2019年7月号紹介

 えほんおじさんです。

「むしたちの おとの せかい(かがくのとも 2019年7月号)」
と表題だけ聞くと、いろんな虫の人間が聞くいろんな音について、
いわば「鳴き虫図鑑」を想像しました。
しかしそんな想像は科学的思考とは無縁の既成概念に過ぎないことを、
この絵本から教えられました。
 【音】というのは振動だと頭ではわかっていても、どうしても人間の
“聞こえる音”を“音”として認識してしまっています。
でも、虫たちが生きる手段のひとつとして使っている“音”は
もっと広義でもっと奥深いものなのですね。

 このように、物事を広く深く捉えるためには、私たちは心に何のわだかまりもなく
平静な態度で事にのぞむ・こと(虚心坦懐)が必要なようです。
とはいえ、それは単に平板な心を意味するのではなく、動物の赤ちゃんを目の当たりにして、
私たち誰もが持つ〈胸が締め付けられるようにきゅんきゅんくる
(こどものとも0.1.2 2019年7月号「おっぱい どーこ?」〉
心のありようがまずあってこその(虚心坦懐)なのだろうと思えるのです。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも0.1.2 2019年7月号
「おっぱい どーこ?」ほりかわ りまこ/作

◎作者紹介
 ほりかわりまこ 1965年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修了。
絵本に「びっくりまつぼっくり」「あーといってよあー」「ぱんぱんあーん」
「しもばしらしゃくしゃく」「ちょっと みせてくださいな」「よるの おきゃくさま」
「もりのとんとんバンド」「こんにちは わたし」などがある。

◎ストーリー紹介
 子犬がおっぱいをさがしています。「おっぱいどーこ?」お母さんがいいます。
「おっぱいここよ」ほかの子犬たちもつぎつぎやってきました。
みんなでお母さんのおっぱいを「みゅくみゅくみゅく」「きゅむきゅむきゅむ」。

◎絵本の特徴
 なんとも可愛らしい、愛おしい絵本。読みながらついつい顔がほころんでしまいます。
 別紙の“絵本のたのしみ”にこの絵本の誕生秘話が書いてありました。
作者のほりかわさんは、知り合いのところにラブラドールレトリバーの子犬を見に行ったそうです。
そのときの子犬たちの様子に胸が締め付けられるようにきゅんきゅんくる、と書かれていました。
詳しくはまた“絵本のたのしみ”読んでいただきたいのですが、この絵本はその“きゅんきゅんくる”
感じがそのまま絵本になったと言っても過言ではありません。
読みながらとにかく愛おしさに胸がしめつけられます。
絵はいつものほりかわさんの絵らしく、余裕のある線で描かれています。余白の使い方、
画面の展開すべてが冷静で絶妙です。もちろん、可愛さの押し売りのようなところはみじんもありません。
 それなのに“きゅんきゅんくる”この感じ。本当に力量のある作家さんなのだと再認識させていただきました。
これは読まなければ伝わらないと思いますので、ぜひ皆様にも読んでいただき“きゅんきゅん”を共有したいです。

◎子どもの反応
 少し大きな子、5歳はゲラゲラ笑いながら見ていました。(照れているのかな)でも嬉しそうにきいていました。

◎読み手の感想
 動物の赤ちゃんってどうしてこんなにかわいいのでしょうか。自分自身で子どもを産んでからは、
さらにこの感覚が強くなりました。とにかく理屈ではなくどうしようもないほどに可愛らしく愛おしい。
でも、テレビなんかでよく見る可愛らしい動物たちをいかにも可愛く撮った動画はあまり好きではありません。
撮影者が意図して可愛く見えるように撮っている、その意図が透けてげんなりする場合や、
何の意図もなくただただ可愛いにおぼれている撮影者のテンションについていけない場合、といろいろあります。
その点、このほりかわさんの冷静さはどうでしょう。黄色い声で叫ぶ表面的な「カワイイ!!」ではなく、
もっと内部にあるものを表現したうえで感じる可愛さ、いとしさ。
こういう“かわいさ”を広めたい!とこころから思います。


