仕掛けの可能性

 えほんおじさんです。


 今週紹介の絵本、年少版も年中向きもいわゆる本格的な「物語絵本」ではありません。
もちろん「物語」はありますが、その語り口は本格的な「物語絵本」の主に文章で語る
のと違って、各場面の「めくり」によって語ります。
各画面の場面は、次の場面の物語展開重要な要素となっています。
その意味では年少版も年中向もより絵本的と言っていいでしょう。
さらに年中むきの「穴あき」仕掛けは、それが単なる覗き穴の驚きではなく、
物語の深度を深める役目を負っており、より重要な装置となっています。
この仕掛けは絵本の可能性を広げていることに気づかされます。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも年少版 2019年7月号
「くびかざり」殿内 真帆/さく

◎作者紹介
 殿内 真帆 1973年生まれ。筑波大学卒業。
絵本に「とけいのあおくん」「ただのしろいふうとう」「アップリケのことり」
などがある。

◎ストーリー紹介
 青いくびかざりと、赤いくびかざり。変身ごっこをしてあそびます。
「これなんだ?」「青いさかな!」「じゃあ これなんだ?」「ぞう!」
「じゃあ これは?」と青いくびかざりが聞きました「たこ!」
「青いたこなんてへんなの!」と、赤いくびかざりは言いました。
「なんだと!」「なんだと!」ふたりはけんかになって… あ!ばらばらになっちゃった。

◎絵本の特徴
 豊かな発想力で描かれる楽しい絵本です。主人公は、赤い首飾りと、青い首飾り。
丸い玉がつながってわっかになっただけのシンプルな首飾りです。
皆様も、そんなシンプルな首飾りをお持ちではないでしょうか?
 あるいは、丸いビーズを子どもたちと一緒に紐に通して作ってみてもいいかもしれません。
その首飾りを、平たい場所に置いて、ぐにゃぐにゃとカタチを変えてみてください。
いろんな形を作れます。無理に何かの形にしようとしなくても、何かの形に見えてくることも
あるでしょう。ただの丸いわっかだった首飾りが、違う何かに見える。
これは、想像力や発想力の原点ですね。人が持ち得る能力の中でも、
最も素晴らしい能力ともいえるでしょう。おそらく生きていくうえで必要な能力なので、
どんな人にも多かれ少なかれ備わっているのだろうと思いますが、この能力が高いほど、
人生をより豊かなものにできるのではないでしょうか。
子どもたちの柔らかいこころが、奥行きのある豊かな発想力に触発されて、さらに領域を広げていく。
良い絵本はその手助けをすることと思います。

 さて、この絵本は、事務用品として売られている丸いシールを貼って描かれたそうですが、
これも楽しい遊びのアイデアになりますね。一枚だと、ただの丸いシールですが、
たくさん集まると美しい絵のパーツにもなり得ます。首飾りを使って遊んだ後は、
シールを使って絵を描いてみてくださいね。

◎子どもの反応 
 下の子は、タコが出てきたので大喜び。
彼がまだ2歳くらいのころ、私がタコのかっこよさについて熱く語ったおかげで(と自負している)
下の子は無類のタコ好きです。タコの出てくる絵本は無条件に喜んで聞いています。
読み終わってから「あーおもしろかった!」と言っていました。

◎読み手の感想
 殿内さんの作品の色使いが好きです。特にこの少しグリーンがかった青色と、
少しオレンジがかった赤が素敵ですね。私の好きな色合わせです。
シンプルなものをつなぎ合わせて、物語性のある豊かな画面を作り出していく殿内さんの
手法は本当に素晴らしいですね。こころのなかに豊かな領土を持ち、頭の中に大きな物語が
横たわっている方なのだろうと想像します。

◆こどものとも年中向き 2019年7月号
「まどのむこうのくだものなあに?」 

◎作者紹介
 荒井真紀 1965年・東京都生まれ。イラストレーター。
自然をテーマにした雑誌や書籍の挿絵の仕事をしている。
絵本に「あずき」「じゃがいも」「あさがお」「ひまわり」「たんぽぽ」などがある。

◎ストーリー紹介
 まっくろの画面のまんなかにあいた、四角いまど。
そのむこうには、くだものの一部分がみえます。何がが見えるかな?
 もっとよくみてみよう。

◎絵本の特徴
 月刊絵本では珍しい、仕掛け絵本です。真っ黒な画面の真ん中の四角い穴。
その向こうにはおなじみの果物の表面の一部分が見えています。
果物を拡大してみます。すると、今までは見えていなかった果物の様子が見えてきます。
つぎにそのほとんどをマスクで隠します。一部分だけを見ると、意識はその一部に集中します。
この絵本に空いた穴は、子どもたちの集中力を高める効果的な装置です。
隠す、ということで高まるのは“見たい気持ち”。“見たい気持ち”は目を見開かせ、
一部分から得られる情報をできるだけたくさんうけとろうとがんばります。
そうすることで、今まで果物に感じていた「おいしそう」を超えて、果物という“物”の
本質が目の前に開けてくるでしょう。見る→観察する→考察するということを、
言葉を一切使わずに絵だけで表現した素晴らしい作品です。
 絵本を描かれたのは、荒井真紀さん。“かがくのとも”のほうでおなじみの方も
たくさんいるかもしれません。その筆致は緻密で繊細。
自然物の持つちょっとした不気味さを美しさに昇華する独特の技を持った作家さんです。
果物の水分よりも、繊維に注目して描かれているところにも強い集中力のある視線を感じます。対
象との距離感の安定性も、この絵本の効果の一つになっていると思います。
文字のない絵本なので、子どもたちとの会話を楽しみながら読んでみるのも面白いかもしれませんね。

◎子どもの反応
 イチゴの種にしっぽみたいのがある! と発見して喜んだり、ちょうど目の前に偶然あった
イチゴと絵本の絵を見比べ観察して、「おんなじじゃ!」と言ってみたり。
ザクロは見たことが無いので興味津々だったり。他にも普段はあまり見ないような
細かい部分をじっくり眺めていろんなことを考えている様子でした。

◎読み手の感想
 最初手に取った時は、ちょっとびっくりしました。真っ黒の画面だし、仕掛け絵本だし…。
私は仕掛け絵本というものに懐疑的です。世に出回っている仕掛け絵本はただただ一過性の
「びっくり!」を狙ったものがあまりにも多いから、というのがその理由です。
そういう絵本は、すぐに飽きてしまうし、物語性も奥行きもないものがほとんどです。
でも、この絵本読んでみて安心しました。この穴はきちんと意図されていて、
それが効果になって絵本の奥行きをさらに深めている。こういう仕掛けなら大歓迎です。
若いころにたくさんの実験映画を観ましたが十年以上経っても印象に残る良い作品というのは
実験を超えたところに物語という本質が語られていたかどうか、という部分が大きいのだと
今では思っています。この絵本も実験的な絵本ですが、それを超えたところに本質を持っています。
荒井さんの美しい描写を楽しみながら、何度も読み聞かせていきたいです。




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