文字を追う子
Yさまの質問です。固有名詞などは伏せさせて頂きました。
●質問
こんにちは。いつもホームページを拝見しております。
いろいろな本の情報、大変勉強になり、楽しませて
いただいています。
読み聞かせについて最近、悩んでいることがあるので、
教えていただきたく、メールをいたします。
8月に5歳になる娘に読み聞かせをしています。娘は3歳ころから
字が読めるようになり、自分で本を読むようになってから1年以上
経っています。
今では図書館で本を借りてきても、私が読み聞かせをする前に
全部の本を一人で読んでしまいます(たとえば、福音館の
「ちのはなし」やのら書房の「けんたうさぎ」、講談社のおはなし
絵本館の本などもひとりで読んで、あとから内容を話してくれる
ので、ある程度理解もしているようです)。
私としてはもっと耳から聞いたものを頼りにお話の世界を
楽しんでほしいと思い、それらの本をあとからまた読み聞かせる
のですが、娘は、私の読みを聞きながら、本の字を追っています。
「本の字を見ないで、絵を見て」というのですが、ちょっとする
とやっぱり字のほうを見ています。
これでは、目から入る情報を理解する力はついても、耳からの
理解力が育たないのではないのかと、少し心配しています。
本があるからいけないのかと思い、ときどき、自分が作った話も
聞かせているのですが、「こんな話でいいのだろうか・・・」と
疑問に思いながらしています。
このような場合、どのような本をどのように読み聞かせすれば
よいのでしょうか? 耳で聞いてもらうにはやはり、私が暗記
して聞かせなくてはいけないのでしょうか? 教えていただけると
ありがたいです。よろしくお願いいたします。
○答え
> 読み聞かせについて最近、悩んでいることがあるので、
>教えていただきたく、メールをいたします。
(中略)
> 今では図書館で本を借りてきても、私が読み聞かせをする前に
>全部の本を一人で読んでしまいます(たとえば、福音館の
>「ちのはなし」やのら書房の「けんたうさぎ」、講談社のおはなし
>絵本館の本などもひとりで読んで、あとから内容を話してくれる
>ので、ある程度理解もしているようです)。
これは、うれしいことだと思います。
小さい頃から読み聞かせをしていると、4、5歳から字が読める
ようになる子が多いですね。
また、「字」にとても興味を持つ時期があります。
この時期なのかもしれませんね。
> 私としてはもっと耳から聞いたものを頼りにお話の世界を
>楽しんでほしいと思い、それらの本をあとからまた読み聞かせる
>のですが、娘は、私の読みを聞きながら、本の字を追っています。
>
>「本の字を見ないで、絵を見て」というのですが、ちょっとする
>とやっぱり字のほうを見ています。
>これでは、目から入る情報を理解する力はついても、耳からの
>理解力が育たないのではないのかと、少し心配しています。
早く字が読めるようになる場合の弊害・危険性ですね。
1)おっしゃる通り、声や音の快さ、面白さに鈍感になることが
ありますね。日常生活においてはどうですか。
小さい頃から読み聞かせをしていると、「地獄耳」になるの
ですが、いかがでしょうか。
人の話や静かな環境での「音」に対してはどうなんでしょうか。
2)もう一つは、「絵」をみなくなることによって、文章にない、
絵や絵と絵の間にある物語や、感覚に伝わってくるものを、
読み飛ばしてしまう癖がつく点です。
> 本があるからいけないのかと思い、ときどき、自分が作った話も
>聞かせているのですが、「こんな話でいいのだろうか・・・」と
>疑問に思いながらしています。
>
> このような場合、どのような本をどのように読み聞かせすれば
>よいのでしょうか? 耳で聞いてもらうにはやはり、私が暗記
>して聞かせなくてはいけないのでしょうか? 教えていただけると
>ありがたいです。よろしくお願いいたします。
おそらく時期的なものではないかと思われますので、
心配はいらないと思いますが、少しやり方を変えてみましょうか。
1)まず、読み聞かせはそのまま継続していいと思います。
