ベストセラー絵本

 えほんおじさんです。


メルマガ758号において
とってもよく売れている赤ちゃん絵本シリーズ
(1)「もいもい」市原淳/作
(2)「うるしー」ロロン/作
(3)「モイモイとキーリー」みうらし〜まる/さく

 の問題点を考えました。

 そしてメルマガ758号では、

《「では結論として、このベストセラーあかちゃん絵本は
 購入すべきなのかどうなのでしょう」
 はっきりとした答えは「以下次号」です》
と書きました。

 で今回は、そのお答え。

 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

 「お金に余裕のある方は、どうぞ」が結論です。
必備・必読赤ちゃん絵本ではないということですが、購入して
邪魔になったり、悪影響があるような絵本でもないと思います。

 「ベストセラーもの」「よく売れている」絵本は、くせ者です。
例えば、過去に大流行した「ウォーリーをさがせ!」
「あんぱんまん」「おやすみロジャー」などのオリジナルは
消えてしまったり、誰も手に取らなくなりました
(アニメ、キャラクターとして残っている)。
 これらの本は、そもそも「絵本」の分野に入れることを
はばかります。


 必備・必読赤ちゃん絵本は次の通りです。
(1)
●「駒形克己/作 ごぶごぶ ごぼごぼ」

●「元永定正/作 きたきたうずまき」

●「元永定正/作 もこもこもこ」

●「レオ=レオニ/作あおくんときいろちゃん」(赤ちゃん絵本としても使える)

(2)
●「くだもの」

●「いちじく にんじん」

●「いちご」

●「まるくておいしいよ」

●「どうぶつのおかあさん」

●「よくきたね」

 さて、もう一度メルマガ758号を整理します。
《東京大学あかちゃんラボ》という「あかちゃん学」の研究者たち
がプロジェクトまで組織し、その研究成果を絵本にする試みから
生まれた絵本シリーズ3冊は、すでに40年の蓄積のある赤ちゃん
絵本の現在の水準に何かを付け加えたり、赤ちゃんの心を深めたり
広げることが果たしてできたのだろうか、という問題です。

 メルマガ758号においては、少なくともこの3冊では赤ちゃん
絵本の現在水準に対して「何もできていない」「何も超えていない」、
そしてそれらは重要な側面を欠落させているという結論を得ました。
(758号をお読みください)ただし、このシリーズはまだ始まった
ばかりかもしれません。

 この点について、メルマガ758号では少々舌足らずに
なりましたので、再度(もう少し詳しく)考えてみます。

 さて、プロジェクトのいう次の点について

『これまで、あかちゃんのための絵本、あかちゃんの好きな絵本と
 言われてきたものは、親が思うあかちゃんが好きそうな絵本で
 あって、あかちゃんが本当にその絵本が好きかどうかをきちんと
 調べたものではありませんでした』

 この言葉は、具体的にどのような絵本について言っているのか
不明なのですが、確かに数字的にはおっしゃる通りかもしれません。
しかしながら、長い歴史を持つ(20年以上40年間も)出版され
続けている赤ちゃん絵本が多数存在(上記(1)(2)リスト)
することは、「親が思っている好きそうな絵本、あかちゃんが
本当にその絵本が好きかどうかわからない」と言えるのでしょうか。
赤ちゃんが離さないからこれだけの年数存在し続けたのではないで
しょうか。親の思いだけで絵本が生きながらえることはできなと
思います。ここには赤ちゃんの「心」の本質的な要素があるから
ではないでしょうか。

 この《東京大学あかちゃんラボ》絵本シリーズの「絵」の特徴は、
赤ちゃんと一緒に作るというやり方、すなわち

(A)赤ちゃんが凝視した絵、視線をクギ付けにした絵を主人公に
 物語風に絵本化していること

(B)赤ちゃんに絵を見せて選んでいること(音に触発された形と
 色を選んで並べて物語風にしている)

です。
 これらの絵は、赤ちゃんが凝視し選んだ絵を多数決(?)で
構成しているのですから、赤ちゃんが「好む」のは当たり前
でしょう。この場合「好む」ことと「芸術性」どのように関係
するかを絵本に見ていく必要があります。その際、絵本の「絵」が、
第一に赤ちゃんの心の内部の何かを引き出さなければ、赤ちゃん
絵本としての芸術性は生まれてきません。そして第二に、それらの
絵が、それを描いた芸術家の心の内部と赤ちゃんの心が共鳴
しなければ「作品」として成立しません。
 つまり絵を描いた人の自己表出の出所と赤ちゃんの心とが
どのように出会うかという問題があります。

