11月号紹介

 えほんおじさんです。

 ファンタジー絵本は、絵本の大部分を占める分野です。
ファンタジーとは空想・幻想物語の一種ですが、全くの
空想・幻想ではありません。子ども向けファンタジー絵本や
物語では、「リアリティ=本当らしさや根拠」が最も大事で、
絵や物語に「極めて本当らしい世界」が描かれなければ、
子どもはすぐに飽きてしまいます。(そうでなければ
せいぜい一回読んだらお終いでしょう)

 今月の、
●こどものとも 2018年11月号「ねこぶたニョッキのおつかい」
は典型的なファンタジー絵本です。

 この絵本に登場する「化け物」たちは、想像・空想がこれ以上ない
ところまで深く広く及んでいますが、でもやはり現実の動物が根拠
となっています。ありえない大ウソの中に想像の出発点が見え隠れ
しています。

 また、今月の
●ちいさなかがくのとも 2018年11月号「あかくん うみを わたる」
はノンフィクションのようですが、実は、ファンタジー絵本です。

 風景や車はすべて現実(描き方には作者ならではの絵)の世界
ですから、まるでノンフィクションのようです。でも、不思議な
ことに車を運転している人がいるのか、いないのかわからないのです。
このような赤くんや車を描くことで、読者はいつのまにか、
赤くんになりきってしまいます。読者の現実の「身体」はここにあっても、
心は「赤くん」とともに動きます。
とりわけ10歳までの子どもは現実と想像したものとの間に壁がなく、
その壁を自在に行ったり来たりできる能力を持っています。
だから「赤くん」から見た風景や世界をリアルに見ることができるのですね。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。


◆こどものとも 2018年11月号
「ねこぶたニョッキのおつかい」 古山浩一/さく


◎作者紹介
古山浩一 1955年、東京都生まれ。筑波大学大学院芸術専攻修了。
絵本に「ありありまあまあ」「かざみどりのフィットチーネ」
「雪がとけたら」など。
単行本に「天才ピカソのひみつ 美術たんけん隊 びじゅつのゆうえんち」
「絵画の教科書 アクリル画編」「万年筆スケッチ入門」などがある。

◎ストーリー紹介
 ニョッキはアラヨット山で仙人の修行をしているねこぶたです。
ある日、仙人の師匠がいいました。

「すぐにポヨヨーン村にいってホッペフワリンポヨヨーンパンを
 三つ買ってくるんじゃ。これは修行じゃ!」

 ポヨヨーン村はとんでもなく遠いのです。でも、師匠はニョッキに
「さっさといくのじゃ」とおこっていいました。
 長い道のりの最後に、うすぐらくてぶきみなグルグル森を通り
ぬけると、丘の上にパンやさんがありました。
 ニョッキはホッペフワリンポヨヨーンパンを三つ買いました。
パンやのおじさんがいいました。

「森のなかにはこわいばけものがいて、ホッペフワリンポヨヨーンパン
 をねらってくるかもしれないよ。でもばけものは正体を見破れば
 逃げていくといわれてるんだ。」

 ニョッキは森のなかをあるいていきます。
するととつぜん! 緑の入道がとびだしてきていいました。

「やあ、うまそうなホッペフワリンポヨヨーンパンだ!」

さあ、ニョッキは緑の入道の正体を見破ることができるでしょうか…?

◎絵本の特徴
 独特の筆致の絵がクセになる、わくわくドキドキの冒険譚。
少し不気味な表情の登場人物たちが生き生きと迫力たっぷりに
描かれて、冒頭から子どもたちの心をとらえます。ダイナミックな
視点の移動や、動きを演出する線。構成や展開の見事さに息をのみます。
 お話は、いたってシンプルですが、その分絵の印象が強く残る
ことでしょう。「ホッペフワリンポヨヨーンパン」というパンは、
風船のようにふわふわと浮かんでいるパンです。

 出てくる小物の意外性も、この絵本の面白さに一役買っています。
ファンタジーの世界に奥行きを与えるためには物語とは直接関係
ないところまで緻密な想像が張り巡らされているか、というのは
重要なポイントになります。
グルグルの森にたどりつくまでの、道のりを俯瞰で描いたページが
ありますが、ニョッキの住んでいる世界がどんな世界なのかを視覚で
見ることができ、物語の外側の大きな世界観を感じることができます。
 化け物の正体(名前)をあてて、化け物が本当の姿を現し逃げて
いくという展開は昔話なんかでもよく見るテーマですね。例えば
「だいくとおにろく」などがあります。人の「わからない」ものに
対する恐怖はきっと普遍的なもので、「わからない」は心の中で
巨大化し、凶暴になり、人の心を襲うのでしょう。そういうものと
どうやって立ち向かっていくかというのは、古来から物語の一つの
方向性です。立ち向かうための知恵や勇気を物語は人に与えて
くれます。たくさんの物語に親しむことは、生きていくために
とても重要だと私は思います。でも、物語に親しむためには、
ちょっとした訓練が必要。物語の象徴的な言語に慣れることで、
より深く物語を味わうことができ、より多くの知恵を授かることが
できます。この絵本はファンタジーの入り口にもぴったりですね。

