2019年4月号紹介2

 えほんおじさんです。


 4月号の“ちいさなかがくのとも”は、テントウムシがテーマです。
そして“かがくのとも”もテントウムシがテーマでした。

 かがくのともは、テントウムシの幼虫〜成虫になるまでの驚くべき変化を描き、
ちいさなかがくのともでは、もっと短い期間、蛹から成虫が出てくる瞬間を
ドラマチックに描いています。

 子どもたちの心身の成長に合わせて、同じテントウムシでも全然違う描き方を
しています。比べることで見えてくる絵の描き方の違いや、言葉の選び方の違い、
細部に至るまで気を配られていて、大人としてはそこにも感心してしまいます。
どちらもぜひ読んでみてほしい絵本です。

 そして、もう一冊の「年中さん向き」の方は、少しまどろっこしいとも思えるような
物語の展開ですが、物事はきちんと順番に起きなくてはならない、この時期に典型的な
物語構造をとっています。それはこれから本格的に物語へ向かう一歩手前の年齢に必須な
お話となっています。


 それでは、今日もごゆっくりお楽しみください。

◆ちいさなかがくのとも 2019年4月号
「はっぱのうえに」たてのひろし/作


◎作者紹介
1968年、神奈川県横浜市に生まれ。生物画家。師は絵本画家の熊田千佳慕。
辺境の虫を主役に絵本をかこうと構想し、
2009年、自身初の絵本作品『しでむし』を偕成社から出版。

作品に『ぎふちょう』(偕成社)『なつの はやしの いいにおい・福音館書店』
『つちはんみょう・偕成社)』『こまゆばち』(澤口たまみ・文・福音館書店)
『宮沢賢治の鳥』(国松俊英・文 岩崎書店)
『なりすます むしたち 澤口たまみ・文 』がある。

また他に図鑑の絵が多数ある。

『原色ワイド図鑑 昆虫T・U』学習研究社、2002年。
『ふしぎ・びっくり!? こども図鑑 むし』学習研究社、2004年。
『ふしぎ・びっくり!? こども図鑑 さかな』学習研究社、2005年。
『学研わくわく観察図鑑 ザリガニ』学習研究社、2005年。
『学研わくわく観察図鑑 メダカ』学習研究社、2006年。
『ジュニア学研の図鑑 昆虫』学習研究社、2006年。
『ニューワイド学研の図鑑 動物のくらし』学習研究社、2007年。
『ニューワイド学研の図鑑 生き物のくらし』学習研究社、2007年。
『ジュニア学研の図鑑 魚』学習研究社、2008年。
『21世紀幼稚園百科 新版 動物』小学館、2008年。
『講談社の動く図鑑MOVE 昆虫』講談社、2011年。

◎ストーリー紹介
 春。草むらは虫たちでいっぱい。おや、はっぱの上に、何かいる。これはなに?
 みるとここにもそこにもついてる。ちいさくて黄色と黒のまだら模様。
同じかたちでちがう模様。アリがふれると、ぴくん! と動く。

もっとじっとみてみよう。なにがおこるかな?
やがて、その先っぽが割れて、丸くて黄色い虫が出てきました。何だろう?


◎絵本の特徴
 春の草むら。柔らかな緑の草むらでざわめく虫たち。もっと近づくと、葉っぱの上になにかいる。
 ページをめくるたびにどんどんズームアップしていく画面。そしてターゲットであるテントウムシの
蛹に大きく焦点を当てた後はまた引きの画面に変わります。
すると、さっきの引きの画面では気付かなかったテントウムシの蛹に気づくようになっている。
この明快な手法をうまく使った画面構成が見事です。子どもたちは、テントウムシの蛹にぐっと
興味が湧いてきているはず。

 リアルではあるけれど、柔らかなタッチで描かれたテントウムシ。違和感よりも親近感を
強調した描かれ方です。明るい色使いは、心までうきうきしてくるような春にぴったり。
絵本を読んだら、さっそく子どもたちと草むらにテントウムシのさなぎ探しに出かけたくなりますね。