 それでは「もいもい」という絵本は、そのことが実現されて
いるでしょうか。
 「もいもい」の主人公を色形を見みてみましょう。
これが赤ちゃんが気に入った姿だそうです。この主人公は確かに
赤ちゃんの心を何かを表していることは間違いなさそうです。
その不定形さはおそらくそれは「安心」と「活力」だろうと
思われます。なぜなら、例えば「もこもこもこ」に共通する
似姿がそこにあるからです。赤ちゃん(40年前の)が
「もこもこもこ」で発見したものと同じ「安心と活力」が
そこにあるのですから。ということは、プロジェクトが新たに
発見したものではないのです。すでにそれらの主人公の姿は
赤ちゃん絵本では常識なのです。

 もう一つの問題は、「親が思うあかちゃんが好きそうな絵本」
として、おそらく否定されたからこそシリーズ3冊から外されたと
思われるリスト(2)の赤ちゃん絵本のタイプの問題です。
いわゆる「ものの絵本」と言われる絵本。
この「ものの絵本(リアルな絵本)」こそ、
従来は「赤ちゃん絵本」だと言われてきました。

 赤ちゃんが視線をクギ付けにした絵(A)
赤ちゃんが選んだ絵(B)の中に、このタイプの絵本が少ないのは
どうしたことでしょう。

 赤ちゃんに「絵」を選んでもらうと、おそらくこのタイプの絵は
選ばれないのではないかと思われます。どうしてかというと、
このタイプ(2)の絵は「分離」を表現するからです。
タイプ(1)やプロジェクトから生まれた上記3冊の絵は、
どちらかというと「全てを許し包み込む絵」であって、主に
「安心=心地良い絵」ですから、赤ちゃんは当然のごとく
このタイプの絵を選ぶはずです。それに比べて、「線」や
「くっきりとした形」は凝視はしても、好きなタイプではないと
思われます。ここに「赤ちゃんに絵を選ばせる」方法には問題が
ある言わざる得ません。赤ちゃんには合理的知性が備わって
いますから、成長とともに「包まれていること」から自己を分離
していきます。その際、スーパーリアリズムの絵や「もの」の
輪郭線は、自己と区別して他者を分離する指標となります。
もちろん赤ちゃんにおいては、「もの」にも「魂」があります
から、「もの」に対しても自己を移入しています。

 「もいもい」という絵本では、主人公「もいもい」が
いろんな色の環境に中に置かれ、原型を変えない範囲で形を
変えたりしています。そしてこの絵本の各場面の背景の色は
「冒険」における出会いを表しているようですが、そのことが
とてもわかりやすく平板で、そこに「不思議」や作者の心の奥が
感じられません。
 これに対してスーパーリアリズムの「もの=例えば絵本
「くだもの」の絵の奥にある「もの」そのものの不思議さや
それに対する作者の感性、くだものを差し出す大人の「手」の
優しさなどが多層的に描かれています。

 赤ちゃんに選ばれない「もの」の絵本の絵が差し出す「絵」には、
それが存在することの喜びが表現されています。それゆえそれに
赤ちゃんは「凝視」するはずだし、大人の介在を通して、その
「もの」との関係をとり結ぶことは喜びであることを感じている
はずです。だからこそ、赤ちゃん絵本の「ものの絵本」分野
=タイプ2の絵本は、40年もの歴史を持っているのだと思われます。
そして赤ちゃんが「合理的知性」を発揮することは、
「包まれることの喜び」と同じくらい大きな喜びでしょう。
成長することを欲し、成長を喜びとする知性は赤ちゃんに備わった
とても大事な要素だと思います。

 赤ちゃんへの読み聞かせの実践によって、タイプ(1)(2)が
赤ちゃんの心を知ること、赤ちゃんの成長を見ることに、必読な
絵本であることを発見してきました。赤ちゃん絵本とその読み聞かせ
の水準と地平はここまできています。したがって願わくは、
《東京大学あかちゃんラボ》プロジェクトが、すでに達している
水準をなぞるのではなく、赤ちゃんの心の奥底や広がりをさらに
発見し、絵本界に驚くべき「面白さ」を持ち込んで欲しいと思います。




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