字だけをみていてもです。
そうであっても、読んであげれば「声」は聞こえてくる
はずですから。
2)字のない絵本を時々いっしょに読む。
つまり、絵を読むと面白いことがあることを知ることですね。
たとえば、「やこうれっしゃ」「はるにれ」など。
適当に、文章を創作して読んであげるてもいいし、
お子さんに、思いつくまましゃべらせてもいいですね。
3)感覚に伝わってくる絵本や音を楽しむ絵本読んであげる。
●むぎばたけ
など
4)「私が暗記して聞かせなくてはいけないのでしょうか?」
いわゆる、ストーリーテリングですね。これもできれば、
してあげたらいいですね。
でも、プロでないと、ちょっと大変かな。
お近くの図書館や、保育園か幼稚園でやっていませんか。
聴きにいくといいですね。
それに、お母さんの「自分が作った話も聞かせているのですが」
もいいですね。
もちろん、ときどきは、適当な作り話や無茶話でもいいのです。
要は、楽しい時間がなによりなのです。
5)自分で読めるなら、お母さんが聞き手になって、
読んでもらったらどうでしょうか。
そんなこともあっていいと思います。
その際、どのように読むかですね。
文章をかたまりで、(文節や文章の流れがうまく)読んでいれば、
イメージ(この点が重要です)ができており、喜ぶべきことです。
心配はいりません。
あとは、実際体験や遊びを積めばいいのですね。
そうして、1〜4を組み合わせながら、この親子のひと時を
楽しんでください。
それでは。
○声
以前、子供が読み聞かせのときに、本の字ばかりを追って
しまって耳を頼りに聞いてくれないことをご相談いたしました
Yと申します。
その節はすぐに丁寧なお返事をいただきたいへんありがとう
ございました。ご親切にお答えいただきましたのに、
お礼のメールが遅くなった非礼をお詫びいたします。
アドバイスしていただいたことをもとに娘の様子を
よく見てみました。
>1)おっしゃる通り、声や音の快さ、面白さに鈍感になることが
> ありますね。日常生活においてはどうですか。
> 小さい頃から読み聞かせをしていると、「地獄耳」になるの
>ですが、いかがでしょうか。
>人の話や静かな環境での「音」に対してはどうなんでしょうか。
「地獄耳」のようなところはあまり見受けられませんが、
「音」に関しては敏感のような気がします。4歳の今でも掃除機の
音を嫌がったり、夜にトイレの水を流すのを怖がったりしています。
また、擬音をたくさん使うことを好んだり、読んだときの調子の
いい本(「ことばあそびうた」「まさかりどんがさあたいへん」
「これはのみのぴこ」など)を私が早口で読んだりするのを
喜んだりするので、「音の面白さ」を感じてくれているという
ことでしょうか・・・。
●コメント
はい、そうです。とてもうまくいっていますね。
>2)もう一つは、「絵」をみなくなることによって、文章にない、
> 絵や絵と絵の間にある物語や、感覚に伝わってくるものを、
> 読み飛ばしてしまう癖がつく点です。
こちらには私自身もはっとしました。読み聞かせのときに
文章が読み終わるとすぐページをめくっていたので、私自身が
あまり絵を見ていなかったような気がします。
文章が読み終わっても先を急がず、娘とじっくり絵を楽しんでも
いいのかもしれませんね。
>1)まず、読み聞かせはそのまま継続していいと思います。
こう言っていただいて、安心して読み聞かせを継続しています。
以前は読んでいても、途中で娘の様子が気になり「字みちゃだめ!」
などと注意を繰り返し、お話に没頭できないことがありましたが、
注意をしなくなったら、また純粋にお話を楽しめるようになり
ました。
2)字のない本を時々いっしょに読む。
この2冊は図書室にあったので、早速読みました。
最初、ひとりで「やこうれっしゃ」を見ていたときには
あっという間に終わってしまっていたようでしたが、
私と一緒に、駅にいた親子をほかのページでさがしたり、
乗客のひとりひとりを事細かに見ていったら、とても楽しく
なってきたようで、夜行列車についていろいろと質問をしてきて、
