ベストセラー赤ちゃんの絵本について(1)

 えほんおじさんです。

 たった1年ほどの間に、シリーズ(3冊)合計で23万部も
売れているあかちゃん絵本があるそうです。

1)「もいもい」市原淳/作
2)「うるしー」ロロン/作
3)「モイモイとキーリー」みうらし〜まる/さく

 これらはいずれも《東京大学あかちゃんラボ》という
「あかちゃん学」の研究者たちが、あかちゃんが本当に
好きな絵本を作りたいとプロジェクトを企画し作った絵本です。

 当の絵本に差し込まれたパンフレットによると、
そのプロジェクトは次のような主旨だそうです。(以下引用)

『あかちゃんの研究をしていると、
 「あかちゃんって明るい色が好きなんですよね?」とか、
 「丸い形が好きですよね?」とかいった質問をよくされます。
 しかし、あかちゃんはそれほど単純でありません。大人が思う
 あかちゃんの「好き」は、あかちゃんにとって「嫌い」かも
 しれません。あかちゃん学プロジェクトは「あかちゃんの立場」
 を尊重して、あかちゃんが本当に「好きな」絵本を作ることが
 もくろみです』
『これまで、あかちゃんのための絵本、あかちゃんの好きな絵本と
 言われてきたものは、親が思うあかちゃんが好きそうな絵本で
 あって、あかちゃんが本当にその絵本が好きかどうかをきちんと
 調べたものではありませんでした。
 私たち(プロジェクト)は、これまで積み重ねてきたあかちゃん
 学研究の見地と豊富な本作りの経験を活かし、本当にあかちゃん
 が好きな絵本・あかちゃんと一緒に楽しめる絵本を作りたいと
 いう想いから…』

作ったそうです。

 そして、絵本とあかちゃんの関係、すなわちあかちゃん
(月齢8〜13ヶ月)の好みを知る方法として、「選択注視法」を
用いた実験を行ったそうです。
 「選択注視法」とは、複数の刺激を同時に提示し、どの絵をより
長く注視するかを測るというもの。複数のイラストの中でどれが
長く見られるかをチェック、最後に統計的な処理をすることで、
あかちゃんの好みを明らかにしたということだそうです。

 さて、
「1年ほどの間に、シリーズ(3冊)合計で23万部も売れている」
(出版界では、この商売は成功)ことをもって、
「本当にあかちゃんが好きな絵本・あかちゃんと一緒に楽しめる絵本」
ができたと自負してもいいのでしょうか。

 「そんなことは言えませんよ」というのが、読み聞かせ歴45年の
私の見る「赤ちゃん絵本の現在」から言えます。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

 すなわちこの3冊

1)「もいもい」市原淳/作
2)「うるしー」ロロン/作
3)「モイモイとキーリー」みうらし〜まる/作

 シリーズのどの一冊も、作品として、すでにある優れた
赤ちゃん絵本を越えることができていないと思えるからです。


●駒形克己/作 ごぶごぶ ごぼごぼ

●元永定正/作 きたきたうずまきもこもこもこ

レオ=レオニ/作あおくんときいろちゃん

 と比べるとそのことは明瞭です。これらはいずれも20年以上の
歴史を持っています。
(「もこもこもこ」「あおくんときいろちゃん」は40年以上)

 これらは「親が思うあかちゃんが好きそうな絵本であって、
あかちゃんが本当にその絵本が好きかどうかをきちんと調べた
ものではありませんでした」と言えるのでしょうか。
 私もいつも読んでやっていますが、時代を問わず、一生懸命
見てくれる絵本です。
 「もこもこもこ」「あおくんときいろちゃん」は、もともと
あかちゃん対象に作られた絵本ではありません。
(それゆえ、読み聞かせには一工夫必要です)
 にもかかわらずあかちゃんが、20年から40年間支え続けて
いる実態を見れば、あかちゃんの「好き」がどこにあるか
その一側面は見えてこないでしょうか。

