出版社ごとの違いは?

●質問
初めまして、じゅのーと申します。
メルマがはいつも楽しく、とても参考にさせて頂いております。
海外在住で8歳の男の子と2歳(1月で3歳)の女の子がいます。

上の子の補習校は図書が充実している方だと思いますが、
二人とも読書の好きな子供達ですので、出来る限り自宅に置く本を
充実させたいと思っています。

そこで質問ですが、紹介して頂く本の出版社は、やはりその社で
注文するのがよろしいのでしょうか。

例えば「注文の多い料理店」をアマゾンで検索すると10冊以上
紹介されており、すべて宮沢賢治作です。

違いは絵と言うように感じますが、その中で敢えて岩波書店を
選ばれているのには何か理由がありますでしょうか。

何分手に取って比べることが困難な状況ですので、理由を教えて
頂けると助かります。

よろしくお願い致します。

●質問
初めまして、じゅのーと申します。
メルマがはいつも楽しく、とても参考にさせて頂いております。
海外在住で8歳の男の子と2歳(1月で3歳)の女の子がいます。

上の子の補習校は図書が充実している方だと思いますが、
二人とも読書の好きな子供達ですので、出来る限り自宅に置く本を
充実させたいと思っています。

そこで質問ですが、紹介して頂く本の出版社は、やはりその社で
注文するのがよろしいのでしょうか。

例えば「注文の多い料理店」をアマゾンで検索すると10冊以上
紹介されており、すべて宮沢賢治作です。

違いは絵と言うように感じますが、その中で敢えて岩波書店を
選ばれているのには何か理由がありますでしょうか。

何分手に取って比べることが困難な状況ですので、理由を教えて
頂けると助かります。

よろしくお願い致します。

○答え

>上の子の補習校は図書が充実している方だと思いますが、
>二人とも読書の好きな子供達ですので、出来る限り自宅に
>置く本を充実させたいと思っています。

 自宅書棚を構成する責任は親にありますからね。
その書棚から、お子さんが自由に選べる環境がいちばんです。


>そこで質問ですが、紹介して頂く本の出版社は、
>やはりその社で注文するのがよろしいのでしょうか。

 はい、そうです。
 出版社・著者・翻訳者・画家・再話者が違うと、
本を選んだことになりません。
 なぜなら、同じ書名であっても、本を選ぶことの意味は、
その著者・翻訳者・画家・再話者の、その文章なり、絵が
質的にどうかという問題ですから。
 この問題は、昔話について発生します。
もうひとつは、「著作権」がなくなった場合に発生します。


>例えば「注文の多い料理店」をアマゾンで検索すると10冊以上
>紹介されており、すべて宮沢賢治作です。
>違いは絵と言うように感じますが、その中で敢えて岩波書店を
>選ばれているのには何か理由がありますでしょうか。
>何分手に取って比べることが困難な状況ですので、理由を教えて
>頂けると助かります。

 宮沢賢治の場合が後者になります。
ただ、宮沢賢治の場合もっと複雑な問題もあるのです。

 というのは、賢治が生前に出版されたものは、
確か「注文の多い料理店」だけだったと記憶します。
(違っていたらごめんなさい、とにかくひと作品だけなのです)

 他の作品は雑誌に発表されたり、原稿のままだったりします。
ですから、それらを後に「研究」によって成立させたものです。
その意味で、専門家でも少しずつ違っている場合があります。

 その研究成果として、現在のところもっとも定評があるのが、
「ちくま文庫 宮沢賢治全集」です。

 ところが子ども向けとなると、ここにもうふたつ問題がおきます。

 第一に、なにぶんにも大正・昭和初期の作品なので、
言葉が分からない、子どもには難しいという理由で、
かなり手が入れられている場合があります。

実はこれが問題なのです。

 それで私たちとすれば、(専門家ではない、ちなみに賢治専門家
であっても子どもが分からない方もいらっしゃいます)信用の
できる出版社のものを選ぶ他ありません。

 それで私が推薦しているのは、
今のところ「岩波書店」「古今社」「福音館書店」のものです。

 第二に、絵本やさし絵の問題があります。
賢治作品は、元来「文」だけで、完結した作品です。
 したがって、本来絵本にするべきではないというのが
私の考えです。
 とはいえ、子ども向けには、現代とはあまりにかけ
離れていますから、さし絵程度は必要だと考えています。

 しかし、それでも「絵」はイメージを支えるもの、
想像力を喚起するものである必要があります。
賢治作品を画家の自己表現の具にするのはどうかと思っています。
この点については、私のサイトの

●狼森と笊森、盗森

●セロ弾きのゴーシュ
(いずれも古今社版)

 の解説に詳しいので、お読み下さい。
(古今社版の文は、ちくま文庫の文をそのままに使い、
 読みにくさは分かち書きで、難しい語句は巻末に説明を
 することで、原文=決定稿をそのまま生かそうとしています)

 賢治作品はいわば国民文学、イメージの宝庫です。
難しいからといって幼児向けや小学校低学年向きに
直したものを読む必要はないと思います。

 小学生高学年になってから、「決定稿」に忠実な文のものに
して、自分でイメージをつくったほうがいいと思います。
 ただし賢治作品には、「セロ弾きのゴーシュ」「雪わたり」
「狼森…」など、(読んであげるなら幼児向け、自分で読むなら
中学年向けでも)あえて改作したものでなくとも十分に伝わる
作品があります。

 現在8歳ですよね。
そうすると、これらはちょうどいいですね。
これから徐々にはじめたらどうでしょうか。

●セロ弾きのゴーシュ
これか、(古今社版)


これ。(福音館版)

●雪わたり


●狼森と笊森、盗森

それでは。

●声
 ご丁寧なお返事と解説をありがとうございました。

 「狼森と笊森、盗森」は、夏に一時帰国した時に図書館で
探した際に、下の子にも受け入れられやすいかなと思い
(個人的にはあまり好きな絵ではないのですが)
”むらかみつとむ”作を借りて読みました。

 これからは「難しいかもしれない」とは考えずに、
ご紹介されている本を探す様にしたいと思います。

どうもありがとうございました。
今後もよろしくお願い致します。




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