パネルシアターで絵本を


 ばっけー様からの質問です。


●質問
 以前お世話になりました、ばっけーです。こんにちは。
本日もまた、ずれた質問で恐縮なのですが・・・絵本を他の
表現形態を用いて、おはなし会で使用する:ということについて
教えていただきたいのです。

 著作権に関する通達(?)は、難解で、具体的にどうすればいい
のかよくわかりません。私達は、無償ボランティアです。
図書館や幼・保・小学校などを中心に活動しています。
一クラス30〜40名程の子どもたちを相手にする為、絵本を模して
大きく描き紙芝居風にしたり、絵巻風にしたり、ペープサート・
パネルシアターに加工したりということを日常的に行ってきました。

 また、絵本の文章を元にしてストーリーテリングのテキストを
作ることもありました。・・・これはイケナイこと・・・なんです
よねぇ?

 特に、ストーリーテリングのテキストとなると、絵を外して
しまうのだから尚更ですよね。昔話ならば類話を探してソノ絵本に
固執せず:ということもできますが、創作の作品となるとやはり
ソノ絵本でなければと思いつめます。

 以前は、創作絵本でも平気で語っていて・・・絵で語らせてある
ところや、頁と頁の繋がりに言葉を足したりしてテキストを作って
いました。物語の世界を伝えるためには、必要な作業だとも思って
いました。
 私達は無償活動者だし、必ず元の絵本の紹介も入れる事で作品を
損なわないのだ!と、思い込んで。

 でも、絵本として完成している作品を、語るという行為が、
そもそもの間違いなのでしょうか?一度、もんもんとした挙句、
出版社に ストーリーテリングのテキストとして使用したいという
旨の許諾申請書を、手を加えた文章と共に送った事があります。
 絵本の文章そのままならば許諾できます:とお返事下さいました。
・・・でも、やっぱり言葉が足りない・・・このまま語られると
却って作品を損なうんじゃないか、ホントに絵を外しただけの
欠落したおはなしになるじゃないの、だったらいっそのこと、
絵本として以外の使用を禁じてくださいよ!・・・と逆ギレして
しまいました・・・ホントは困るんだけど・・・(tot)
どういうふうに考えればいいのか、何に気をつけていけばいい
のか、教えて頂けたら嬉しいです。

昔ばなし研究所に籍を置かれているとのこと。
語りに関するお話も展開していって下さいませんか?


○答え

>また、絵本の文章を元にしてストーリーテリングのテキストを
>作ることもありました。・・・これはイケナイこと・・・
>なんですよねぇ?


 はい、よくないことですね。
でも、著者の許諾があればいいですよ。

>特に、ストーリーテリングのテキストとなると、絵を外してし
>まうのだから尚更ですよね。

 はい、おっしゃるとおりです。

>昔話ならば類話を探してソノ絵本に
>固執せず:ということもできますが、

 昔話は著作者がいませんので、再話は自由といえば自由です。
でも、それは文章においてだけです。絵本になると、その絵を
使うことはできません。


>創作の作品となるとやはりソノ絵本でなければと思いつめます。
>以前は、創作絵本でも平気で語っていて・・・絵で語らせてある
>ところや、頁と頁の繋がりに言葉を足したりしてテキストを
>作っていました。物語の世界を伝えるためには、必要な作業だ
>とも思っていました。私達は無償活動者だし、必ず元の絵本の
>紹介も入れる事で作品を損なわないのだ!と、思い込んで。


 この場合、無償活動者かどうかは関係がないのですね。
お気持ちは分かりますが。


>でも、絵本として完成している作品を、語るという行為が、そ
>もそもの間違いなのでしょうか?


