方言のお話
150回記念のときに、Hさまより頂いた質問です。
●質問
150回おめでとうございます。メルマガいつも楽しく
拝見しています。
貴店で絵本を買ったことはないのですが(すみません!)
今回は質問を書いてもよいということですので、お言葉に
甘えて書いてみることにしました。
方言のお話を読むときにちょっと悩んでいます。
適当に読んでみるのですが、自分で違和感を感じてしまう
のです(私自身は標準語しか話せません)。
せっかくの方言の本なので、標準語に直して読むのも・・・
と思うのですが、自分ではうまく話せないしどうしたものかなぁ
と思っています。
子どもも、絵本は絵がついているのでまだ聞けるようですが、
「お話」になると方言は言葉がわからなくて辛いようです。
桃太郎が聞きたいとせがまれたので「日本昔話百選」(福田浩
二・福田和子編著 三省堂)を読んでみたのですが、言葉がわ
からないから絵本のほうがいいと拒否されてしまいました。
どういう風につきあったらいいのか、アドバイスをいただければ
と思います。お仕事これからも頑張って下さい。
○答え
さて、ご質問。
> 方言のお話を読むときにちょっと悩んでいます。
そうですね。難しいですね。
>適当に読んでみるのですが、自分で違和感を感じてしまう
>のです(私自身は標準語しか話せません)。
その地方に暮らさないかぎり、地方語はできませんね。
テレビや映画でさえ、たとえば私の地方の岡山弁を
違和感なく喋っている俳優は皆無ですね。
ところが、他の地方の言葉を俳優さんがしゃっべっている
のを聞くと、ちゃんとしているように聞こえます。
まったく正確な地方語はおそらくできないのではない
でしょうか。
>せっかくの方言の本なので、標準語に直して読むのも・・・と
>思うのですが、自分ではうまく話せないしどうしたものかなぁと
>思っています。
ですから、適当に、それらしく読むほかないですね。
地方語を意識するあまり、読み方がぎくしゃくするよりは、
こんな感じかなぐらいでスムースに読む方がいいと思います。
>子どもも、絵本は絵がついているのでまだ聞けるようですが、
>「お話」になると方言は言葉がわからなくて辛いようです。
>桃太郎が聞きたいとせがまれたので「日本昔話百選」(稲田浩
>二・稲田和子編著 三省堂)を読んでみたのですが、言葉がわ
>からないから絵本のほうがいいと拒否されてしまいました。
>どういう風につきあったらいいのか、アドバイスをいただければ
>と思います。
たとえば、「日本昔話百選」の稲田和子先生も、できるかぎり
地方語を生かそうとしていますが、やはり昔ばなし伝承者の言葉
をそのまま再現することはやっていません。
それは不可能ですね。
昔ばなしの場合、すべて「再話」になります。
つまり分かり易く書き換えているのです。
私は東北・遠野地方の昔ばなし伝承者のCDを持っていて、
たまに聞きますが、何回聞いても「むかし、むかし、あった
ずもな」というカ所しか分かりません。
また、私は昔ばなし研究会(小沢俊夫昔ばなし大学・
研究所主宰)に属して15、16年になり、再話の仕方を
学んでいます。
この研究所の、いわば支部にあたる岡山昔ばなし研究会では、
地の文は標準語で、「会話文」は地方語を生かすという方法を
採っています。
それからもう一つ気をつけていることは、
地方語には標準語にない言葉がたくさんありますので、
それをそのまま使い、日本語の多様性、面白さを残そう
としています。
>…言葉がわからないから絵本のほうがいいと
>拒否されてしまいました。
再話をやっていて、ここが興味深いところですが、
「絵本」のほうが言葉をたくさん使えるのです。
絵本なら地方独特の面白い言葉を使えるのです。
その言葉がわからなくても、絵が語ってくれますから。
特に幼児を意識した場合には、やはり絵本の方が面白い
再話が出来るのです。
ですから、お子さんのいうことが正解だと思います。
お子さんの年齢では絵本がいいと思います。
昔ばなし集は、幼児あるいは自分で読む読書の入口期では、
標準語で再話されている「日本の昔話全5巻」が最も優れて
いるでしょう。
「日本昔話百選」はいまでもとてもいい本のひとつですが、
これは小学生、大人向きだと思います。
「ももたろう」は、現在のところ、
松居直再話・赤羽末吉絵・福音館書店
●私のHPに解説があります
が一番いいと思います。
特に絵はこれ以上のものはできないと思います。
それでは。
●声
方言の絵本について質問させていただいたHと申します。
丁寧なお返事ありがとうございました。
不自然にならない程度に(それが難しいのですが!)
それらしく読むようにすることにします。
>絵本なら地方独特の面白い言葉を使えるのです。
>その言葉がわからなくても、絵が語ってくれますから。
そうですね、だからこそ絵が大事になってくるのだと
子どもに絵本を読むようになってから感じています。
実はご紹介いただいた福音館の桃太郎の絵本は、
すでにお気に入りの絵本です。
「別の桃太郎のお話もあるんだよ」と話したところ
「そっちも読んで」ということだったので
読んでみたら「わからない」と言われてしまったのでした。
私の祖父が語ってくれたのは、あげるきび団子の数が
半分のバージョンでした。これがすごく面白かったので
「日本昔話百選」の中の話を読んでみたのです。
でも、話がわからなければ面白さもわかりようがないのですよね。
(個人的には複数個あげてしまう、気前のよい桃太郎のお話を
聞いてみたいです。)
昔ばなし研究会・・・というと「子どもと昔話」を出されて
いますよね。
時折ぱらぱらと読んでみますが、なかなか論文までは頭に入らず。
面白そうだと思ってはいるのですが。
あちらにも何か書かれたりしているのでしょうか?
これからも楽しみにしています。
どうもありがとうございました。
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方言絵本で一番に思い出すのは、わたしが幼稚園の時に読んでもらった「いちにちにへんとおるバス」です。関西弁が新鮮で、大好きな絵本でした。今ではぼろぼろになりながらも息子たちのお気に入りです。長男が年中の時に読んでやった「ラッキー」は「ちゃんばらやらっちょ」が印象的な絵本で、これも息子たちが大好きでしたが、私の読み方はかなり怪しく、本当はどう読むのか興味があります。