◎子どもの反応
 上の子も下の子もものすごく面白がって聞いていました。
私からするとちょっと不気味な絵も、子どもたちにとっては
面白さでしかない、ということにおどろきます。化け物の正体を
当てるところはクイズのように答えをさけんでいました。

◎読み手の感想
 ちょっと苦手なタイプの絵だったので、最初は積極的に
読まなかったのですが、何回か読んでいるうちにその絵がクセに
なってきました。細かいところをいろいろ見ていると、その
ディテールのかっこよさなんかにも気づき始め、荒々しく
描かれた線や、逆に緻密に描かれた線とか色々な線が使い分け
られていることにも気づき、なるほどなあ、とため息。
色使いも独特で面白い。きれい→気持ち悪いの「→」の部分の
色です。「→」の部分の幅をいっぱいいっぱいに表現しきって
いるという印象。伝わりにくかったらすみません。
 今回の絵本は文章も絵も同じ作者ですが、他の方が文章を書いて、
古山さんが絵を描いたものも読んでみたい、しかも本格ファンタジー
作品で…という希望もあります。


◆ちいさなかがくのとも 2018年11月号
「あかくん うみを わたる」 あんどう としひこ/さく


◎作者紹介
あんどう としひこ
 1956年、静岡県に生まれ。
桑沢デザイン研究所グラフィックデザイン科卒業。
絵本に「あかくんまちをはしる」「あかくんでんしゃとはしる」
「カフェバスくんがいく」など。

◎ストーリー紹介
 さあ、車の赤くんが島めぐりに出発だ。大きな吊り橋をわたるよ。

「わあ、ぼくの下をいろんな船がくぐっていく」
「フェリーやヨット、モーターボート、漁船」

 ひとつめの島に到着! 漁船くんは港の市場にむかってる。
市場のそばをとおって、海ぞいの道をはしるとヨットくんたちが
ならんでる。次は赤い橋をわたってふたつめの島へ。
でっかい造船所、フェリー乗り場もある。

◎絵本の特徴
 「あかくん」シリーズの最新作。
ちいさなかがくのとも200号記念です。

 いろんな道を走るあかくん。今回は島めぐりの旅に出発です。
あんどうさんの描く日本の風景は、知らない国の風景のようで、
それが日本の風景だということにはっとします。景観というものに
あまり重きを置かなかった日本の戦後史の中でも、まだまだ美しい
場所はあるのだと思い知らされます。今回の舞台は瀬戸内の島々。
たくさんの船たちに出会い、造船所ではつくりたての巨大な船にも
出会います。
 「あかくん」のシリーズはいつも淡々といろいろな道を走っていく
だけの絵本ですが、その分読み手が「あかくん」と一体化しやすく、
自分自身が車のあかくんになったような気持ちで道を走ることができます。

 表紙のあかくん、中に人が乗っている様子はありません。
あかくんはあかくんの意思でいろんな場所を旅しているんですね。
この絵本に出てくる乗り物たちも人も、同じようなテンションで
描かれているので、この世界では人も車も仲間なんだろうな、
と感じることができます。子どもたちの世界でも、ものも人も
同じように命を持っていることが多いと思います。
むしろそれが普通、という描き方が、“あかくん”シリーズに
惹きつけられる人が多い要因のひとつかとも思います。
 さあ、子どもたちと“あかくん”になって、
美しい日本の風景の中を旅しましょう。


◎子どもの反応
 あかくんシリーズは小さいころからよく読んでいます。
なによりも船が好きだった上の子と一緒に、船を見に行った時の
話をしながら読みました。

◎読み手の感想
 お洒落なあかくん。モデルになっている車は英国の「ミニ」
という車だそうです。
車にあまり興味のない私でもその車は知っているし、機会があったら
乗ってみたいとも思っています。この絵本に出てくるほかの車たちも
あかくんの絵本によく出てくる車たちも多く描かれています。
シリーズを通して読んでみて、同じ車を発見して遊ぶ…なんてことも
できそうです。シリーズものの醍醐味ともいうべき楽しみ方ですね。
出てくる車には人が乗っていたり、乗っていなかったり。誰がどの車に
乗っていて、その人がどの場面で何をしているのか、というサイド
ストーリーもなかなか面白いです。3・4・5歳向けの絵本では
ありますが大人にも面白く、家族みんなで楽しめる絵本だと思います。




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