 そうではありません。
著作権者が、OKを出せばいいわけです。でも、実際、
ほとんど無理でしょうね。
おっしゃるとおり、絵本として完成していますからね。
 東京子ども図書館発行の「おななしのろうそく全25巻」を
ご存知ですよね。
 これには、絵本になったものでも、語りのためのテキストと
して載せてある場合があります。これをまるごと覚えて語る
方法があります。


> 一度、もんもんとした挙句、出版社に 
> ストーリーテリングのテキストとして使用したいという旨の許諾申\
> 請書を、
> 手を加えた文章と共に送った事があります。
(後略)


 この出版社の答えも少々おかしいですね。
 おっしゃるとおり、「絵本として以外の使用」は本来できない
はずです。
 ただし、先に文章だけあって、その文章を一字一句変えないで、
「絵本」にしている場合、この文章をとりだして、それをテキスト
として語ることは、許可さえあれば可能ですね。
 先の「おはなしのろうそく」がそうですね。
 しかも、これは覚えて語りましょうと、販売されていますから
これを覚えて語るのが一番だと思います。


>どういうふうに考えればいいのか、何に気をつけていけばいい
>のか、教えて頂けたら嬉しいです。

 創作絵本を他の表現法(紙芝居風・絵巻風・ペープサート・
パネルシアター・ストーリーテリングのテキスト)にすることは、
できなくはない(許可を受ければ)ですが、手続きが大変すぎます
し、ほとんど許可はでないと思います。
 そうすると、「おななしのろうそく」のようなテキスト集が
他にも売られているはずですので、それを探す以外にはなさそう
です。


 無難なのは、やはり昔話でしょうね。
 こちらは、むしろすでにある再話は使わない(同じだと再話者に
著作権が発生します)で、自由に再話すればいいです。ただし、
出来不出来が問題になると思いますが。
 実際、今の日本にはありとあらゆる再話が存在しています。
 本来の昔話には、「法則」があります。これは少し学んだほうが
いいと思います。「昔話の語法(小澤俊夫著・福音館書店)」など。

 私の推薦している「日本の昔話全5巻」の文章を、テキストと
して、骨格をそのままに、「地域語」に再話して語ることを
お奨めします。


 昔話を、紙芝居風・絵巻風・ペープサート・パネルシアターに
する場合は、別に禁じられていませんし、どこからも文句の
つけようがありませんが、しかし、それはもはや昔話ではない
ことをご承知おきください。あくまで昔話は「語り」の文芸
なのですから。絵本にする場合も同じです。昔話絵本や紙芝居など
と昔話は「文化」が違うのですね。

もうひとつは、自分で創作すれば、いいのではないですか。
何も既成のものだけにたよる必要はないと思います。
絵本や物語をたくさん読むと、
そこには昔話と同じ法則が見えますよね。
ただ、多くの人が陥るのは、「受けねらい」ですね。
本当に伝えたいことがあれば、子どもたちは聞いてくれます。


>昔ばなし研究所に籍を置かれているとのこと。語りに関するお話
>も展開していって下さいませんか?

 昔ばなし研究所の支部(?)の岡山昔ばなし研究会に属して
います。
 上記に基本的な答えは含まれています。
 とにかく昔話絵本は、よっぽどの絵本でないと
とても怖いものだと思います。
なぜなら、絵がイメージを限定する場合があるからです。

 絵本の「絵」は、想像を広げてくれる役割をしてくれなくては
だめだからですね。
 語りに対する聞き手のイメージや想像は個々人自由なのです
からね。

 以下、赤羽末吉さんの昔話絵本(ももたろう、かざじぞう他)、
あるいは
「三びきのやぎのがらがらどん」の解説をお読み下さい。





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Comment on "パネルシアターで絵本を"

素人根性丸出しの質問に、丁寧なお答えありがとうございました。小澤センセイの昔ばなし大学を受講しておきながら、我が身となると得手勝手な事を考えるもので...反省致します。絵本は絵本として手渡す事を大切にします。そう腹を据えてしまえば、もっと対象を熟慮した絵本選びも出来ると思いますし...自分に絵本(語り)を引き寄せる傲慢な在り方はいけませんよね。肝に命じます。
語りのテキスト、創作してみようと思います。昔ばなしの語法を踏襲して...来年の課題が出来ました(^^; やってみます!
えほんおじさんに、今年逢えてとっても嬉しかったです。いつもややこしくてごめんなさい。どうぞ良いお年をお迎え下さい。

  •   ばっけー
  • 2007年12月31日 19:04

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