2020年3月号

 えほんおじさんです。

 お気づきになっていないでしょうが、子どもたちから「本」がどんどん遠ざけられています。
すでに小学生では「岩波少年文庫」や「福音館古典シリーズ」が読めなくなってしまっています。

 それでも、幼児だけは保育園や幼稚園での「読み聞かせ」によって読書ができていました。
ところが、今や急速に保育園や幼稚園での優れた絵本の「集団読み聞かせ」が失われつつあります。
少なくとも私の地元、岡山では、目を覆うばかりとなっています。
他県も似たりよったりではないでしょうか。

 どうしてこのようになっているのでしょうか。
それは幼児の周りにいる大人が優れた絵本を読んであげなくなっているからです。
一人一人の子に、絵本を手渡さなくなっているからです。大人の絵本教育
(絵本による教育ではありません。まず絵本の大事さの認識、選書)ができなくなっているからです。

 奇しくも、今月の「こどものとも0.1.2.」は「だいじ だいじ」です。
りすさんやくまさんや動物たちや子どもは「だいじ、だいじ」なものを決して忘れたりしません。
ところが、大人はどうでしょうか。幼児や乳児にとって、最も「だいじ」なものは、「食事と遊び」
そして「絵本」です。その絵本を止めようというのです。絵本・読書によってしか育たないもの
(究極は想像力です)があり、それを奪うことは一体どうなるか明白です。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも0.1.2. 2020年3月号
「だいじ だいじ」くれたにゆき/文 ささめやゆき/絵


◎作者紹介
・くれたにゆき 1967年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。
絵本作品に「しっぽ しっぽ」がある。

◎画家紹介
・ささめやゆき 1943年、東京都生まれ。シェルブール美術学校卒。
版画家・イラストレーター。小学館絵画賞、日本絵本賞、赤い鳥さし絵賞など。
絵本作品に「ちんころりん」「ぽぽんぴぽんぽん」「おとうさんはいま」。
講談絵本シリーズ(宝井琴調/文)「子どもつなひき騒動」「三方一両損」「徂徠どうふ」がある。

◎ストーリー紹介
 「りすさんはね まあるいどんぐり だいじだいじ」「ほっぺのなかにしまってる」
「くまさんはね とろーりはちみつ だいじだいじ」「ひるねのまえに ひとくちなめよ」
それから、ヤマネさんは柔らかい草がだいじ。そして小鳥さんは、ろっくんは…。
 自分の「だいじ 」なものを見せてくれます。さあ、みんなのだいじはなんだろう。


◎絵本の特徴
 この絵本のやさしい、やさしい文章を声に出して読んでみてください。
きっと心の中が温かく、穏やかな気持ちで満たされていくはずです。
幼い子を膝の上にのせて、穏やかな文章を読む。お母さんや、先生のぬくもりが、
優しさが、音や体温で伝わります。

 012の絵本は、子どもたちのためでもありますが、お母さんやお父さんのために
描かれているとも思います。お母さんやお父さんが、優しい気持ちを子どもたちに
伝えやすくするためにあるような絵本がたくさんあります。
口の中でふわっとほどけるような言葉を発しているとき、怒っていたり焦っていたりする
気持ちはどこかに行って、ただただその言葉のぬくもりを子どもたちと共有している…。
3月号の012はそんな経験ができる絵本です。

 文章を書かれたのは、くれたにゆきさん。図書館で小さい子向けのお話会をしているときに
あったエピソードからこの絵本を思いつかれたそうです。

 絵を描かれたのはささめやゆきさん。「ぽぽんぴぽんぽん」という赤ちゃんたちに大人気の
絵本を描いていらっしゃいます。おふたりの言葉と絵が、つくりだす丸い空間の中で、
親子で楽しんで頂きたい絵本です。


◎読み手の感想
 言葉に実感があっていいですね。わが子が小さい頃はよく
「それ、だいじだいじよ」とよく言っていたなあと思い出しました。

「だいじだいじ」と言うと、小さな手でなでてみたりするのがかわいかったです。
でもすぐに忘れてまた乱暴に扱っていたりもしたなあ…。
「012こどものとも」絵本を読むと、忘れていた気持ちを思いだしますね。


