2019年11月号その3

 えほんおじさんです。


 今月のこどものとも0.1.2. は「正面性の絵本」。
赤ちゃんにとって、まっすぐに目を合わせることがどんなに大事かを教えてくれる必需な絵本。
だから、絵本に登場する小動物が赤ちゃんにとって見たことはなくても、大受けするのでしょうね。
そして、真正面から見つめ合った「目」の向こうに見えてくるものは何でしょうか。
そのひとつは、こどものとも 2019年11月号「おにの神さん」の世界ではないでしょうか。

◆こどものとも0.1.2.  2019年11月号
「こっちむいて ほいっ」 藤井 蓮/作


◎作者紹介
藤井蓮 1979年、京都市生まれ。全国で個展を開催。絵本は本作が初めて。

◎ストーリー紹介
「かえるさん かえるさん こっちむいてー」と呼びかけると、 
「ほいっ」真正面にこっちを向いてくれました。
「にわとりさん にわとりさん こっちむいてー」
「ほいっ」まっすぐこちらを向いてくれました。 
「つばめさん、ざりがにさんも、きんぎょさんもこっちむいてー

◎絵本の特徴
 貼り絵で描かれた、かえる、にわとり、つばめなどの小さな生き物たち。
貼り絵と言っても、一枚一枚手で彩色された紙を使っています。
その筆の跡や、はさみではなく、ちぎった紙片のぼそぼそとした切り口が、
何とも言えない表情をつくりだしています。
 作者は、今回が絵本初作品だという藤井蓮さん。お父さんは画家さんだそうです。
別紙の“絵本のたのしみ”の文章が、なんともかしこまった感じで、
誠実そうな人となりを感じます。独学で絵を始められたとのことですが、
きっとお父さんの背中を見てそだったのでしょうね。
言葉は単純な「あっちむいて ほいっ」をちょっとアレンジした
「こっちむいて ほいっ」。リズムも身体になじんだものなので読みやすく、
楽しいのもいいですね。

◎こどもの反応
 0歳児クラスも、1歳児クラスでも、大受けしました。
いわゆる「いないいないばあ」遊びに通じる、めくり効果を生かした絵本ですから、
安心して読めます。

◎読み手の感想
 ちょっと渋い色合いと、何とも言えないユーモラスな表情でこっちむいて
「ほいっ」をした金魚が好きです。選ばれた動物たちが、どちらかというと
目の合いにくい動物たちだというところもいいですね。
目が合っているのかあっていないのかわからないけれど、あっている気がする、
とこちら側の気持ちを託すことのできる動物たちのセレクトのセンスにくすりと
笑ってしまいました。きっと、これを読んだ子どもたちは、見つけた動物たちと
こっちむいてほいっをして遊ぶかもしれませんね。


◆こどものとも 2019年11月号
「おにの神さん」 岩城範枝/文 三瀬夏之介/絵


◎作者紹介
岩城範枝
 1945年東京都生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒業。
絵本に「鬼の首引き」「木の実のけんか」「すみ鬼にげた」など

◎画家紹介
三瀬夏之介
 1973年、奈良県生まれ。東北芸術工科大学芸術学部卒業。
現在、京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。絵本は本作がはじめて。

◎ストーリー紹介
 都のはずれの小さな村で、サブは妹のクニとばあちゃんの三人ぐらし。
村でいちばん小さな畑をつくっている。今年は野菜の育ちがあまりよくなかった。
もうすぐ、天神さまのお祭りだ。祭りのけいこの帰り道、ふたりは小川のほとりで
丸太をひろった。家にもどり、丸太を洗うと、ふきげんな顔がでてきた。
「鬼やっ!」とサブ。でもばあちゃんは、「これはおにの神さんや」といって、拝んだ。
翌朝、サブとクニは丸太をおぶって、畑にむかった。丸太にはいつのまにか、手足がはえている。
それから毎日、ふたりは鬼をおがんだ。
「やさいがりっぱにそだちますように…はたけをおまもりください」
七日目の夕暮れ、鬼はサブをにらんでいった。「おい、こぞう。みずをくれ」
次の日は、食べ物を、そして次の日は、「杖をくれ」と鬼はいった…。

◎絵本の特徴
 暗闇の中に浮かび上がる、力強い鬼の姿。
まだ人と、人ならざるものが同じ領域で生きていた時代を舞台にした壮大な物語です。
 小さな畑で細々と暮らしている二人の子どもとばあちゃん。両親は亡くなってしまったのかもしれません。
小さな畑では、きっと暮らしていくのがやっとのことと思われます。
信仰心の篤いばあちゃんは、子どもたちがひろってきた丸太の中に“おにの神さん”を見出し、
懸命に拝むことを子どもたちに伝えます。おにの神さんのほうでも、その心に応えるように
その姿を徐々に現します。現代の言葉で分析すると、きっといろいろと、これはこれのたとえだとか
言うことができるのでしょう。でも、そういう風に分析してしまうと物語のふくらみや余韻を壊して
しまうのではないかと思います。
 文章を書かれたのは、岩城範枝さん。理性的な文章が、想定している世界の奥行きにマッチしていて、
身体ごとその世界の中に入っていく事ができます。絵を描かれたのは、絵本は本作が初めてだという
三瀬夏之助さん。立体的な黒の濃淡で描かれる鬼の迫力が素晴らしい。
文章と絵のバランスがギリギリのところで成り立っている感じがするところも、この絵本に関しては
面白さにつながっているような気がします。子どもたちと、どっぷりこの世界を味わってみてください。
 
◎子どもの反応
 どの園の子どもも黙らせてしまいます。
子どもの心を奪ってしまう、あるいは取り込んでしまう、そういう世界を持つ絵本なのでしょう。

◎読み手の感想
 現代では、人は人の力ですべてが支配できるという幻想にとりつかれています。
その幻想は肥大化し、鬼や神様や妖怪を、この世界から追い出してしまいました。
自然の力を分析し、分類し、ラベリングすることで、手に入れたような気持ちになっています。
昔の人々は、得体のしれないものを得体のしれないものとして受け入れていたのだろうと思います。
大きなエネルギーを、畏れ、敬い、信仰することで、自分の力でどうすることもできないことを、
受け入れていたのだろうと思います。残念ながら、もうその時代に戻ることはできません。
その時代の信仰というものの在り方を体感することもできません。

 でも、この絵本ではその片鱗を味わうことができます。
子どもたちは、大人よりもっと強く味わうことと思います。
地球温暖化の影響なのか、昨今では自然の脅威を目の当たりにすることが多くなっています。
こういう時代に、もしかしたら新しい信仰のかたちが現れるかもしれません。
その信仰の道しるべになるのは、きっと昔話や神話なのではないでしょうか。
私たちは、私たちの時代の、大きな言い方をすると神様のようなものを見出す必要が
あるのではないかと思います。そしてそれが、人を抑圧するような信仰の形ではなく、
大地の上で生きていく指針になるようなものであることを願います。




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