伝承

 えほんおじさんです。


 今月紹介するのは、
●「ねえねえねえ わらってる?」
●「プレッツェモリーナ イタリアの昔話」。

 いずれも「伝承」が背景にあるモチーフからお話ができています。

 「ねえねえねえ わらってる?」は、伝承わらべ歌「いないいないばあ」
の発展形を意識しています。作者「おのりえん」さんのおっしゃる通り、
伝承わらべ歌「いないいないばあ」遊びの本質は、何かが出てきてびっくりする
遊びではなく、予想が当たって「ああ、思った通り」って、嬉しくなる遊び。
 ですからこの絵本は、012歳の子が予想するにヒントを与える「絵」となって、
遊びが楽しく嬉しくなるように仕掛けられています。

 「プレッツェモリーナ」昔話ですからもちろん伝承です。
その場を言い逃れるために、生まれた子を悪魔や鬼に引き渡すと、
「つい」約束をしてしまうお話は世界中にある伝承です。
人間の持つ如何しようも無い「業」をついた話ですが、
「プレッツェモリーナ(パセリちゃん)」のような本来的に
元気な子がそんな事態を突破する力を持っているのも共通の伝承です。

 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも0・1・2 2019年3月号
「ねえねえねえ わらってる?」おのりえん/文 なかじまかおり/絵

◎作者紹介
 おのりえん 東京都生まれ。

絵本に「だんごむしのダディダンダン」「でんでら竜がでてきたよ」
「ぼくのドラゴン」「るー きったん」「まほうねずみのシュッポ」
「ゆーらりや」「ぶたぶた こぶた」「こちら どうぶつほいくえん」
「そっといいことおしえてあげる」

◎画家紹介
 なかじまかおり 群馬県うまれ。装丁家、絵本作家。
「おつきさまなにみてる」「おひさまさんさんおはようさん」
装丁の仕事に「バレエシューズ」「グリーンノウ物語」などがある。

◎ストーリー紹介
 ねえねえねえ わらってる? おかおをみせて ねえ、みせて。
わらっているよ うふふふふ。顔をおおった手の向こうから、笑顔が出てきた。

 ねえねえねえ ないている? ないているんだ えんえんえん。

 ねえねえねえ 怒ってる? 
 あれあれ、今度はみんなが顔を隠しちゃった。どんな顔が出てくるのかな?


◎絵本の特徴
 読み心地の良い詩の絵本です。文章を書かれたおのりえんさんと言えば
「だんごむしのダディダンダン」が有名ですね。リズムに乗って読んでいると、
物語は壮大な展開をしていく…という年少絵本の名作です。
 今回の絵本もおのさんらしいリズムのある言葉がクセになります。
顔の一部分を隠して、その部分を次のページで見せる。
すると、笑っていたり泣いていたりおこっていたり…。

 いないいないばあを少し発展させたような展開が、ちょっと絵本に慣れてきた子に
読むのにぴったりです。次のページの予想がつくようなヒントが絵にはたくさん
描かれていますが、やっぱりそうだった! という楽しみが余計に子どもたちを
虜にすることと思います。そして、さいごの大笑いに行きつくまでの流れも気持ちいい。
泣いていた子も、怒っていた子も大笑いで終わってすっきりします。

 絵を描かれたのは、なかじまかおりさん。画面いっぱいに描かれた勢いのある線に
元気が出てきます。赤ちゃん絵本らしく正面を向いて、ちゃんと目が合うように
描かれた顔は安定感があり、身近な存在に感じることでしょう。
 大人が見ると、ついついそのかわいさに顔がほころぶかもしれませんね。
大人も子供も大満足の絵本です。

◎読み手の感想
 リズム感のある言葉を書く作家さんはたくさんいらっしゃいますが、
おのさんの言葉はとってもおのさんらしいなあ、と思います。
絵本の言葉は使える語彙も少なく、限られています。
リズムというのも、ある程度限られてくると思います。

その中で、作家さんそれぞれの個性が出てくるのが面白いなあ、といつも思います。

 小野さんの場合は、少し変調のリズム感ですかね…。
時々ちょっと変わるリズムが、おのさんの身体のリズムで、
それが個性なのかもしれないですね。世の中には大量に絵本が出回っています。
その中でもやはり、はっとするような部分がある絵本が残っていくのかもしれませんね。

◆こどものとも 2019年3月号
「プレッツェモリーナ イタリアの昔話」剣持弘子/再話 小西英子/絵

◎再話者紹介
 剣持弘子 1933年、三重県津市生まれ。日本とイタリアの昔話の研究と翻訳。
フィレンツェ大学で民間伝承学を学び、帰国後日本女子大学で民俗学を教える。
絵本に「三つのオレンジ」、
昔話集に「イタリアの昔話」、「子どもに語るイタリアの昔話」
「カテリネッラとおにのフライパン」など