◎子どもの反応
 テントウムシの蛹の数を数えていました。細かいところまでくまなく探しているので、
よく見ているなあ、と感心しました。

◎読み手の感想
 きれいな表紙の絵に、うれしくなってしまいます。春そのもの、といった感じの色使いや絵のタッチ。
まだ少し寒いけれど、この絵本を読むと一気に春の気分になってしまいました。
光に満ち溢れた暖かい場所でぬくぬくと、ぼんやりと過ごす時間がもうじきくるんだな…。
幸福というものを形にしたとしたら、こんなことを言うんだろうと、春になるといつも思います。

 春の光の中で、見るものはすべてが柔らかく、優しく見えます。この絵本に描かれている植物や虫たちは、
春の光線の下で描かれているからこそ、この質感なのかもしれません。夏の虫たちは、
もっと強く光を跳ね返していますものね。同じテントウムシでも、もっと硬質に見えます。
絵と光の関係は、面白いです。

 光がもたらすイメージの違いは、心の奥深くまで影響を与えているんだな、と改めて気づかされた絵本でした。


◆こどものとも年中向き 2019年4月号
「テオのりんご」きたむらえり/さく /え


◆作者紹介
◎きたむらえり 
作品紹介
絵本作品「これ なーに?」「おおきな ありがとう」「マーティーのたこあげ」「ぼくのはね」
「オットーのくちぶえ」「ぼくのいいこと」「ぼくのふね」「こぐまのたろの絵本」

童話作品
「森に学校ができた」「森の学校のなかまたち」「アレハンドロの大旅行」

◆画家紹介
◎きくちちき
絵本作品「でんしゃ くるかな?」「こなやのこねこ」「もじもじこぶくん」

◎ストーリー紹介
 こぐまのテオは、森のむこうにすむおばあちゃんのところへ、りんごをとどけにいくことにしました。
重たいりんごのバケツをもって、歩いていくと、アライグマがやってきました。

「おもそうだね、テオ。てつだってあげるよ」
といって、分かれ道までバケツを半分もってくれました。

「りんごをいっこだれかにあげれば、バケツがかるくなるよ」
と、おしえてくれました。そこでテオは、アライグマにりんごを一個あげました。

また、どんどん歩いていくと、ウサギにあいました。ウサギが花をくれたので、テオはりんごを一個あげました。
バケツは前よりもっと軽くなりました。
森の奥にきたとき、テオは転んで、りんごがころころころがりでました。
そこへリスが三匹きて、ひろうのを手伝ってくれました。テオはリスに一個づつりんごをあげました。
バケツはもっとかるくなりました…。

◎絵本の特徴
 いつの時代も変わらない、子どもの姿がこの絵本の中にあります。
おばあちゃんにリンゴをもっていってあげよう、という純粋に優しい心。
量の感覚がつかめていなくて、気前よく人にあげていたらいつの間にか全部なくなってしまう…という失敗。
私が子どものころにもこういうことがあったし、私の子どもたちにも、こういうことがありました。
それで悲しくなって大声で泣いてしまう。

 この絵本は子どもの心に寄り添って描かれています。少しまどろっこしいとも思えるような物語の展開に、
作者のきたむらえりさんの、子どもの心をそのままに受け止めて、そのままに描こうとする強い意志を感じます。
加えて、テオやほかの動物たちの何とも言えない絶妙な表情をとらえるきくちちきさんの観察眼にも驚きます。

 こうなったらこうなる、とか、打算みたいなものがまだない時期の、純粋な心の在り方。
どんなひとの心の中の核にもあるであろう強いきらめき。その心をどうやって守って、
育てていけるのかは周りの大人たちの在り方が大きく関わっていくのだろうと思います。
良い絵本は、子どもたちの心だけでなく、大人たちの心にも、種をまいていくのだな、と思いました。

◎子どもの反応
 テオがどの場面でどのくらいりんごを持っているのかを数えたり、最後の場面でみんなが食べているものが、
だれがどれを持ってきたのかを検証したりしていました。

◎読み手の感想
 今きくちちきさんの絵はとても人気だそうです。現代的な感覚の中に普遍性を感じるような、
絵本にぴったりの絵だと私も思っています。
 こういう一見雑に見えるけれど誰にも描けない線を描く作家さんは、ただただうらやましい。
この線にたどり着くまで、どんな変遷をたどってきたのか、興味津々でもあります。
そして、これからこの線はどうなっていくのでしょうか。もっと力が抜けて、柚木さんのような
境地に行くのでしょうか。これから見守っていきたい作家さんの一人です。




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