2019年12月号紹介

 えほんおじさんです。

 私という実存の中心にアイデンティティなる核ないし本質が存在するという考えを私はとりません。
それは剥いても剥いても、まんなかの核がない玉ねぎみたいなものだと思っています。
ちょっと見には、私たちは働く車の中には、その働きの本質であるものがあって、
それが私たちの実体を表すように思いがちです。またそのものの本質を表すすべての条件が
なければそれというものではないと思いがちだが、実はこの絵本「あおいトラ」のように自分は
「青いトラ」なんだと思えば、誰がなんと言おうと「トラ」なのだ。そのように自信をもてば、
「そうか、かっこいいな」と他人に思ってもらえるなら、その他人との関係こそがその人を
表している、つまり「出会ったなナマズ」がそう言ってくれるなら、二人の関係こそがその人の本質である、
そう、私は「青いトラ」なのだと思うのです。

 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも  2019年12月号
「あおいトラ」長沢明/作


◎作者紹介
・長沢明
 1967年、新潟県豊栄市生まれ。1994年、東京芸術大大学院修了。
現在東北芸術工科大学美術科教授。絵本は本作がはじめて。

◎ストーリー紹介
青いのが来ました。「てくてく、てくてく」反対側から、シマウマがきました。
シマウマがききます。「きみはだれ?」青いのは答えます。「トラだよ。」
シマウマはいいます。「シマシマないのに?」
青いのは、またあるいていきます。「てく…てく…てく…。」「トラだもん……」とひとりごと。
すると、フラミンゴにあいました。フラミンゴはききます。「きみはだーれ?」
「トラだよ」と、青いのがこたえます。「青いのに?」と、フラミンゴはいって
とびさってしまいました…。

◎絵本の特徴
 絵本の主人公は、真っ青なトラ。トラなのに、トラをトラたらしめるシマシマがありません。
会う動物たちは、みんな彼をトラとは認めてくれません。でも、彼はトラ。
ヒゲだってあるし、ジャンプだってできる。彼は、彼自身のことをトラだと知っています。
とても哲学的なテーマで描かれた絵本ですね。

 他者とのかかわりの中で自分自身の実存を問う。この絵本を読む年長さんともなると、
自分と他人の境目がはっきりしてきて、他人とのかかわりの中で、自分の色や形が見えてくる時期です。
それが自分が思い描いているイメージとは違っている、ということだって多々あるでしょう。
そして、彼らがこれから生きていくときに、ずーっと付きまとうテーマでもあります。

 実際には他人が押し付けるその人にとって都合のいい姿に、自分の方を合わせていくという
やり方で世の中を渡っていく人のほうがきっと多い。
シマシマがなくても、青くても、自分はトラだと本人が力強く思うことができたら、
それが彼の生きていく大いなる力になるはずです。
 この絵本を読んで、今すぐわかる子は多くはないかもしれません。
でも、彼らの心の中に青いトラが住んで、いつかそのトラは「ぼくはトラだ!」と叫ぶかもしれません。
大きな木に育つ種のような絵本です。柔らかな子どもたちの心の中に根付くことを祈っています。

◎読み手の感想
 作者は、今回が絵本初作品だという長沢明さん。シンプルな描き方の中に、確固たる技術を感じます。
筆づかいの緩急にも余裕がありますね。きっと、たくさんたくさん描かれてきた方なのでしょう。
 青いトラの姿がなんとも言えずかわいいのが、私好みです。日本画のようでありながら現代的な構図や、
色が絶妙で素敵ですね。こういう人の実存を問う、みたいな作品は海外には多いけれど、
日本には少ないという印象があります。やはり同一人種なこととか、同調圧力が強いこととかが
原因でしょうか?これからを生きる子どもたちが、「ぼくはトラだ!」と堂々と大声で言える世の中に
なって欲しいと思います。そして、絵本の中のナマズ? のようにおおらかな態度で、
「そうか、かっこいいな」と言える人が増えてほしいな、と思います。


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