 「豊富な本作りの経験」をいうのなら、あかちゃん絵本と
してそのような経験の蓄積がある「もこもこもこ」
「あおくんときいろちゃん」のような絵本から学ばなければ
ならないのではないでしょうか。

 1)2)3)の絵本は、確かにあかちゃんのある側面の一部を
捉えてはいるものの、プロジェクトのいう「あかちゃんはそれほど
単純でありません」という点については、「もこもこもこ」が
見せてくれる「あかちゃんの心」方が、広くて深く捉えているの
ではないでしょうか。比べるとよくわかるのですが、「もいもい」
の方が単純なのです。

 絵本が「好き」になるには、特に赤ちゃん絵本に必須な要素
「歓迎=この世に生まれてよかった」
「安心=心地よさ」
「くっきり=安定」
「心の拡張=アナロジー」
 が含まれていなければなりません。
ところが「もいもい」やシリーズの中には、不定形な形と
目のような形と色の多様さと「音」の中にある「安心」は
あるにしても、心を広げてくれる面白さがあまり多くはありません。

 絵本のメディアとしての最も基本的な特徴は「めくる効果」
ですが、これを多用しているのが、
2)「うるしー」という絵本です。
「うるうるしー」という魔法の言葉をかけながら、
「めくると」手品のように帽子の中や背景をヒントにある
「もの」が登場します。いうまでもなく、「次場面を想像する」
という知性に役立つのですが、「うるしー」の場合
「あかちゃん絵本」とはちょっとずれています。
 おそらくこの絵本は、1歳後半から2歳までくらいなら大いに
喜んでくれるでしょう。1歳以下のあかちゃんは、「場面」を
楽しむのであって、「めくる効果」はあった方がいいですが、
「繋がり」が問題になるのは、もう少し後です。
それに「めくる」前場面と、めくった後場面の関連が、
どのページも遠すぎます。ヒントが遠すぎるのです。
 何回も楽しむのが絵本ですから、難しくしたのでしょうか?
 ならば、「赤ちゃんのことが分かっていない」ことになります。
そして2場面だけで構成されているため、絵本のもつ大事な要素
「完結」=物語性が弱いために作品としての力は、その時だけ
2歳くらいまでの絵本となるでしょう。

 「モイモイとキーリー」は、ふわふわした音(ブーバー)と
鋭角的な音(キキ)による心理学の実験があるそうですが、
それを絵本化したものとのこと。この絵本は、このような
「音」と「形」を結びつけようとしたらしいのですが、
この試みも「0・1・2赤ちゃん絵本」では常識的です。
何もプロジェクトなどと大げさにしなくても20年も前から
何度も繰り返されています。感覚の統合と分離を促進しようと
しているのでしょうか。しかし今だ感覚が未分化(言葉の介在が
なければ分離しない)な赤ちゃんには、今ある未分化を楽しむ
ような絵本の方が「好き」になるのではないでしょうか。

つん こん ぱっ こどものとも0.1.2. 2018年7月号

 という絵本がありますが、その絵本の音、「ごどりご ぞりぞり」
ぐらいの音と色形でないと「赤ちゃんの心」に異化効果はないの
ではないかと思われます。

 そして、この3冊シリーズに抜けている「あかちゃん絵本」が
あります。「モイモイとキーリー」が近いかもしれません。
もうたくさんあるし、赤ちゃん期は少ないですから、
もうシリーズには必要ないかもしれません。

 いわゆる「ものの絵本」の系列です。
赤ちゃんには必須の絵本です。
 この「ものの絵本」は、人間が生まれながらに持っている
「合理的知性」を促進する役目を持っています。
【ふわふわした音(ブーバー)】というとりとめのない世界
=この世を「分けよう」とする知性の働きの原初ですから、
何よりも「くっきり」していて、色ではなく「形」「線」が
重要になります。

くだもの

いちじく にんじん

いちご

まるくておいしいよ

どうぶつのおかあさん

よくきたね


 では結論として、
このベストセラーあかちゃん絵本は購入すべきなのか
どうなのでしょう。
その答えは、もう一度このメルマガをお読みください。
そしてはっきりとした答えは「以下次号」です。すみません。




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