父親的なるもの

 えほんおじさんです。


 今月号の「年少版」は、「どんなおしごとするのかな?」、働く車の絵本。
幼児にとって「車」は生き物です。とりわけ働く車は力強い生き物ですから、憧れの存在となります。

 だからそれは「父親的なるものの」象徴となります。
それは現実の父親・母親のこととは次元を異にします。
父親的なるものとは、一体的な親との関係を切り離し、自立を促します。
働く車のパワーは、一体的関係を突き崩す力なのです。

 「つりに行く」父と子も、その関係を表しています。
ぬくぬくとした布団から、我慢して「意思」のために、そこを抜け出していきます。
それは父親的なものが持つ「狩猟」的な関係の中に身を置くこと、つまり自立を促す第一歩のことです。

 働く車に憧れた幼児は、もうそれほど遠くない時期に狩猟的関係の中に
入っていく準備を始めるのだと考えられます。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆こどものとも 2020年5月号
「ぼくのつり」菅瞭三/原案 かん かおる/作


◎作者紹介
・原案作者 管瞭三(1940年〜2009年)。大分県佐伯市生まれ。
絵本に「いるかのうみ」「うみじじい」「めんたまいけのさかなつり」がある。
・作者 かんかおる 1976年、大分県生まれ。日本画家。
京都造形芸術大学芸術学部美術学科日本画コース卒業。
松陰芸術賞、康耀堂美術館賞、など受賞多数。

◎ストーリー紹介
 きょうはおとうさんと釣りにいく日だ。空にまだほ星が見える時間に、車で出発した。
海について、車をおりた。坂をおりた所、小さな堤防が今日の釣り場。港にはまだだれもいない。
しかけをつけて、釣りの準備をした、「さあ釣るぞ!」魚がかかるまで、じっと待とう。

◎絵本の特徴
 夜明け前の、空の青。夜明け前の、海の青。
少しずつ変化していく青の描写、そして日の出と釣れた瞬間が重なる時がとても美しい絵本です。
ストーリーは、男の子とお父さんが釣りに行き、魚が釣れるまでという流れ。文章もとてもシンプルです。
静かな文章に、静かな絵。静かではありますが、その細やかな筆致、絶妙な色使いに赤く燃える石のような
熱量を感じます。

 作者のかんかおるさんは、日本画の画家さんだそうです。海の描き方などに日本画らしさが見えますが、
街の描き方や構図などはとてもモダンです。こういう部分に作家さんのセンスが宿るのでしょう。
そして、画面を丸く区切って、穴からのぞいている風に見えるのも面白い効果になっていますね。
丸い画面が続いた後、ページいっぱいに広がる場面がやってくるのですが、海の向こうから登った朝日が
今日初めて釣れた魚を照らす、という場面です。なかなかつれないな…、という男の子の気持ちが釣れた
ことで一気に開ける。心が一瞬で開放される喜びと感動を、描いたこの画面の輝かしさ。

子どもたちと一緒に、一枚一枚の絵の美しさを堪能してください。
そしたらきっと海に出かけてみたくなることでしょう。

◎読み手の感想
 子どもたちは、時々夫と釣りに行っています。
夫も、釣りが好きだけれどそんなに上手なわけではないようで、かえって来た時に持って帰るのはほんの少し。
多分エサ代のほうが高いくらいでしょう。でも、とても満足して帰ってきます。
釣りというのは、人の持つ狩猟本能をきっと満たしてくれるんでしょうね。
 近所に住む友達は、この絵本のように明け方のまだ暗いうちから釣りに出かけます。
そしてたくさんの魚を釣って我が家におすそ分けしてくれます。
まだ暗いうちからの釣りは寒そうですが、夜明けの海の変化を見ることができる喜びもあるのだな、
とこの絵本を読んでおもいました。

◆こどものとも年少版 2020年5月号
「どんな おしごと するのかな? 」 小輪瀬護安/作


◎作者紹介
・小輪瀬護安 1976年、埼玉県生まれ。東北芸術工科大学芸術学部洋画コース卒業。
2012年、2013年、イタリアボローニャ国際絵本原画展入選。
絵本に「なんのくるまにのるのかな?」「ヘリコプターはっしん!」
「エスカレーターとエレベーター」などがある。

◎ストーリー紹介
 フォークリフトは、どんなおしごとするのかな? 重い荷物を持ち上げて運びます。
ボトルカー どんな仕事をするのかな? 自動販売機に入れる飲み物を運びます。
空き缶やペットボトルも屋根に乗せて持って帰ります。
ロータリー除雪車、はしご車は、どんなおしごとするのかな? そしてキッチンカーは……。

◎絵本の特徴
 最近の福音館の月刊誌ではおなじみの、小輪瀬護安さんの新作です。子どもたちが大好きな乗り物絵本。
 その中でも、お仕事をする車が主役です。倉庫の中で働いているフォークリフトのお仕事風景や、
ボトルカーのお仕事風景…。止まっているところは見たことがあってもまさにお仕事中!
なところを見ることはなかなかありませんね。でも、お仕事している車たちは、
お仕事しているときが一番輝いて見えます。

 何のためについているのかわからないいろんな部品が、とても合理的な理由でその場所に、
その形でついているということが分かると、感動します。乗り物の大好きな子どもたちなら、
きっと絵の細かな部分にいろいろな発見をすることでしょう。
小輪瀬さんの、どこか柔らかさを感じる車の描き方にも親近感が持てますね。

◎読み手の感想
 車を描いた絵本は星の数ほどあります。でも、それだけの需要もあります。
どうして子どもたちは車が好きなのかな…、とミニカーを集めるわが子を見ながら思っていました。
身近だからでしょうか? 速く走るのがかっこいいから?
 私自身は車というものにはあまり興味がありません。あんまりジェンダーでものを考えるのは
好きではありませんが、女性だからなのでしょうか。それとも私たちが子どものころの
ジェンダーバイアスのせい? わが子は二人とも男の子ですので、女の子だったらどうだったのか?
はわかりません。

 この絵本に出てくるような働く車の、道具としての合理性にはちょっと心惹かれます。
生活感覚に近くなってくるから、親近感が湧くのかもしれません。
ジェンダーバイアスが払拭された世界で、男の子と女の子がどれくらいの興味の違いを
持っているのか知りたいな、と思っています。




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