◆かがくのとも 2019年7月号
「むしたちの おとの せかい」高梨琢磨・土原和子/文 福井利佐/絵

◎著者紹介
・作者 
高梨琢磨 (国研)森林研究・整備機構森林総合研究所研究員。
 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。
 昆虫が利用する振動や音とその感覚、振動を用いた害虫駆除を研究。

土原和子 東北学院大学教養学部情報科学科准教授。
 昆虫を用いて遺伝子から行動まで感覚を切り口に研究。

・画家
 福井利佐 切り絵アーティスト。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。絵本は今作が初めて。

◎ストーリー紹介
 わたしたちはおしゃべりするとき、声をだしたり聞いたりしている。
虫たちもたくさんの音をだしたり聞いたりしている。
その音はなんのためにつかっているのかな? セミやスズムシ、スズメガの幼虫…
いろんな虫の音の世界をみてみよう。

◎絵本の特徴
 暑くなってきました。セミの鳴き声がにぎやかになってきましたね。
セミは音を出す虫の代表格ですね。7月のかがくのとものテーマは「むしたちのおとのせかい」。
 音を出す虫だけではなく、音を聞く虫も登場します。音を使ってメスを呼び寄せて交尾する
虫のことはよく聞きますが、音を聞いて身を守る虫がいるというのは初耳だという方も多い
のではないでしょうか。

 セミやスズムシのようにわかりやすい音を出す虫もいますが、人間には感知できない音を出す虫もいます。
同じ種類の虫どうしのコミュニケーションのため、あるいは敵から身を守るために虫たちは音を利用しています。
静かに草を食んでいる幼虫が出すちいさな音で大きな鳥を追い払ったり、地中に住むカブトムシのさなぎが
自分の部屋を壊されないための音をだしたりといった、大人が読んでもびっくりするようなことも書かれています。

 読んでいると、私たちが普段“音”と認識している音と、虫たちのそれとはまったく違うのだということが分かってきます。
人間の持ち得る感覚とは違う音の世界が、身近なところに無限に広がっていることを想像すると楽しくなってきませんか?
 絵を描かれたのは今作が絵本初挑戦だという、福井利佐さん。緻密な線を切り絵で表現されています。
その技術もさることながら、虫たちの独特の存在感は一度見たら目に焼き付いて離れません。
重厚な知識と、それをどっしりと受け止める絵。子どもたちとじっくりお楽しみください。

◎子どもの反応
 一つひとつの虫にいろんな反応をしていました。セミやスズムシのことは“知ってる!”と嬉しそう。
「なぜ音を出すのか」について文章を読む前に語って教えてくれました。
スズメガの幼虫や、アワノメイガの場面は熱心に聞いていました。カブトムシの蛹の出す音は聞いたことがあるそう。
多分我が家の衣装用のプラスチックケースで育てているカブトムシたちが動いてケースにあたる音のことを
言っているのでしょう。ぐっと食いついてきた絵本でした。

◎読み手の感想
 この文章を書いていると、セミが鳴き始めました。我が家の庭にはセミが大量にいます。
最盛期になると空気や気温がセミの鳴き声と一体化して、グワングワンと大きく振動しているような気持ちになります。
虫たちの音の世界というタイトルから、どうしてもわかりやすく音を出す虫を思い浮かべましたが、
この絵本はもっと意外な虫たちが登場してましたね。“音”というのが振動だと頭ではわかっていても、
どうしても“聞こえる音”を“音”として認識してしまっています。でも虫たちが生きる手段のひとつとして
使っている“音”はもっと広義でもっと奥深いのだな、と感心してしまいました。
この絵本の文章を書かれたお二人の視点はきっと虫寄りなのでしょう。
意外性があり、とても面白く読ませていただきました。




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