2019年1月号その3

 えほんおじさんです。


 こどものとも年中版シリーズは、たまに「再販」ものが組み込まれます。
「こどものとも」や「こどものとも年中版」シリーズはすでに何百号と
号を重ねています。にも関わらずハードカバーとなって通常手に入る作品は
ごくわずかで、実はその多くは埋もれています。埋もれていますが、その
ほとんどは「宝物」のような絵本ばかりです。

 今回は、その中から貴重な絵本が再販されました。

 「渡辺 茂男&赤羽 末吉」作品と言えば、世界の最強コンビと
いっていい絵本です。地上と空の上を表現するのに、絵を縦長に
使ったことによって、絵本表現の可能性の幅を広げてくれた作品
でもあります。

 今月の「ちいさなかがくのとも」は、ほんの身近なこと(早朝の散歩)が
大きな感動を呼び、それがさらに「科学的思考」の入り口ともなる、
このシリーズの典型的な一冊です。
 追体験や実際体験をも誘発してくれることでしょう。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。


◆こどものとも 年中版 2019年1月号
「へそもち」渡辺 茂男/さく 赤羽 末吉/え

◎作者紹介
 渡辺茂男 (1928〜2006年)静岡県生まれ。慶應義塾大学卒業。

絵本に「しょうぼうじどうしゃじぷた」「とらっくとらっくとらっく」
「くまたくんシリーズ」「てつたくんのじどうしゃ」「くるまはいくつ?」
など。

童話に「もりのへなそうる」、訳書に「どろんこハリー」
「エルマーのぼうけんシリーズ」「ぐらぐらの歯」
「ちいさいしょうぼうじどうしゃ」「かもさんおとおり」
「ちいさいじどうしゃ」「クリスマスのまえのばん」他。


◎画家紹介
 赤羽末吉 (1910〜1990年)東京都生まれ。
絵本に「ももたろう」「スーホの白い馬」「だいくとおにろく」「かさじぞう」
「おおきなおおきなおいも」「かちかちやま」「したきりすずめ」
「こぶじいさま」「くわずにょうぼう」「つるにょうぼう」
「日本の昔話123」など多数。

◎ストーリー紹介
 高い山の黒い雲の上に、かみなりがすんでいました。かみなりは雨を
ふらすのがしごとです。雨をふらせるだけならよかったのに、ときどき、
家や、高い木にとびおりて人間をこまらせました。
「ぴか ぴかぴか どろどろ どすん!」
 かみなりは、牛のお腹のおへそをとったり、桶やさんの桶をこわして、
そのうえ桶やさんのおへそをもっていってしまったりしました。
そんなある日、かみなりがお寺の上にちかづいてきたとき、
おしょうさんは考えました…

◎絵本の特徴
 言わずと知れた絵本作家である渡辺茂雄さんと赤羽末吉さんが強力な
タッグを組んで描かれた絵本。1966年6月の「こどものとも」の再版です。
お二人とも惜しまれつつ亡くなってしまいましたが、その作品は時代を
超えて愛され続けています。

 子どもの本質というものは時代が違えど変わらないものがあるのでしょう。
その本質をとらえた作品はいつまでたっても古くなるということがありません。
この絵本も、そういう作品のひとつです。
 ユーモアにあふれていて、芯のしっかりとした文章と絵が、子どもの心を
つかんで離さないことと思います。珍しい縦方向の展開も面白く、高い空の
スケール感にもわくわくします。
 赤羽さんらしい色使いの見事さ、間のとりかたの絶妙さ。“間抜け”に
ならないぎりぎりの間のとりかたにはため息しかでません。じわり、と
にじんだ線の柔らかさと、直線のコントラスト! 画面の外にどこまでも
広がっていく世界。
 また渡辺さんの建築的な文章が支える土台の安心感も素晴らしいです。
言葉で語るよりも、手に取って、ページをめくって堪能していただきたい作品です。


◎子どもの反応
 上の子(小2)と笑いながら読みました。服をめくっておへそを出して、
指でつまんで出したりひっこめたり。おへそとられるってどんなことなんだろう?
 とリアルに想像しているんだろうなあ、と思いました。

◎読み手の感想
 子どものころ読んでもらった記憶がおぼろげにあります。
へそもちの形状が印象深く、その味まで想像していたような気がします。
子どものころの印象では、へそもちは中にあんこが入っているのだろうと
思っていましたが、今、絵をよく見るとあんこだと思っていたものが
実はあんこではないのかも…とそわそわしています。そうすると想像していた
のとは違う食べ物になってしまいますね…。

