よゆう

 えほんおじさんです。
 今週紹介の

◆年中版こどものとも 2018年5月号
 リュック しょって ピクニック

 では、ピクニックの途中
「おなかがペコペコでいっぽもあるけないよ」
とクマが言います。
 しかたがないので、みんなはそこでお弁当を食べることにしました。
しかも、お弁当をたべおわったクマはお昼寝をはじめてしまいます。
こんなクマに対して、一緒に行ったみんな(キツネとウサギとネズミ)
は待ってやります。

 一方、
◆ちいさなかがくのとも 2018年5月号
 たんぼに あおぞら みーつけた!

 では、
「たんぼに水がはいったから、かえるがよろこんで集まっているの。
 見にいってみる?」
とお母さんは言います。

 この二作品に共通することは、「余裕」ある行為だと思います。
イライラしないのです。
 そもそも「芸術」の大きな効用は立ち止まらせることでした。
この【イライラ社会】において、立ち止まらせるということは
いよいよ重要な役割を担うことになってきました。こういう作品に
出会うとしばし「世界の再発見」ができるのではないでしょうか?


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆年中版こどものとも 2018年5月号
「リュック しょって ピクニック」
こさかまさみ/作 こやまともこ/絵


◎作者紹介
 こさかまさみ 兵庫県生まれ。絵本に
「まこちゃんとエプロン」「いちばんせんちょう」
「こいのぼりじま」「せんたくもののえんそく」
「ゆげゆげゆげお」
童話に「おばけのクリリン」などがある。

◎画家紹介
 こやまともこ 神奈川県横浜市出身。
女子美術短期大学グラフィックデザイン科卒業。
2010年ボローニャ国際絵本原画展入選。
絵本に「ロールパンのろうるさん」「梅干しの絵本(農文協)」
「かちかちやま(文・山下明生/あかね書房)などがある。

◎ストーリー紹介
 クマとキツネとウサギとネズミが、ピクニックに行きました。
めざすはおやまのてっぺん。ところが、てっぺんまでまだまだだ
というのに「おなかがペコペコでいっぽもあるけないよ」とクマ。
しかたがないので、みんなはそこでお弁当を食べることに
しました。お弁当をたべおわったクマはお昼寝をはじめて
しまいます。ほかのみんなはかくれんぼをして待っていましたが、
やがて疲れてきて、ネズミはウサギのリュックに入り込んで、
眠ってしまいます。ウサギはキツネのリュックに、キツネは
クマのリュックに入り込んで…。さて、クマは目覚めると誰も
いません。みんな先に行ったと思ったクマはリュックを背負って…

◎絵本の特徴
 のんびり、ゆるやかでおおらかなお話です。
特にクマさんのとぼけていてマイペースな性格に笑ってしまいます。
自分のことを優先して(おなかがすいたとか、ねむいとか)みんな
を振り回すようなところもあるけれど、自分に対して寛容である
ように人に対しても寛容。遊び疲れて眠たくなってしまったみんな。
ネズミはウサギのリュックに、ウサギはキツネの、キツネはクマの…
とどんどん入れ子のように入っていって、最終的に置いて行かれたと
思ったクマがみんなをしょってお山のてっぺんまで登りますが、
そこにはだれもいません。そこへリュックからでてきたみんなを
みてクマは「なんだ、そんなところにいたのかあ」と一言。

 このゆるさ。本当に素晴らしい。そして、一緒にいるキツネや
ウサギ、ネズミもみんな起こったことをそのままに受け入れる
おおらかさがあります。クマさんが、山のてっぺんもまだなのに
おなかがすいたと言えば、そこでお弁当を食べ、お昼寝をして
しまえば、起きるまで遊ぶことにし。予定が変わったことに
怒ったりするのはだれもいません。
…こどもを取り巻く世界はこのようであってほしいですね。

絵を描かれたのはこやまともこさん。渋くてお洒落な色合いが
素敵です。全体的にはざっくりとして量感のある版画ですが、
クマさんのとぼけた感じやほかの動物たちのちょっとした目の
動きなんかはとても繊細に描かれています。
絵と文章のバランスのよい作品。