◆こどものとも 2020年3月号
「ちいさなふたりの いえさがし」たかおゆうこ/作


◎作者紹介
・たかおゆうこ 東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
渡米して、College for Creative Studiesにて、カリグラフィー、水彩画、
銅版画(College for Creative Studiesにて)を学ぶ。絵本作家、画家。
絵本作品に「くるみのなかには」「ハムスターのハモ」「ハモのクリスマス」
「チュウとチイのあおいやねのひみつきち」など。
童話さし絵に「クリスマスのりんご・アリソン・アトリー/文 )がある。
現在、埼玉県在住。

◎ストーリー紹介
 あるところに大きな大きなくるみの木がありました。
その木の下には小さな小さなくるみの家があり、家には小さな小さなおじいさんと
おばあさんがすんでいました。ある春の日、ふたりが出かけている間にひょうがふり、
くるみの家はこなごなになってしまいました。くるみの実が実るのは、まだ先のこと。
こまった二人は新しい家をさがしに行くことにしました。
たんぽぽの綿毛につかまって飛んで行った先は、いちごばたけ。
二人はいちごの家にすむことにしました。
 ところが夏がやってきて、いちごの家はぐにゃりとへしゃげてしまいました。
こまったふたりは、また家さがしをはじめます…。

◎絵本の特徴
 柔らかな線と、温かみのある色合いが素敵な絵本です。
 小さな小さなおじいさんとおばあさんが、クルミの家で暮らしている…。
クルミの中身は見たことがあっても、クルミの殻を見たことのある子はどれくらいいるでしょうか。
実際のクルミの実を見たことのある子は、おじいさんとおばあさんがどれくらい小さいのかを
想像してびっくりするかもしれませんね。でも、クルミの大きさを知らなくても、おじいさんと
おばあさんが飼っている(?)テントウムシや、そばにいるアリなどの大きさで、ふたりが
どれくらいの大きさで、どんなふうに暮らしているのか想像できるように描かれています。
穏やかで、満たされた生活ぶりは、絵をじっくり眺めていればわかります。

 突然の災害に、家が壊れてしまったおじいさんとおばあさん。困難な状況にも関わらず、
すぐに別の新しい家を探しに行くという力強さは、今の生活を自分たちの力で切り開いてきた
自信から来るものだと思われます。実際、イチゴ畑ではイチゴの家を作って、イチゴを美味しく
食べて暮らし、イチゴの家が腐ってダメになってしまってもすぐにスイカを見つけて家にする…
という発想の柔軟さや、バイタリティには感心します。
 この絵本では、“生きていく強さ”が描かれていて、こういう強さは災害に見舞われやすく
なってしまった現代における最重要課題だとも言えます。変化を恐れず、状況を嘆くことなく、
前を向いて、楽しく。
 この絵本を読む子どもたちにもこれからどんな困難が待ち受けているかわかりません。
おじいさんとおばあさんは、“これさえあればどこででも生きていける道具”をかごに入れて
旅立ちましたが、これからの私たちは、心の中にその道具に代わるものを育てて、蓄えて
おかなければいけませんね。この絵本では、最後におじいさんとおばあさんは元のクルミの家に
戻ることができました。

 心の中に安心で安全な、戻ることのできる場所があることも、“生きていく強さ”の原動力に
確実になります。物語の中で、何度も何度も“行きて帰りし”を疑似体験することで、子どもたちは
その道筋が困難でも、乗り越えられるんだと確信して勇気を持てるのだろうと思います。
子どもたちには、たくさんの物語に触れてほしい。“生きていく強さ”を獲得するカギは、
物語の中にあります。

◎読み手の感想
 色合いの美しさと、かわいらしさが目を引きます。先に色を塗った紙を切り取って貼っている
ように見えますが、パソコン上で処理された画像のようにも見えます。この張り合わされた感じが、
絵に立体感を与えていて、タッチの面白さにもなっていますね。果物でできた家のデザインは、
どれも素敵です。きっとおじいさんもおばあさんも小さくて軽いから、部屋で過ごすぐらいでは
果汁が染みだしてきたりはしないのでしょう。イチゴの家に比べると、スイカの家は二人に
とってずいぶん大きな家だったでしょうね。中身を全部食べるのにも限界があっただろうなあ、
とかいろいろな想像をしながら読みました。




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