◎画家紹介
 小西英子 1958年、京都市生まれ。
絵本に「みやこのいちにち」「まるくておいしいよ」「サンドイッチサンドイッチ」
「うりひめとあまんじゃく」「うばのかわ  てのひらむかしばなし」
「三つのオレンジ ミルクのように白く血のように赤い娘 イタリアの昔話」
挿絵に「影の王」。 

◎ストーリー紹介
 むかし、あるところに若い夫婦が住んでいました。
二人はまもなく生まれてくる子どもをとても楽しみにしていました。

 家の窓からは、隣の家の畑がみえました。おかみさんは青々としげる
パセリが食べたくてしかたがありませんでした。ある日、がまんできなく
なったおかみさんは、パセリをひとつかみ食べてしまいました。
その次の日も、その次の日も…。しかし、その畑は三人の魔女のものだったのです。

 パセリが食べられていることに気がついた魔女は怒っていいました。
「子どもが生まれたらその子を渡すのだ」やがて女の子が生まれ、
プレッツェモリーナ、となづけられました。

 美しく元気に育ったプレッツェモリーナ。魔女たちは約束通りプレッツェモリーナを
拐っていきました。ある日のこと、プレッツェモリーナは井戸に落ちた黒猫を助けます。
黒猫は「困ったときには助けにいくよ」といいました。
以来魔女たちはプレッツェモリーナにむつかしい仕事をいいつけますが、黒猫がたすけてくれます。
つぎに魔女たちは、魔女の女王のところにいる小鳥をとってくるようにいいます。
「それができなきゃお前を食べてしまうよ」と…。

◎絵本の特徴
 日本ではまだあまりなじみのない、イタリアの昔話です。
グリム童話のラプンツェルと冒頭が少し似ていますが、それはイタリアの昔話に
フランスの作家が手を加えたものだということが分かっているそうです。

 つまりこちらが元話。別紙の“絵本のたのしみ”にいろいろと興味深いことが書いてあるので、
絵本を読んでからそちらも読んで、さらにもう一度絵本を読むと理解がさらに深まって面白く
なることと思います。物語のアイテムのパセリ、とか、黒猫、とか、バジリコとか、そういう
部分にイタリアらしさを感じますね。イタリアを代表する、スリリングな昔話。

 昔話というのは、大きな骨組みは世界共通の部分があるので、世界中の昔話の共通項を
見つけ出すのも楽しいのですが、ちょっとした違いを見つけるのもとても楽しいです。
そのちょっとした違いにお国柄みたいなものを感じて、味わい深いなあ、と思います。
特に丁寧に検証された再話には、きちんとディティールが表されていて感動します。
 豊かな多幸感に満ちた絵で、物語に奥行きを与えているのは月刊絵本でもおなじみの
小西英子さん。プレッツェモリーナの明るく元気でのびのびとした様子に心が奪われます。
画家さんによって、昔話の世界観は大きく変わりますね。グリム童話と言えばホフマンの
絵が有名です。美しく繊細で人生や世界の陰影を描いた素晴らしい絵ですが、低温です。
比べると、この絵本の世界の明るさと温かさ。本場のイタリアではどのような絵で描かれて
いるのか気になります。
 小西さんの絵は、プレッツェモリーナの人物にぐっと親近感をもてますね。
読んでいくうちに感情移入して、その運命にハラハラドキドキ。クロネコが実は王子様で、
最後には結婚というラストに心からおめでとう! と言いたくなります。
昔話、とか外国の話という柵を軽々と飛び越えて、“今、隣にいる女の子”として生き生きと
描かれているプレッツェモリーナ。そのへんに小西さんという画家さんの力量を感じます。

◎子どもの反応
 最後の展開のリズム感ににやにやしていました。
危機一髪助かるお話は、いつ聞いても楽しいみたいです。

◎読み手の感想
 プレッツェモリーナがあまりにものびやかに美しく描かれているので、魔女の怖さが
吹き飛びますね。グリム童話のホフマンと比べるのも変かもしれませんが、ホフマンは
人間の中にある影の部分を豊かなグラデーションで描き出していますが、小西さんは
人間の光の部分のグラデーションで描いている感じがします。
 どちらにも強く惹かれる部分はあります。特にホフマンの絵は子どものころから
なじんでいてしかも大好きです。どうしてものっぺりとしやすい光の諧調を、
それでも奥行きを持たせて描ききるのは、なかなか大変なことでしょう。
小西さんはきっとこのお話の持つ弾力や明るさを描きたかったのだろうなあ、
と思いました。少女のころの私がこのお話を読んでもらっていたら、
きっとプレッツェモリーナに夢中になっていたと思います。




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