 子どものころ、絵本に描かれていた食べ物の味への想像力はとても強く、
本当に食べたんじゃないかというくらいの記憶で残っていますが、
今その絵本を読み返すと自分の好きな味で想像していたんだな、と笑ってしまいます。

 つきたてのほかほかのお餅にあんこを包んだあんもちが大好きで、
へそもちのおへそのところの小豆色をあんこだと思い込んでいたのでしょうね。
そんな子ども時代の私を少し愛おしい気持ちで思い出しながら読みました。
 でも、お餅を作る場面でお餅にへそをつけている女性のそばに置かれた
赤いものはやはりちょっとあんこに見える…。でもお餅にへそをつけてから
あんを入れるのは不可能だな…といろいろ思いを巡らせてしまいます。

◆ちいさなかがくのとも 2019年1月号
「たいよう でてきたぞ」大橋政人/文 松成真理子/絵

◎作者紹介
大橋政人 群馬県生まれ。詩人。
詩集に「まどさんへの質問」、
絵本に「いつのまにかのまほう」「みぎあしくんとひだりあしくん」
「ちいさなちいさなふく」「つかめる かな?」「のこぎりやまの ふしぎ」
「ちいさな ふく ちいさな ぼく」「モワモワ でたよ」
「おおきいな ちいさいな」「みんな いるかな」などがある。

◎画家紹介
松成真理子 大分県生まれ。京都芸術短期大学卒業。
絵本に「じいじのさくら山」「たなばたまつり」
「もういいかあい? はるですよ」などがある。

◎ストーリー紹介
 今朝ぼくは太陽よりはやおきしたよ。太陽はどこからでてくるんだろう?
 そこが見たいと、まだくらいさむい朝、ぼくはお父さんとふたりで出発しました。
「たいようはむこうのやまのうえからでてくるんだ」とおとうさん。
向こうの山のほうがすこし明くなってきたぞ。そしてどんどん明くなっていく。
きっとあそこから太陽がでてくるんだ。

◎絵本の特徴
 冬の朝。起きるとまだ太陽が昇っていない時があります。
空気はピンと張りつめていて冷たく、音も静か。太陽が昇る前のどこか厳粛で、
不思議な雰囲気を体験したことがある方はたくさんいらっしゃることでしょう。
 この絵本のヒロ君は、太陽が昇る前(朝の5時〜6時くらいでしょうか?)に
目覚め、おとうさんと太陽が昇るところを見に行きます。きっといつも
歩いている散歩道。でも、いつもとは全然違う道。暗闇の中にぼんやりと浮かぶ
山の輪郭が、やがて赤く、赤く染まっていきます。その赤の赤さ。
 穏やかな語り口の文章ですが、感動が大きな波のように押し寄せてきます。
太陽が全ての景色を赤く染め、ヒロ君とお父さんの顔を染め、世界を一変させます。
 この絵本は作者の大橋さんの実体験を元に書かれているそうですが、
本当に本当に感動されたのでしょう。その感動をただただ伝えたいという
強く純粋な気持ちを感じます。心を震わせる根源的な喜びを感じます。
 その喜びを感じ取って、絵を描かれたであろう松成さんの力量も素晴らしいです。
特に真っ赤な画面の中のヒロ君とお父さんの笑顔は、湧き上がってくる喜びが光と
溶け合う、とても美しい瞬間が描かれています。太陽が昇ることを子どもたちと喜ぶ。
素晴らしい時間を描いた、良質の絵本です。

◎子どもの反応
 熱心に聞いていました。お母さんが最後に登場したのもうれしかったみたいです。

◎読み手の感想
 文章も、絵も素敵でした。音にリズムがあるわけでもなく、
独特の言い回しでもないのに、読みやすくなめらかな文章。
それに全体の余韻の残り方に特徴がありますね。
こういう文章は逆に珍しいな、と思いました。表面的に我を主張する
文章よりも好みです。料理で言うと寒い朝の、しっかりと出汁の
きいたお味噌汁みたいです。華やかな具も入っていないし、
なんなら味噌も薄めなのにおいしい。心にも体にも染み渡るおいしさです。
 絵も美しかったですね。空の色の移り変わりや、
風景の中に描かれた人の存在感が良かったです。




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