキシコに在住。竹田氏との共著絵本に
「チャマコとみつあみのうま」
「かえるのおよめさん」
「わにのお嫁さんとハチドリのお嫁さん」
などがある。

画家 竹田鎮三郎 
1935年、愛知県瀬戸市生まれ。
東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業 1963年メキシコに渡航。
以来現在もオォハカ州に在住。

◎ストーリー紹介
 チキはやぎの男の子です。
チキが草をたべながらほかのやぎたちをきょろきょろみていると、
みんなからはなれたところにいるじいさんやぎをみつけました。
チキが「ものすごくとしとった、じいさんやぎがいるよ」というと
「こわいやぎだからちかづいてはだめよ」とおかあさん。
それでもチキは、じいさんやぎがきになって、いつもさがすように
なりました。
 あるひのこと、気がつくとじいさんやぎがいません。
大人たちにきくと「いつものことだよ。すぐかえってくるさ」
といいます。「あのじいさんは魔術を使うんだ」。
何日かたって帰ってきたじいさんやぎはけがつやつやとして、
前より若くなったみたいです。魔術を使ったにちがいない、
とチキはおもいました。何日かたちました。草の上にたおれて
しまったじいさんやぎにチキがかけよると、じいさんやぎは
なんにもいわずにおきあがり、ゆっくりあるいていきました。
チキはそーっとそのあとをつけていきます…。

◎絵本の特徴
 なんともいえない不思議な読後感が残るお話です。
文章にも絵にも、ゆがみやひずみはないはずなのに、
いつの間にか読者にこの世とあの世の境目のようなマージナルな
空間にいざなっている。目の前の道をまっすぐ歩いて行ったら、
不思議な世界にいた、という感じです。特にそこに境界線の
ようなものがないのが面白いですね。じいさんヤギがチキを
背負っていくとき絵では、魚や、鳥、ワニの腹を通って行きますが、
それは言葉では書かれていません。そしてそれを覆うドーム状の
何か、の説明もなく、それはなんだろう? と思いながらも
お話は淡々と進んでいきます。でも魔術ってそういうもの
なのかもしれないなあという気がします。じいさんヤギにしか
わからない何かの法則で進んでいる時間を描いているので、
チキにもわたしたちにもそれが何なのか、言語としては
わからないのかもしれません。わからないけれどそこにある
確かな法則が、きっと魔術なのでしょう。それは、人々の歴史や、
信仰、自然とのかかわりの中で発見され受け継がれてきたもの
なのだろうと思います。
 文章を書かれた清水さん、絵を描かれた竹田さん、ともに
長い間メキシコに在住されています。(清水さんは2013年まで、
竹田さんは現在も)別紙の「絵本のたのしみ」に、“このお話の
元になったのは、海岸地方の村で生まれた青年が語ってくれた
物語です”と書いてありました。そのほかにもいろいろな興味深い
ことが書かれてあるので、絵本とともに別紙もぜひぜひ読んで
いただきたいと思います。
考え始めると止まらない、奥深い絵本です。ちょっと地味なので、
手に取るまでなかなか魅力が伝わりづらいかもしれませんが、
読めば読むほど深みにはまっていくこと間違いなしです。

◎子どもの反応
 表紙をみて、「読まんでいい」と言っていた下の子(4歳5ヶ月)。
読みだすと私の背中越しにじーっと聞きいっていました。途中で、
チキの赤いリボンが取れてしまうのを発見して「あ、とれた」と
言っていました。