最後には「夜行列車にのってみたい!」といってくれました。
その後、何度もひとりで「やこうれっしゃ」に見入っている姿が
ありました。図書を返すときも「この本は延長したい」という
ほどでした。
「はるにれ」については私はあまり多くを語らないようにして
みましたら、「ここはどこ?」と聞き、刻々と変わっていく
はるにれをみていくうちに、いつのまにかその場所に行って、
草原中をかけまわったり、はるにれに登って、青々を茂る葉から
顔をだしてかくれんぼをする自分を想像して楽しんでいました。
●コメント
そう、そう、こんな感じが最高です。
3)感覚に伝わってくる絵本や音を楽しむ絵本読んであげる。
「ことばあそびうた」はよんだことがあります。気に入った
調子のところは大笑いし、自分でも声に出して読んだりして
いました。
「あまがさ」の雨の音のリフレインのところは楽しげに聞いて
気に入ったようでした。
「むぎばたけ」「こっこさんのかかし」は図書室になく、まだ
読んでいません。小笠原には本屋さんがなく、村にある
「図書室」(図書館ではありません!)が唯一の本と出会える
ところです。夏休みは26日から1ヶ月くらい東京に帰るので
早速さがして読もうと思います。
>4)「私が暗記して聞かせなくてはいけないのでしょうか?」
こちらでは「お話会」と称して月に1回、幼児を持つ母親が
ボランティアで絵本の読み聞かせをしています(はずかしながら。
私もメンバーのひとりです)。その中のひとりのお母さんが毎回
素話をしてくれるのですが、そのときの娘は、すぐあきてしまう
のか、よそをむいていたり、ほかのお友達にちょっかいを出したり
と、ぜんぜん集中できないでいるので、「耳から聞く話に弱い
のではないか」と心配した次第です。
でも最近では、やっぱり集中して聞いているようには見え
なくても、面白かった話はいくつか私に再現して話してくれる
ようになりました。覚えているところはボツボツで、ストーリー
も完璧ではありませんが、これはこれでいいことなのでしょうか?
●コメント
問題ないと思います。
> それに、お母さんの「自分が作った話も聞かせているのですが」
>もいいですね。
これはなかなか大変なことなのですが、できる限りするように
しました。娘はちょっとつまらなくなると、
すぐに「お話して。お話して」とくるのでつらいのですが・・・。
おもにお風呂の時間にするようにしています。
ときには、娘のほうから、「お話してあげる」といって自分で
作った話をしてくれることもあるようになりました。
>5)自分で読めるなら、お母さんが聞き手になって……
かたまりですらすら読むことができています。
読んだことのある本を読み聞かせをしいるときは
「○○の役は私にやらせて」といって台詞を読んで
楽しむこともよくあります。
そのときの読み方や感情のこめ方が私の読み方にそっくりなので、
びっくりしてしまいます。
また、本の中で唄が出てくるお話などは、
いつも私が適当なメロディーをつけて読むのですが、
そのメロディーもちゃんと覚えていて再現してくれます。
●本当にそうですね。
だから、読み手がイメージをつくりながら読まないと、
伝わらないのですね。
> あとは、実際体験や遊びを積めばいいのですね。
実体験や遊びを積むというところが、具体的にどうすれば
いいのかよくわからなかったのですが、本に出てきた事柄を
実生活でも体験できるようにするということでよいのでしょうか?
以上、とりとめもなく、書いてしまいましたが、最近の娘の
様子です。また何かお勧めの本がありましたら、教えてください。
●コメント
お住まいが小笠原だとは知りませんでした。
自然がいっぱいあるでしょう。要するに「遊ぶ」ことですね。
「本に出てきた事柄を実生活でも体験できるようにするという
ことでよいのでしょうか?」
これにこだわる必要はありません。
ちょっとした経験でも本につながりますし、
絵本の出来事自体が経験なのですから。
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