◎子どもの反応
 にこにこ、楽しそうに聞いていました。
クマのことを「こいつバカよなあ」といいつつ嬉しそうに
その様子を見守っていました。

◎読み手の感想
 こういう世界で生きていきたいなあ…。と心から思います。
日本という国がそうなのか大人の世界というものがそうなのか、
みんな「私が我慢しているのだから皆も我慢して当然」という
空気で充満している。他人に対する徹底した不寛容。ネット社会に
なってさらに加速したような気がします。誰かが何かを言うたびに
よってたかって中傷。それも全然関係ない人が鬼の首を取った
ように騒ぎ立てています。そしてそれをニュースなんかで
とりあげたりするのも異常事態ですね。こんなギスギスした社会に
生きていかねばならない子どもたちの未来を思うとため息が出ます。
 この絵本のようにお互いに寛容で緩やかな人間関係を築くことが
今よりももっと大事になってくるかもしれません。というか、ぜひ
そういう人間関係の中で、心を無駄にすり減らすことなく生きて
いってほしい。理想論なのはわかっていますが、そう願わずには
いられません。

◆ちいさなかがくのとも 2018年5月号
「たんぼに あおぞら みーつけた!」
澤口たまみ/文 山口哲司/絵

◎作者紹介
澤口たまみ 岩手県生まれ。
著書に「虫のつぶやき聞こえたよ」「昆虫楽園」。
絵本に「みつけたよさわったよにわのむし」「いもむしってね…」
「だんごむしのおうち」「わたしのこねこ」「わたしのあかちゃん」
「カマキリさん どうしたの」「いもむし けむし」などがある。

◎画家紹介
 山口哲司 大阪府生まれ。
季節感のある風景や動植物などを風合いのある綿布に描く
“手染絵”の作品を制作。2013年ボローニャ国際絵本原画展入選。

◎ストーリー紹介
 春、田んぼの土がほりかえされて水がはいる。
その晩、母さんがぼくを呼んだ。なんだろう?
 不思議な音がひびいている。

「げげげげっ、ががががっ」
「たんぼに水がはいったから、かえるがよろこんで集まっているの。
 見にいってみる?」

 いってみると、たんぼのなかにお月さま。かえるはどこにいる
のかな? 次の日、たんぼは静かになっていた。…あ、くも!
 そらにひとつ、たんぼにひとつ。おおきな雲がふたつある。
たんぼに水がたまったら、たんぼは空のかがみになった。

◎絵本の特徴
 もうじき田植えの季節ですね。我が家の周辺も新しい家が
ずいぶん増えて、田んぼが減りました。とはいえ、まだまだ
田んぼの占める割合は多く、この絵本のような風景が広がります。
もちろん夜にはカエルが大騒ぎ。田んぼに水を入れて、田植えが
本格的に始まるまでの数日間、田んぼは空を映し、風に光ります。
桜も風景を一変させますが、田舎の風景を一変させるのは、
この田んぼに水が入った時かもしれません。美しく静謐な世界。
田んぼに映る空は、もう一つの世界への入り口のようで、心が
吸い込まれてしまいそうです。この絵本はあの数日間のなんとも
いえない感動を、言葉と絵で現します。都会で生まれて、田んぼを
あまり見たことのない子どもたちにもこの感動は伝わるのではない
でしょうか。あるいは田舎に住む子どもたちも、身近な風景の
すばらしさを再発見するのではないでしょうか?
 子どもたちの大好きなカエルを水先案内人として、その向こうに
果てしなく広がる世界へ導いていくやり方も見事です。文章を
書かれた澤口さん。虫の絵本をたくさん書かれています。柔らかな
言葉で綴られる、身近な虫たちの絵本には澤口さんの虫たちに
対する愛情深さを感じます。この絵本にも、澤口さんの感動と
愛情があふれていますね。自分を取り巻く環境や風景への愛着の
深さが、美しい言葉を紡ぐ原動力なのかもしれません。

 絵を描かれたのは山口哲司さん。絵本のお仕事は今回が初めて
だそうです。布の風合いを生かした鮮やかな染め絵に心を奪われ
ます。技術的なところは詳しくはわかりませんが、布に絵を描く
ときのいろいろな緻密な計算をしつくしているように見えます。
一枚の絵を描くのに多大な努力と時間をかけられているのでしょう。
これからどんな絵本をえがかれるのか、楽しみですね。

◎子どもの反応
 絵の中に虫を発見して喜んでいました。これから、田んぼに
水が張られる季節になってからもう一度読もうと思います。

◎読み手の感想
 田んぼに水が張られた風景。私の記憶の中でもひときわ美しい
風景です。でも、見慣れてしまい、ここ数年は見過ごしていました。
この絵本を読んで、はっとしました。こんなに美しい風景に無関心
でいたことを恥ずかしく思いました。忙しさや別の考え事、日々の
ルーティーンの中で見過ごしてしまっていることの多さ。身近な
風景の美しさを見過ごし、人工的に作られたまやかしのようなもの
ばかりに注目してしまっているんじゃないか、とすら思います。
そういうものを再発見しなければいけないのかもしれません。
そこにこそ、本当の希望があるのかもしれません。そんなことを
読後に思いました。




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