◎読み手の感想
 こういう絵本、大好きです。日本でも海外でも、
昔話や民話の類って、こちらの想像を超えていきますね。
 この絵本は文章もしっかりしていて面白いのですが、絵が何とも
不思議で素晴らしい。ちょっと不親切なんじゃないかと思うくらい
に何の説明もなく展開していく感じにいつの間にか引き込まれて
しまいます。表紙の絵もどう読めばいいのかわかりません。
一体何を意味しているのでしょうか? それが魔術というものの
本質なのではないかと勘ぐって読んではみましたが、まだ読み
切れません。なるほど! と簡単に思わせてくれないところも、
魅力的ですね。
 多分、きちんと調べると、このドーム状のものは何かの象徴なの
だろうと思いますし、じいさんヤギが、魚や鳥や、ワニに
つながれているのにも何らかの意味があるのだと思います。
何度か読んでいると腑に落ちる日が来るかもしれません。
それまで、この懐の深い不思議の世界を堪能しようと思います。


◆ちいさなかがくのとも 2018年2月号
「ふぶきが やんだら」あかし のぶこ/作


◎著者紹介
作者 あかしのぶこ 
京都府生まれ。絵本に「ねむたいねむたいももんがたち」
「もりのみんなのやまぶどう」「じーっとじっと」など

激しい雪と風に見舞われる北国のふぶき。ふぶきの日は、
外で遊びたくても、家の中でじっとしているしかありません。
それは森の動物たちも同じです。強風で思うように飛べない
鳥たちは、葉かげでじっとしています。リスも木のうろの中で、
思いは、みな同じ。「ふぶきよ、はやくおさまって」。

◎ストーリー紹介
 きょうは吹雪。風がビュービュー ゴオゴオふいて
雪がずんずんふってくる。吹雪がやまないと外にあそびに
いけないよ。吹雪はいつやむのかな。ことりたちは木のうえで、
リスも枯れた木の穴で静かにしっぽに顔をうずめてまっている。
ウサギも、キツネも、シカも、フクロウも、じっと吹雪が
やむのを待っている。吹雪よはやくおさまって。

◎絵本の特徴
 寒い寒い冬の、吹雪を描いた絵本。風が勢いよくふいて、
雪で目の前が見えないくらいに降る様子が、迫力のある絵で
描かれています。
祈るような気持ちで、じいっと丸くなって、吹雪が行って
しまうのを待つ。その時間はきっと長い長い時間なのでしょう。
息をひそめて、自らの体温と鼓動を頼りに、ただただ待っている。
そんな命の営みをリアルに感じます。
 作者のあかしさんは北海道の斜里在住。吹雪はなんどもご経験
されているのでしょう。それだけにどのシーンもこころに迫って
くるものがあります。特に森の上を吹き荒れる大雪の画面は圧巻で、
激しく吹き荒れる風の音がきこえてくるようです。そして吹雪が
やんだときのピタッと静かになる感じ。音がやんで、空が
さえわたり、世界が一変する。その描き分けが本当に見事です。
文章も、小さな子どもたちに読んで聞かせるのにふさわしい
柔らかく美しい言葉で綴られています。冬の寒い日の夜に
読みたい絵本です。

◎子どもの反応
 読み終わったらすーっと寝ていました。
子守歌みたいに聞こえる柔らかい言葉が、
心地よかったのだと思います。

◎読み手の感想
 温かい地方に住んでいるので、吹雪を経験したことはあまり
ありません。台風で大嵐、というのもあまり経験がないのですが、
嵐、くらいなら経験があるのでそこに雪を足して想像してみました。
 きっとものすごく寒いんでしょうね…。ひとも動物も、じーっと
動かずにいるくらいしかできることはないのでしょう。
音もなりやまず、それがさらに不安にさせたりして。
自然と共に生きていくというのは壮絶なことですね。
 でも、その中に想像もできないくらいに美しい瞬間や、
素晴らしい時間もあるのだと思います。この絵本を描いた
あかしさんの絵本は、「ももんがのふゆのおうち」も印象的でした。
特に夜空の青と星を美しく描く方だなあ、と思いました。
 今回も、吹雪のやんだ瞬間の風景がとても美しかったです。
厳しい自然の場所で生きることを選んだ方だからこそ描くことの
できる風景なのでしょう。そんな風景を見せていただいて
ありがたいなあ…と思いながら読みました。




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